大きなトラブルもなくクローズドβテストは無事終了したが、いくつか課題も
最大6人対6人による迫力溢れるバトルが無料で楽しめる『機動戦士ガンダム バトルオペレーション』。2012年3月29日~31日までの3日間、10000人のプレイヤー限定で行われたクローズドβテストは、トラブルに見舞われることもなく、無事終了した。ファミ通.comでは、連日リポート記事をお届けしてきたが、その総括として3日間を振り返るとともに、プレイしたうえで気づいた問題点などに触れていく。
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クローズドβテストの参加者が10000人ということもあり、オンラインゲーム恒例(?)となっている開始直後の回線混雑が予想されたが、そこは何の問題もなくプレイが行えた。クローズドβテスト初日はジム・ライトアーマーの強さが目立ち、連邦側でプレイを希望する人が続出したためか、ジオン側のメンバーが集まりにくく、対戦がなかなか始まらない状況が起こっていた。しかし、これは2日目のバージョンアップによってバランスが見直されたが、今度はグフに人気が集まり、勢力は一転。この大きな要因としては、やはり格闘攻撃が非常に強力という点が挙げられる。どんなに射撃で応戦しようとしても、強引に接近されて格闘戦に持ち込まれると、機体によっては攻め手を封じられてしまう。陸戦型ガンダムとビームライフルを開発できれば、射撃攻撃でも十分戦えたが、今回のクローズドβテストでこれらを開発できた人は、ごく一部だろう。そのため、とにかく敵を発見したら接近戦に持ち込む、という状況が非常に多かった(今回のマップが比較的狭かったのも要因のひとつかも)。射撃攻撃と格闘攻撃のバランスは難しいかもしれないが、どちらか一辺倒にならないような調整をぜひ期待したいところ。
オンラインプレイにつきもののラグ(通信状況による処理の遅延)に関しても、あまり良好とはいえなかったと思う。見た目ではかなり離れている敵の格闘攻撃を食らってよろめいたり、何が起こっているのかわからなくなるようなこともあった。もともとヒット確認が難しい射撃攻撃も、「ラグのせいで当たっていないのでは?」という不安要素になっていたと思う。これはゲームシステムやバランスとは直接関係ないことだが、ゲームを楽しむ根本の部分なので、十分な対策をお願いしたい。
と、ここまで批判的なことばかり書いてきたが、個人的にはかなりハマったゲームだと思う。とくに、歩兵でいろいろ動くのが楽しい。歩兵で行動すれば、モビルスーツ(以下、MS)に乗っている敵から気づかれることはほとんどない。MS側から見れば、歩兵は豆粒程度の大きさなので、よほど画面を凝視しないと発見しにくいのだ。しかも、歩兵はMSのレーダーには映らないので、隠密行動も取れる(編集部注:歩兵で攻撃したときは一時的にレーダーに映ってしまう)。MSが撃墜されてしまったら、歩兵ですぐに再出撃して敵拠点に爆弾を仕掛けに向かったり、敵軍の中継地点を制圧後、MSを要請して乗り込むこともできる。また、対戦開始直後にMSを降りて歩兵で敵拠点に向かい、爆弾を仕掛けるのが比較的有効で成功率も高かった。ただ、ちょっと違和感を感じたのが、自軍に爆弾を仕掛けられたときに、拠点の周囲に敵軍の歩兵が隠れていないかMSで攻撃をばらまくことが多かったのだが、自軍の拠点にバズーカなどを撃ち込みまくるという行為は、ふつうに考えるとおかしい。まあ、仕様上どうしようもないのかもしれないが(笑)。
対戦終了後に得られる開発ポイントや設計図は、勝敗に関係なく比較的集めやすいのはいい感じ。たとえ敗戦続きでも、“あの設計図さえ完成すれば……!”というモチベーションになる。今回のクローズドβテストでは、ラグと格闘攻撃による粗が目立ってしまった感じはするが、逆にここさえクリアーすれば、かなり楽しめる作品になるのではないだろうか。MSやパーツなどを集める過程は、現状でも十分なバランスだと感じた。
6月下旬予定のサービス開始まで、ここを改善してほしい!
クローズドβテストの3日間、がっつりプレイしたファミ通メンバー。そのひとりのブンブン丸が、今回のβテストで感じた問題点とその改善案についてリポート。
ドーモ! ブンブンです。βテストで感じたことをつらつらと語っていきたいと思います。
まず、ザクだのジムだのといったMSに乗って、6vs.6(先日、間違えて8vs.8って書いてしまってすみません!)という多人数で戦えるっていうだけで、俺程度の『ガンダム』ファンでも胸が躍ってしまう。ほかのプレイヤーと協力して戦線を維持したり、阿吽の呼吸で敵MSを撃破したりと、仲間と助け合うことが実感できると本当に楽しくなるね。連邦とジオンのMSの違いによる戦力差については、3日目のリポートでゴジラ太田も言ってたけね。初日のジム・ライトアーマーとか、2日目以降のグフとか。ゴジラ太田も格闘が強すぎると言っていたけど、これは多分MSの耐久力が高いせいなんだろうなあ。多少のダメージを気にしないで突っ込んで格闘攻撃でダウンを奪い、一気にトドメを刺しにいくみたいな流れがよく起こった。これに関しては耐久力の調整とか武器の火力など、細かいバージョンアップで対応できると思うので割愛。むしろ、一時的にMSの強弱があったりすると逆に燃えてしまうのは俺だけなんだろうか? 2日目にジオン側でプレイしているとき、敵チームの陸戦型ガンダムにボロッボロにされたときは、本当に連邦が憎くて憎くてしょうがなくなったり(笑)。これもまた、『ガンダム』ゲームにおけるおもしろさだと思う。
個人的に改善されるといいなあと思ったのは以下の点。
・各種ブースト
・ローリング
・グラップル
・攻撃可否のわかりにくさ
・敵MS撃破のポイントがトドメを刺したプレイヤーにしか入らない評価システム
・全体的なラグ
【各種ブースト】
クローズドβテストに登場したMSだと、ブーストの性能が低いせいもあり、高所に上ったり敵との距離を強引に引き離すくらいでしか使い道がなかった。ひたすらブーストし続けるゲームもどうかと思うけど、もう少し余裕があってもいいんじゃないかなと。旋回の遅さも気になったかな。もしかしたらクローズドβテストでは使えなかった、もっと性能のいいMSなら、この不満点が一気に解消される可能性もあるんだけどね。ゲルググに乗ったら、これまでの戦いとは別世界でした! みたいな。性能の低いMSゆえの“重さ”というなら納得かな。
【ローリング】
ブーストの性能の低さからか、射撃や格闘の隙を消すためにローリングしまくっていた。回避行動の手段はあって当然だと思うんだけど、さすがにMSがゴロゴロとローリングするのはいかがなものかと……。ステップのようなモーションになるといいなあ。
【グラップル】
おそらく、近距離での戦いで格闘攻撃に対抗し得る要素として存在するんだと思う。実際、クローズドβテストでも格闘でゴリ押しにくるグフやジム・ライトアーマーをグラップルでいなせたし。近距離戦に駆け引きが生まれるので、この要素自体はあるべき。ただし、つかんでからのじゃんけん的な3択と、つかんでいる最中の無敵状態に違和感を覚えた。3択という、運に左右されやすいのと、攻撃にいくまでの時間がけっこうかかるので戦闘そのものが長引いてしまう。ましてやお互いに無敵状態なのだから、間延びした印象になるのは仕方がないところ。
【攻撃可否のわかりにくさ】
攻撃が当たっているかどうかが、敵のよろけやダウンでしか判別できないため非常にわかりにくい。HITのエフェクトをつけるか、HITのSEなどでわかりやすくしてほしい。また、ダウンする敵のどのあたりまで攻撃できるかがわかりにくかった。体感的には、起き上がるとき以外にはダメージが通った気がしたけど、ここももう少しわかりやすくていいんじゃないだろうか?
【評価システム】
MSを破壊した場合、トドメを刺したプレイヤーにしかポイントを得られない(たまにふたりのプレイヤーが撃破した扱いになることもあったけど)。そのため、味方の援護などで活躍したとしても、トドメにこだわらないとスコアが低くなってしまう。また、ポイントを得られる要素が、1ゲーム中に一度だけ可能な拠点破壊、中継地点の制圧、MSかパイロットの撃破のみという点にも多少問題を感じる。中継地点は一度制圧すると敵に奪われるまで再制圧できないし、そもそも交互に奪い合っていては差も縮まらない。肝心の拠点も、一度破壊すると、そのゲームでは復活することはない。となると、敵MSを撃破して差をつけていくしかないんだけど、ある程度ポイントでリードを取ったら、あえて再出撃しないで、相手にポイントを稼がせるチャンスを与えないという戦法が成立してしまう。できれば拠点を時間で復活させるなどして、出撃を促す要素を入れるべきかなと。
【ラグ】
攻撃の可否のわかりにくさなどは、おそらくラグの影響が大きいんだろうなあ。けっこう離れた距離から格闘攻撃を食らったり、起き上がりの無敵時間で攻撃されたりとか。俺自身はネットゲームをかなりプレイしているので、慣れてきたらラグを考慮したプレイにシフト。画面上だけの情報を鵜呑みにせず、ラグがあるから本当は相手はこんな動きをしているんだろうなってイメージしながらプレイすると、かなりいい感じに戦えます。とはいえ、ラグが少ないほうがいいのは当然なので、何とかしていただきたいところ。
こんなところでしょうか。自宅で『ガンダム』ごっこの楽しめるツールとしては非常に期待しているので、さらに楽しめる内容になってるといいな!
ゲーム監督の徳島雅彦氏からのメッセージ
本作は、10倍以上のスケール差のある2種のユニット(MSとパイロット)を自由に持ち込み、MAP配置ユニットまで駆使して多人数で戦うという、既存の固定配置物を利用して戦うタイプのゲームとは異なる新しい遊びを目指しているため、今回のテストでは通信環境とそれに伴う障害の把握が最大の目的でした。βテスト版ということもあり、不具合や未調整部分も多く、テスターの皆様には余計なストレスとご迷惑をおかけしましたことをここにお詫びいたします。しかし、たいへん多くの皆様の協力によって、開発側だけでは確認不能な、価値のあるデータを多数収集することができ、テストの目的を達してあまりある成果を得られたことをスタッフ一同心より感謝しています。また、“看板”として自信を持って送り出したMSを始めとするグラフィック部分は、ペイント機能も含めて好評のようでしたので、正直胸を撫で下ろしています。
さて、私自身も3日間、帰宅後朝までテストに参加しておりましたが、まず驚いたのがテストプレイヤーの方々のゲームへの情熱でした。今回のテストでは、1日目に汎用機と支援機、2~3日目で格闘機が出現するぐらいの想定で、テスターの方には最低でも支援機までは入手していただき、新機種が登場することで遊びかたや役割などが変化するという雰囲気だけでも感じてもらおうと、今回のβテスト専用の出現テーブルを組んでいました。サプライズ的に、本当にごく一部の方が陸戦型ガンダムやドムを入手し、運がよければ終了間際に戦場での遭遇報告が都市伝説的に行われるくらいのイメージでしたが、まさか2日目早々にしてジム・ライトアーマーやグフがあそこまで大暴れし、3日目には陸戦型ガンダムが大発生するとは……そこまで集中して遊んでいただいて、感謝の言葉もありません。ゲーム中の説明不足もあり、ルームのチャット機能が両軍に見えていると誤解されてしまったせいもあると思うのですが、実際には両軍のルーム入退出の情報は共有しつつチャット表示はホスト役の方も含めてチーム内で限定されていました。あそこで作戦立てや雑談を行なって出撃してもらう感じで、全体的にもっとゆったりした遊びかたになることを想定していましたが、3日間というテストの短さもあって、とにかく数をこなす遊びが主流となってしまったようです。
そんな中、自分はもっぱらその時点で弱いと言われている軍を中心に、地道なサポート戦闘を行なっていました。そのほとんどが支援機での砲撃支援で、高台の狙撃点から友軍に接近する敵機の脚部を狙って足止めをして前衛の戦闘をアシストしたり、状況によっては拠点防衛に回る等を行なっていました。現状、アシスト系の行動がリザルトに反映していない関係上、チームの足を引っ張ったように思われてしまいかねない状況だったため、なかなか皆様に積極的に支援行動を楽しんでいただけなかったのが悔やまれます。しかし、いざその役回りに徹してチームを勝利に導けたときには、リザルトがゼロでもプレイ後のルームにて“称賛”もいただき、見てる人は見ててくれるんだな~なんて、ちょっとウルっときたりもしました(笑)。最後に登場した陸戦型ガンダム&ビームライフルのセットは、汎用機ながらも唯一“狙撃”が可能なものでしたが、その前の格闘機のインパクト強かったせいもあり、格闘での突貫が主流になってしまったのも残念でした。今回のユニットの登場順は正式のものではないので、今回のデータを活かし、キッチリと遊びかたの変化への導線を引いた形に調整したいと思います。
2日目ともなると、パイロットでの戦闘も皆さんこなれてきて、制圧はもちろん、拠点へのアタックや、その後の爆弾解除のディフェンス、敵MSの強奪など、状況に応じた臨機応変なスタイルでの行動を楽しんでいただけていたようでした。MSでの豪快な戦闘、パイロットでの緊張感、チーム連携がうまくいったときの達成感などを、少しでも感じていただけたなら幸いです。今回のような未実装&未調整の多い状態のゲームを遊ぶことは、経験上なかなかないと思いますので、ストレスを感じられた方も多かったとは思いますが、今回のテストに参加していただいたということは、少なからず開発に参加したのと同義と前向きに捉えていただき、“あまりにもダメだったから、仕方ないので自分が少し作るのを手伝ってやったゲーム”が姿を変えて世に出る瞬間を楽しみに待っていてください。
多くの方からご指摘をいただいたアクション部分も、予定作業のほかにご意見を取り入れてさらなる改修を行い、多くの方々に楽しんでいただけるように調整を行なってまいります。また、まだ方法は検討中ですが、皆様の最大の関心である課金システムの内容や、βテスト以降の追加、改善点等は、なるべく細かく順次告知していきたいと考えています。ぜひ期待して今後の情報をお待ちください。
短いようで長かった3日間、テスト参加の皆様、本当にお疲れさまでした! ともに戦えた3日間、体力的にはキツかったけど本当に楽しかったです。本当に本当にありがとうございました! 予想をはるかに超える応募のため、抽選倍率が上がり、残念ながら今回テストに参加できなかった皆様、たいへん申し訳ありませんが、リリースまでもう少々お待ちください。
B.B.スタジオ ゲーム監督 徳島雅彦
プロデューサー桑原顕氏からのメッセージ
『機動戦士ガンダム バトルオペレーション』は、2012年3月15日発売の週刊ファミ通本誌にてスクープとして電撃的に発表させていただき、その2週間後にはβテスト開始という非常にタイトなお披露目となりました。その短い期間にも関わらず、約15万人の方からβテストへの応募をいただき、皆様の積極的なプレイや貴重なご意見を目の当たりにして、改めて皆様の期待値の高さを感じさせられました。今作は“オンライン専用”、“基本無料+アイテム課金”と、バンダイナムコゲームスがプレイステーション3でリリースするゲームとしては初の試みばかりのタイトルとなります。そうした点を始め、βテスト版では正式版リリースに向けたさまざまな検証を最大の目的としていた都合上、皆様にはいろいろとストレスをおかけしてしまいましたが、取得した多くのデータやご意見・ご要望は、今後の改善や新規企画や機能の検討にたいへん役立つものばかりでした。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。
本作はパッケージゲームと異なり、随時バージョンアップを行うことができます。いただいたご意見・ご要望は可能な限りゲーム内に反映させ、皆様に末永く楽しんでいただけるものにするようスタッフ一同鋭意開発を進めていきますので、いましばらくお待ちください。また、今後もさまざまな情報を随時アップしていきますので、そちらもご期待いただければ幸いです。今後とも『機動戦士ガンダム バトルオペレーション』をよろしくお願いいたします。
バンダイナムコゲームス 第2事業本部第1プロダクション プロデューサー 桑原顕