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『ガンダムトライエイジ』カード製作の現場に潜入!後編 カードにかけるこだわりが半端なかった

文・取材:マンモス丸谷 撮影:堀内剛

公開日時:2016-06-03 18:00:00

●ハイクオリティーのカードはどのようにしてできあがったのか?

 『ガンダムトライエイジ』のカード製作現場に突撃取材したトライエイジ研究部の面々。後編となる今回は、カード製作に携わるキーパーソン3人のインタビューをお届けする。

 お話を聞いたのは、バンダイの『ガンダムトライエイジ』開発担当のアナベル・ワコーこと若生貴幸氏と、カードの企画・製作を行うアートプレストの竹内零氏、そして、カード製作の老舗である、印刷会社の川越健至氏の3名だ(諸般の事情により、今回は社名は伏せさせていただきます)。この三社の連携により、『ガンダムトライエイジ』のカードは作り上げられているのだ。

■カード発案から印刷まで、三位一体で行なわれる作業工程

――まずは『ガンダムトライエイジ』のカードを作るうえでのお三方の役割を教えてください。

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▲『ガンダムトライエイジ』開発担当のバンダイ、アナベル・ワコーこと若生貴幸氏。

ワコー 私たちバンダイの開発チームでは、まずカードのラインアップを決めてイラストをデザイン会社の方に発注します。あとは毎回作っているキャンペーンカードの仕様やパーフェクトレアの下地、ホロ(光りかた)の柄などを、「どうしたらかっこいいものになるのかな?」というのを竹内さんと相談して、デザインに落とし込む作業をしています。「この柄はどうですか? この仕様は可能ですか?」といったご相談をさせてもらった上で見本を見ながら、かっこいいカードの完成を目指しています。

――その要望を受けてデザインを詰めるのが竹内さん(アートプレスト)の役割?

竹内 デザインというよりは、いただいた要望を、「こういう加工を使えば実現できるのでは?」とご提案する感じですね。印刷できる状態まで持っていって印刷会社さんに渡すのが仕事です。言ってみれば、仕様を提案するところから印刷手前までの作業全般を担当しています。

川越 私のところはその後の印刷、製造全般ですね。

――カードを作るうえで『ガンダムトライエイジ』ならではの、気をつけている点があれば教えてください。

ワコー キャンペーンカードはどういうものにしようかと、毎回知恵を絞っています。今回は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のキャンペーンカードなので、光りかたや質感を実際の“鉄”っぽいイメージで作っています。その上にかけるタバックっていう光る物があるのですが、そこも鉄のように見える、横向きに光るタバックをかけています。どうやったら鉄っぽく見えるか竹内さんに相談させていただいて、竹内さんから何パターンか候補となる仕様のアイデアをいたいだて、それに対してバンダイ側でリクエストを出すといったやりとりをして決めています。「『鉄血のオルフェンズ』っぽいカードってなんだろう?」っていうことをしっかりと考えて、それを最大限カードに落とし込むことを目標に制作しています。

――世界観に沿ったカードということですね。

ワコー “鉄血の5弾”に限らず、『ガンダムトライエイジ』全体で気をつけているのは、お子さんにも楽しんでいただけるよう、動きのあるイラストにしようということですね。それは、発注の際にお願いしています。あと高レアリティのカードになると、光る分だけ背景が見づらくなってしまうので、わりとシンプルにまとめています。逆に背景が見やすいコモンやレアは、背景の情報を多くして、イラストが「アニメのあのシーンだ!」とわかりやすいように作っています。

――ああ、そんな配慮があるんですね。今度もっとよくカードを注視してみよう。いずれにせよ、お子さんに受けることを念頭に、デザインを考えている感じですか?

ワコー まずは、ひと目で、ユーザーさんに「とにかくかっこいい!」と思ってもらえるカードですね。

――そういったワコーさんのこだわりに、ときにアートプレストさんは苦慮したり?

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▲アートプレスト、竹内零氏。『ガンダムトライエイジ』のほか、バンダイナムコグループのさまざまなカード事業を担当する。

竹内 いえいえ(苦笑)。当社は『ガンダムトライエイジ』に限らず、けっこう昔からバンダイさんのカードをやらせていただいているので、仕様へのノウハウはあるかなと思っています。いろいろご相談をいただいたら、デザインの落とし込みだけでなく、印刷工程をトータルで提案もさせていただけるように心掛けています。まあ、無茶ぶりは正直のど元過ぎれば忘れるというか……(笑)。技術的にクリアーできれば、どんな無茶ぶりでもお応えしますよ。

ワコー 「箔を細かく押したい」というお願いをしたこともありましたね。

竹内 ああ、『ガンダムトライエイジ』特有の苦労があるとすれば、モビルスーツや必殺技の名前に漢字が多いことでしょうか。漢字は線が細かいので、漢字は線が細いので、箔押しが難しいというのはありますね。

川越 『ガンダムトライエイジ』の稼動以降に、印刷技術も進化しているので、そこから取り入れた仕様もありますね。箔押しの上からカラー印刷を行える“コールドフォイル”なんかはそうですね。

竹内 そうですね。あとは、同じ印刷技術でもより安価にできるようになったりしていますね。

――ああ、『ガンダムトライエイジ』のカードは、回数を追うごとに進化しているんですね。

■カード印刷の難関は“テレビ放映中の作品”と“漢字”!?

――ところで、カードの制作には、どれくらいの期間がかかっているのですか?

ワコー 『ガンダムトライエイジ』は約2ヵ月に1回新しい弾が登場するので、並行して複数バージョンのカード制作やイラストの発注などを行なわないと間に合わないんです。ですので、ゲーム内容とラインアップの構想段階から半年以上かかることもあります。

――なるほど。ではカードが完成するまでに竹内さん側とは何回ぐらいやり取りをしますか?

ワコー ぼくは何か思いついたらすぐに電話してしまうタイプなので(笑)。わりと多いかなとは思います。

――印刷に直接関わっているサイドから、『ガンダムトライエイジ』のカードならではの特徴だなと思う部分はありますか?

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▲印刷担当の責任者、川越健至氏。カードに限らず様々な印刷物の業務を請け負う。

川越 『ガンダムトライエイジ』は、地に敷くホロ(光沢)の柄が毎回違うんですよ。ほかのタイトルのカードは、共通のレアリティであれば毎回ホロの柄は同じことが多いので、『ガンダムトライエイジ』のこだわりぶりはすごいですね。ただ、特殊なパターンのホロの柄は特別に発注しないといけないので、そういう柄が選ばれたときは少しあたふたしますね(笑)。印刷する側からすると、締切が近くなると「使う柄を早く決めていただきたいなあ……」とやきもきしたりします(笑)。

――それは、とんでもないこだわりですね。ぼくもぜんぜん認識していませんでした。

竹内 私のほうに川越さんから連絡がきて、「ワコーさん、そろそろ柄を決めてくれないと……」みたいなやり取りはたまにあります(笑)。

――なぜ、毎回ホロを変えているのですか?

ワコー ユーザーの皆さんに新しい弾の度に、新鮮さを提供したいというのが第一です。弾が変わってカードを引くときに、毎回違う楽しみがあったほうが、ユーザーさんもうれしいんじゃないかなと。自分が子どものときにそう思っていたので、そこは相談して毎回変えさせてもらっています。

――こだわりますね。

ワコー 実際のところ、アートプレストさんと印刷会社さんのお仕事はすばらしいと思っています。いつも新しいカードが仕上がってくるのが楽しみでしょうがないんです。実際のところ、仕上がりをいちばん楽しみにしてるのは、たぶん僕です(笑)。毎回サンプルが届いたら、「やった!」って小躍りして、すぐに自分で切って、カードにして眺めているんですよ。

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▲印刷の工程が進むにつれ、印刷物の外側にチェックが施されていく。写真上側はすべての印刷工程が終わった状態の紙、下側は箔押し前の紙。中央の金色にへこんだ部分をチェックすれば、カードの絵柄(『ガンダム』の知識)に詳しくなくてもちゃんと印刷工程を終えているかが判別できる。取材させていただいた印刷会社の独自技術だ。

――皆さんの“血”と汗のにじんだ“鉄血の5弾”もリリースされていますね。

ワコー はい! “鉄血の5弾”は、人気の機体がレアリティの高いカードに選ばれていたりするので、注目していただきたいです。あと、「この箔、このデザインのイメージは(原作の)このシーンから来ているのかな?」みたいな、ファンの方に喜んでいただける要素はすべてのカードに入れているつもりなので、そういうところを感じ取っていただけるとうれしいです。

川越 当社としては、バンダイさんの望む、イメージに近いものを作っていきたいなあと思っています。カードを手にして、少しでも『ガンダムトライエイジ』のファンの方に喜んでいただけたらうれしいですね。

竹内 少しでもクオリティーの高いカードをお届けすべく、日々努力しています。そんなこだわりぶりをユーザーさんにも実感していただきたいです。

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