“キャラクターIPの積極的な活用”としてNPFも展開

 既報の通り(⇒記事はこちら)、任天堂が平成26年(2014年)3月期の決算短信を発表。それにあわせて行われた、岩田聡代表取締役社長による決算説明会の模様が、任天堂の公式サイトに公開された。ここでは、その概要を紹介しよう。

 前期まで3年連続の営業赤字となった任天堂。岩田氏によると「4期連続の営業赤字は許されることだとは考えておりませんので、今期は、収支バランスの回復を優先する年と位置づけています」とのこと。そのために、ニンテンドー3DSでは、『大乱闘スマッシュブラザーズ for NINTENDO 3DS』や『ポケットモンスター ルビー・サファイア』、Wii Uでは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』などを投入予定であることが、改めてアナウンスされた。また、1月の経営方針説明会で明言された(⇒関連記事はこちら)、“Wii U GamePadがあるからこそ実現できるソフトタイトル”の具体的な進捗については、6月にロサンゼルスで行われるE3でお伝えする予定とのことだ。

 おつぎは、同じく1月の経営方針で明らかにされた、経営環境の変化に対応する“新たな取り組み”について。気になる“スマートデバイスの活用”については、任天堂がスマートデバイスをどのように活用するのかということを具体的に示すアプリの最初のバージョンを年内にリリースする予定とのこと。

『マリオカート8』のプレイ動画がスマホやPCでも閲覧可能に さらに任天堂のスマートデバイスの活用例を示すアプリは2014年内にリリース予定_01

 一方で、全世界で5月に発売されるWii U向け『マリオカート8』には、自分のレースのハイライトシーンの映像を投稿して、インターネット上で共有することができるようになる“マリオカートTV”という新機能が搭載予定で、さまざまな魅力的なシーンや攻略情報などを“任天堂公式動画”として発信することも計画中。これらをゲーム機でプレイしていないときでも活用できるようにするために、スマートデバイスやPCなど、利用している媒体に適した画面レイアウトで見られるWebサービス“マリオカートTV(仮称)”を『マリオカート8』の発売と同時期に展開する予定とのことだ。“マリオカートTV(仮称)”は、ニンテンドーネットワークID(NNID)を持っていなくても利用できるが、NNIDを使ってログインすると、自分のランキング、自分のフレンドの共有した動画、自分の参加している動画などを簡単に探すことができるようになり、外出先でもスマートデバイスで便利に使えるとのことだ。

『マリオカート8』のプレイ動画がスマホやPCでも閲覧可能に さらに任天堂のスマートデバイスの活用例を示すアプリは2014年内にリリース予定_02

 さらに、“キャラクターIPの積極的な活用”に関しては、この年末商戦から、ビデオゲームと連動する、NFC※機能を埋め込んだフィギュア群を展開することを明らかにした。任天堂では、これらの商品群をNFPと呼んでおり、NFP自身がひとつのプラットフォームとして、任天堂プラットフォームで展開していく複数のソフトとの連係を前提に設計されている。NFPには、読み込みだけでなく、書き込みの機能もあるので、どのフィギュアがWii U GamePad上に載せられたのかがわかるだけではなく、ゲーム固有のコンパクトなデータを読み書きすることも可能。「これにより、自分のNFPをカスタマイズして、自分だけの任天堂キャラクターを育成する、というようなことが可能になっていく予定です」とのことだ。この年末商戦に発売する予定のNFPに関する詳細については、E3で具体的な対応ソフトや、展開するNFP商品の展示と併せて、詳しく紹介される予定だ。

※NFC……Near Field Communicationの略。近距離無線通信技術

 あわせて、任天堂では、来年前半の発売を目指して、ニンテンドー3DSシリーズ向けのNFCリーダー・ライターの開発を進めていることも明言された。

 なお、1月の経営方針で明らかにされた、来期に事業化を計画している“QOLを楽しく向上させる”新事業領域への挑戦など、中期的なテーマにしているものについては、年内に具体的な内容について説明がされるとのことだ。

 岩田社長による決算説明会の詳細に関しては、任天堂の公式サイトでご確認を。