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『アラン ウェイク』、キャラ造型からアクションまで、こだわり抜いた世界観の構築(第2回)
【『アラン ウェイク』の世界】

2010/3/1

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●キャラクター、アクション、グラフィック……3組のキーパーソンに聞く

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 “光と闇”が織り成す衝撃のサイコスリラー『アラン ウェイク』(マイクロソフトから2010年5月27日に発売予定のXbox 360用ソフト)。ここでは開発元であるRemedy Entertainmentのクリエーターへの取材をとおして、同作の魅力を浮き彫りにしていく。開発スタッフが5年以上をかけて取り組む『アラン ウェイク』の真実とは? 取材は、3組の担当者がそれぞれ『アラン ウェイク』のキーとなるポイントを解説。適宜インタビューに応えていくというスタイルで行われた。

※“光と闇”が織り成す衝撃のサイコスリラー、マイクロソフト“上半期イチオシ”タイトルの全貌に迫る(第1回)
 

型どおりではないたしかな人物造型を――ライター サム・レイク氏

 

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 まずは、ライターであるサム・レイク氏のプレゼン。レイク氏が言及したのがアラン・ウェイクの人物造型について。「プロジェクトを立ち上げる時点で、主人公はアクションヒーローではない人物、どちらかと言うとふつうの人にしたいと思っていました」とレイク氏。型どおりのアクションヒーローに比べて、アラン・ウェイクというキャラクターは奥深いものになっているとレイク氏は言う。「彼は完璧ではないのでもちろん欠点も問題点もあるのですが、一面的ではないんです」(レイク)。

 スタイルについては、『Max Payne』で主人公によるナレーションという語りかたで成功したことを踏まえ、『アラン ウェイク』ではそれを応用して主人公にストーリーを語らせるようにしようと考えたという。「そこから主人公の職業は作家というアイデアに至りました。ゲーム中でアランは、自分が書いたとおぼしき小説の断片を随時見つけて、それをヒントに先に進んでいくわけですが、そういったシステムも主人公=作家という設定から思いついたことです」(レイク)という。

 そして『アラン ウェイク』では、世界観を膨らませるためのちょっとした趣向が凝らされている。劇中にはテレビが随所に設置されているのだが、ちゃんとテレビ放送を観ることができるのだ。プログラムはいくつかあるようなのだが、その中のひとつはアラン・ウェイクが出演しているトークショウ! 「テレビ番組はCGではなくて、本物の俳優を使って実写で撮影しています。トークショウは3年まえのものなのですが、アラン・ウェイクの人となりをうかがわせる内容になっています」(レイク)なのだとか。トークショウでは、アラン・ウェイクがインタビューに答えて、「同じような本を何冊も書いているので正直疲れた。いまはまったく新しいものを書きたい」「結婚生活もうまくいっている」「パパラッチと揉めごとがあった」返事をし、アラン・ウェイクについての説明が積み重ねられていく。3年まえといえば、アラン・ウェイクの絶頂期であり、そこから彼の状況は変わっていく。テレビの映像は3年まえといまを対比する意味でも効果的だと言えるだろう。

 ちなみに、『アラン ウェイク』では随所に遊び心溢れる要素を盛り込んでいるという。たとえば、トークショウの番組のバックに『Max Payne』を思わせる小説が置かれていたり……。「Remedy Entertainmentではユーモアを大切にしているんですよ」とレイク氏は語ってくれた。

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アクションのカギを握るのは、やはり“光”

        ――プロデューサー ジリ・ランキ氏&マネージング・ディレクター マティアス・ミリン氏


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 プロデューサーのジリ・ランキ氏(写真左)とマネージング・ディレクターのマティアス・ミリン氏(写真右)が説明してくれたのは、本作のキモとも言うべきアクションについて。まずランキ氏が口にしたのは“光”の重要性。「『アラン ウェイク』では、銃などの武器よりも“光源”を大事にしたかったんです。敵を倒すには、まずは光を当てて“闇の力”を取り除かなければならない。ゲームはインタラクティブエンターテインメントなので、プレイヤーにとって大事なのは、視覚や聴覚以上にプレイしているときのフィーリングです。左トリガーをぐっと押して、光を当て続けることで“闇の力”が弱まっていき、右トリガーで撃つ。こうして一連のフィーリングを大事にしました」(ランキ)。なお、光には主人公が携帯しているサーチライトのほかに、クルマのヘッドライトや巨大ビームライトなどが登場する。光に関連するアクションでは、多数の敵に追いかけられたときに、発電機のスイッチを入れて光輝く場所を作り出し、辛くも難を逃れる……といったシチュエーションもある。『アラン ウェイク』では光あるところが“安全地帯”なのだ。
 

 武器に関しては「実際にある武器を使いたかったので、ロケットランチャーなどは用意していない」とランキ氏は言う。距離によって拳銃やショットガン、ハンティングライフルなどを使い分けるそうだ。光を当てずに敵を倒せるフレアガン(照明弾)もある。さらに、『アラン ウェイク』では主人公は近接武器を持たない。敵が近づいてきた場合は“避ける”というアクションを取ることになる。「“闇の存在”は非常に危険な存在です。アランは触れるだけで倒されてしまう。敵の接近を危険に感じることで、そこに“怖さ”が出てくるんです」とミリン氏は言う。
 

 さらに、アクションとの兼ね合いで注力したのがカメラワーク。『アラン ウェイク』では、『Max Payne』の伝統を引き継いで、映画的なカメラワークとスローモーションアクションを取り入れているのだが、「カメラワークにこだわってきて気づいたことがある」とランキ氏は言う。それは、プレイヤーがカメラコントロールをできない場合は、プレイヤーにストレスが溜まらないようにしなければならないということだ。「大切なのはふたつです。プレイヤーが取った行動の報酬を見せてあげることと、プレイしやすくするための情報を与えてあげることです」とランキ氏。補足して説明すると、たとえば“プレイヤーが取った行動の報酬を見せる”では、敵を倒したら、ちゃんと倒れた敵を見せるようにすることといった点が挙げられるだろうし、“プレイしやすくするための情報を与えてあげる”では、見えない敵からいきなり攻撃を受けないようにするといった点が当てはまるだろう。ストレスのないカメラワークが、爽快なアクションには不可欠というわけだ。
 

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ディテールの構築に情熱をかけた――アートディレクター サク・リヒテイン氏


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 「アートディレクターという仕事の立場は会社によって異なりますが、私が関わったのは、グラフィックまわりやツール作成、音楽など、かなり広い範囲にわたります」とサク・リヒテイン氏。初めにリヒテイン氏が言及したのが、グラフィックのこと。『アラン ウェイク』は、幻想と現実が交錯する、虚実ないまぜになった世界観が魅力だが、だからこそリアリティーの構築にはこだわったのだという。「現実か虚構かわからないからこそ、ベースになるのはリアルな世界。そこで我々はディテールの構築に情熱をかけました」(リヒテイン)。俳優を起用して顔と身体のモーションキャプチャーを行ったのはもちろん、表情やジャケットの皺ひとつの再現にいたるまで、細かく検討事項だったという。

 ちなみに、グラフィックまわりでもっとも苦労したデザインのひとつが“闇の存在”。「ファンタジーでもなくSFでもない、これまでにないデザインだったので、どうしようか悩みました。当然目に見えなくてはならないのですが、安っぽくしたくもなかった。一方で想像力を働かせる余地も残したかったんです」(リヒテイン)と、相反する命題を実現するために相当苦労したようだ。微妙で捉えがたい“闇の存在”をうまく表現するために、試行錯誤をくり返したようだ。

 『アラン ウェイク』のもうひとつの主役、ブライトフォールズの構築もリヒテイン氏の担当。ブライトフォールズはアメリカ・ワシントン州の沿岸を参考にしているのだが、ロケテストのためにワシントン州をクルマで4800キロ以上も移動したらしい。撮影した写真は60000枚以上にも及ぶとか。なお、ワシントン州を参考にしたのは、「高い山が多く、土地に高低差があったから」(リヒテイン)とのこと。高低差は最初からゲームに取り入れたかった要素だとのことだ。「アメリカ北西部は、フィンランドにステロイド剤を投入したような感じなのですが、そこが気に入りました」とリヒテイン氏は笑う。音も、実際に現地で録ったものを使用しているとのことだ。


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 プレイヤーを惹きつけるためのカメラワークも、リヒテイン氏のお仕事だ。3人称視点を採用している『アラン ウェイク』だが、カメラの位置を肩のうしろに設定し、物語により没入しやすい視点を追求している。そのカメラ位置もけっして固定するわけではなく、柔軟性をもたせている点も見逃せない。まるで、実際にカメラマンがいて、主人公の動きを追いかけているかのようなカメラワークを実現しているのだ。たとえば、主人公が走っていくと後ろからカメラが追いかけていき、主人公が急に立ち止まると止まり切れなかったカメラが主人公にぶつかりそうになるといった具合だ。なお、これらのカメラワークは、『Max Payne』のスタイルをより強化したものだ。

 さらに、「音楽や効果音もスリラーには欠かせない要素」とリヒテイン氏は言う。音楽によって主人公の脈拍のピッチも表現できるし、プレイヤーの感情移入が容易になるという。『アラン ウェイク』の音楽は、フルオーケストラで演奏されたもので、収録が行われたのはドイツだ。

 グラフィクからカメラワーク、音楽にいたるまで、贅沢にこだわり抜いたさきに、見事に構築された『アラン ウェイク』の世界が存在したのだと言えるだろう。


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▲シネマティック効果を盛り上げるカメラアングルの一例。ストーリーボードを作成して、それに基づいてグラフィックを作り上げていく。

 
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▲ストーリーボードを作って、俳優さんの表情をキャプチャー、そしてゲームに反映させていく。



※『アラン ウェイク』の詳細はこちら

[関連記事]

※『アラン ウェイク』の発売日が2010年5月27日に決定、豪華特典満載の『リミテッド エディション』も明らかに
※良質なテレビドラマを見るような感覚で楽しめるXbox 360用ソフト『アラン ウェイク』
※サーチライトの光が暗闇の恐怖を煽る、Xbox 360の新機軸となるアクション『Alan Wake』
 

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