『DARK SOULS III(ダークソウルIII)』祝・発売! 宮崎英高氏インタビュー完全版を公開!!

公開日時:2016-03-25 23:00:00

 フロム・ソフトウェアより2016年3月24日に発売された、プレイステーション4/Xbox One用ソフト『DARK SOULS III(ダークソウルIII)』(Windows版は2016年4月12日発売予定)。本稿では、週刊ファミ通2016年4月7日号(2016年3月24日発売)に掲載された発売記念特集から、本作のディレクターを務めたフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏インタビューの完全版を掲載! 心折れることなくロスリックに挑むプレイヤーのみならず、これから足を踏み入れようとする人も必読の内容です。

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●本作はシリーズの大きな区切りとして考えています

――いよいよ発売を迎えましたが、いまの心境はいかがですか?
宮崎 当然、長かった開発が結実した達成感はありますが、どちらかというと落ち着きませんね(笑)。『ダークソウルIII』に限らないのですが、開発終了後から発売前の時期は苦手です。

――本作はシリーズの中でどのような位置づけの作品となるのでしょうか?
宮崎 『ダークソウル』シリーズの大きな区切りとして考えていますね。それは初代『ダークソウル』から続く“火継ぎ”の物語の区切りでもありますし、直近では我々が『ダークソウル』の続編ではなく、別の新しいタイトルに着手していくという意味でもあります。

――週刊ファミ通2015年7月5日号掲載のインタビューでは「アルファ版の開発が落ち着いた」と話していましたが、『Bloodborne(ブラッドボーン)』と重なってたいへんだったのでは?
宮崎 当然、非常に忙しい期間でしたが、『ダークソウルIII』の岡野(勇氏)と谷村(唯氏)をはじめとして、それぞれのタイトルで支えてくれる優秀なスタッフに恵まれましたので、必要なディレクションに集中できないということはありませんでした。そして、私としては、開発が並行することのメリットも感じました。それぞれのタイトルの開発が、お互いに刺激を与え合うという良い関係があったと思います。ひとりのゲーム開発者としても、それはとても豊かな状況でした。

――シリーズのファンと、『Bloodborne』で初めてフロム・ソフトウェアが開発するアクションRPGに触れたユーザーの両方が本作を楽しむと思うのですが、そのバランスを考えたりはされたのでしょうか?
宮崎 うーん。『ダークソウルIII』に限らず、あまりそういったことは気にしていません。もともと私は、ターゲット層のようなものを想定してゲームを作るのがあまり得意ではないのです。あえて言えば、それは“ゲームが好きな人”、“ゲーム的なものが好きな人”になるのだと思いますが、それ以上に絞り込むことは、あまりありませんね。ただ本作については、とくに直近の『ダークソウルII』と『Bloodborne』を意識している部分はあります。それは、その2作をプレイしたユーザーさんが本作をプレイしたときに、“ゲームコンセプト云々の前に、大きなストレスを感じてしまう”のは避けたかった、ということです。

――ネットワークテストからの調整で、ゲーム性が変わった部分などはありますか?
宮崎 もちろん、諸々の調整はされていますが、たとえば本作から採用された戦技であるとか、基本のゲーム性は変わっていませんね。

――戦技は剣戟アクションだけではなく、ロールプレイの深化にも好影響を与えています。
宮崎 そうですね。戦技の狙いとしては、1本の武器が持つ戦術性、戦いかたの幅の拡張と、ロールプレイ性、その武器らしい戦いかたの拡張の、2点があります。戦技という考えかたは、武器固有のモーションを“攻撃”という固定観念から解放する役割もありまして、我々としても作っていて、とても楽しかった部分なので、ユーザーさんにも楽しんでもらえたらうれしいですね。少し補足しておくと、戦技については、武器カテゴリーと1対1の固定関係にあるのではありません。武器カテゴリーにおける基本的戦技の数や、カテゴリー内における例外的な特殊戦技の数なども幅がありますし、ちょっと変わった戦技なども存在していますので、武器の探索や選択を、これまで以上に楽しんでもらえると思います。

――序盤のマップから、かなりの種類の武器が入手できますが、これは多彩なロールプレイを楽しんでほしいという狙いからですか?
宮崎 はい。本作でも200を越える数の武器が登場しますが、とくに序盤の数マップは、基本的な武器を探索し、お気に入りを見つけていく段階として想定しています。ぜひ、いろいろな武器を見つけて、試してもらえればと。

――試せるという意味では、キャラクターの外見が途中で変えられるという仕様には驚かされました。
宮崎 キャラクターメイキングのやり直しについては、じつは本作以前から考えられていた仕様です。それまでは何らかの問題があって採用を見送ってきたのですが、ようやく本作でそれが実現できた、という感じですね。いまはまだお話できませんが、それを司るにふさわしいキャラクターも、ちょうどいてくれましたので。

――そこは実際のプレイで確認してもらいましょう。その説明で納得できることは確実ですから(笑)。

●『ダークソウルIII』は独特な二面性を持っています

――今回はマップの構成が独特というか、非常に探索し甲斐があるものになっていますが……。
宮崎 『ダークソウル』シリーズ初の、PS4・XboxOne世代専用タイトルということで、マップのスケール感は増していると思います。

''――「ここへ行けるの?」と思うような場所に到達することもあって、驚きました。
宮崎 私自身が探索好きなこともあり、独特のクセのある立体マップが揃っているとは思います。また、全体的にこれまでよりも明るいですし、枯れた色遣いの中にも鮮やかな部分があったりしますので、そういった意味でもマップを楽しんでもらえれば。

――色褪せてはいるのに、輝いているような空気感が表現されていますよね。
宮崎 いつもいっしょにやっているグラフィックデザイナーもがんばってくれましたし、ユーザーさんの印象に残るシーンが多くなればいいなと思いますね。

――印象に残る場面が多いだけではなく、いままでと比べて今回は物語がいい意味で“わかりやすい”という印象を受けました。
宮崎 少なくとも表の部分は、あくまでも私の過去作と比べればですが(笑)、若干はわかりやすくなっているかと思います。本作の物語は、初代『ダークソウル』、そして『ダークソウルII』と続いてきた積み重ねの先にあるものとして描いている部分があり、そういった部分は比較的ストレートに表現されていますね。ですが一方で、裏の部分にはかなりドロドロしたというか、ダークな部分も秘められていますので、そういった部分を探索し、考察する楽しみもあるかと。

――(笑)。
宮崎 本作は、独特な二面性を持っているんです。そしてそれは、私がディレクターとして、本作と『Bloodborne』の開発を並行していたことと無縁ではないと思います。

――敵もNPCも個性的な面々が揃っていますが、とくにボスは強烈な印象でした。
宮崎 そうですね。ボス戦は本作でも力を入れたところなので、楽しんでもらえれば。本作ではヒートアップの要素が採用され、ボス戦が単調にならないよう調整されているのですが、デザインをディレクションする立場としては、そうした要素があり得るという前提が、ボスデザインによい影響を及ぼしているとも感じました。いくつかの特徴的なボスで、そのことは感じてもらえると思います。

――できれば攻略情報を仕入れないで、まっさらな状態でチャレンジしてほしいですね。
宮崎 絶対にそうしてほしい、ということではありませんが、それはひとつの大きな楽しみかたであると思います。

●主人公は積み重ねられた火継ぎの先にある独特の存在

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――本作からは亡者状態にならないようになっていますが、こうした理由は?
宮崎 これは初代『ダークソウル』からあったご意見なのですが、せっかく時間をかけてキャラメイクをしたのに、大半が亡者状態であるのが悲しいという話もあって、本作では死亡による亡者化は採用していません。また、本作の主人公が“火の無い灰”という、積み重ねられた火継ぎの先にある独特の存在であることも、そうした判断の一因です。ただ、本作にも亡者状態となるものはありますし、それには特別な意味を持たせています。物語を通じて「あえて亡者だ」というかたが出てきてくれると、私としても本懐ですね(笑)。

――鍛冶屋アンドレイが登場するのも、歴史の先を描く狙いからでしょうか?
宮崎 うーん、アンドレイ自体はちょっとしたお遊びの意味が強いですね。じつは初代『ダークソウル』のころから、開発の中には“鍛冶屋アンドレイ一族”というネタがあって、種火を持つ宝死体はどれもアンドレイと瓜ふたつだったりしたのですが、今回もその延長線上です。ただ、本作の世界は、初代『ダークソウル』、そして『ダークソウルII』と続いてきた積み重ねの先にあるものとして描いており、初代や『II』のキャラクターやその名残を、いろいろな形で登場させるようにはしています。変な言いかたですが、せっかくの続編なので、そういった続編らしいやりかたもありかなあ、と。もちろん、初代や『II』をプレイしていなければわからない、というふうにはしていませんので、本作がシリーズ初プレイだというかたもご安心いただければ。

――ファンなら思わずニヤリとしてしまうような感じですね。
宮崎 そうですね。何らかのちょっとした感慨があればうれしいです。

――“火防女”がかわいくなったのも狙いですか?(笑)
宮崎 えーと、それはどうでしょうか? もしかしたら、疲れていたのかもしれませんね(笑)。まあでも、今回の火防女については、いままでとは少し違う側面もあり、好きなキャラクターになりました。また彼女に限らず、好きなNPCは多いので、ユーザーさんにも誰か好きになってもらえたらいいですね。

●マルチプレイでもさまざまなロールプレイが生まれるとうれしい

――オンラインについて、ネットワークテストから調整された部分はありますか?
宮崎 ネットワークテストからの変化という意味では、マルチプレイ人数の考えかたは調整されています。製品版のマルチプレイについては、最大人数は6で変わっていませんが、基本は4になっています。過去作と同様の、ホスト1、霊体2、闇霊1のバランスですね。そして、“干からびた指”というアイテムを使うことで、この基本を破って最大6人のマルチプレイができるようになります。また、『Bloodborne』と同様に、合言葉マッチングも採用されています。合言葉マッチングではマッチングにレベルは考慮されず、レベルが大きく開いていたときに、強さが自動調整されるようになっています。

――マッチングがレベル制に戻った理由は?
宮崎 理由はいくつかありますが、まず、レベルによるマッチングのほうがシンプルで、理解ないし調整しやすいことがあります。また、総取得ソウル量については、大量のソウルをロストしたときなど、取り返しがつかないというか、未来永劫にハンディキャップを負ってしまうことがあるので、本作では採用を見送っています。なお、シンプルということで言えば、誓約まわりもいったんシンプルに調整されています。基本的な協力、あるいは敵対プレイにおいて、さまざまなキャラクターや変化がある、その助けになるための誓約という位置づけですね。

――戦技も加わって、いろいろなプレイが誕生しそうですね。
宮崎 そうなってくれるとうれしいですね。くり返しになってしまいますが、戦技の狙いの一方は、ロールプレイ性の拡張ですから。

――先ほどから何度もおっしゃられているように、独特の体験ができそうですね。
宮崎 そうですね。スケール感の増したマップの探索、戦技により拡張された戦術性とロールプレイ性、また独特の終末感、滅びの寂しさ、そして二面性のある世界観と物語など、楽しんでもらえれば。各要素が相まって、遊ぶたびに新しい発見のあるゲームになったかとも思いますので、ユーザーさんには、立ち塞がる困難と無数の死に心折れることなく、試行錯誤を楽しんでもらえればと思います。

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メーカー:フロム・ソフトウェア
ジャンル:アクション・RPG
発売日:2016年3月24日
価格:各7340円[税抜](8024円[税込])
対応機種:プレイステーション4、Xbox One、PC
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. / ©2011-2016 FromSoftware, Inc.
ダークソウルIII公式サイト