自治体とも協力し、規模も倍以上に!

日本のインディーゲームを世界に発信するイベント“ビット・サミット”第2回の開催が発表、今度は2日間!【CEDEC 2013】_01

 日本のインディーゲームを国内外に紹介するイベント“BitSummit(ビット・サミット)”。
 本日より開幕した技術カンファレンス“CEDEC 2013”で行われた講演で、その第2回が2014年3月8日と9日に京都の“みやこめっせ”で開催されることが発表された。

 今年3月9日に第1回が京都のFanjホールで開催され、国内外のメディアが集結して大きな話題を呼んだことを受け、今回は京都府ものづくり振興課の賛同を獲得。期間2倍、会場スペース2.5倍、参加者数2倍と、規模を大きく拡大する。
 それだけでなく、開催が2日間になったことで、催し物もさらに幅広くグレードアップ。日本とは異なるシーンが醸成されている海外のインディーゲーム開発者の招聘なども検討しているほか、参加する開発者が実際に海外にソフトを発信する際に力になる関連業種のセミナーなども強化するとのこと。

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たった一人の情熱が不可能を可能にする

 発表が行われたのは、イベントのディレクターであるキュー・ゲームスのジェームズ・ミルキー氏らによる“BitSummit ~インディーズゲームサミット"BitSummit"の課題と成功への秘密~”と題した講演でのこと。講演ではおもに「日本のインディーゲームを盛り上げたい、世界にその存在を知らせたい」というミルキー氏の情熱を発端に、実際にイベントを作り上げていくまでの苦難の日々が明かされた。

 その内容については、イベントの開催直前に同氏に行った本誌インタビューですでに語ってもらっている部分とかなり重複するので詳細はそちらを見て頂くとして、あらためて感じたのは、周囲の人を突き動かした同氏の情熱と、周囲の支えの強さだ。

 ビット・サミットは、冷静に考えてみるとかなり無茶なイベントだ。同人ゲームも、少人数チームによる商用ゲームも、独創的なセンスを持つ開発会社による家庭用ゲームも、(普通は分けて考えがちだが)すべてインディーゲームとしてフラットに考えてとにかく集め、しかも日本にインディーゲームがあるとはほとんど思っていない海外メディアを呼んで内外に発信するというのは、並大抵のことではない。
 まさに、日本にルーツを持ちながら、欧米のメディアで活躍した後、来日して日本の会社で開発者として働いている、複雑なバックグラウンドを持つミルキー氏だからこそ成し遂げられたものではないだろうか。

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▲日本のインディーゲームを盛り上げ、海外のシーンに匹敵するポジションへと押し上げる。本イベントはジェームズ・ミルキー氏のそんな情熱から始まった。

 開催にあたっては、ミルキー氏とともに登壇した吉田謙太郎氏や富永彰一氏をはじめとしたキュー・ゲームスのスタッフが協力していたものの、同社は開発会社であるためイベント開催のノウハウがなく、ミルキー氏のビジョンを実現するために、かなり苦労したそう。

 直前まで「これはもう無理じゃないか」という話も出たそうだが、実際蓋を開けてみると、完璧なイベントでこそなかったものの、新たな可能性を感じさせるとてつもない熱気に満ちたイベントに仕上がっていたのは、ミルキー氏の情熱と、彼に理解を示し、協力したスタッフの皆さんの努力の賜物であると思う。そしてある意味、このイベントそのものもインディー的であると言えるだろう。

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▲とにかくイチからの立ち上げだったため、関係者への呼びかけ、開催時期の検討、おみやげの用意、望ましい会場……などなど、あらゆることを考えなければならなかった初回。来年の開催では培ったノウハウと参加者からのフィードバックをベースに、より大きなイベントを目指す。
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▲今年の様子。スペースの問題、時間配分など、さまざまな改善点はあったが、とてつもない熱気が渦巻くイベントだった。

 記者もまた、そんなミルキー氏の情熱に突き動かされたひとりだ。前述のインタビューは取材申請をした際に「何か事前記事を書かないか」というミルキー氏の逆オファーに対してメールで実施したものなのだが、膨大な英文で送られてきた回答の前に腹を決め、他の仕事を抱えながら延々と翻訳と再構成と資料追加をやったのを昨日のことのように記憶している。

 第2回の開催にあたり、ミルキー氏は第1回に参加した人も驚くようなイベントにすると意気込んでいる。第1回で培ったノウハウとフィードバックを材料に、今度はどんなものを見せてくれるのか、一般参加のイベントでこそないのだが、ゲーム業界の新たな潮流を占う上でも注目だ。(取材・写真・文:ミル☆吉村)