CES最後のキーノートで、Xbox 360のさらなる可能性を語る

マイクロソフトによるCES最後のキーノートでバルマー氏が熱く語る、PC版Kinectの発売も明らかに【CES 2012】_05
▲最後のキーノートに臨むバルマーCEO。

 2012年1月10日~13日(現地時間)、アメリカ・ラスベガスにて2012 International CES が開催される。CESとはConsumer Electronics Showの略。世界最大規模の家電見本市として知られるCESには、各家電メーカーが最新商品を出展、その年の動向をうかがう絶好のイベントということで、毎年世界中から多くの関係者が詰めかけている。そんなCESの風物詩ともなっているのが、開催前日に行われるマイクロソフトによるキーノート(基調講演)。数年前までビル・ゲイツ氏によって行われ人気を博していたキーノートは、近年ではCEOのスティーブ・バルマー氏に引き継がれ、IT業界の巨人マイクロソフトのビジョンが提案される貴重な機会として、注目度も極めて高い。じつは、そのマイクロソフトによるCESでのキーノートも、今回でひとまず終了とのこと。さらに、出展も今年限りということで、長らくCESを取材してきた記者からすると、何とも感慨深いアナウンスだが、これも時代の変化というものだろうか。何はともあれ、マイクロソフトにとってCES最後のキーノートが、2012年1月9日にラスベガスの超一流ホテル、ベネチアンにて行われた。

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▲CESにおけるマイクロソフト最後のキーノートということで、主催団体CEAのゲイリー・シャフィーロ氏より、過去の写真がコラージュされた記念品が贈られた(左)。会場では過去のキーノートの映像も流された(中央、右)。マイクロソフトがCESに与えた影響は図りしれない。
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▲こちらは司会役のライアン・シークレスト。

 バルマー氏のキーノートの柱となったのは、昨年同様、Windows Phoneと、Windows(おもに次世代のOSであるWindows8)、そしてXbox 360。それは取りも直さず、この3本柱がいまのマイクロソフトの主要事業であるということだが、いまやマイクロソフトのキーノートに、あたりまえのようにXbox 360が紹介されるというのも、なにやら時代の変化をうかがわせる。キーノートは、アメリカで絶大な人気を誇るオーディション番組“アメリカン・アイドル”の司会を務めるライアン・シークレストとバルマー氏が掛け合いを展開するというスタイルで行われた。もともとアツい語り口で知られるバルマー氏だが、ライアン・シークレストを相手に語りは一層白熱。ときに拳を握りしめ、ときに大きく声を張り上げながらWindows PhoneやWindows8の魅力をアピールした。そこでひときわ印象的なのが、マイクロソフトの新しいインターフェースとして採用されつつある“Metro UI”。マイクロソフトがPCとテレビモニター、携帯電話の端末の“スリースクリーン”に注力していることはご存じの通りだが、この“Metro UI”は、そのスリースクリーンのインターフェースの統一を果たすものだ。Windows Phoneやタブレット端末を使用してのWindows8のデモなどで、タッチ操作で“Metro UI”を操作しているデモを見ると、「この“Metro UI”がマイクロソフトの方向性のカギを握るのだな」と改めて実感させられる。

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▲キーノートでは、Windows Phone向けのノキアやHTCの新端末が披露された。
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▲Windows 8のインターフェースが披露。タッチ操作に親和性の高いそのインターフェースで、PCは大きく変わりそうな予感が。
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▲Windowsのチーフマーケティングオフィサー、タミ・レラー氏がプレゼン(左)。タブレット端末でゲームも紹介してくれた。タブレット端末の普及により、PCでゲームを遊ぶ敷居も低くなりそうだ。
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▲キーノートでは、Tweet Choirが登場。Choirは聖歌隊の意味で、どうやらツイートに合わせて歌を歌うグループのよう。キーノートのライブ配信にあわせて発せられたユーザーからのツイートを会場で熱唱した。

 そして、Windows Phone、Windowsに引き続き、トリを飾る形でプレゼンされたのがXbox 360。 「10年前にXboxがここまでになると想像していましたか?」とのライアン・シークレストの問いに、バルマー氏は「10年間、ベストなものを提供しようと忍耐強く取り組んできました。この10年目にXbox 360はもっとも売れるナンバーワンハードとなり、全世界累計6600万台普及しています。Xbox LIVEユーザーも4000万ユーザーに達し、すべてのエンターテインメントが揃っています!」と胸を張ったが、まず取り上げられたのが2011年末に行われたアップデートで実装された“Metro UI”のこと。さらに使い勝手がよくなった点などがアピールされた。そして、いまのXbox 360で欠かせないものと言えば、やはりKinect。すでに1800万台以上を販売しているというKinectだが、会場では音声機能を使って映画を観るデモなどが披露された。そのあとで発表されたのが『Kinect Sesame Street TV』。日本でも放送していたのでご存じの方も多いと思うが、『セサミストリート』はアメリカで人気の教育番組。「遊ぶだけではなくて、番組の一部になって楽しむ」と、プレゼンの担当者は語っていたが、デモから判断する限りでは、この『Kinect Sesame Street TV』は、セサミストリートのキャラクターたちが出した課題を、Kinectによる操作でこなしていく……といった趣きのコンテンツ。まさに、インタラクティブ性にある教育番組といったところか。「ヘルスケアや教育などにKinectは大いに役立つ」とバルマー氏は強調していたが、Kinectの新たな可能性を拓くコンテンツと言えるだろう。『Kinect Sesame Street TV』の日本での展開は未定だが、同様のサービスを日本の子どもに人気のコンテンツで展開すれば、注目度も相当高くなるのでは、と思われる。

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▲アップデートされたばかりのXbox 360の“Metro UI”やKinectによる音声認識などが披露された。Windows Phoneで検索して、Xbox 360で映像を再生するといった連携機能も紹介された。
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▲20世紀フォックスなどでおなじみのメディア企業ニューズ・コーポレーションが、傘下のフォックスなどの映像配信をXbox LIVE向けに開始。北米におけるXbox LIVEの映像配信の充実ぶりはすばらしいものがある。日本での展開にも期待したいところだ。
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▲インタラクティブ性のある教育テレビといった趣きの『Kinect Sesame Street TV』。教育効果も大いにあるのではと想像される。

 なお、Kinectに関してはさらに新たなアナウンスも。PCに対応した、Kinect for Windows が2012年2月1日に日本を含む12ヵ国で発売されることが明らかにされたのだ。価格は250ドル。これにより、KinectのXbox 360以外への普及がいよいよ本格化しそうだ。

 CES最後のキーノートで、バルマー氏の口よりさらなる期待感が表明されたXbox 360 Kinect。マイクロソフトの主要事業として、今後ますます存在感を増しそうだ。

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2012年2月1日、ついにPC向けKinectが発売される。多くの企業がコラボを表明しているようで、Kinectの可能性がさらに広がる!
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