新規に7つのストーリーが追加
世界中でおなじみの“レゴ ブロック”をモチーフに、数々の話題作がリリースされている“レゴ ゲーム”シリーズ。その最新作として、ワーナー ブラザースより『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が発表された。昨年末に劇場公開され、大ヒットを飛ばした『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が早くも“レゴ ゲーム”に! ということで胸踊らせている方もたくさんいらっしゃることと思うが、2016年3月22日(現地時間)に、“『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』プレス向け発表会”がフランス・パリにて行われた。場所はずばり、ディズニーランド・パリ内の“ウォルト レストラン”。『スター・ウォーズ』シリーズを制作しているルーカスフィルムが、『フォースの覚醒』より、ディズニー傘下となったことはご存じの通りだが、そんな兼ね合いもあり、今回のプレス向け発表会も、ディズニーランド・パリで行われたようだ。
[『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の世界]
(2)本作は『スター・ウォーズ』史上最高のゲームになる! TT Gamesのキーパーソンも大きな手応え
(3)“これぞ『スター・ウォーズ』の世界だ!”という想い出を可能な限り再現している
(4)「リアルな動きがキャラクターに生命を吹き込む」
(5)「レゴを引き立てるために、背景はリアルにする」
(6)“マルチビルド”はたいへんな挑戦だった
“異空間”で行われたイベントは『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ならではの華やかさ! ということで、ここではプレス向け発表会の模様をつぶさにお届けしよう。プレゼンテーションにあたって登壇したのは、開発元であるTT Gamesのアソシエイト・プロデューサー、ティム・ワイルマン氏とリード・ストーリー・デザイナーのグレアム・ゴーリング氏だ。ティム・ワイルマン氏は、東京ゲームショウ2015にて『レゴ ジュラシック・ワールド』のプレゼンのためにも来日しており、“レゴ ゲーム”シリーズのスポークスパーソン的な立ち位置だと思われる。
まず登壇したのがアソシエイト・プロデューサーのティム・ワイルマン氏。ワイルマン氏は、「1作目にあたる『レゴ スター・ウォーズ』の発売から11年。ルーカスフィルムとともにふたたび仕事ができるのは、私たちにとってたいへん光栄なことです」とコメント。そのうえで「過去11年間に私たちが学んだことを、本作に盛り込むことができたのは、チーム一同にとってたいへんうれしいことでした。本作では、斬新で興味深いゲームプレイのアイデアが盛り込まれています」と、この11年の進化を強調した。
まずワイルマン氏はゲームの概要を紹介。それによると、本作には“18レベル”あるとのこと。そのうちの11は、映画にも登場してきたおなじみのステージで、当然のこと、「映画に出てくるカギを握るロケーションはすべて網羅しています。すべてのキャラクターを駆使し、『フォースの覚醒』の象徴的なシーンを体験できるので、最高に興奮できる内容になっています」とのことだ。
一方で、『スター・ウォーズ』ファンにとってなによりうれしいのは、本作では7つの新しいストーリーが追加されること。こちらは、『フォースの覚醒』に至るまでの出来事をカバーしたもので、「おなじみのものもあれば、皆さんがご存じないものもある」という。たとえば、「ハン・ソロとチューバッカを操作して、爬虫類の住む惑星で狩りを楽しんだ」り、「ロア・サン・テッカを操作して、いかに彼が惑星ジャクーにやってきたかが描かれる」という。「探求し、再現し、楽しめるサイドストーリーのひとつで、充実のコンテンツが満載」というから、映画を補完してのエピソードが満喫できそうだ。
本作に登場するのは200キャラクター以上(据え置き機版)! この中には、『フォースの覚醒』だけではなくて、前6作やサイドストーリーから登場するキャラクターもいるという。もちろん“レゴ ゲーム”らしく、「キャラクターはカスタマイズ可能です。組み立てて、その後壊して、さらに組み立て直すことができるのです。それによって、さらなる能力や武器を与えることができます。これはとても楽しいですよ」(ワイルマン氏)とのことだ。
また、プレイできるビークル(乗り物)やクリーチャーは40以上(据え置き機版)とのこと。そこには、もちろんミレニアム・ファルコン号あり、Xウィングあり、タイ・ファイターありと……数多くの選択肢が与えられているという。
新要素の“マルチビルド”、“フライトゲームプレイ”、“ブラスターバトル”
さて、新タイトルということで求められるのは“新要素”。ワイルマン氏は、「新規タイトルの発表会では、“これまでのシリーズにはない新要素は何ですか?」と聞かれるのですが……」と来場者をほんのりさせたあとで、『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ならではの新要素として、3点をピックアップしてくれた。具体的には、“マルチビルド”、“フライトゲームプレイ”、“ブラスターバトル”の3点だ。以下、ワイルマン氏のプレゼンをもとに、これら3つの新要素の概要をご紹介しよう。
■“マルチビルド”
ご存じの通り“レゴ ゲーム”では、レゴブロックの山からオブジェクトを組み立てて、ゲームを先に進めていくことになるのだが、本作ではひとのレゴブロックの山で最高3つまでのオブジェクトを作ることが可能に。「これまでは直線的で、とくに想像力が必要というわけではなかったのですが、チームのとてもすばらしい発想により実現しました」(ワイルマン氏)とのことだ。
■“フライトゲームプレイ”
こちらは文字通り、戦闘機や宇宙戦などに乗ってフライトとしてのゲームプレイを楽しめるというもの。こちらは、ワイルマン氏の言葉をそのまま引用すると、「“レゴ ゲーム”のフライト要素は、これまではとても直線的で平面的なものでした。固定のルートが定まっていたので、真の意味での“飛行”ではありませんでした。それが本作では“飛躍”し、オープンワールドでのアリーナベースのフライトセクションになっています。広大なエリアに詳細なフィールドが構築されており、360度の空間での飛行が可能です。惑星ジャクーの上空でミレニアム・ファルコン号を操ることもできますし、タコダナの上空でポー・ダメロンの乗るXウィング対タイ・ファイターによるドッグファイトを堪能することもできます。カメラアングルは最高で、サウンドもすばらしい。高揚感溢れるものになっているんです。チームはすばらしい仕事をしてくれました」とのことだ。
■“ブラスターバトル”
本作では、ゲームを進めていくと激しい銃撃戦のシーンに遭遇することになる。相当に激しいシチュエーションだ。その際にカバーセクションである物陰に身を潜めると、いくつかのアクションが可能になる。これが“ブラスターバトル”だ。アクションでは、“物陰に隠れながら移動”したり、“ブラスターを駆使して物陰から敵を攻撃”することなどが可能になるが、キモとなるのは、各キャラクターのさまざまな能力を活用してのアクションだ。ワイルマン氏は具体例を挙げてくれたのだが、それによると「たとえばハン・ソロだと、グラップルフックを利用して、壁を崩壊させることができます」とのこと。敵は敵で、独自にタレットなどを組み上げて、ヒーローたちに立ちふさがってくることになる。ワイルマン氏は“インタラクション(相互作用)”という言葉を使っていたが、つまり“ブラスターバトル”では、キャラクターとフィールドがインタラクションを起こして、よりダイナミックなゲームプレイを実現しているようだ。「カメラアングルやサウンドはすばらしく、ゲームプレイにさらなる戦略性や幅広さをもたらすもので、皆さんにもきっと楽しんでいただけるはずです」(ワイルマン氏)。
とにかく、映画の世界観を忠実に再現している
引き続き登壇したのが、リード・ストーリー・デザイナーのグレアム・ゴーリング氏。ゴーリング氏は実機によるデモプレイを交えながら、ゲームの魅力について語ってくれた。
ゴーリング氏がまず強調したのが“本物らしさ”。世界中に多くのファンを持つ巨大なIP『スター・ウォーズ』だけに、ゲーム化にあたって開発スタッフがまず念頭においたのが、映画の世界観をいかに忠実に再現するかにあったというのは無理からぬところ。その一例として、ゴーリング氏がピックアップしてくれたのが、映画の冒頭で流れる“オープンニング・ロール”(いわゆる、あらすじ説明)。『スター・ウォーズ』ではあまりにもおなじみの“オープニング・ロール”だが、『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では映画版をきっちりと再現。「文字のフォントはまったく同じものになっています。文字のアスペクト比や消失点も映画を正確に再現しています」という。「“オープニング・ロール”にそこまでこだわらなくても……」と、記者などは思ってしまうが、“何事においてもないがしろにしない”という点で、妥協する気は一切ないのだろう。「私たちの場合、ディテールのレベルにこだわり過ぎということはありえません。可能な限り“真の”『スター・ウォーズ』体験となるように注力したのです」(ゴーリング氏)との言葉にも力が籠る。
デモプレイで披露されたのは、おもに『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』における新要素の数々。“ブラスターバトル”では、ファースト・オーダーのエンジニアが“ブラスタキャノン”を組み立てようとするのを阻止すべく、ティードーがフィールドにあるレゴを破壊。“マルチビルド”によって、“ジャイアント・マウス・ドロイド”を作り上げるというシーンが公開された。ティム・ワイルマン氏のプレゼンからもうかがえたとおり、“ブラスターバトル”や“マルチビルド”という新要素の追加により実現されたのは、ダイナミックなバトル。プレイの選択肢を広げることで、より戦略性が高まっているのだ。
盛り込まれた新要素により、幅広いゲームプレイが実現するだめに、くり返しプレイもさらに楽しくなる。その分、『レゴ ゲーム』シリーズの特徴のひとつであるフリープレイモードがさらに魅力的になるのだ。「1回遊んでも、つぎはそれ以外のやりかたで攻略することができます。ゲームを遊びながら、毎回何か違ったことを試してみることができるんです」とゴーリング氏。
ちなみに、『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ではコンバットなども改善されているという。画面にあるゲージを満たしていくと、敵にトドメを刺す“ワン・ヒット”が使えるようになるというのだ。さらに、このゲージを満タンにすると破壊力抜群の攻撃を仕掛けられるようになるという。もちろん各キャラクターに個別の攻撃方法が用意されているようで、こうした“必殺技”も戦いに彩りを添える。映画に負けない、迫力のシーンを体験できるのだ。
デモでは、惑星ジャクーを舞台に、ミレニアム・ファルコンを駆使してのドッグファイトも披露された。「本物らしさを追求するために、映画のカメラアングルを踏襲している」(ゴーリング氏)という、フライトは爽快そのもの。そして、レゴでできたミレニアム・ファルコンなのに、映画と遜色ないリアリティが感じられるから不思議だ。
40以上のビークル(乗り物)に乗れるという『レゴ スター・ウォーズ/フォースの覚醒』だが、ちょっとした遊び要素も。“マイクロファイター”と呼ばれる、かわいいミニチュアの乗り物も用意されているというのだ。“マイクロファイター”は、ステージに隠されている“ミニ・キット”を10個集めることによって、解除されるという。ゴーリング氏いわく、「12個のレゴで組み立てられたミレニアム・ファルコンを想像してみてください。それでも完璧なミレニアム・ファルコンなのです。最高にカッコいいですよ!」とのことだ。
さて、最後にちょっと興味深い話を。映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では、惑星ジャクーにおいてミレニアム・ファルコンを追跡するのはタイ・ファイター2機だけだったのだが、ゲームでは「ゲームプレイの観点から、解釈の幅を広げて、その数を増やしている」(ゴーリング氏)というのだ。ゴーリング氏のプレゼンの冒頭では、“映画の世界観を忠実に再現”と語られたが、本作では“忠実な再現”を担保しつつも、“ゲームプレイの楽しさ”を十二分に確保している姿勢が見て取れる。ゴーリング氏からは、「(こうした追加は)当社とルーカスフィルムとの良好な関係の賜物です」との言葉も聞かれ、『スター・ウォーズ』という巨大IPを巡って、ルーカスフィルムとTT Gamesとのあいだが極めて良好であることもうかがえる。映画ファンならずとも、期待せずにはいられないことだろう。