壮大がゆえにムリだと思われたあの曲の生演奏が実現
スクウェア・エニックスは、2015年1月22日、東京国際フォーラムホールAにて『ファイナルファンタジー』のオーケストラコンサート“Distant Worlds: music from FINAL FANTASY THE JOURNEY OF 100”を開催。“Distant Worlds”は、2007年にスウェーデンのストックホルムでスタートし、全世界で開催されている『FF』シリーズの楽曲をオーケストラ演奏とゲーム映像で楽しめるコンサートツアー。今回はタイトルにもあるとおり、世界公演100回を記念した公演となる(東京公演は2015年1月22日、23日、大阪公演は2015年1月24日に開催)。
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本稿では、1月22日の東京公演の模様をリポート。23日の東京、24日の大阪公演に参加される方はネタバレ注意です。
1月22日の東京公演初日では、まず、『FF』作品で数多くの楽曲を作曲してきた植松伸夫氏が登壇。来場者に感謝の意を述べるとともに、クラシックのオーケストラコンサートのように厳粛な感じではなく、「ゲーム音楽なので堅苦しい芸術作品ではありませんので、好きな曲なら声をあげて」と、ラフに楽しんでほしいとリクエスト。『FF』のオーケストラコンサートの日本公演ではお馴染みになりつつあるブラボー係(盛り上げ係)を男女ひとりずつ指名した。そして「日本初演の楽曲は8曲あります!」(観客から「おおっ」とどよめき)と会場を温めて(?)、ステージを後にした。
植松氏に入れ替わるようにオーケストラを指揮するアーニー・ロス氏が大きな拍手に迎えられて登場。東京公演の演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団。100回公演の最初の曲は、『FF』といえば、やはりこの曲『プレリュード』からスタート。2曲目は『FFVIII』から『Liberi Fatali』。最初の2曲を終え、アーニー・ロス氏が挨拶。アーニー氏によると、『プレリュード』と『Liberi Fatali』という出だしは、1回目の“Distant Worlds”と同じ始まりとのこと。続いて100回公演を祝して『勝利のテーマ』、さらに『蘇る緑』(『FFVI』)、『F.F.VIIメインテーマ』(『FFVII』)が演奏。
本公演最初の歌モノはスーザン・キャロウェイによる『Kiss Me Good-Bye』(『FFXII』)。
前半のハイライトとなったのは、『FFVI』のキャラクターテーマ メドレー。セリス、ティナ、ケフカのテーマなど、バラエティーに富んだメドレーとなって聴いていて楽しい構成になっていた。
前半終盤はアーニー・ロス氏が長年演りたかった曲として紹介した『Balamb GARDEN~Ami』(『FFVIII』)。浜渦正志氏作曲の『ファブラ ノヴァ クリスタリス』(『FFXIII』)のあと、前半を締め括ったのは“Distant Worlds”では必ず演奏してきたという『片翼の天使』(『FFVII』)。
20分の休憩を挟んで再開された後半の1曲目は、ふたりのソリストの歌声とコーラス(DWFF Tokyo Choir)が幻想的な気分を高めてくれた『祈りの歌~異界送り』(『FFX』)。続いて『FFX』からもう1曲『ザナルカンドにて』、そして『FFXIV』からは祖堅正慶氏作曲の『天より降りし力』が演奏。
後半の中ごろに白鳥英美子さんが登場。白鳥さんをソリストに迎えて演奏されたのは、もちろん『いつか帰るところ - Melodies Of Life』(『FFIX』)。約15年前の作品となる『FFIX』だが、その当時と変わらぬ白鳥さんの歌声に会場中が聴き入っていた。
後半、もっとも「ブラボー!」の声が飛んだのが『FFI』から『XIV』までを網羅した『バトルメドレー2012』。「この『バトルメドレー2012』を録音した当初(『FINAL FANTASY ORCHESTRAL ALBUM』に収録)、その壮大さゆえに、まさか生演奏が実現できるとは思っていませんでした」と語ったアーニー・ロス氏。その『バトルメドレー2012』の世界初演奏が本公演で実現! 通常バトル曲に『Awakening』や『閃光』なども盛り込まれ、約15分の曲のあいだにいろいろな思い出が矢継ぎ早に蘇る……。
『バトルメドレー2012』の余韻が残るなか、早くも後半ラストの曲となったメインテーマである『FINAL FANTASY』。
そしてアンコールは……それは大阪公演終了までここでは触れないでおこう。
記念すべき100回公演を迎え、大成功となった“Distant Worlds: music from FINAL FANTASY THE JOURNEY OF 100”。下記の本公演終了後の囲み取材でも、おふたりとも「まだまだ構想があるし、やりたいことがある」といった勢い。今後もツアーを重ねて、200回、300回……それ以上を目指してほしいところだ。