『デッドマンズ・クルス』は街にはびこるゾンビをガンシューティングでハントし、得られるバラエティ豊かなデッドマン(ゾンビ)のカードを収集してデッキを組み、カードバトルで対戦を楽しむゲーム。前回は、この魅力を増幅して読者の皆さんに伝えるために週刊ファミ通での連載でもおなじみのマンガ家、福満しげゆき氏にご協力をいただいたが、今回は、『デッドマンズ・クルス』で遊ぶ編集者たちがすっとんきょうなことを言い始めた……。最下部には福満氏の描き下ろしマンガも!

《デッドマンギア、デッドマン解体など、最新アップデートに関する記事はコチラ!!》

●自分たちでも?

某月某日。『デッドマンズ・クルス』を集まってプレイしていた編集部員たち。

A「それにしても、ゾンビの種類が雑多だよね」

B「ハト、装甲戦闘車両、モーツァルト、グランマ……デタラメじゃん!」

それぞれのカードに描かれたゾンビには、レアリティとウィルスのタイプが示されている。

C「これ、なんだっていいんじゃないですか?」

A「よく見ると、“強そうなもの”、“能力の一点が図抜けているもの”など、ゾンビになったときに特徴が出そうなものじゃない?」

B「じゃあハトはなんなんですか」。

ゲーム中でのカードのウィルス型の違い

カードは、発熱型、猛毒型、寄生型、放電型、冷却型、共鳴型、誘惑型、疾風型、中性型、という9種類のウィルス型からひとつが割り振られている。以下のような関係で強弱があるのだ。
(矢印は、強→弱の関係を表わす。)

A「ハトは……ネタ?」

ネタゾンビが多いのも『デッドマンズ・クルス』の特徴だ。そのため、つぎに手に入れるカードのゾンビ見たさがゲームのモチベーションのひとつになるのだ。

B「これ、大喜利みたいなネタ勝負ですよね。開発チームを超えるネタを出したら、ファミ通.comオリジナルでカードとか作ってくれないですかね」。

C「これだけモチーフがガバガバだったら自分たちでもねぇ」。

ガバカバはどうかと思うが、確かに自分たちでもゾンビ的なものが見つけられそうだ。ネタなんて街にいくらでも転がっている。よし、街に潜むゾンビをハントしようではないか。成果が上がったら、開発チームに持ち込んでみよう。

A「よし、街にゾンビをハントしに行こう」。

すぐさま編集部員でファミ通デッドマン捕獲チーム(FDCT)を結成したものの、やみくもに街へ出てもしかたない。さりとてどこへ行けばいいのかもわからない。まずはゾンビの特徴を分類し、いそうな場所を考えてみることにした。

【ゾンビの特徴】
・死んでいる(のに動いている)
・腐っている
・(たいていは)鈍い
・集団で行動することが多い
・本能のまま貪り喰らう

そんなところだろうか。統率の取れないメンバーゆえ、手分けして思い思いにゾンビを捕獲、戻って報告会という形で成果を見せ合うこととした。

●数時間後……

A「えー、皆さん。何らかの成果はあったようで、これから報告会となります。最初は……Cからお願いしようか」。

<隊員Cのリポート>

C「はい。僕はですね。ゾンビは腐っている、というところに注目して街を練り歩いていたんですが……」。

B「そこで納豆とか豆腐とかって、ありきたりなオチはナシだからね」。

C「ぎくっ」。

C「なんで人のネタを潰すですか!」

B「そんなの3秒で思いついて、5分で用意できんだろ」。

C「あなたねえ、納豆のゾンビっぽさがわかってないでしょ」。

揉め始めるBとC。

A「ぜひ冷やしたい……うん、冷却型だな」。

<隊員Bのリポート>

B「 私は “すでに死んでいる”という点に注目しました。と、言われても……どうやって死んでいるものを街で見つけるのか? まずはそれっぽいところに赴いてみたんです」。

A「ここは……?」

B「墓地です。しかも外国人墓地」。

確かにデッドマンが土から蘇りそうな気配がしている。……が日本なので埋葬の方法という理由から、蘇らないのでは? 

B「ええ、確信はないけど、うろついてみることにしたんです。……そして経過すること数十分。バサバサバサッと音がしてスコープを覗いたら……」。

B「カラスだったんです……。墓地って本当にカラスが出るんですね……」。

A「で、ゾンビは……出た?」。

B「気味が悪くなり退散しました……。でも、帰りに寄った中華街で食べた臭豆腐は、もしからしたらゾンビってコレじゃないかという匂いだったんですよ。慌ててビールで流し込みました」。

A「仕事中に」。

B「仕事中に。グッと」。

A「……誘惑型だろうか」。

<隊長Aのリポート>

みずからリサーチに赴く前に、今回の一連の企画で特別顧問として迎えている、マンガ家の福満しげゆき氏に相談してみた。先生、ゾンビってどこへ行けば見つかりますかね?

福満「ハントって言えば動物ですし、動物園とか、何かあるんじゃないですかねぇ……わかりませんが」。

というわけで動物園にやってきた。休日なので家族連れが多い。本当にこんな平和なところでゾンビが見つかるのだろうか。福満さんが言うのだから、いるんだろう。

猿山を見る。フラミンゴの群れを見る。ペンギンは涼しげだし、カワウソにいたっては、チューブの中を泳ぐ姿が見られた。いったいどこにいるんだ?

と少し前から、じっとまとわりつくような視線を感じる。どこだ? こちらを見ている気配を感じた私が、恐る恐る視線をスコープで追うと……。

いきなり目が合った。合ったというか、こちらを見ているようだが、正直どこを見ているかわからない。

ハ……ハシビロコウ?

B「ハシビロコウはハシビロコウで、ゾンビじゃないでしょう」。

A「君の言うこともわかる。けれどもこの写真を見てほしい。1分おきに撮ったものだ」。

C「この動かなさっぷりは……」。

B「なんだか、これ、だんだんゾンビなんじゃないかって思えてきました……」。

A「だろ? 死んでいるように生きている。これをゾンビと言わずして何がゾンビだろうか!」

B「そんな語気を荒げられましても……」。

A「それから背後からムシャシムャと何かを貪り喰らい尽くすような音がしたんだ」。

B「ほうほう」。

A「そのときの写真がコレだ」。

C「かわいい……」。

A「誘惑型だと思う」。

<隊員Bのリポート>

B「それから妙な噂を聞きまして」。

A「妙な噂?」

B「都内某所の通り沿いに、腐ったのが大量に出現するという噂を聞きつけましてね」。

A「ここは……(ハッ)」。

B「そうです。いわゆる例の女子が集まるというストリートでした」。

A「……腐って……いたか?」

B「……ええ」。

A「でも腐っていたからと言ってゾンビとは限らないぞ」。

B「僕もそう思ったんですが、でもあの本能のおもむくままに、(同人やグッズなどを)むさぼる感じは、ゾンビ以外の何者でもありませんでした!」

C「それでBさんは、ハント……したのでしょうか?」(ゴクリ)

B「……数が集まると怖いものですね。接触を試みましたが、……夏休みということもあり、熱気と独特の甘酸っぱい香りにやられ、ある程度以上は近づけませんでした……」。

C「意気地なし!」

B「いや、納豆を買ってきただけのオマエに言われたくないよ!」

C「納豆、マジやばいんですってば!」

またBとCがじゃれ始めた。

A「Cはほかにどこかに行ってないの?」

C「いや、じつは僕……こんなところにも行ってきたんです」。

A「家具……店?」

C(うなづきながら)「もう一枚を見てください」。

B「ベッド?」

A「これがいったい?」

C(したり顔で)「気づきませんか? リビングショップでベッド。リビングベッド。リビング……」。

B(Cの口を塞ぎつつ)「けっきょくダジャレかよ! 納豆といい、これと言い役に立たねぇなぁ、ホントに!」

C(ふりほどきつつ)「言ったな! 待ってろよ!」

どこかへ駆け出すCを眺めながら、今回のハントを振り返る。納豆、豆腐、外国人墓地、ハシビロコウ、パンダ、例の女子、ベッド。ダメだ。ダメすぎる……。

B「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

思案に暮れていた意識を揺さぶるBの絶叫。ハッとして顔を上げると、そこには変わり果てたCの姿が!

 

※クリックでモザイクが外れます。納豆は工場で廃棄予定のものを譲り受け、使用しています。

A「なんてことだ……。この気持ち悪さ、香り、糸の引き方……。ゾンビがもしいたら、こういう感じなのかもしれない……」。

B「バカ、近寄るな! って抱きつくなよううううわあああああああああ」。

C「乾き始めて、目が、目が開かない……」。

木漏れ陽の中、糸を風になびかせながら森をうろつく隊員Cゾンビ。さながら昔見た『Night of the Living Dead』のワンシーンのようだ。カード案にはならなさそうだが、楽しげで何よりだ。BとCがじゃれあいに飽きたら、またみんなで楽しく『デッドマンズ・クルス』をプレイしよう。今回のハントでまた何か新たな視点が持てたかも知れない、っておい、マメが飛んできたじゃねぇか! アホウ! ベトベトだ……いや、ゴメンゴメンゴメン。オレが悪かった。来るな、来るなよ、うわああああああああああああ。