“アラン ウェイク・ユニバース”のスピンオフ的な作品に

 2012年1月10日~13日(現地時間)、世界最大規模の家電見本市2012 International CESが、アメリカ・ラスベガスにて開催。Xbox 360タイトル花盛りのマイクロソフトブースで、記者の目はあるタイトルの前でピタリと釘付けになった。そう、Xbox LIVE アーケードの『Alan Wake's American Nightmare』(以下、『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』と表記する)だ。あまり説明の必要もないかもしれないが、『アラン ウェイク』といえば、2010年5月27日に発売されたXbox 360用ソフト。ベストセラー作家であるアラン・ウェイクが巻き込まれることになった悪夢の世界を描くサイコスリラーで、その確かなゲーム性が熱心なゲームファンに高い評価を受けた1作だ。かくいう記者も、開発元であるフィンランドのRemedy Entertainmentにはスタジオツアーでお邪魔になり、真摯なゲーム作りに対する姿勢には、大いに感銘を受けたものだ(興味をお持ちの方は以下の記事をご覧あれ)。

※“光と闇”が織り成す衝撃のサイコスリラー、マイクロソフト“上半期イチオシ”タイトルの全貌に迫る(第1回)
※『アラン ウェイク』、キャラ造型からアクションまで、こだわり抜いた世界観の構築(第2回)
※ひと足はやく『アラン ウェイク』を体験、細部にまでこだわり抜いた緻密さが緊迫のストーリーを盛り上げる(第3回)

シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_09

 『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』は、そんな『アラン ウェイク』の最新作にあたる作品だ。もちろん、記者とてゲーム雑誌編集者の端くれ。2011年12月に発表された『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の存在は知っていたが、いざこうして目の前にすると感慨もひとしお。「これはプレイせずにはおくまい!」と試遊台におもむろに近づこうとしたところ、どこか見たことのある人物が。スタジオツアーでお世話になった、ヘッド・オブ・フランチャイズ・デベロップメントのオサカリ・ハッキネン氏だ。がしりと握手を交わしてハッキネン氏との再会を喜びつつ、記者はおもむろにコントローラを握りしめた。

 CESで出展されていたのは、『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の“Fight Till Dawn”モード。直訳すると“夜明けまで戦う”というこちらのモードは、その名の通り、夜明けまでの10分間をエネミーと戦い続けるという、いわばサバイバルプレイ。サーチライトで照らして敵を攻撃するというゲーム性はそのままに、主人公は“闇の存在”に相対していくことになる。フィールド上には適宜武器やアイテムなどが落ちており、アランはそれらを拾いながら敵に相対するわけだが、とにかく暗闇から続々と出現してくる敵が恐怖をそそる。さらにサバイバルモードのつねとして、敵は倒せば倒すほど強力になっていくので、記者は数回挑戦するも、毎回3~4分ともたずにゲームオーバーとなってしまった。とはいえ、ゲーム性は『アラン ウェイク』そのものなので、前作のプレイヤーならば安心して楽しめること請け合いだ。

 で、『アラン ウェイク』と言えば、やはり深みのあるストーリー。ひと通り“Fight Till Dawn”モードを遊んだあとで、ストーリーモードについてハッキネン氏に聞いてみると以下のごときお返事が。

 「『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』のストーリーは、アラン ウェイクワールドの“トワイライトゾーン”とも言うべき『ナイトスプリングス』というテレビ番組がカギを握ります。作家であるアランは、以前この番組用に何話か脚本を書いたことがあるのですが、その中のひとつのエピソードを実際に体験することになるんです。前作では自分の書いた小説が現実になるという設定でしたが、本作ではテレビ番組が現実になるんですね。で、アランは徐々にフィクションと現実との関わりを理解して、それを利用できるようになっていくんです」(ハッキネン氏)

シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_01
シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_02
シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_03
シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_04
シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_10
▲ヘッド・オブ・フランチャイズ・デベロップメントのオサカリ・ハッキネン氏。

 と、さわりを聞くだけでも、何とも興味をそそるストーリーだ。で、記者には気になる点がひとつ。以前『アラン ウェイク』はシリーズ化の構想があったように記憶しているのだが、シリーズはダウンロードコンテンツとして継続していくのか……についてだ。それに対してハッキネン氏は、「本作は、“アラン ウェイク・ユニバース”のスピンオフ的な位置付けの作品です」とのこと。『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』は初めて『アラン ウェイク』シリーズに触れる人でもストーリーを理解して楽しめるようになっており、ユーザー層を広げるために、Xbox LIVE アーケードでの配信を決めたというのだ。急いで補足しておくと、もちろん前作をプレイした人も楽しめるように『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』はできており、オプション要素なども充実しているという。

 「“アラン ウェイク・ユニバース”は複数の点がつながって、線になるようになっています。『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』はあくまでその1部です」とハッキネン氏。大いなる願望を込めて大胆に予想すると、『アラン ウェイク』シリーズは、本流はパッケージソフトとして展開されつつ、スピンオフ的な作品がXbox LIVE アーケードなどで順次リリースされ、複数の点(作品)がつながって“アラン ウェイク・ユニバース”を形成していくのではないか。いったいどんな壮大なる世界観が構築されるのか……と、夢を膨らませる前に期待したいのが『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の日本語版の配信。記者が知る限り、現時点で日本語版の配信は決定していないようなのだ。『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の欧米での配信は2012年2月15日を予定しているようだが、まずは日本語版の配信決定の報に期待したいところだ。

シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_06
シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_05
シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_07
シリーズ最新作『アラン ウェイク アメリカンナイトメア』の謎に迫る【CES 2012】_08

[2012 International CES関連記事]
※マイクロソフトによるCES最後のキーノートでパルマー氏が熱く語る、PC版Kinectの発売も明らかに
※NVIDIAがプレスカンファレンスを実施、タブレット端末は“Tegra3”で魅力的なゲーム機になる!
※3D立体視対応の『Kinect スター・ウォーズ』や、『Kinect Rush: A Disney・Pixar Adventure』などKinect専用タイトルが人気
※ソニーブースの注目株は、やはり北米で発売間近のPS Vita