著者紹介
ファミ通ドットコムにて『マインクラフト』や『ファークライ3』といった作品でイロイロとモノづくりしているライター。「まさか、半年のあいだに違うゲームで3つもシュプール作ることになるとは思わなかった」と供述。
建築をスムーズに進めるための落下ダメージ無効アクセサリーや“ロケットブーツ”を入手し、NPCをマンションに押し込めることでNPC不純交遊を禁ずることに成功した私は、ようやく趣味の建築物に着手すべく動き出した……。
フラリとライターの喫茶板東氏がワールドに遊びに来て「そろそろ何か作るんだべ? 『バイオショック』作ろうぜ、『バイオショック』!」とか言い出した。
『バイオショック』は海底都市を舞台にしたFPSで、板東氏の大のお気に入り。私も大好きなゲームなのだが、大量の水とそれを遮るガラスという点で、作る前から苦労するのが目に見えているという難物件だ。この人は『マインクラフト』のときも「『バイオショック』作ろうぜ!」と言い出して、結果、みずからブロックを手に海中へ潜って溺死しては復活してブロックを……という力技で建設せざるを得なくなった過去を持つのだが、まったく懲りていない。
そもそも、特殊なアイテムなしでは水中を泳ぐことができない『テラリア』ではさらに難易度アップだし、やっと見つけた水中呼吸できるくさいアイテム“タケヅツ”は、筒の先が水上に出てないとダメという「ですよねー」仕様。
そんなだから、「『バイオショック』なんて、とんでもない!」と『ドラクエ』でだいじなアイテムを捨てるときっぽく諭しつつ、「だが作った」と板東氏をとある場所にご案内。
私「ほうら、ここだけ『バイオショック』だろう?」
板東「貯水タンクの中にベンチと街灯設置しただけじゃないですか、やだー!」
私「まあ、待ちたまえ。写真はもう一枚ある」
私「金魚が泳ぎだすことで水中感が赤マル急上昇した」
板東「『バイオショック』に金魚は出てこないよ!」
板東氏には不評だったが、この貯水タンクを作るだけでもバケツで地下水を汲み上げて何往復もしたのだ。『テラリア』での水運びの苦労は目を見張るものがあるので、海中都市なんて大変なものは御免こうむる。
私「じゃあ、再現というか画面写真一発ネタというか」
板東「?」
私「タイトルは“がんばれ! ス○ランカー!”」
板東「詰んでるよ! 彼はここからはがんばれないよ!」
一発ネタはこのへんにしておいて……この時点で私はひとつ物件を作っていたので、板東氏にお披露目することに。
私「さて、それでは、これは何でしょう」
板東「むっ、どこか見たような……入ってすぐ地下室があって……あ、分かった!」
私「そうです、正解は」
板東「越後製菓!」
私「違います。『かまいたちの夜』の舞台、ペンション・シュプールだよ!」
とはいえ、サイドビューでの再現はさすがに無理があった。階段を上るのに受付カウンターをジャンプで乗り越えないといけないし、2階に至っては、廊下を歩くだけでつぎつぎと部屋の中を素通りしていかなくてはいけない始末。さすがの犯人も、プライバシー皆無のこのシュプールでの連続殺人は不可能に近い。
「ブラッドムーンの夜があるんだから、かまいたちの夜があってもよかったよなー。全域に雪が降って、敵がスノーモービルで突っ込んでくんの」
「敵が全部青いシルエットになればいいのに」
とか、そんな他愛もない会話をしていたのだが、じつは、もうひとつ案があった。……のだが、それにはちょっと準備が必要だった。
ドット絵などの再現は『マインクラフト』でも行われているが、問題は“色ブロック”の存在。『マインクラフト』には多彩な色の羊毛ブロックがあるため、ある程度のドット絵再現は容易にできるのだが、『テラリア』には色ブロックというものは存在せず、黄色→砂などで代用するしかない。
考えていた案では青と緑が必要だったのだが、特典のアイテムレシピ大全を眺める限り、それに該当しそうなのは“コバルトこうせき”と“ミスリルこうせき”。しかしこのふたつの鉱石、ハードモードに突入しないと手に入らない。ハードモードへはあるボスを倒すことで入れるが、一度ハードモードに入るともとに戻すことができず、うろつくモンスターがかなり強くなる。ノーマルモードではもはや敵なしにまで強化したキャラでも、ザコ1匹に死闘をくり広げることになるほどで、建築に凝りたいワールドをハードモードにするのはマズい。
そこで、新規ワールドを作って、そこをハードモードにすることにした。
ハードモードに入るためのボス“ウォールオブフレッシュ”は、“ガイドのにんぎょう”を溶岩に投げ入れることで出現するのだが、この敵は縦に長く、ほぼ道を塞いでしまうため、出現した方向とは逆に走りながら、後ろを向きながら弓でチクチク攻撃するのがいいらしい。
そこで下準備として有効なのが、溶岩のある最下層付近に長い橋を架けてしまうというもの。戦闘ではつねに後退しながら弓を撃つことになるので、溶岩を気にしながら足場を確認しているヒマはなく、事前の足場構築は必須に近い。というわけで最下層にブロックを敷いて地道に橋を制作。
じつは、板東氏のワールドをハードモードにするために以前に一度戦ったのだが、今回は板東氏がハードモードでしか作れないアダマン装備やアダマンボウ(正式名は“アダマンリピーター”)を用意してくれたので、格段にラクになる見込みだった。一度戦っている経験から不安も少なく「来いやー!」くらいの心構えだったのだが……。
板東氏が“ガイドのにんぎょう”を溶岩に放り込んだ直後、なぜかものすごい勢いで画面左方向に引っ張られる。“ウォールオブフレッシュ”の触手のようだが、前回の戦いでは起きなかった現象のため、焦る。なぜなら、この高さは橋の下だからだ。
やっと本体のもとまで来るも、橋の下なので身動きがとれない。むしろ、橋を作ったことでフタをしてしまったようなもので、逆に苦境に追いやられてしまった感すらある。とりあえず、ロケットブーツやフックショットでどうにか下へは落ちずに生存への道をたぐる……!
橋の上に上がらないことには落ち着いて弓も撃てないので、ここでようやく、ドリルに持ち替えて橋を壊すことに頭がいく。しかし、なにぶん、足場もないところでの話なので、とりあえずフックショットで橋に張り付いて……とか考えていたら……。
“ウォールオブフレッシュ”の触手“ハングリー”が一斉に攻め寄る。このままでは敵と岩場に挟まれて死ぬ! という危機的状況から、なんとか間一髪で橋に穴を開けて極限脱出!(スパイク・チュンソフトだけに)
ランボーならぬアダマンボウ怒りの脱出といった面持ちでひたすら矢を連射。シルベスタ・スタローンを意識して口を大きくへの字に歪めながら死闘を演じるが、机に置いた鏡をチラッと見たら、どちらかというと麻生大臣だったので顔マネ中止。以前はふつうのボウガンで挑んだのだが、さすがに“アダマンボウ”は火力が段違いで、みるみる削れていく。
結果、前回の半分以下ほどの時間で討伐。橋の下に引っ張られるという珍事がなければ、もっと早かったかもしれない。
そうしてやっと採取できた“コバルトこうせき”と“ミスリルこうせき”を使い、できあがったのがコチラ。
懐かしの『ドアドア』から、主人公のチュン君と、ナメゴン。こうして地上で見る分には微妙な印象を受けるが、これはミニマップで見ることを前提として作っている。ミニマップ上だと、こんな感じ。
黒ブロックがないため、夜間の空を利用することで背景をそれっぽく見せている。夜間限定になるが、おおむね再現できている……だろう……と自己満足。
当初は1画面まるまる再現を考えたのだが、サイズの巨大さもさることながら、とくに緑色の再現が『テラリア』ではもっとも難しいため、断念。このオブジェでも、せっかく緑色に相当する“ミスリルこうせき”を使ったのに、思ったよりも色が薄く、無念。ドアやチュン君の帽子の緑も本当はもっと明るい色なのだが、“ミスリルこうせき”がレアすぎて大量に確保するのが難しかったため、緑色のカベで代用している。
さて、いかがだったろうか。今回は限られた時間内で何か作らねばならなかったが、『テラリア』は、まだ発売したばかり。膨大な時間をかければ、まだまだ可能性は広がっている。違うワールド間で素材の受け渡しができるので、ひとつのワールドを完全に削りきってキャンバスにしてしまうのもおもしろそうだ。気が遠くなるが……。
2D版『マインクラフト』と言われることが多い『テラリア』だが、実際は似て非なるもの。『テラリア』はかなり冒険・探索・戦闘に重きを置いており、無目的といってもいい『マインクラフト』とは、ある意味では対極に位置する。同じ“モノづくり”スピリットを持ったゲームでも、触った印象はかなり違う。手に入るアイテムにしても、同じアイテムで微妙に性能が異なったりもするので、ハック&スラッシュ的な要素も入っている。
じつはハードモードに突入してからもボスは豊富で、ザコがこんなに強いのにさらにボスとかどうなっちゃうのという感じなのだが、つねに先に目標があるというのはいいものだ。私もまだハードモード以降のボスとは戦えていないので、楽しみでもあり怖くもあり……。さあ行きましょうか、板東氏!
Published by 505 Games (and Spike Chunsoft for Japan region).
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