ディレクターの伊津野氏に訊く!
カプコンの人気RPG『ドラゴンズドグマ』が本格的RPGとなってiOSに登場。その壮大な世界に迫る! 今回は、シリーズの産みの親である伊津野英昭氏に、『ドラゴンズドグマ クエスト』の開発秘話を語っていただいた。
緊急告知! 『ドラゴンズドグマ クエスト』では、おなじみのパズルゲーム『パズル&ドラゴンズ』との夢のコラボを実施中。期間は2013年9月29日 13時までなので、いますぐお試しあれ!
のメタルドラゴンの姿をした島“メタドラ島”が『ドラゴンズドグマ クエスト』の世界に登場する。多彩なダンジョンがてんこ盛り。
伊津野英昭氏
カプコン・第四開発部MC第一開発室室長/エグゼクティブディレクター。代表作は『ドラゴンズドグマ』、『デビルメイクライ』シリーズ、『カプコン vs SNK』シリーズ、『私立ジャスティス学園』シリーズ、『ストリートファイターZERO』など多数。
すべてが“初めて”だった携帯ハードのゲーム開発
──『ドラゴンズドグマ クエスト』(以下、『DDQ』)は、どのような経緯で開発がスタートしたんですか?
伊津野 『DDQ』は、最初から携帯ハードでの常時オンラインゲームとして開発がスタートしました。本格RPGをお手軽にプレイするという企画と、ゲーム性の高い戦闘シーンのあるダンジョン攻略ゲームの企画が合体する形で誕生しました。結果的に、フレンドのプレイヤーを貸し借りする点や、広いフィールドを開拓していく点、そして非常に高い攻略性の部分が、『ドラゴンズドグマ』の世界観にマッチしたので、現在の形に発展して行きました。
──開発期間はどれくらいかかりましたか?
伊津野 構想期間を含めても、1年かからないくらいです。実制作期間は、8ヶ月ぐらいでしょうか。コンシューマ版『ドラゴンズドグマ』の開発終了後、チームのメンバーで携帯ハード向けのアイディアをたくさん出し合って出来上がりました。“手軽に遊べるRPG”という面だけではなく、“オンライン専用フリートゥプレイ”という面でも合理的なアイディアになっていると思います。
──コンシューマ版『ドラゴンズドグマ』の続編として、こだわったことは?
伊津野 大事にした部分は、コンシューマ版と同じです。モンスターのデザインや世界観などに納得のいく、気持ちの良いファンタジー世界にしました。グラフィックに関しては、リアルだけどリアルすぎないように気をつけました。また、考えてプレイするとより楽しくなるようなゲーム性を随所に入れ込みました。覚者(主人公)とドラゴンの関係や、登場人物にも注目していただきたいですね。
──とくに苦労したことはありますか?
伊津野 あらゆることが初めてでしたので、すべてにおいて苦労しました。「発売したら終わり」だったコンシューマのゲーム開発と比べて、すべての考え方が異なるので、価値観が根元からひっくり返りましたね。現在もサービス中なので、まだまだその苦労が続いています(笑)。
『ドラゴンズドグマ』の基本コンセプトを受け継ぐ独自のゲームシステム
──『DDQ』とコンシューマ版『ドラゴンズドグマ』とのつながりは?
伊津野 ポーンや覚者の設定、そしてこの世界におけるドラゴンの存在という、『ドラゴンズドグマ』の特徴的な世界感はそのままです。ですので、コンシューマ版をプレイしていただいている方は、(作品世界に)非常に入りやすいと思います。また、メルセデスなどのおなじみのキャラも登場しますし、モンスターの攻略法も似ていたりするので、経験が生かせると思いますよ。もちろん、コンシューマ版が未経験の方も、ゲームのルール自体は簡単ですので、すぐに慣れると思います。
──『DDQ』もコンシューマ版と同じように、クエストを通してストーリーが展開しますが、エンディングは存在するのでしょうか。
伊津野 もちろん、エンディングはあります。順次、エリアやストーリーを追加配信していく予定です。新キャラクターもどんどん登場しますよ。今回のドラゴンは、いったいどんな目的で現れたのでしょう? 結末をお楽しみに!
──フィールドを指でなぞって探索するシステムは、コンシューマ版の広大なオープンワールドでの冒険を思い起こさせますね。
伊津野 「何が冒険の本質か?」を考えて、オープンワールドをいかに携帯機で味わうかにこだわりました。『DDQ』も、『ドラゴンズドグマ』のフィールドを作るときと同じ発想で、「いかに"ブラインド(見えない場所)"を作るか?」という観点で作られています。みずからの足(指)で、未開の地を自由に開拓していく感じが出たのではないかとと思います。
──バトルシステムは大きく変わっていますよね。コンシューマ版はアクションでしたが、『DDQ』でターン制バトルを採用したのはなぜですか?
伊津野 電車の中や、ちょっとした空き時間でも片手でも気軽にプレイできるように、“時間”と“タイミング”の遊びをリアルタイムではなくターン性に落とし込みました。モンスターとの駆け引きなど、攻略や遊びの本質をなるべく失わないように配慮しつつ、携帯ハードという特性を生かした“選択”と“順序”のゲーム性に集約しています。
──たしかに、実際にプレイしてみると、ターン制バトルなのにすごくテンポがよいですね。
伊津野 ちょっとやりすぎた感があるのですが(笑)、コンシューマ版『ドラゴンズドグマ』の基本コンセプトと同じように、“死ぬかもしれない感”=“冒険感”と考えて、「戦闘の一手一手を慎重に考えないと簡単に死んじゃうよ」という方針と、「レベル差があれば適当に戦うこともできる」という部分のバランスに気をつけています。テンポが良いと感じていただけたのは、うれしいですね。短い時間で濃い戦闘ができるように、テンポはできるだけ気持ちよくなるように気をつけています。
150種類以上もの個性的なジョブの数々
──フレンドのポーンと合わせて最大8人という大所帯のパーティーを編成できるようにしたのは、どういった狙いがあるんでしょうか。
伊津野 アクション要素がなくなって、ポーンの性能をより差別化する必要が出てきたので、ジョブを細分化してポーンの個性を出すようにしました。その結果、「ジョブ(=性能)をいかに組み合わせて戦うか?」というゲーム性にシフトして、バリエーションを持たせるためにパーティの人数が増えたのです。実際に戦ってみると操作が簡単なのこともあって、8人パーティでも足りないと思うようになりますよ。
──たしかに、ゲームを進めると選べるジョブが増えて「あれも入れたい、これも入れたい」と欲張りたくなりました(笑)。『DDQ』には150種類以上ものジョブが登場しますが、アイディアを出すだけでも大変ではありませんか?
伊津野 担当ディレクターが必死に考えてくれました(笑)。いつも「ネタ募集中!」って言っていますよ。今回、アクションの攻略を2Dのバトルに置き換えたり、コストの概念を入れたり、8人の隊列を考えたり、友達のポーンが半分を占めたりと、新しい要素が多いので、そのあたりをかなり極端に組み合わせることが(ジョブのアイディアの)ベースになっています。
──ちなみに、おすすめのジョブはありますか?
伊津野 ガーダー、ディフェンダー系といった防御職は重要ですね。敵の攻撃をいかにタイミング良く防御するかが、攻略のカギになります。パーティに同じジョブを何人でも組み込めるので、防御職の数によってバトルの難易度も大きく左右されます。『DDQ』ならではの防御職の活用法だと思います。また、ポーンの性能をアップさせるサポーター、マジックアーチャー系の補助職も重要です。コストの関係で、行動できるポーンは毎ターン、2~3名に限られるので、使用頻度が少ない特殊なポーンでも役に立ちます。ここぞというボス攻略のためだけの要員として連れて行っても活躍してくれるので、しっかり元が取れますよ。
──今後は、どのような新ジョブが追加される予定ですか?
伊津野 いまあるジョブの上位ジョブだけでなく、男性限定ジョブや女性限定ジョブ、敵の攻撃に自動的に反応するようなジョブも用意しています。ユーザーの皆さんからのリクエストもお待ちしています!
『ドラゴンズドグマ クエスト』の今後の展開は?
──PS Vita版でもリリースされるとのことですが、時期はいつ頃を予定されていますか?
伊津野 今年の秋を予定しています。iOS版と同じように、フリートゥプレイになる予定です。現在調整中ですが、課金料金についてもほぼ同じになると思います。
──iOS版とPS Vita版に違いはあるのでしょうか。
伊津野 PS Vita版はタッチパネルだけはなく、レバーやボタンだけでもプレイできるように調整中です。また、背面タッチにも対応して、指で画面が隠れないタッチプレイもサポートする予定です。PS Vita TVにも対応予定で、大画面とコントローラでのプレイも可能になります。PS Vita版専用のイベントなどもできればよいですね。
──iOS版ユーザーとPS Vita版ユーザーが共闘することは可能ですか?
伊津野 いまのところ可能です。ハードの垣根なく、同じワールドで冒険することができます。
──今後の大型アップデートでは、どのような展開が予定されていますか?
伊津野 冒険エリアやストーリー、新ジョブ、モンスター、ダンジョンなど、新要素をどんどん追加配信していきます。また、プレイの操作性も向上させる予定です。ユーザー間のコミュニケーションがもっと深まるようなアップデートも予定していますよ。
──ところで、プレイステーション4やXbox Oneなどの次世代コンシューマ機でも、『ドラゴンズドグマ』の新作は予定されていますか?
伊津野 内緒です。
──(うう……口が堅い)。では、『DDQ』の魅力とはズバリ何でしょう?
伊津野 手に汗握る戦闘! 手軽にじっくり攻略できる本格RPGです。
──最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
伊津野 操作は簡単なので、初めてプレイする方でもつまずくことはないと思います。基本無料なので、まずはダウンロードして遊んでみてください。『DDQ』は、戦術、戦略が非常に大切なRPGです。いろいろなジョブの組み合わせを試して、自分なりのパーティを組んでみてください。正統派ファンタジー路線なので、『DDQ』で作品世界に興味がわいたら、コンシューマ版『ドラゴンズドグマ』も遊んでみてください。ストーリーもいい感じですよ!
既存のソーシャルゲームとは一線を画す『ドラゴンズドグマ クエスト』を体験すべし!
“ターン制バトル”と聞くと、既存のソーシャルゲームにありがちな、カードの強さで勝敗がある程度決まってしまうカードバトルを想像する方が多いかもしれない。だが『DDQ』を実際にプレイしてみると、ゲームコンセプトそのものが既存のソーシャルゲームとまったく違うことが、すぐにわかるはずだ。“150種類以上のジョブ”が本作のウリのひとつだが、「いらないジョブはひとつもない」と言えるほど各ジョブの役割がハッキリと分かれていて、“ジョブを集める楽しさ”だけに留まらず、“集めたジョブを使いこなす楽しさ”も存分に味わえる。
インタビューでも触れられているように、新しいジョブのアイディアも絶賛募集中とのことなので、プレイしてみて「こんなジョブがほしい」という考えが浮かんだら、運営宛てにぜひ提案してほしい。ということで早速ですが、ファミ通コラボのジョブとして“スーパー・プラチナ・キング・ネッキー”(ネーミング適当)なんて、いかがでしょうか? 開発スタッフの皆さん!
(文:ライター/ムライサトシ)
ドラゴンズドグマ クエスト
メーカー | カプコン |
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対応機種 | iOSiPhone/iPod touch |
発売日 | 配信中 |
価格 | ダウンロード無料 アイテム課金制 |
ジャンル | RPG |
備考 | プレイステーション Vita版 2013年秋発売予定 |