『カオスチャイルド』がXbox One用タイトルとして発売決定!【Xbox One・キーマンインタビュー/志倉千代丸氏】

“科学アドベンチャー”シリーズ最新作『カオスチャイルド』の対応ハードが、Xbox Oneであることが判明! そこで、同シリーズの企画・原案を手がける志倉千代丸氏に緊急インタビューを敢行した。

●『カオスチャイルド』はXbox Oneで出すのが自然な流れかなと

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MAGES. 代表取締役社長
志倉千代丸氏

 “科学アドベンチャー”シリーズの最新作で、1作目『カオスヘッド ノア』の6年後にあたる2015年を描いた『カオスチャイルド』が、Xbox One用タイトルとして発売されることが明らかになった。今回、“科学アドベンチャー”シリーズの企画・原作を担当し、Xbox 360でも多くのアドベンチャーゲームを発売してきた5pb.を率いる志倉千代丸氏に、同作とXbox Oneに対する意気込みを聞いた。

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--さて、ついに『カオスチャイルド』がXbox Oneで発売されることが発表になったわけですが、まず、Xbox Oneの参入に至った経緯を教えてください。
志倉千代丸氏(以下、志倉) Xbox 360で『カオスヘッド ノア』を“科学アドベンチャー”シリーズとしてリリースしていた歴史もあるので、「Xbox Oneで出したいよね」というのは自然だと思います。恐らくユーザーはつながってくると思うので。昨年のE3でXbox OneとPS4が発表されましたが、PS4の発表のほうが単体で100ドル安いとかなど、一般的にインパクトがありました。でも、僕はそのときもXbox Oneのピントがズレているとは思っていなくて、「やっぱりXbox Oneで出したいよね」という考えは変わりませんでした。
--タイトルが発表されたのは、2013年11月23日の“Live5pb.2013”が初出ですよね? そのときも「Xbox Oneで出す」のは決まっていたと?
志倉 はい、じつは決まっていました。もっと言えば、昨年のE3でXbox Oneとプレイステーション4が発表された瞬間に決まっていたのだと思います。あのときは、正直PS4のほうが100ドル安いなど、インパクトがありましたが、何よりも『カオスチャイルド』は『カオスヘッド ノア』からのつながりもありますからね。そこがやっぱりいちばん重要です。小さくてもいいので、Xbox Oneのゲームジャンルとして、テキストアドベンチャーの市場が目に見えて形成できるくらいにはしていきたいと思っています。最初はたいへんでしょうが、ハードとソフトはそうやって成長し、関係を築いていくものですからね。
 あ、それから、MAGES.には、Xboxのファンも多いんですよ。ご存じのとおり、浅田(誠プロデューサー)とか、盛(政樹プロデューサー)とか(笑)。
--では、改めて『カオスチャイルド』について教えてください。
志倉 2009年の渋谷が舞台の『カオスヘッド ノア』、そこから6年後の2015年が舞台になります。2009年に崩壊した渋谷はその後どうなっているのか? そこはやっぱり気になるし、どうしても描きたかったんですよ。あれからどのように復興を遂げているのか? そのまま放ってはおけないですよね。『シュタインズ・ゲート』で巻き起こる事件は、何もなかった世界線へと終息しているので、主人公の岡部倫太郎のような能力者でない限り、誰も気づけないまま、エンディングになっていくわけです。その点、『カオスヘッド ノア』の物語は、確実に“爪痕”を残していますよね。その“爪痕”という大きな伏線を本作で回収したいのです。
--『カオスヘッド』の“その後”を描くというのは、以前から予定していたことなのですか?
志倉 もちろん、最初から計算ずくですよ! いや、ウソです(笑)。それこそ『シュタインズ・ゲート』の劇場版も最初から計算していたわけではなく、まだやり残したネタのいくつかからセレクトしたのうな感じなんですからね。『カオスヘッド ノア』でも、「その後をどうしようか?」という話はもちろんあったのですが、完全に主人公やヒロインも変えて、新しい『カオス』シリーズを作ることになるとは、当時は考えていませんでした。
--なぜ2016年なのですか?
志倉 世界線が分岐したポイントというのは無限にあるわけですが、シリーズ的に重要視しているのは1990年の湾岸戦争や2000年問題などがあります。その後、2009年に『シュタインズ・ゲート』、2010年に『カオスヘッド ノア』があり、2019年には近未来の物語として『ロボティクス・ノーツ』を描きました。当然ながら、2010年から2019年のあいだにも世界線の分岐は無限にあります。渋谷の復興を描くなら、このなかの時間がいちばんリアリティがあると考えて設定しました。
--『カオスヘッド ノア』を知らない人でも遊べますか?
志倉 前作を知っている人のほうがニヤリとできる場面は多いかもしれませんが、本作のなかでも必要な情報は、物語のなかに織り込んであるので、単体でも十分に楽しめる構造になっています。キャラクターも一新されていますので、完全な新作として捉えてもらってかまわないと思います。


●ハイスペックマシンとロースペックマン

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--ちなみに、Xbox Oneの第一印象はいかがでしたか?
志倉 アドベンチャーゲームの制作に限って言えば、そこまでハイスペックを求めるわけではなく、僕たちは8ビットでも制作できる立ち位置ですが(笑)、第一印象は、「とにかくメモリ容量が大きい! これはイケる」と思いました。実際に発表されたスペックも聞いていた数値とほぼ同じで、(海外での)価格についても想像通りでした。
--Xbox Oneには新型Kinect同梱版も発売されるわけですが、それについては?
志倉 MSさんに怒られそうですが、個人的にはKinectを推しているわけではないので、正直言って「なくてもいいな」と思いました(笑)。日本では、とくに都心部ではKinectを使えるスペースを手軽に確保することがなかなかできないんですよね。それから、Kinectのゲームって、いわゆるストイックに攻略するようなものではなく、操作性が大味ですよね。なんか、あれがしっくりこないんです。まぁ、これはKinectに限らず、任天堂さんにも、SCEさんにも、モーションコントローラ全般に言えることですが。モーションコントローラって、昔のファミコン時代の“光線銃”みたいな感覚なんですよ。ときどき、引っ張り出して遊べればいいかな? 的なポジション。
--では、Kinectの音声認識についてはいかがですか?
志倉 これら約20年前だったらスゴイですよね。それこそもっと昔は、“床を叩く”とか“壁を叩く”ときに、“それはできません”とコンピュータから返答があるだけで楽しかった。
ゲームと“対話しているだけで十分に楽しめて、おまけに優越感まで感じられる時代”が合ったんです。でも、音声認識にはそれほど新しさがないんですよね。この機能を古くから搭載していたカーナビも音声認識を使用しない人が多いですし。それを考えると、ゲームも近い状況になるのではないかと思いますね。
--では、Xbox Oneの日本市場について、どうなってほしいと思っていますか?
志倉 やはり世界規模でみると、マイクロソフトさんのなかで日本市場に対する期待値がどんどん低くなっていると思うんですよ。市場規模や人口比率で考えると、それは仕方ないことですが、もう少しプライオリティを上げていただきたいですね。ゲームの歴史をたどってみれば、日本ほど発明家の多い国はないわけで、そんなゲームの天才大国を後回しにしていたら、やっぱりダメだと思うわけです。日本のカルチャーというのは、すごく繊細で緻密で、そのなかでモノ作りを考えて「日本で流行っている○○を僕たちもやりたい」と外国の方から注目してもらえるような、日本発のIPを作りたいし、それに協力してほしいですね。
--ちょっと話がそれますが、Oculus RiftやProject MorpheusについてもKinectと同様のご意見ですか?
志倉 かなり衝撃的な体験ができるので、最初は“アトラクション的”に受け入れられると思います。でもこれも先ほど言った“光線銃”同様の“ときどき遊べれば”シリーズですね(笑)。3D酔いが激しい僕なんて、ものの10分でフラフラですから。


●そろそろ“300人委員会”と対決!?

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--気になる『カオスチャイルド』の開発状況はどんな感じでしょうか?
志倉 今回は、過去の作品に比べてもシナリオの執筆に時間がかかっています。これは、チーム制で開発しているからなんですね。これまでは、ほぼ僕と林(直孝氏)で作っていたものを、複数のチーム制にして、短期間でできないかとチャンレジしました。というのも、2年に1タイトルしか出せないスケジュールがイヤなんですよ。最低でも1年に1タイトルくらいは出していかないと、“ゲーム業界の赤川次郎”にはなれない(笑)。というのは冗談で、つぎの作品が遠すぎると、作品を追いかけるのがおっくうになってしまうと思うんです。なので、クオリティを下げずに、制作期間をキュッと圧縮するためにチーム制を敷いたのですが、今度はコンセンサスの問題で、逆に時間がかかってしまっています(笑)。僕が最初に出したアイデアが意図しない方向に進んでしまったりして、スタッフとのキャッチボールに思いのほか時間がかかってしまった感じですね。
--とはいえ、もうほぼでき上がっていますよね?
志倉 シナリオについてはそうですね。ただ、作り直したくなってしまうんですよ。“おもしろい”は人それぞれですから、何が“おもしろい”かの価値観をみんなですり合わせていくわけです。このあいだも、新しいアイデアを伝えたら、「そこはもう音声収録しているので変えられません」と言うので、ギリギリのところであがいて、もがいて作っていますよ。
--発売前に体験会やイベントのようなものは行いますか?
志倉 リアルな背景を持ったシリーズ作品なので、その聖地でなにかできたらいいなとは思っていますが、僕自身、滅多に行かないんですよね(笑)。でも、無料で遊べる体験版のようなものは検討しています。これだけでも、かなりのボリュームになるかと思います。
--『カオスチャイルド』以降の“科学アドベンチャーシリーズ”について、構想はありますよね?
志倉 “科学アドベンチャーシリーズ”第○弾と重なってしまうほど、最初のほうを遊んでいない人にとって、どんどん敷居が上がってしまうんですよ。だから、いずれなんらかの区切りはつけたいと思っています。たとえば、“科学アドベンチャー”シリーズキャラクター大戦とか(笑)。ある意味、みんなちょっとした能力者ですから、彼らが集まって“300人委員会”と対峙して、どう決着をつけるのか。そろそろ“300人委員会”をやっつけないとダメかなと。
--現在のゲーム業界全体についての印象は?
志倉 スマホ・ソーシャル系と家庭用ゲームは、2年くらい前は大きく区別されていました。両者がひとつになっていくのが、これから先2,3年のシナリオだと思います。スマホのスペックはPS Vitaをすでに追い越していて、スマホのほうがリッチなゲームを遊ぶこともできるようになるわけです。家庭用ゲームを作っている側も、課金モデルを徐々に取り入れ始めています。ふたつの業界がお互いを意識して、成功と失敗を重ねてひとつになりつつあるのです。ガジェットはスマホでも、中身はコンシューマ並のソフトじゃないと満足しなくなってくると思います。ふたつの業界がひとつになっていくのを、どのように捉えるかだと思いますね。これからは“共存”。ゲーム業界のいちばんの優位性は、原点回帰で「十字ボタンが付いている」ということですね。この5年間、モーションコントローラや音声認識など、いろいろな方向に“迷走”したわけですが、結局は十字ボタンというあの大発明に戻るんです。今後、スマホと十字ボタンをくっつけるようなガジェットが出てくると思いますが、そうなると本当にひとつですよね。
--では、最後にファンの方へメッセージをお願いします。
志倉 Xbox 360もそうですが、Xbox Oneは純粋なゲーム機であって、メディアプレイヤーではないというところが、やはり今回も注目ポイントでしょう。Xbox Oneを買うということは、ゲームをプレイするためだけに買う人が多いわけです。もちろん僕も買うので、ゲームを楽しみたい者どうしで、ネットやコミュニティを通じて、ゲームやXbox Oneについて語り合いたいですね。



カオスチャイルド
メーカー 5pb.
対応機種 Xbox One
発売日 未定
価格 未定
備考 企画・原作:志倉千代丸、プロデューサー:松原達也、メインキャラクターデザイン:ささきむつみ、サブキャラクターデザイン・制服デザイン:松尾ゆきひろ、メインシナリオライター:梅原英司、シナリオ監修:林直孝、演出:若林漢二、音楽:阿保剛、ディレクター:松本裕介、協力:ニトロプラス

(c)2014 MAGES./5pb./Nitroplus/RED FLAGSHIP/Chiyo St. Inc.
※画面は開発中のものです。