【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー記事 全4回】
その1 世界のゲームシーンを牽引するEpic Games
その2 シリーズの原点に迫るキャンペーンモード解禁
その4 Epic Gamesの開発スタッフにインタビュー

マルチプレイモードは新たな挑戦が盛りだくさん

 日本マイクロソフトより2013年3月21日に発売が予定されているXbox 360専用ソフト『Gears of War: Judgment(ギアーズ オブ ウォー: ジャッジメント)』。今回の記事では、白熱のド迫力戦闘がくり広げられるマルチプレイモードに焦点を当てる。すでに海外では本作のマルチプレイモードがプレイアブル公開されていたが、今回の取材ではユーザーのフィードバックを受けて、さらに完成度を高めたバージョンが用意されていた。

【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー その3】マルチプレイモードの新ルール“OverRun”の全貌に迫る_01

OverRun(オーバーラン)

 さっそく注目の新ルール“OverRun(オーバーラン)”の模様をお伝えしよう。このルールは最大10人のプレイヤーが2チームで対戦するというものだが、プレイヤーはCOG軍(統一連合政府)かローカスト軍に分かれる。ひとつのマップは3エリアで構成されており、それぞれに破壊すべき目標(E-HOLEまたはジェネレーター)が設定されている。ローカスト軍側のプレイヤーは2ヵ所のE-HOLEを破壊後、最後にジェネレーターを破壊することが目的となる。そして、対するCOG軍のプレイヤーは当然破壊されないように防衛しなくてはならない。ローカスト軍がジェネレーターを破壊するか、COG軍がタイムアップまで守り切れば1戦目は終了。続いてCOG軍とローカスト軍(攻守)を入れ替えて2戦目に挑み、ゲームが終了した時点で短いタイムでジェネレーターを破壊したチームが勝利をつかむ。

 「Beast & Horde」。Epic Gamesの開発スタッフはこのように説明してくれたが、たしかに前作『Gears of War 3』に搭載されていたふたつのモードをミックスしたような内容になっている。ローカスト軍側のときはBeast(ローカストを操作して、COG軍の兵士を殲滅するモード)であり、COG軍側のときはHorde(COG軍の兵士を操作して、ローカストの波状攻撃を耐えしのぐモード)のような感覚になる。ただし、ふたつのモードを足して割っただけの単純な話ではない。さまざまな新要素が追加されており、まったく新しいゲームプレイを体験することができた。さっそく順を追って説明したいと思う。

【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー その3】マルチプレイモードの新ルール“OverRun”の全貌に迫る_02
【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー その3】マルチプレイモードの新ルール“OverRun”の全貌に迫る_03

 まずはCOG軍のチームでプレイしたが、最初に操作するキャラクターの兵種(クラス)を4種類の中から選択する。それぞれの兵種はキャラクターや装備武器、アビリティーが決まっており、戦闘中に担うべき役割が明確に分かれている。

エンジニア
キャラクター:デーモン ベアード
装備武器:ナッシャーショットガン
アビリティー:セントリーの設置、リペアツール(防衛施設の修理)

ソルジャー
キャラクター:オーガスタス コール
装備武器:ブーシュカ、ランサー
アビリティー:弾薬箱の設置

スカウト
キャラクター:ガロン パドック
装備武器:マルツァ、スナッブピストル
アビリティー:高所などの狙撃エリアへアクセス、スポットグレネードで敵の居場所を感知するビーコン設置

メディック
キャラクター:ソフィア ヘンドリック
装備武器:ランサー、スナッブピストル
アビリティー:キュアグレネード、ダウン中のチームメイト回復

 出撃前の準備画面では味方のプレイヤーが選択している兵種が確認できるので、チームのバランスを考慮することが重要だ。ソルジャーは積極的に敵を攻撃して侵攻を食い止め、敵がひるんだ隙にエンジニアはダメージを受けた防衛バリアを修理する。いくつかの侵攻ルートが存在するので、スカウトが敵の動向をいち早く察知することも必要だし、戦闘が激しくなればメディックの援護も欠かせないものになる。ちなみに兵種はプレイヤーが倒されると変更可能なので、リスポーンまでの短い時間に戦いの状況を把握して、もっとも必要とされる役割(兵種)を見極めることも大切だろう。今回の取材では他国のプレス関係者とチームを組んだが、兵種の特徴がはっきりしているので、言葉をかわさなくても各自の役割をはたすことで自然とチームワークが生まれる。連携がうまくハマってローカストの侵攻を退けたときなどは、思わず「YEAH!」と拳を握ってしまったほど。あの手この手で攻めてくるローカストがプレイヤーということもあり、Hordeモードとは比較にならない充実感を味わえた。

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 1ゲームが終了すると、両チームの立場を入れ替え攻守交替。今度はローカスト軍のチームで侵略戦を仕掛けることになる。『Gears of War 3』のBeastモードと同じく、プレイヤーは操作するローカストを8種類の中から選択できる。

【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー その3】マルチプレイモードの新ルール“OverRun”の全貌に迫る_06

ティッカー
特徴:グレネードを食べる。自爆する

レッチ
特徴:スクリーム(敵の動きを止める)。壁を上る(奇襲攻撃が可能)

グレネーダー
特徴:動きは遅いが、武器の威力が高い

カンタス
特徴:味方を回復する

レイジャー
特徴:ビースト化(突進攻撃が可能)

セラピード
特徴:移動スピードが速く、尻尾以外はダメージを受けない

モーラー
特徴:シールドを構えて正面からの攻撃を防ぐ

コープサー
特徴:地中に潜って移動することが可能

 上の4種類のローカスト(ティッカー、レッチ、グレネーダー、カンタス)はいつでも選択可能だが、それ以外の4種類は設定されているキャッシュが必要だ。キャッシュはCOG軍を倒したり、防衛バリアや破壊目標を破壊して稼ぐしかないので、序盤は選べないようになっている。ローカストはCOG軍の兵種以上に特徴が明確に異なるので、チームにおいてもっとも効果的な行動、為すべき役割を確認することが重要だ。もちろん出撃前にローカストを選択するときには、味方のプレイヤーが選択しているローカストの種類が確認できる。そのうえで稼いだキャッシュをどう使うのか、どのタイミングで強力なローカストを投入するのか、といった戦略的判断も要求される。一定のエリアを防衛するCOG軍とは異なり、侵略するからこそ相手の裏をかくためのチャレンジが楽しいゲームルールだ。

 何回か対戦してだいぶ慣れてきたころに、Epic Gamesの開発スタッフチームと対戦することになった。いろいろな連携プレイが自然発生的に編み出され、ちょっと自信がついてきたタイミングだったが、ここでOverRunの奥深さを思い知らされた。それまでプレス関係者どうしの対戦では8~10分程度のクリアータイムを巡って好勝負をくりひろげていたが、Epic Gamesチームには一気に5分を切る驚愕の好タイムを叩き出されてしまったのだ。彼らの勝因はひとつやふたつではないが、思いつく限りではレッチの奇襲に防衛プランを崩されたこと、勝負どころと見るや雪崩のように押し寄せる息の合った攻撃が印象深い。当然とはいえプレス関係者は為す術もなく、チームワーク次第でどこまでも奥深い戦略性があることを実感した。

Free-For-All(フリー フォー オール)

 続いて『Gears of War』シリーズでは初登場となる個人戦“Free-For-All(フリー フォー オール)”に挑戦。OverRunの場合は兵種によってキャラクターや装備武器が決まっていたが、そのほかのルールではプレイヤーが自由に変更してカスタマイズすることが可能になっているようだ。選べるキャラクターはマーカス フェニックスやドム、アーニャといったおなじみの顔ぶれが確認できたが、「製品版ではどのキャラクターが登場するかは、まだ正式に決まっていない」(シニアプロデューサー アラン・ヴァン・スライク氏)とのこと。また、今回のプレイアブルでは初期装備は武器が7種類、グレネードが5種類から選択可能だった。

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【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー その3】マルチプレイモードの新ルール“OverRun”の全貌に迫る_08

武器
・ランサー
・レトロランサー
・ハンマーバースト
・マルツァ
・ナッシャーショットガン
・ソードオフショットガン
・ハンマーバースト(別のタイプ)

グレネード
・フラググレネード
・スモークグレネード
・インクグレネード
・キュアグレネード
・スポットグレネード

 ミリタリー系FPSやTPSと比較すると、『Gears of War』シリーズのキャラクターは耐久力が高い(攻撃を受けても倒されるまでに耐えられる時間が長い)ので、真正面から1対1で撃ち合っても決着しないことが多い。不意打ちで先手を取られて攻撃されても、すかさず物陰に隠れることができれば、なんとか命拾いして態勢を立て直せる。そのため10人で対戦していると、ほかのプレイヤーどうしが交戦している場面に頻繁に出くわすのだ。逆に言えば、誰もが敵になる個人戦、目の前で銃口をこちらに向ける敵だけに集中していると危険すぎるということ。さらにマップにはケタ違いの性能を持った6種類の武器(ドーンハンマー、トルクボウ、ファイアグレネード、ブームシールド、ロングショット、ブーシュカ)が用意されているので、入手すれば戦力のバランスは一変、大乱戦に突入する。たったひとりの突出したスキルを持ったプレイヤーにひたすら倒され続けることもあるミリタリー系シューターのようにシビアではなく、立ち回り方次第でキルを稼ぐ絶好の場面が訪れる印象だ。つねにキルデス率が1以下(相手を倒す回数より、倒される回数のほうが多い)の記者としては大歓迎。マルチプレイの個人戦と言えば、シューター業界ではオーソドックスなルールだが、『Gears of War』に関しては話が異なる。視界に入る敵を最大火力でブッ飛ばす(ときにはチェーンソーでブッタ斬る!)『Gears of War』らしい豪快さ&爽快感をマルチプレイでも存分に楽しめるのは新鮮だった。

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