国内初の大規模テストを実施

 2014年10月31日から11月5日にかけて、2015年春にプレイステーション4/Xbox One/PCでの発売が予定されている『Evolve(エボルブ)』のクローズドアルファテスト“Evolve BIG ALPHA”が各プラットフォームで随時実施された。『Evolve(エボルブ)』は、プレイヤーが巨大モンスターとハンターに分かれて戦う対戦型FPS。日本国内ではこれまでにメディア向け体験会(⇒関連記事はこちら)や、東京ゲームショウ(⇒関連記事はこちら)で限定的にプレイアブルデモが公開されたが、多数の一般ユーザーが参加する大規模なテストが行われたのは今回が初めてだ。

『Evolve(エボルブ)』クローズドアルファテスト体験リポート モンスター vs. ハンターで対戦する新機軸のFPS_01

 アルファテストでプレイしたのは、『Evolve(エボルブ)』のメインモードでもある“ハント”モード。架空の惑星“シアー”を舞台に、ひとりのプレイヤーが巨大モンスターを、4名のプレイヤーが人間のハンターを担当して対戦する。モンスター側はハンターを全滅させるか、ダムのマップでジェネレーター(発電機)を破壊すると勝利。一方のハンター側は、モンスターを倒すか、時間終了までジェネレーターを守り切れば勝利となる。

『Evolve(エボルブ)』クローズドアルファテスト体験リポート モンスター vs. ハンターで対戦する新機軸のFPS_02

希望するクラスやモンスターの優先順位を決めて対戦スタート

 対戦を始めるまえに、モンスターとハンター(アサルト、トラッパー、サポート、メディック)の中から、希望する役割の優先順位を1~5位まで決める。このランキングに従って、対戦が始まるときに各プレイヤーの役割が優先的に割り振られるわけだ。アルファテストをプレイしたかぎりでは、優先順位の1~3位に当たりやすく、4~5位の役割が割り当てられることはほとんどなかった。いったん役割が決まれば、あとはそのグループから抜け出さないかぎり、基本的に同じ役割のままプレイを続けられる(まれに役割が変わることはある)。ほかの役割を担当したい場合は、つぎの対戦を待つあいだに希望優先順位を変えるか、いったんグループから抜け出して、他のグループを探すことになる。

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モンスター側は接近戦タイプのゴライアスでスタート

 今回のテストでは、モンスター側のキャラクターとしてゴライアスとクラーケンが用意された。ただし、初めに選べるのはゴライアスのみ。モンスター側でプレイをくり返して獲得ポイントが溜まると、新しい特殊能力(Perk)や使用キャラクター(クラーケン)がアンロックされていく仕組みだ。

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 対戦を始める前に、モンスター側のプレイヤーはアビリティにポイントを割り振って、初めに利用するアビリティを決める。アビリティは全部で4種類あるが、3ポイント分しか割り振れないため、最初から使えるアビリティは3種類まで。また、ひとつのアビリティにポイントを多く割り振って、アビリティのレベルを上げることもできる。ポイントをまんべんなく割り振ると、使用できるアクションは増えるがダメージは平均的。ポイントを特定のアビリティに多く割り振ると、使えるアクションは少なくなるが、ダメージや攻撃範囲がレベルアップして強力になる。ちなみに、初めに操作するゴライアスは、下記のようなアビリティを持つ。怪力と俊敏な動きを得意とする接近戦タイプのモンスターだ。

■ゴライアスのアビリティ
Rock Throw ‥‥ 丸い岩を投げつける。

Leap Smash ‥‥ ジャンプしたあと着地して衝撃波を放つ。

Fire Breath ‥‥ 口から炎のブレスを吐く。

Charge ‥‥ 突進して進路上の標的を蹴散らす。

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▲アビリティ選択。
▲アビリティ使用。

 初めは使えるアビリティが限られてしまうが、モンスターは野生動物をくり返し倒して食べることで、最大ステージ3まで進化する。進化するたびに身体が巨大化し、体力もアップ。さらにアビリティポイントを獲得できるので、ポイントを割り振って新たなアビリティを獲得したり、習得済みのアビリティをレベルアップできる。もちろん、進化したほうが有利に戦えるので、序盤はハンターの追跡から逃れ、進化をくり返すのが基本戦略だ。

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モンスターが最終段階まで進化するのは至難の業

 モンスターはハンターよりも30秒早くプレイを始められるので、さっそく基本セオリーに従って、近くの野生動物を狩っては食らい続ける。大型の野生動物を食べるほうが進化ゲージが大きく上昇するが、ステージ1のモンスターでは倒すのに時間がかかってしまうため、序盤はより倒しやすい小型~中型の野生動物を狩るほうが効率的だった。

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 ゲーム開始から30秒後、降下してきたハンターの追跡が始まるので、以降はスニーク移動を活用して野生生物を探す。スニーク移動は通常よりも移動スピードが遅くなるが、ハンターが追跡の目印にする足跡を残さず、鳥の群れが驚いて騒ぐのも防げる。隠密行動に徹することで、ステージ2まではだいたい進化できるのだが、最終形態のステージ3まで進化するのがなかなか大変。ハンターは嗅覚でモンスターを追跡するペット(デイジー)を連れていることが多いため、スニーク移動していても時間が経つと確実に見つかってしまう。発見されてもうまく逃げ切れればいいが、いったん接触してしまうと、追跡を振り切るのむずかしい。とくに、マップの形状がよく把握できていないあいだは、どこへ逃げたらいいのかスメル(匂いをかいで付近の生物の存在を察知するアクション)を実行したら近くにハンターがいた、ということもある。実際、他のプレイヤーがモンスターを担当した対戦でも、ステージ2で決着がついてしまうことが多く、ステージ3まで進化するケースは少なかった。モンスターがステージ3まで進化すると、(もちろんプレイヤーのテクニックによるところも大きいが)体力やアビリティがかなり強化されるので、モンスター側の勝率も大幅にアップする。

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ハンターも経験を積むことで戦いが有利に

 ハンターもモンスターと同じく各クラスに2名のキャラクターが用意されていたが、初めに選べるのは1名のみ。アサルトはMARKOV、トラッパーはMAGGIE、サポートはHANK、メディックはVALというキャラクターから始める。ハンターは4種類すべての装備が初めから使用可能。装備は固定だが、対戦を始める前に特殊能力(Perk)をひとつだけ選べる。初めはひとつの特殊能力しか選べないが、同じクラスを繰り返しプレイしてポイントを獲得すると、新しい能力がアンロックされて選択肢が増える。取得する特殊能力はキャラクターによって異なるが、ジャンプ力がアップしたり、ジェットパックの使用時間が延びたり、武器の切り替え動作が素早くなったりと、バリエーションは多彩だ。

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『Evolve(エボルブ)』クローズドアルファテスト体験リポート モンスター vs. ハンターで対戦する新機軸のFPS_11
▲キャラ選択。
▲アンロック。

■各ハンターの特徴
MARKOV(アサルト) ‥‥ 威力の大きい近距離武器Lightning Gunや、威力は低いが射程の長いAssault Rifleで攻撃する。一時的に自分を無敵化するPersonal Shieldを装備。
フィールド上に地雷Arc Minesを設置することもできる。

MAGGIE(トラッパー) ‥‥ 短機関銃Machine Pistolを装備しているが、専門はモンスターの追跡と捕縛。犬型モンスター“デイジー”を連れて、モンスターの跡をにおいでたどる。Mobile Arenaでモンスターを一定のエリア内に閉じ込め、Harpoon Trapsでモンスターを拘束する。

HANK(サポート) ‥‥ 攻撃面では、Laser Cutterでモンスターを切り刻み、Orbital Barrageで空爆を加えることが可能。防御面では、Shield Projecterで味方ひとりを一時的に無敵化したり、Cloaking Fieldで自身と周囲の見方の姿を消すことができる。

VAL(メディック) ‥‥ Medgunで味方ひとりを集中的に回復、Healing Burstで自身と周囲の味方を一度に回復させる。Armor-piercing Sniper Rifleは、モンスターの頑丈な皮膚に穴を開けて一時的に弱点をつくり出す効果あり。Tranquilizer Gunはモンスターを一時的に弱体化させる。

ハンター側は役割を生かした連携がポイント

 ハンター側のゲームプレイは“モンスターを追跡→発見→捕縛→戦闘→(モンスターに逃げられたら)ふたたび追跡”という流れになる。トラッパーがモンスターを追跡・発見・捕縛を担当し、アサルトが攻撃、メディックが回復、サポートが状況に合わせて攻撃・防御を支援する。

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 モンスターの追跡は、トラッパーの初期キャラクター・MAGGIEが連れているデイジーの嗅覚に頼ることが多かった。しかしデイジーの移動がハンターよりも遅れがちなうえに、途中で立ち止まってしまうこともしばしば。どちらかといえば、ハンターが散らばってモンスターの足跡を探すほうが手っ取り早いので、デイジーの追跡能力をもう少し上げてほしいところ。ただし、デイジーの名誉のためにも断っておくと、戦闘中の回復支援能力はたいしたもので、体力が減って倒れたとき、仲間に来てもらえなくてもデイジーの回復で救われたことが何度かあった。

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 ハンター側でプレイしていて、思いのほか影響が大きかったのは、めまぐるしく変わる天候。一度の対戦時間はおおむね10~20分程度だが、そのあいだに何度も激しい雨や雪が降りそそぎ、急に視界が悪くなる。モンスターの追跡がむずかしくなるのはもちろんだが、交戦している真っ最中でも、障害物や高低差の激しい地形のせいでモンスターの姿を見失いやすい。そのため、ハンター側でプレイするときは、モンスターのおおまかな位置を指定して仲間に教えるマーキングの操作も重要。ハンター側プレイヤーが頻繁にマーキングを行うと、味方どうしでまとまりやすく連携もスムーズだった。

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 また、野生生物もハンターにとっては厄介な存在。巨大な食虫植物に食べられる、小型動物にしつこく追いかけられる、頭上からいきなり大型動物に踏みつけられる……と、想定外のハプニングに見舞われることがたびたびあった。モンスターを追跡しているあいだも気を抜けないのだ。

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遊べば遊ぶほど味が出るゲーム

 操作方法がシンプルであることと、モンスターや各ハンターの個性がハッキリと分かれているためか、どのプレイヤーもゲームに早く馴染んでいた様子。ハンターどうしの連携も、早い段階でできるようになる。ただし、より緊密に連係するなら、ボイスチャットがないときびしい。たとえば追跡中、野生生物に捕らえられたとき、ボイスチャットを利用できないと仲間に救援を求めることすらできない。仲間が気づいてくれることを祈っているあいだに倒れたり、気づいたら仲間が倒れたていた……ということはよくあった。ボイスチャットを利用しないユーザーのために、ボタン入力式の簡易チャット機能がほしいところだ。

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 成長要素に関しては、同じハンターやモンスターを使い込むと新しい特殊能力がアンロックされていく。ただし、対戦時に選べる特殊能力は1種類だけで、能力そのものを強化するというより、プレイスタイルに合わせて強化する項目を変えられる程度。アルファテストをプレイしたかぎりでは、成長要素で先行プレイヤーが圧倒的に有利になるような印象は受けなかった。むしろ、マップの地形を把握したり、装備を使い分けたり、敵の攻撃をかわしたりと、プレイヤー自身が知識をテクニックを磨いて強くなる楽しみのほうが大きい。やればやるほど、キャラクターの能力を活かす楽しさが味わえるので、長く楽しめるゲームになると感じた。

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