「自社ハードを捨てて、ほかのプラットフォームに軸足を移すことは考えていない」
任天堂のホームページにて、“経営方針説明会 / 第3四半期決算説明会”の資料が公開された。既報の通り、任天堂では、平成26年3月期第3四半期決算短信を発表し、“年末商戦期の伸びが限定的”で15億円の営業損失を計上したが(⇒関連記事はこちら)、この資料は、岩田聡取締役社長が、同社の新たな事業戦略を示したもの。
岩田氏は、任天堂が、「“ハード・ソフト一体型のビデオゲーム専用機プラットフォームを経営の中核とすること”は、今後も変わらない」ことや、「いままでと変わらず、将来のために新しいハードの研究開発も進めているし、任天堂が自社ハードを捨てて、ほかのプラットフォームに軸足を移すということも考えていない」とした上で、Wii Uやスマートデバイス、さらに新規事業領域への挑戦について説明している。概要は以下の通り。
■Wii U関連の戦略
・Wii U GamePadの存在意義を徹底的に高める。Wii U GamePadに標準搭載されているNFCリーダーライター機能を徹底活用する提案については、6月にロサンゼルスで開催されるE3で披露する予定。初夏に予定している本体更新で、Wii U GamePadで高速起動メニューを実現する。
・Wii U GamePadで、ニンテンドーDSのバーチャルコンソールを実現するための技術的なハードルを解決する目処もついた。
・2014年Wii Uの軸となる『マリオカート8』は、全世界で5月に発売する。「ここで大きな盛り上がりをつくるべく、『マリオカート8』発売が単発のイベントにならないようにしたい」とのこと。
■スマートデバイス関連の戦略
・任天堂のつくってきたソフトを単純にスマートデバイスに供給するなど、スマートデバイスで直接ビジネスを展開するアプローチはとらない。スマートデバイスを通じてユーザー(今後新しくユーザーになる人も含む)とのつながりをつくり、それを通じて任天堂プラットフォームの娯楽の魅力を伝え、任天堂プラットフォームに参加してもらうきっかけをつくる。社内の精鋭人材を投入し、2014年内にサービスを開始。
・ユーザーとのつながりを、ニンテンドーネットワークIDを通じて一元管理していく。“ニンテンドーネットワークIDを通じたユーザーとのつながり”を任天堂プラットフォームと再定義することで、“プラットフォームがハードに縛られず仮想化される”。
・ゲーム機上で実現してきたサービスの中で、スマートデバイスで実現したほうが、使い勝手やユーザーの体験をより改善できるサービスについては、重点をスマートデバイスに移していく。
■新規事業領域への挑戦
・任天堂がこれからの10年で挑戦することは、「人々のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を楽しく向上させるプラットフォームビジネス」。最初のステップは“健康”。
・“ノン・ウェアラブル(身につける必要がない)”ということを特徴とする新たな領域で、ハード・ソフト一体型プラットフォームビジネスを実現したい。
・このQOL向上プラットフォームへの新たな取り組みは、ユーザー層拡大路線をさらに前進させることを目指すもの。健康を意識する人口を拡大して、それが任天堂ユーザー層の拡大につながるという構造を目指す。