【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー記事 全4回】
その1 世界のゲームシーンを牽引するEpic Games
その3 マルチプレイモードの新ルール“OverRun”の全貌に迫る
その4 Epic Gamesの開発スタッフにインタビュー

キャンペーンモードの新主人公はデーモン ベアード

 日本マイクロソフトより2013年3月21日に発売が予定されているXbox 360専用ソフト『Gears of War: Judgment(ギアーズ オブ ウォー: ジャッジメント)』。今回の記事では、初のプレイアブル解禁となったキャンペーンモードをリポートする。すでにマルチプレイモードに関しては、ユーザーがプレイできる機会が設けられていたが、キャンペーンモードの詳細が明らかになるのはこのスタジオツアーが初めて。リポートに入る前に『Gears of War: Judgment』のストーリーをおさらいしておこう。

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 本作の舞台は『Gears of War』シリーズ三部作から約15年前。同シリーズの熱心なファンなら、“E-Day”からちょうど30日後と説明するとわかってもらえるはずだ。地底から突如現れたローカストの猛攻撃により、わずか24時間のうちに惑星セラの全人口の約1/4が失われ、さらに人類軍の愚かな暴挙と呼ぶべき反撃が無数の市民の命を巻き添えにした“エマージェンス デー”――その悪夢が覚めぬうちに『Gears of War: Judgment』の物語は幕を開ける。これまでのマーカス フェニックスに替わる主人公はシリーズ三部作に登場した腕利きメカニック、デーモン ベアード。皮肉屋で無礼な態度を取るため好き嫌いが真っ二つに分かれるキャラクターだが、ファンの人気がもっとも高く、多数の要望が寄せられたことから、ベアードにスポットを当てられたようだ。なお、とくに人気があったのは『Gears of War 3』でプレイヤーがオーガスタス コールを操作して、ベアードといっしょに行動するセクションだったとのこと。マーカスやドム、“コールトレイン”ことオーガスタス コールのように人物像を深く描かれていなかったベアードの物語は、非常に新鮮なアプローチになるだろう。ちなみにコールもベアード率いるキロ部隊のメンバーとして登場する。このほかに新登場のソフィア ヘンドリックとガロン パドックがキロ部隊に所属しており、未知の敵に包囲されたハルボ ベイ(Halvo Bay)を防衛する戦いに挑むことになる。ちなみにハルボ ベイはオニキスガードの主要拠点であり、軍のトレーニング施設がある海に面した街だ。

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▲デーモン ベアード
▲オーガスタス コール
▲ガロン パドック
▲ソフィア ヘンドリック

 今回プレイしたのは、チャプター1“Museum”とチャプター2“Mansion”。ただし、このふたつのミッションは必ずしも時系列順なのかどうかは定かではない。『Gears of War: Judgment』のキャンペーンモードは、特徴的な構成となっているのだ。ゲームをスタートするとベアードをはじめとするキロ部隊のメンバーはまるで犯罪者のように扱われ、判事の前に連行されている。そして判事の詰問に対して部隊のメンバーが証言すると、その記憶がフラッシュバックする形で“ある出来事”に関連する戦いが描かれていく。各チャプターで証言するキャラクターが異なるので、ハルボ ベイを守る戦いが複数の視点で明らかになっていく。なぜベアードたちが上官の命令に反した行動を取ったのか? なぜ軍法会議にかけられ詰問されることになったのか? プレイヤーに投げかけられるこれらの疑問は、キャンペーンモードを進めていくにつれて解明されるようだ。

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チャプター1 Museum
 審判を下す判事がベアードに問う。前回会ったときにはミュージアムを防衛するように言ったはずが、実際には何が起こったのか、と。そしてベアードの証言に基づいて、キャンペーンモードの最初のチャプターがスタートする。どうやらミュージアムを防衛する任務を受けたキロ部隊だが、ある状況下において難しい決断を迫られることになるようだが……。

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 『Gears of War: Judgment』では、これまでのシリーズ作品と操作方法が一部変更されている。チャプター1は操作方法のチュートリアルを体験しながらゲームを進めていくので、すぐにマスターすることができるだろう。おもな変更点としては、グレネードを投げる操作はLBボタン、武器変更はYボタン、特定の場所を注目するときはパッドの上方向、TAC/COM(味方や武器の位置を表示できる)はパッドの下方向になっている。戦闘中に重要なアクションの操作がシンプルに改善されたことで、よりスムーズになった印象だ。とくにグレネードはとっさの場面にはLBボタンを素早く押して即座に投げることができて、長押し(ホールド)すれば予測される軌道を表示してじっくり狙うことも可能だ。

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 ひとつのチャプターは複数のセクションによって構成されており、各セクションをクリアーすると戦績に応じたスコアとランクが表示される。スコアの評価対象となる項目は、倒した敵の数やクリアー時間、ヘッドショットに成功した回数、倒された回数、獲得したリボンなどだ。ランクはスターの数(3段階)で表示されるが、難易度によってノーマルはシルバー、ハードはゴールドといったようにスターの色が異なるようだ。この新しく採用されたスコア制には、もうひとつの新要素が密接に関係している。これは“Declassified Testimony”と呼ばれており、ステージ内で発見できるクリムゾン・オーメン(髑髏のマーク)を調べると、より難度が高い戦闘に挑戦できるようになる新システムだ。クリムゾン・オーメンはほとんどのセクションで発見することができた。今回のプレイアブルで確認できたDeclassified Testimonyのシチュエーションは、プレイヤーの武器が接近戦用のナッシャーショットガンとソードオフショットガンに限定される(しかも敵は複数のモーラー)、敵の種類と数が増加する、戦闘エリアに大量のスモークグレネードが投下されて視界がほとんど遮られるなどで、とにかく過酷で高難度の戦いを強いられる。敵がワンショットを使用するようになるシチュエーションもあったが、気を抜けば一瞬で殺られてしまう危険と隣り合わせの戦いは緊迫感が高く、自分の無謀な決断を後悔することになった。

 しかし、この逆境を耐え凌いで厳しい戦闘を生き延びると、スターを獲得しやすくなるらしい。しかも、Declassified Testimonyで難度が高い戦闘に挑まずして、スターを最大数の3つ獲得するのは至難の業だということなので、アクションゲームの腕に自信があるプレイヤーほど血が騒ぐはず。記者はプレイ時間が限られていたにも関わらず、「俺はもっとうまくやれるはずだ」と思った場面では何度もリトライをくり返したほど熱くなりすぎてしまった。

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 リトライに関しては、“スマート・スポーン・システム(S3)”の存在が大きな役割を果たしている。すでに発表されているように、この新システムにより出現する敵の種類やタイミング、出現場所がプレイごとに変化することがあり、リトライ時に緊張感をもたらしている。直前のゲームプレイではたやすく突破したエリアなので、同じように通り抜けようとした瞬間、さっきは出現しなかったブーマーが目の前に現れたときは、思わず「うそっ!」と声を荒げてしまった。後方からプレス関係者の様子を見守っていたEpic Gamesのスタッフがにやにやしていた気がするのも、あながち間違いでもないだろう。まさに狙い通りの展開だったわけだ。

 スコア制やS3の採用により、リトライに対する意欲が高くなっているのを実感した。つねに緊張感を保ってプレイできるようになっている。今回のプレイアブルでは確認できなかった(収録されていなかった)が、獲得したスターの数に応じてコンテンツがアンロックされるので、リトライにも高いモチベーションで臨めるはずだろう。

チャプター2 Mansion

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▲カーン(コンセプトアート)

 続いて、ある教授のハイテク基地と化したマンションに向かい、彼が保持するコードを入手する任務に挑むことになる。このチャプターはパドックの証言を再現する形になっており、何重ものローカスト包囲網を突破して目的地を目指す。任務の目標となっているコードは、新登場のエネミー、“カーン”を破壊するために必要不可欠なものらしい。カーンはマウンテンローカストの一種であり、山のように巨大な体躯を誇る。どうやらハルボ ベイの破壊にまつわるすべての元凶らしいが、キロ部隊はカーンの暴虐を阻止するべく戦いを挑み、『Gears of War: Judgment』における最大の宿敵となる存在らしい。ちなみにパドックはCOG軍(統一連合政府)と対立する組織UIRの兵士だったことがありカーンのことをよく知っているため、その経験を生かして部隊を引っ張っていく。

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▲セントリー(コンセプトアート)

 特定のエリアに突入すると、目的地に向かって進むだけでなく、つぎつぎに押し寄せるローカストの襲撃から防衛しなくてはならないシチュエーションが訪れる。勘のいい『Gears of War』ファンならばピンと来るだろう。Hordeモードのような戦闘がキャンペーンモードでも展開するのだ。敵の襲撃が始まる前にはセントリー(敵を自動的に攻撃する砲台)や敵の侵入を一時的に妨げるバリアをできるだけ効果的な場所に配置したり、武器や弾薬を揃えて万全の体制を準備する。1回の波状攻撃をしのいで敵を全滅させると、つぎの襲撃までにわずかに時間があるので、再び迎撃に向けて奔走することになる。ローカストの怒涛の猛攻を浴びる戦いは、ひたすらテンションが高く、前作『Gears of War 3』のHordeモードにハマった記者は存分に楽しめた。

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 新しく登場する武器について紹介しておこう。

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マルツァ(Markza)
2段階の拡大スコープを備えた中長距離用武器。ワンショットのような威力はないが、セミオート射撃により使い勝手がいい。

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ブーシュカ(Booshka)
3ラウンドのグレネードランチャー。発射されたグレネード弾は地面や壁でバウンドするため、障害物を越えて攻撃することが可能。

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キュアグレネード(Stim Gas Grenade)
新しく追加されたグレネードだが、敵を攻撃するのではなく発生したガスに触れるとダメージが回復する。

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スポットグレネード(Spot Grenade)
レーダーやビーコンの役割を果たすグレネード。一定の範囲内に入ったローカストの存在が見えるようになる。

 さまざまな武器が追加されたことで、戦いかたの幅は格段に拡がっていることは間違いない。その分、ローカストの攻撃も多様化しているため、頭を使って戦略的に立ち回る必要がありそうだ。

 たとえば、新登場のローカスト“Rager(レイジャー)”は中距離用武器のブリーチショットを使ってくる。通常は離れて攻撃するレイジャーだが、ダメージを受けると全身が赤く染まり、ひと回り大きくなる。攻撃方法も猛烈な突進と巨大な爪で襲ってくるので、状態によって対応を変えなくては危険に陥るだろう。 

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▲Epic Gamesを訪れたのは11月下旬だったが、すでにオフィスはクリスマスムードに包まれていたのだ。

 キャンペーンモードのプレイアブルは約3時間だったが、『Gears of War』シリーズとして新たな試みが盛り込まれていたことで、新鮮な気持ちで戦闘に没入することができた。取材直前まで抱いていた「シリーズ三部作のマイナーチェンジでは?」といったイメージは払拭されることになり、帰国後もキャンペーンモードの続きが気になってしかたがない。とはいえ誰よりも早く『Gears of War: Judgment』をプレイすることができて、ひと足早いクリスマスプレゼントを受け取ったような興奮に浸れる貴重な体験だった。

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