強者に聞け!

 こんにちは、ファミ通の格闘ゲーム好き編集者、豊泉三兄弟(次男)です。先日、企業対抗『ウルトラストリートファイターIV』大会なるものに出場して、格ゲーモチベがあがっています! プレイステーション4版の『ウルトラストリートファイターIV』も配信されたようなので、さっそく落として試してみたいところ! さて今回は、またしてもライターのH.Hさんが取材に行ってくれました。今回は、エクサムの『ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-』です。取材後にバージョンアップされてしまいましたが、強者の言葉は参考になる面も多いはずです。ぜひご覧ください。

【過去記事】
※格闘ゲーム通信Vol.1
※格闘ゲーム通信Vol.2
※格闘ゲーム通信Vol.3
※格闘ゲーム通信Vol.4
※格闘ゲーム通信Vol.5

■『ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-』とは?

 『ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-』(以下、『ニトブラ』)は、2015年4月にアーケードで稼働を開始した対戦格闘ゲームだ。PCゲームブランド“ニトロプラス”と数多くの美少女対戦格闘ゲームを手掛けた“エクサム”がタッグを組んで開発。ニトロプラス関連作品の人気ヒロインたちが、作品の枠を越えて一挙に集結し、華麗に闘う。バトルはメインキャラクターとともに2名のパートナーキャラクターを選択しての3対3の構図となるのが特徴。

今回お話をうかがったふたりの強者

【格闘ゲーム通信Vol6】『ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-』回転王さん&パンピーナさんインタビュー!【対戦動画アリ】_03

回転王さん
 過去非常に多くの格闘ゲームタイトルをこなし、そのほとんどで全国トップクラスのプレイヤーになっているマルチゲーマー。新作稼動初期におけるゲーム性の理解が早く、強い行動の構造を理論的に解釈して使いこなすのが得意。『ニトブラ』では三世村正をメインキャラに選択。自身では“村正は弱キャラ”と評しながらも上級者たちと対等に渡り合う。なお、彼が開発する独特の行動は“回転式”として畏れ敬われているのだが、ミスやよくわからない行動でもとりあえず回転式としておけばそれっぽく見える効果がある。

■おもな大会実績
闘劇08 アルカナハート2部門 ベスト4
KOF MAXIMUM IMPACT 2 全国大会 準優勝
第三回 究極人類トーナメント UMVC3 XBOX360版 準優勝
KVO THE ULTIMATE BATTLE 2012 UMVC3 3on3 準優勝
闘劇2012 P4U プレマッチ 準優勝
EVO2014 サイドトーナメント ジョジョASB 優勝
闘会議杯争奪! 格ゲートーナメント@闘会議2015 ブレードアークス部門 準優勝
APM PRESENTS D-1 ULTIMATE CLIMAX BLADE ブレードアークス 第1回公式全国大会 ベスト4

【格闘ゲーム通信Vol6】『ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-』回転王さん&パンピーナさんインタビュー!【対戦動画アリ】_02

パンピーナさん
 圧倒的なプレイヤー性能が特徴で、単発ヒット確認や一点読みなど、強い行動を理想的な内容で使いこなす。『ブレードアークス from シャイニング』では勝率が90%オーバーという凄まじい野試合戦績を誇り、2015年1月には大舞台となる闘会議でも実力を発揮して優勝を飾っている。『ニトブラ』ではイグニスをメインキャラとして選択。本作でも稼働初期からぶっちぎりの野試合戦績を残している。

■おもな大会戦績
闘会議杯争奪! 格ゲートーナメント@闘会議2015 ブレードアークス部門 優勝
闘会議杯争奪! 格ゲートーナメント@闘会議2015 ストIII3rd部門 ベスト4
D-1 ULTIMATE CLIMAX BLADE ブレードアークス 第1回公式全国大会 準優勝
ニトロプラス ブラスターズアップデート記念大会 優勝

■回転王さんインタビュー(取材:7月ころ)

――現在のメインキャラとゲーム内のランクを教えてください。

回転王さん(以下、回転王) 新しく参戦するセイバーに気持ちが移っているところなのですが、いまのところメインキャラは村正でランクはSランクです。

――ホームゲーセンや主戦場はどちらですか?

回転王 ホームゲーセンは池袋GIGOで、週末には秋葉原Heyにもよく行くのでここらへんが主戦場ですね。

――『ニトブラ』の対戦内容の感触はいかがでしょう?

回転王 『ニトブラ』はプレイ内容が雑な人は勝率が低く、考えてプレイしている人は勝率がついてきています。キャラクターの性能に影響される部分はもちろんありますが、強いキャラでも性能に甘えているプレイだと勝率が低いことが多いですね。プレイ感覚としては『ギルティギア ゼクス』に似ているんじゃないでしょうか。あのゲームはFCD(※)という強力な攻撃手段があるからこそ、立ち回りをちゃんと考えているプレイヤーが勝てていました。そういった“一発も食らえない”という緊張感がつねにあるのがおもしろい部分ですね。

※通常攻撃をガードモーションでキャンセルした後に最速でダッシュする行動のこと。高火力コンボや高密度の固めが可能となる、超攻撃的なテクニックだった。

――ゲーム性の特徴はどういった部分に感じていますか?

回転王 やはり高火力コンボを可能にするコンブラ(※)の存在がいちばんの特徴だと思います。最近、自分のまわりではバニシングガードをとらせた後にコンブラを発動するのが流行っているんですよ。バニシングガードをとったほうは、攻撃を出しても、ジャンプしても、バニシングガードを入力しっぱなしにしても、すべてブラストの攻撃判定に負けます。そうするとダメージ補正がほとんどない状態からフルコンを叩き込まれることになり、体力が一気に8割ぐらいぶっ飛ぶんですよね。体力が8割残っている状態でもつねに即死を警戒するという、ほかのゲームにはないシビアな立ち回りが要求されています。あと、キャラクターの個性は出そうとしてる感があります。キャラ性能は基本システム部分でも差がついていて、尖ったところがゲーム性にマッチしているキャラが強キャラになっていますね。たとえば、アンナはバニシングガードの読み合い部分でダッシュ投げができないから弱く、バニシングガードの硬直が短いイグニスは強いです。そういったシステム面の性能差が強弱に直結している部分は特徴的だと思います。

※攻撃をキャンセルして発動するブラストの俗称。
相手のブラスト封印、前方回避キャンセル対応技の増加、ゲージの自動増加などの効果がある。

――メインキャラの村正の使用感はどうでしょう?

回転王 村正は空中戦がいいですね。空中回避の硬直が少なく、使用後にすぐ攻撃を出せる性能がおもしろくて、蜘蛛の鋼糸を使って空を自由に飛びまわりながら戦っているうちは強いですよ。ただ、近距離戦では相手のガードを崩す手段に乏しいので、殴り合いの部分が足を引っ張っている感じです。

――対戦での得意キャラ、苦手キャラはいますか?

回転王 得意キャラはモーラと沙耶です。モーラは上位キャラの中では得意なほう、といった感じ。近づかれても崩されにくく、遠距離からいきなり攻撃が飛んでくることがないので村正主導のペースになりやすいんですよ。モーラは本体だけでもコンボ火力があるから一発当てられたらキビシイけど、“当てられなければ問題ない”というのを実際にできる組み合わせです。ほかのキャラが相手だと空対空が強かったり、地対空で困らされたりして立ち回りで押されがちなんですが、モーラ戦では村正が空にいればどうってことないんですよね。沙耶もほとんど同じ理由で、機動力が低いから追いつかれません。それがすべてです。苦手キャラはアイン、イグニス、ルイリーあたり。アインとイグニスはコンボ火力、起き攻め、立ち回り、全て負けている形になってしまうので苦手な相手です。とくにアインは純粋に村正の上位互換だと感じています。ルイリーは村正の行動すべてにフルコンのリスクを負わせることができて、それをケアしていると村正が出せる攻撃がなくなってくる点で苦戦してますね。

――今後の課題はどういった点でしょうか?

回転王 大会を意識したプレイ内容の部分です。『ニトブラ』はなるべく読み合わないのが安定する秘訣なのですが、野試合は寒いプレイをしていると干されてしまうので、読み合いに付き合うことも多いんですよ(笑)。そういったふだんのプレイ内容を、重要な試合でどれぐらい裏切れるかが課題ですね。

――CPU戦などでの個人練習は何をしていますか?

回転王 村正はヴァリアブルラッシュが難しいのでルート確認をしたり、キャロルを用いたコンボ練習をやっています。対戦では相手にチャンスを与えない冷たい立ち回りをするのが仕事なので、個人練習だと起き攻めやセットプレイよりもコンボ練習がメインになりますね。相手キャラやプレイヤーの調子を見てサポートを変えて対応できるように、使用したいサポートの組み合わせ別にある程度コンボを調べていますよ。

――本作で注目しているプレイヤーはいますか?

回転王 強いて言えばアル・アジフで頑張っているタロウです。アルの弱さに萎えてはいるけどゲームにひたむきに取り組んでいるので、「がんばれよ」みたいな(笑)。あとは沙耶使いのセガワ君。彼は確か『電撃FC』から格闘ゲームを始めて、『ニトブラ』で初めて全国決勝大会に出場します。そういう若い芽には注目ですね。

――ズバリ、『ニトブラ』が上手くなるコツは何でしょう?

回転王 システム理解と、読み合いをしないことです。バニシングガードを狙って運に頼りがちな人が多いけど、対の選択肢を食らったら死んでしまうようなときはバニシングガードしちゃダメなんですよ。皆火力が高く、2コンボで死ぬのに、そんな読み合いをしていたら安定するわけがありません。読み合いをしないようにスキのない行動を主軸に戦えると安全な位置に居ることが多くなり、そうすると相手が勝手にスキを見せてくれるので、そこを狙えるといいですね。なるべく後出しを狙うのがコツです。

■回転王さんの考えるキャラランク
S アイン イグニス
A+ ルイリー
A モーラ 
B アル 村正
C さや アンナ

メインキャラの村正視点での評価なので留意して欲しい。A+のモーラは世間的な評価ではもっと上かもしれないが、一発を食らいにくく戦いやすいのでこの位置。同じくインタビューで得意キャラに挙げていた沙耶はCランクに。沙耶は機動力がないので相手主導の立ち回りになるが、村正のように逃げまわりならともかく、このゲームで全部受けきるのは無理だからつらそうとのこと。沙耶を対策している人が少なく、殴りあいのキャラには勝てるかもしれないが、キャラ性能のポテンシャルは高くないとの評価をしている。なお、火力と起き攻めが強く、バニシングガードの読み合いをしなくていいアインがこのゲームで最強だと語っている。