――まず、『コンセプションII 七星の導きとマズルの悪夢』の楽曲のコンセプトについて教えてください。
甲田雅人氏(以下、甲田) ゲームの舞台が異世界ということで、生楽器の音とデジタルの音を組み合わせるなど、楽器の構成を少し変えて非日常的な雰囲気を表現しています。
――齊藤祐一郎プロデューサーから、何か要望はありましたか?
甲田 “スタイリッシュな楽曲”という要望がありました。ほかにも、前作と同様にロック調の要素を取り入れたいということもあり、僕からいろいろなアイデアを出しつつ、現在の方向性になりました。
――楽曲制作の手法について、前作との違いはありましたか?
甲田 基本的な部分は変わりませんが、今回はボーカル入りの曲を多く取り入れました。ふだんはメロディーから作り始めるのですが、歌物に関しては先にバックトラック、つまりカラオケを作り込んだうえで歌のメロディーを考える、という流れで作ったものもあります。
――なるほど。今回ファンタスマゴリックさんが、オープニング・エンディングテーマを始めとしたいくつかの楽曲を担当されていますが、起用にいたった経緯を教えてください。
RiRiKA 2012年10月に行ったワンマンライブに、知人の友人として齊藤さんがいらっしゃったんです。初めてお会いしたのですが、意気投合して「何かお互いにおもしろいことができるといいですね」というお話で盛り上がったのがきっかけです。後日正式にオファーをいただきまして、口約束のままで終わらさないきちんとした方なんだと思いました(笑)。
一同 (爆笑)。
――(笑)。正式にオファーがきたときのお気持ちは?
RiRiKA&MARiE うれしかったです!(ふたり声をそろえて)
MARiE まだ駆け出しで、誰にも知られていない私たちを起用してくださるとは、なんて勇気のある会社なんだ、って(笑)。
RiRiKA でも、本当にうれしかったです。
甲田 お返事をいただいた直後におふたりと初めて会いましたが、初対面にも関わらず音楽のお話をいっぱいしました。
MARiE そうなんです! 小さな居酒屋の個室でしたよね。
甲田 そうそう。しかも、齊藤さんに紹介していただいたのですが、齊藤さんは紹介だけしてすぐに帰っちゃうという(笑)。
RiRiKA いきなり3人だけになっちゃいまして。
MARiE でもこの席で、音楽の話をじっくり語り合うことができました。
甲田 じつは今回のオープニング曲は、この居酒屋会談のときに方向性が決まったんです。その場で取っていたメモに従って曲を作ることができましたから。
――最初の出会いの機会でサウンドへの共通認識が生まれたのですね。楽曲の制作作業はどのように行われたのでしょうか?
甲田 制作自体は私ひとりですべて行いました。
――先に音楽があって、それに併せて歌詞を考えていったということですか?
MARiE そうですね。まず、スタジオでメロディーを初めて聴いたときに、メロディーにふさわしい言葉をその場でつけて、“仮歌”として収録したんです。
甲田 その場で作ったと言いつつも、じつはこの“仮歌”のときに入れた歌詞が、いまのオープニング曲のベースになっているんです。
MARiE 最初は、オープニング曲がふたパターンあったんですよね。
RiRiKA いまとなっては懐かしいよね! 仮歌を両パターン収録して、齊藤さんに聴いていただいたんですけど、より世界観にふさわしい曲ということで“スタイリッシュ”な方に決まりました。
――選ばれなかったほうの曲も、すごく気になります。今回MARiEさんは、いくつかの楽曲で作詞を担当されていますが、オープニング曲とエンディング曲はどのようなイメージで歌詞を綴られたのでしょうか?
MARiE オープニング曲は、“『コンセプションII』(ゲーム)の世界に自分が存在している”ことを意識して、ヒロインのひとりになった気持ちで書きました。ゲームでは7人のヒロインに対して、マレビトである男の子(主人公)はたったひとり。彼に選ばれなくちゃいけないという状況で、“誰よりもいちばんに見てほしい”、“自分を選んでほしい”という女の子の複雑な心境を歌詞にぶつけました。前作をプレイさせていただいたので、“自分がヒロインのひとりだったら、こんなことを思うのかな?”と、想像を巡らせましたね。『II』では、ヒロインもダンジョン(マズルサークル)に入ることができると聞いていたので、“自分も戦いに同行しながら、マレビトが戦う背中を見つめている”というシーンなどを妄想しながら書きました。
――エンディング曲はいかがでしょう?
MARiE テーマはズバリ“純愛”です。ゲームのエンディングということで、最後にヒロインのひとりとマレビトが結ばれたと仮定して、その気持ちを女の子の視点で綴りました。ひと言でいうと“全部オッケー! ハッピーエンド!”ですね。
――本作の楽曲制作で苦労されたところや、印象に残っていることはありますか?
甲田 苦労した部分はとくになかったですね。おもしろかったのは、戦闘時の曲。齊藤さんからボーカルを入れたいという要望がありまして、ファンタスマゴリックさんといっしょに作りました。英語のセリフを語る部分には、もともとメロディーがついていたのですが、レコーディングの際に急遽、「ここはセリフにしちゃえ!」と変更しました。
RiRiKA しかもセリフが英語でね。
MARiE 英語がまったくできないのにね、私たちは(笑)。でも、すごくかっこいい曲に仕上がりました。
――続いて、RiRiKAさんにおうかがいします。オープニング曲とエンディング曲を歌ううえで、意識されたことはありますか?
RiRiKA どちらもとても難しい曲なんですよ。とくにオープニング曲は、テンポが早く、難解なメロディーが跳躍する“甲田節”炸裂の曲なんです! その難しさにとらわれずに、いかに疾走感を表現するかを意識して歌いました。ここは、皆さんがカラオケで歌っていただくときにも気をつけてほしいポイントですよ。難しさも楽しめるくらいの気持ちで! まだ、カラオケには入っていませんけど(笑)。
――何度も練習して、楽しみながら歌えるようにしないとですね。
RiRiKA そうです! もともと、難度の高い曲を歌うのは好きなのですが、それでもかなり練習して挑みましたから。レコーディングのときに練習する時間がなかったら、かなりヤバかったかも? といまでも思うほどです。
――エンディング曲はいかがでしたか?
RiRiKA “歌詞の世界を噛みしめつつ、気持ちを込める”。このひと言ですね。この曲はコーラスのアレンジがとてもすばらしいんです。
甲田 コーラス部分はとても苦労しました。
RiRiKA でも、歌っていて本当に楽しかった!
MARiE 重厚なコーラスの中にゴスペル的な掛け合いが入って、荘厳なアレンジなんです。
RiRiKA 数人で歌っているように聞こえますが、実際は私の声をいくつも重ねているんです。メインメロディーだけではなく、裏にある別のメロディーラインで重なる英語の歌声も含めて、すべて私の声なんです。違う歌詞を歌っているのにひとつの音に聞こえるところが、とても素敵なんですよ。
甲田 ふだんは、このようなメインメロディーを支える裏の音を、ストリングス(弦楽器)に任せることが多いのですが、今回は始めから音の構成をピアノとボーカルだけと決めていたので、声で盛り上げる手法にしました。
――オープニング曲、エンディング曲以外で、ぜひ聞いてほしいという楽曲はありますか?
RiRiKA “愛交ノ儀”のシーンのイントロ部分ですね。甲田さんのイメージに合う“愛交ノ儀”にふさわしい声を出すのに苦労しました。
MARiE 「もっと猫っぽく!」と、甲田さんが歌ってお手本を見せてくれたこともありましたね(笑)。
RiRiKA 一生懸命歌いました。アダルトなムードを意識した英語の歌詞も聞きどころですので、ぜひ聴いてみてください!
――では、いちばん印象に残っている曲も、やっぱり……?
RiRiKA もう、絶対“愛交ノ儀”!
甲田 僕もやっぱり“愛交ノ儀”かな。
一同 (爆笑)。
甲田 この曲は、ほかにもエピソードがあるんですよ。夜遅くまでレコーディングが続いていて、もう時間がないという状況なのにまだ歌詞が決まっていなかったんです。「どうしよう?」と、その場で考えることになりまして……。
RiRiKA スタジオにいたみんなで、歌詞に使えそうなアダルトな言葉を探したんです(笑)。
MARiE このおかげで、全員の携帯の予測変換結果がたいへんなことになったという伝説を残しました(笑)。
甲田 なにせ“愛交ノ儀”ですから……(笑)。
MARiE もしかして、ここがレコーディングでいちばん時間がかかった部分じゃない?(笑)
RiRiKA ゲームを遊ばれる方がいちばん楽しみにしているシーンでもありますからね! がんばりました!
――最後に読者へメッセージをお願いします。
MARiE ファミ通.comをご覧の皆様こんにちは。
RiRiKA 『コンセプションII』はすごくおもしろいんです。音楽はもちろん、ストーリーもとても素敵ですし、キャラクターもかわいい。こんなすばらしいゲームは、いまだかつて見たことがない!
MARiE 本当です! 楽しめる要素がたくさん詰まっているので、飽き症の人も絶対飽きないと言えますよ!
RiRiKA というわけで、全国の飽き症の皆様……違いますね(笑)。すべてのゲームファンの皆様、ぜひお手にとって楽しんでみてください。
甲田 自分でも納得のいく、好きな楽曲に仕上がりました。今回は、ボーカル曲もたくさん収録していますから、プレイしながらゲーム中のシーンといっしょに楽しんいただけるとうれしいです。とくに、バトルシーンは盛り上がりますよ。そして、予約特典にはファンタスマゴリックさんが歌う楽曲が収録されたサントラCDが付いています。ぜひ、予約して『コンセプションII』のサウンドをCDでも楽しんでみてください!