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フロンティア通信.com > MHF-Gに一言いいたい! > インタビュー すべての意見・要望を突きつける! 後編

インタビュー
すべての意見・要望を突きつける! 後編
2014/11/7 16:00

前回に引き続き、『MHF-G』チームへのインタビュー(後編)を掲載する。原則的にアンケートで皆さんからいただいた意見・要望はすべて、『MHF-G』チームに目を通していただき、そのうえで可能な限りの返答をいただいた。今回は、“運営・開発の体制”や“マイミッション”を含むさまざまな項目についてインタビュー形式で紹介させていただく。

■聞き手
フロンティア通信スタッフ(あらじ谷塚、坂本ビス太、みぜる)

■回答者
『MHF-G』チームに帰ってきた宮下輝樹氏
『MHF-G』運営プロデューサー関野亮央氏


●運営・開発について

――個人的にはオンラインゲームに緊急メンテナンスはつきものだと思っているのですが、なるべくないほうがいいと皆さん思っているはずです。アイテムや課金コースという形での補償やお詫びをする場合もありますが、どのように決めているのでしょうか?

関野 もちろん緊急メンテナンスがないに越したことはありません。先ほどお伝えした通り、不具合を出さないために多人数で長時間にわたるチェックも行っていますが、それでもより多くのハンターの皆さんがプレイされた時点では、不具合が発覚してしまうこともあります。

そうした不具合の中でも、ゲームの進行に関わる場合や、ゲームデータに影響がある場合など、影響度の大きい場合には、プレイ中の皆様には大変申し訳ないとは思いつつも、すぐに緊急メンテナンスの実施を判断しなければならないケースもあります。

大型アップデートの直後など、ハンターの皆さんがいちばん遊びたいと思っているタイミングほど、緊急メンテナンスをしなければならないケースが多いこともあり、どういった形でお詫び・補償させていただくかは、非常に判断に苦慮する部分です。

直接的にお寄せいただいたお問い合わせの件数や、Twitterや外部掲示板などの声も参考にさせていただき、「どのようなお詫び・補償が適切なのか?」を主要メンバーで話し合い、対応を決めているケースがほとんどです。

ただ、多くアイテムを配布すればいいというものでもありませんし、補償に関してはハンターの皆さん個々人のご意見や要望もさまざまです。また、補償の対象が全員ではなく、特定の方に限られるような場合は、その個々のデータやログの調査のために長時間を要し、どうしても補償実施まで時間がかかってしまう場合があります。

どこまで時間をかけて調査すべきかと、どれだけ短時間で補償してさしあげられるかは、そのあたりのバランスの見極めも都度悩むところです。ご迷惑をおかけしたハンターの皆さんの気持ちを考えれば、私たちが苦労して悩んで当然と考える部分でもあります。

――先般、補償の範囲に関するミスが起こってしまいましたが、それについてはいかがでしょうか?

関野 まず、補償関連のミスということは、不具合を重ねて起こすことでもありますので、あってはならないことでした。ハンターの皆さんの間でも、損得が分かれてしまうようなことがあれば、公平性というものも損なわれてしまいますし、大変申し訳なく思っております。

配布ミスを起こさないようにするための体制変更やシステムの強化もすでに試みていますが、何よりミスを起こすことによって生まれるハンターの皆さんへの影響や、そのお気持ちを考えて、スタッフ個々人が作業にあたり、今後の対応でしっかりとハンターの皆さんにお返しできるようにすべきだと考えています。

――チート行為者への処罰を厳しく行ってほしいという声もあるようです。

宮下 はい、チート行為に関しては、がんばってプレイされているハンターの皆さんのお気持ちを考えても、厳しく対応させていただきたいと思っています。現状、ゲーム内の行動ログを記録していますので、専門のチームがそのログを追いかけて、チート行為者とともにチート行為と判断する根拠もあわせて見つけ出すよう努力しています。

ただ、『MHF-G』チームのメンバーやチート調査をするチームには何度も言い聞かせていることでもありますが、私たちは決して警察ではありません。どんな違反行為をされる方でも、お客様には変わりありません。

利用規約に基づいてアカウントの停止などの対応を行いはしますが、今後同じ行為をくり返さないように諭すこと、またすべてのハンターの方に違反行為をされないよう啓蒙することが何よりの務めと考えています。

――不具合利用に対する処罰はどのように判断しているのでしょうか。

関野 不具合利用に関しては、“明らかに悪意を持ってそれを利用していることがわかる場合”は、状況に応じた対応を行います。ただ、“悪意をもって不具合利用をしているか?”という判断が難しい場合もあります。たとえば、“本来受け取れないはずのアイテムが、不具合により受け取れてしまった”、“不具合なのかどうかすら、普通はわからずに利用できてしまう”とか。

そういう場合は、“故意”なのか“故意ではない”のか、“アイテムを没収すべきかどうか”、“不具合告知と同時に注意をうながすだけにするか”は、非常に悩ましい部分ではあります。必ず正解があるわけではなく、主要メンバーで集まって相談し、悩みながら判断しているのが正直なところです。

――『MHF-G』チームはどのくらいの規模なのでしょうか?

宮下 詳しい数字は控えさせていただきますが、運営に携わるメンバー、開発に携わるメンバーそれぞれが数十人規模で構成されています。厳密にはそのメンバー全員が『MHF-G』だけに携わっているわけではありませんが。

――デバッグは開発チームで行っているのでしょうか。

宮下 開発チームでも行いますし、テストプレイやデバッグなどの品質管理を専門で行うチームを別に設けています。また、穿龍棍のようにかなり大きな追加要素に関しては、事前に熟練ハンターさんを社内に招いて、何回かのテストプレイをしていただき、その場で直接意見や要望をうかがうこともあります。

穿龍棍の場合には、さらに大規模な体験会を設けて、そこでも100名近くのハンターの皆さんに触っていただき、それからまた調整をくり返して、「このラインならオーケーだろう」というところでリリースしました。

しかし、そうした工程を踏んでも、やはり実際に何万人ものハンターの皆さんには敵わないと言いますか……。

想定以上に穿龍棍を上手に使う方がたくさんおられて、あっという間に熟達したプレイスキルも広がっていきました。皆さんが穿龍棍に慣れるまでにもう少し時間がかかるかと想定していましたが、それをはるか越える速度でした。

正直、開発段階で気づかなかった部分が出てくる場合も多々ありますし、そういう意味ではまだまだテストプレイも事前の分析も足りていないというのは認識しています。真摯に受け止めて反省するとともに、今後はさらに力を入れて取り組まないといけないと感じています。

――ユーザーのコンテンツ消化速度が上がっている、と。

宮下 こちらが思っている速度の2〜3倍のスピードということもあります。もともと、オンラインゲームって皆さんがプレイし終わるより早く、次にやってもらう内容を作らなければならないという苦労が伴うものではありますが……。

平均的なハンターの皆さんのゲーム消化度合のデータも蓄積していますので、皆さんの反応を見つつ“.1”のような小〜中規模アップデートやパッチで要素を追加したり、イベントを実施したりと、“やることがなくならないように”と“やることが単調にならないように”を都度調整しながら流動的に動けるようにはしています。

――G6アップデートについても、中規模アップデートでの追加などは予定していますか?

宮下 天廊は、極限征伐戦やパローネ大航祭のような期間限定の大型イベント型コンテンツになります。天廊についてはイベント開催後にいただいた意見や要望を元に、G6アップデートの期間中に何度かリファインしようと考えています。

もちろん、最初からいいものを提供させていただきたいと思っていますが、前述のとおり事前チェックだけでは気づくことのできない部分もありますので、実際に多くのハンターの皆さんにプレイいただいたうえで、反応を見させていただきつつ都度対応していきたいですね。

また、穿龍棍のときと同じように、天廊に関しても事前に熟練ハンターの方をお招きして実際に触っていただき、そこでの意見は時間の許す限りG6アップデート実施日までに調整します。

●その他さまざまな項目について

――火力偏重の力で押し切るゲームになっているという意見についてはいかがでしょうか。

関野 その点は、以前からご意見として多くいただいておりましたので、至天征伐戦のような火力だけでは押し切れないものを、今後も実装していきたいと考えています。そのひとつとして、G6アップデートで実装する天廊は、狩りに伴う能力だけではない楽しみを体験していただける新たな試みをしています。

――片手剣やランスなどの怯み無効状態が少ない武器種ですと、火力偏重気味な昨今では、どうしてもパーティーに参加しづらいです。それを補うための“いたわり”スキルだと思うのですが、“いたわり+3”はスキル値が高く、ほかのスキルが付けづらい。するとまた総合火力が落ちてしまうといった問題があると思います。

関野 “いたわり+3”に関して多くのご意見をいただいてはおり、現在“いたわり+3”自体を調整する予定はないのですが、“特定のアクションに怯み無効状態を付与する”など、G6アップデートで片手剣やランスを調整するのと同様の方向で、各武器種を強くしていくなかでのバランス取りをしていきます。

――これも火力につながる話かと思いますが、火力を上げるためのマイミッションの秘伝書育成が非常に手間がかかります。

関野 マイミッションはもともと“やり込み要素”と位置づけていました。これまでがんばって各武器種ごとに育成を進めておられる方が大勢いますので、今後マイミッションを統一したり、段階を減らすということは、これまで“やり込み”されたハンターさんを裏切る形にもなってしまうと考えています。

しかし、マイミッションと広場の往復の煩わしさをなくすなど、秘伝書育成がよりやりやすくなるリファインは検討しており、2015年春をメドに対応を目指します。

――それだけでもかなりの負担軽減になると思います。個人的にはハンターナビのように、段階制ではなくお題クリア型になるとうれしいのですが。

関野 なるほど。それにはマイミッション自体のシステムを再構成する必要があるのと、同じモンスターを狩るお題もあるのでどう判別させるかなどの問題などをクリアする必要も出てきそうです。まずは広場の往復をなくすなどのリファインをしたうえで、皆さんの反応を見つつ次の手を打つという感じでしょうか。

宮下 マイミッションがお得になるイベントを定期的に開催するとか。

関野 それも現状では難しい……とは思いますが、マイミッションに関しては非常に多くの意見をいただいていますので、いろいろな面から検討したいと思います。

――パートニャーのメリットを少なく感じるハンターが多いですが、パートニャーについてコンセプトや現状認識をお聞かせください。

宮下 ハンターの相棒的な存在という立ち位置で、“火力ではない部分でハンターをサポートするキャラクター”というのが、もともとのコンセプトです。パートナーを上回るほど、パートニャーが火力面でも強くなるというのは、コンセプトに反しているかと思いますので、今後は違う活かしかたができるような要素を追加していきます。実際に、G6アップデートではパートニャーがいると便利になる部分もあります。また、パートニャーといっしょに行う公式狩猟大会を開催したいとも考えています。

――『MHF-G』をプレイしていると、どうしてもツタを登るのが遅く感じてしまいます。

宮下 たしかに、ありますね。それは解決することができると思います。

関野 それはぜひやりましょう。

――狩人珠スキルなどではなく?

宮下 デフォルトでツタ登りが速くなるようにします。

――アイテムボックスの拡張についてはいかがでしょうか?

宮下 ページ数の拡張ではありませんが、G6アップデートでボックス内のアイテムが999個スタック可能になります。データベースの拡張には膨大な作業時間がかかる点と、セーブデータ的にきつい状況があり、対応まで時間を要してしまいました。アイテムが増え続けるというのは長寿ゲームの宿命でもありますので、これは対応しないといけない問題でした。

――装飾品・スキルカフにマイセット登録機能を実装してほしいという意見も多いです。

宮下 これも解消しないといけない懸念のひとつで、ぜひ実施したいです。しかし、現在のデータベースの作り方では、装飾品・スキルカフをマイセット登録するとなると、非常に大きな工数がかかってしまいます。

たとえば、すでに武器や防具に取り付けられた装飾品や、同じ装飾品が複数あった場合にどれをどう持ってくるか、というような問題もあります。装飾品付きのマイセットから装備を変更する場合、いったん“すべて武具に取り付けられた装飾品を外す”、というような極端なやりかたもありますが……それはそれで、ボックスを圧迫したりとクリアすべきハードルが大きいです。

――装飾品のみのマイセットを作って、防具のマイセットを選んだ後に装飾品のマイセットを選ぶといった方法はいかがでしょうか?

宮下 なるほど。ただ、それを実現するとなると、やはりすべての武器防具を一度サーチして、すでに取り付けられている装飾品を外してから持ってくることになるので、ゲームの挙動が非常に重くなってしまう懸念はありますね……。

関野 とはいえ、装飾品・スキルカフのマイセット登録に関しては、非常に多くの意見をいただいていますので、これは私たちも何らかの対応をしたいと考えていますが、相応の時間をいただくことになってしまうかと思います。

――Xbox 360版やWii U版のサーバー統合の予定はありますでしょうか?

宮下 技術的にクリアすべき部分と、カプコンだけの意向では難しいという諸事情もあるのが難しいところですね。パソコン版とPS3版のアカウント統合についても同じです。こちらも、「パソコン版のアカウントでPS Vitaで遊びたい!」という、非常に多くの要望をいただいてはいるのですが……。

――ほかに、今回寄せられた意見・要望のなかで、これは気づかなかったというようなものはありましたか?

宮下 ふだん寄せられる要望は、そのときどきのアップデートやイベントなどに関するものが多いですが、今回いただいたものはほぼG級以降に関するすべての事柄でしたので、やはり多くのハンターの皆さんが、さまざまなことを感じて送ってきてくださっていると感じました。

また、ふだんの公式のアンケートではなかなかないような、熱いメッセージをたくさんいただきましたので、ありがたく思うとともに、真摯に受け止めて、ゲームの改善を目指していきたいと思います。

関野 たとえば、デイリーモス入魂を500魂にしてほしいなど、時勢を感じるものが見受けられたのは新鮮でした。

――狩人祭は盛り上がるイベントですし、力を入れているハンターも大勢いますから、熱い意見もありました。祭ポイントの頭割りは不公平感があるので廃止してほしい、など。

宮下 「狩人祭をがんばった人だけが、がんばっただけ褒賞を得られるようにしてほしい」という意見は、実装当時からいただいていました。でも、狩人祭は個人が競い合う個人戦ではなく、猟団メンバー同士が協力して特定の目標をクリアするという、コミュニティーを利用した団体戦というものがコンセプトですので、意図してやっています。ぜひ、「一緒にがんばろうぜ!」と皆さんで誘い合ってほしいですね。

関野 「ボーナス試練の時間を固定にしてほしい」という要望は検討したいと思います。ボーナス試練のためにずっとゲームに張り付かなければならないというのは、ちょっと辛い部分がありますよね。

●最後に

――今回は非常に多くの意見・要望が寄せられました。運営と面と向かって話し合う場を増やしてほしいというユーザーもいますね。

宮下 以前は全国のネットカフェを回るイベントを行っていましたが、現在はちょっとできていませんので、私と関野でまたやりたいと考えているところです。そのとっかかりとして、11月16日に開催する“感謝祭2014”があります。G6アップデートの内容を先行体験できるよう準備しておりますので、ぜひご参加いただけたらと思います。

――最後に、今回寄せられた意見・要望に対しての印象はいかがでしょうか?

関野 想定よりはるかにたくさんの意見や要望をいただきました。個々の意見に関しては、まだ改善できないものに対しての熱量の高い意見もありますし、最近実装されたものに対する要望や、極めて具体的な要望もたくさんいただくことができて、ありがたく感じています。

女性ハンターの方から、「女性のNPCばかりではなく、男性のNPCを増やしてほしい!」という内容で、非常に熱いご要望もいただきました。今回インタビューでお答えできない部分に関しても、すべて目を通していますので、別の機会にフィードバックさせていただけたらと思っています。

宮下 コアなお客様がゲーム内容をもっとコアに、ライトなお客様がもっとライトに、と求めるものの違いが色濃く出ている印象があります。
コアな方が、ライトな方の手助けになるような意見を出してくださっているものも多かったです。

たとえば、「初心者はここでつまずくから、こう直さないと着いて来られず、
ユーザーが今後増えていかないからなんとかして!」など、『MHF-G』への愛を感じられるご意見も大変ありがたく、しっかり受け止めて次へつなげていきたいと思います。

また、「新フィールドは複数エリアあるところにしてほしい!」という意見と、「新フィールドは複数エリアあるとモンスターが移動して面倒なので、闘技場タイプにしてほしい!」という意見がそれぞれあるなど、ひとつの項目に対してハンターの皆さんの意見が分かれるといったこともありました。

こうした場合、どちらの意見を取ることが、ハンター全員にとって幸せなのかということも、都度悩みながらゲームを作っていくということになりますが、そうやって悩んで決めた結果について、ハンターの皆さんからまたお声をいただけることが、何より『MHF-G』チームの励みとなりますので、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。


●取材後記

今回の企画で、意見・要望を寄せてくださった皆さん、ありがとうございました。

第2回の記事中では抜粋した形でのコメント掲載でしたが、
『MHF-G』をとことん、真剣にプレイして
熱いメッセージをくださった方が大勢おられたことが印象的でした。

ふだんは新要素やアップデート内容に目が行きがちですが、
インタビューでは我々が知り得ない、ゲームの安全性の確保や、
水面下で動いているリファイン作業など、
開発・運営面での貴重なお話をうかがえました。

宮下氏、関野氏のおふたりとも、皆さんからいただいた
意見や要望にはすべて目を通しておられます。
そのうえで優先度をつけたり、対応を練ったり、
開発工数を算出したり(ものによっては年単位で動く内容も)し、
実装までに時間がかかってしまうことは、とてもジレンマに感じているようでした。

オンラインゲームは、その時々のユーザーの反応や温度感、
または“ノリ”を見極めながら開発していくものだとおっしゃっていました。

難しい作業ではあると思いますが、
我々よりも『MHF-G』愛にあふれる開発・運営チームのことですので、
期待してプレイを続けたいと思います。

今回の企画を通じ、情報を発信するだけではなく、
いちプレイヤーとしての目線でゲームを楽しみ、
また、皆さんとメーカーの橋渡しになることも
我々の役割のひとつなのかな、と感じました。

今回で特別企画“MHF-Gに一言いいたい!”は終了となります。

しかし、これで終わりというわけではなく、
機会やご要望があれば、
今後もこのような企画を実現したいですね。

(坂本ビス太)

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