安里監督が目指したのは“きれいだけど、不思議で、怖い”ホラー作品

 映画『劇場版 零~ゼロ~』が昨日2014年9月26日より公開をスタートした。ここでは、本日9月27日に東京・TOHOシネマズ 渋谷で行われた舞台挨拶の模様をお届けする。

 本作の原案となっているのが、コーエーテクモゲームスのホラーゲーム『零~zero~』。『零』シリーズは累計130万本を記録している大ヒットゲームで、最新作『零 ~濡鴉ノ巫女~』が任天堂より本日(9月27日)発売された。

 『劇場版 零~ゼロ~』の原作となる、ゲームをモチーフとした小説『零 ~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い』を執筆したのはマンガ『多重人格探偵サイコ MPD PSYCHO』の原作などでおなじみの作家、大塚英志氏。主人公のアヤ役には中条あやみさん、クラスメイトのミチ役に森川葵さんというセブンティーン専属モデルであり、ドラマでも活躍を続けるふたりを抜擢。監督は『リアル鬼ごっこ』シリーズや『バイロケーション』などの作品で恐怖演出を高く評価されている安里麻里氏が務める。安里監督は『トワイライトシンドローム デッドゴーランド』でも、ホラーゲームから生まれた実写映画を手がけた経験がある。

 舞台挨拶に登壇したのは、出演者の中条あやみさん、森川葵さん、小島藤子さん、美山加恋さん、山谷花純さん、浅香航大さん、中越典子さん、美保純さん。さらに、監督の安里麻里氏と、主題歌を手がけたアーティストのJAMOSAさん。

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▲左から、山谷花純さん、小島藤子さん、中条あやみさん、森川葵さん、美山加恋さん。

 出演者たちは、満席御礼となった観客に向かって、「観ていただけて光栄です。これだけたくさんの方に観ていただいて感動しています」(中条あやみさん)、「ここにいる男は僕だけですが、お席にいる方は男性が多くてほっとしています」(浅香航大さん)、「3月、4月のまだ寒いときに撮影をしました。ときには冷たい川の中を流れて、溺れてと、撮影は苦しい場面もありましたが、キャストとスタッフに支えられました。公開を迎えたことを、とてもうれしく思っています」(安里麻里監督)と、映画が公開されたことへの想いをつぎつぎと語った。

 ここからは、映画パーソナリティーの伊藤さとりさんからの質問に、登壇者が答えていった。

――撮影で、大変だった思い出などはありますでしょうか。

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中条あやみさん(以下、中条) 4月の初めにクランクインしたのですが、まだ雪が積もっていたときだったんすね。そこで薄いパジャマのようなかっこうで、雨が降っている山の中をさまようシーンを撮ったので、すごく寒かったです。「ちゃんと演技できるかな、大丈夫かな」と心配になりました。

 中条さんは「寒くて台詞を噛んじゃうことはなかったのですか」との質問に、「“私の呪いを解いて”くらしか言うことがなかったから大丈夫でした(笑)」と答える場面もあった。

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森川葵さん(以下、森川) 私は台詞が多かったので、寒い中でろれつが回らなくて大変でした。中条さんといっしょにインドカレーを食べにいったり、女子高生らしく仲よくできたのがいい思い出でしたね。

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小島藤子さん 私は水回りの撮影が少なかったので、寒いなどと、弱音を吐いたりはできないなと思いました。ちなみに、私は作中の生徒の中では“お姉さん”の役だったのですが、現場ではむしろみんなに引っ張ってもらっていましたね」

 小島さんが、中条さんに「あんまり頼りにならなかったかな?」と聞くと、中条さんは「初めは自分よりは年下かなと思っていましたけど(笑)、現場ではすごく頼りになるお姉ちゃんでした」と答えた。

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美山加恋さん 私は水回りの撮影が多かったですね。雪の中にハマったりとか、川がすごくゆっくりのスピードで流れて来ることもあって……撮影場所も本当に山奥で……いままでも水の中に入って撮影したことはあったんですけど、いままでいちばん寒くて、大変でした。

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山谷花純さん 私は2シーン、緑が生い茂る山奥での川で撮影をしました。寒かったですね。私は『リアル鬼ごっこ3』の撮影でも「死ぬんじゃないか」と思うくらい寒い思いをしたのですが、今回の川に顔を押し付けられるシーンはそれよりも寒かったです。私は東北出身なので寒さには強いはずなのですが、安里監督に今度こそ殺されるんじゃないかなと思っていました(笑)

 この山谷さんの言葉に、安里監督は「ごめんなさいね」と謝るという一幕も。伊藤さとりさんからの「安里監督からどんなクリエストがきても、大丈夫になっていましたか?」と言う質問には、山谷さんは「もう何が来ても大丈夫です、どんと来いです!」と答えていた。

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▲浅香航大さん。

浅香航大さん 僕は現場で“ぽつん”としていましたね。女の子たちの輪には入りたかったのですけど、心細くて……逆にみなさんに「話しかけたほうがいいのかな」と気を使わせて申し訳なかったなと思います。頼もしくない男ですみません。ひとりでいたのは役作りのためでもあったと思うのですが、やっぱりみなさんと仲よくしたかったです!」

 このコメントを聞いた森川さんから、浅香さんに対して「この後の移動では、ぜひおしゃべりしてくださいね」とやさしい言葉が投げかけられた。

――中越典子さんと美保純さんに伺います。普段着られないような衣装を着て、独特の雰囲気の役を演じていましたが、いかがだったでしょうか。

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▲中越典子さん。

中越典子さん(以下、中越) 何せ、“ゴスロリ”の格好ですからね。これは私の趣味からはいちばん遠くて、私服でも“Bボーイ”のようなメンズっぽい格好が好きなんです。台本を読んでみたら、度肝を抜かれるような役でもありました。衣装合わせのときは本当に恥ずかしかったんですが、靴からウィッグまで全部をつけると、変なスイッチが入りましたね(笑)。いい刺激を受けて、いい勉強になりましたし、美少女たちといっしょにいられて、すごく幸せでしたね。やっぱり、「美しいものはいいなあ~」って思いました(笑)。

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▲美保純さん。

美保純さん(以下、美保) 私も女優業が長いので、どんどん丹波哲郎さんみたいな雰囲気になってくるのかなあと思っていました(笑)。

 美保さんは「ラスボス的な雰囲気でしたよ」という質問には「そうでしょう」と、「すごく似合っていました」には「私はなんでも似合うんですよ(笑)」と答えた。

 美保さんは、美少女たちと共演したことに「日本の映画界はいいな、と思いましたね。寒い寒いと言いながら、続けてほしいです。私なんて若いときにパンツ一丁で道路を走らされたこともあるんですから(笑)。それはやらなくていいですけど」と、自分の経験を踏まえつつ、激励した。

――安里監督にお聞きします。“昼間”で展開する珍しいホラーでもある作品だと思いました。映像などへのこだわりを教えてください。

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▲安里麻里監督。

安里麻里監督 一応“女子高生ホラー”ですけど、最近では観ないような独特のホラー作品をやってみたかったんですね。せっかく大人よりもちょっと前の女の子たちが出て来るホラーなのですから、夜にぼんやりと幽霊が出てくるだけではなく、日が当たっている中で、“白昼夢”や幻を観たりだとか……「きれいだけど、不思議で、怖い」というホラーを目指しました。フィルムでの撮影など、映像にはかなりこだわっていますね。

――JAMOSAさんにお聞きします。どんな想いを込めて主題歌を書き上げたのでしょうか。

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▲JAMOSAさん。

JAMOSAさん 先に映画を観させていただいて、「この映画の伝えたいメッセージってなんだろう」、「奥深いところにメッセージがあるんじゃないか」とすごく考えていました。高校生くらの若いころって、いろいろな人に憧れていて、自分を好きになれないこともあると思うのですよね。自分を好きになるのはいちばん難しい、だけど自分のことをいつか好きになれればいい、そういう前向きな想いを書きたいということで、今回“LOVE AIN’T EASY(愛することは簡単じゃない)”というメッセージを込めさせていただきました。映画のシーンとマッチしていたこともあったので、私的には“バッチシ”でした。

――中条あやみさん、森川葵さん、中越典子さん、美保純さんにお伺いします。本作は高校が舞台ということで、女子高生時代のいちばんの思い出はなんでしょうか。

中条 体育祭や文化祭が、“いままで仲よくなかった人とも団結できる”ということでとても思い出に残っています(中条さんは、現役高校3年生)。

森川 毎日すごい量の食べ物を食べていたことですかね(笑)。朝にパンをふたつくらい食べて、お菓子をみんなでシェアして食べて、お昼ご飯はお弁当にプラスで購買にパンを買いにいって、授業が終わってからみんなでラーメンを食べにいくとか(笑)。当時は太っていました。やっぱり食べると太るんだなって思って、いまはラーメンを毎日食べず、“たまに”にしています。

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中越 私は芸術コースで油絵を専攻して、絵ばかり描いていましたね。だけど、「あの先輩かっこういいな」など、恋にも毎日夢中になっていた気がします。ほかにもおいしいものをみんなで買いに行ったり、とんこつラーメンをみんなで食べに行ったりなど……楽しかったですね。

美保 私は女子校に3ヵ月しかいなかったのですけど、かっこういい先輩はやっぱりモテていましたね。私は髪を染めるのに失敗して、金髪を通り越して赤い髪になっていたことがあります。そして全校生徒の前に吊るし上げになりました。「髪を染めているやつは出てこい!」と言われて、反省させられて、その後はすごく短く切りました。おしゃれをすることが不良だと言われていた時代でもあったので……かわいかったから注目されていたのかな、私(笑)。

 美保さんは「高校生になると自分の世界観ができ上がりますよね。私は鏡の中に入っていけそうだと思っていましたもの。そういうことない?魔法が使えるかなあとか?」と美山さんに振ったが、美山さんは「わかんないです、思わないです、すごいです」と困った様子で答えた。

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 ここで、主演の中条さんに、安里監督から“卒業証書”がサプライズで贈られた。

安里麻里監督 撮影前の合唱練習のときにソロで歌うことに戸惑って、声もでなかったあやみちゃん。とても恥ずかしがり屋で、おとなしいあやみちゃんが、主演という大役に押しつぶされてしまうのではないかと心配でした。しかし、撮影が始まると顔つきがどんどん変わって、本当に強くなったと思います。過酷な水中撮影のとき、顔が青ざめてきているのに、「大丈夫!水は得意なんで」と冗談にして返してくれたときは、その根性に驚かされました。負けん気が強いあやみちゃんがクランクアップの瞬間にボロボロ泣き出したのを見たときに、「ずっと見えないようにしてきたけど、ふつうの17歳の女の子だったんだな」と実感しました。がんばっていてくれたことに胸を打たれました。これからもいろいろな役を経験して、すてきな女優さんになっていってほしいです。とても楽しみにしています。ちょっと寂しいけれども……中条あやみ殿、本日をもって、『劇場版 零~ゼロ~』アヤ役を卒業とさせていただきます。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

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 美保さんからも花束が贈呈され、中条さんは「クランクアップの日にいっぱい泣いたから、今日は笑顔で終わろうと思っていたのですが、案の定泣かされました。こうやって、さきほど監督におっしゃっていただいたように、私は“負けず嫌い”なので、大変なところを見せたくないと思っていました。監督に「よくがんばったね」という言葉をかけてもらったときに号泣してしまいました。こんな新人の私が主演をしていいのかなあと思ったこともありましたが、たくさんのスタッフさん、役者の方に支えられてここまでやってこれました。みなさんありがとうございました」と涙ながらに語った。

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 観客の1名に、中条さんからゲームでおなじみの“射影機”がプレゼント。男性が、実際の撮影に使われたこだわりの一品を手にすることができた。

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▲射影機のプレゼントの抽選は、中条さんにより行われた。

 美少女たちが共演する『劇場版 零~ゼロ~』は現在全国で公開中。出演者たちが挑んだ、寒い中での撮影から生まれた、ほかにはない美しい映像でのホラーの魅力を堪能してほしい。

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