【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー記事 全4回】
その2 シリーズの原点に迫るキャンペーンモード解禁
その3 マルチプレイモードの新ルール“OverRun”の全貌に迫る
その4 Epic Gamesの開発スタッフにインタビュー

ゲーム表現の進化を導くEpic Gamesの歩み

 日本マイクロソフトより2013年3月21日に発売が予定されているXbox 360専用ソフト『Gears of War: Judgment(ギアーズ オブ ウォー: ジャッジメント)』。本作はE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2012に合わせて開催された“Xbox E3 2012 Media Briefing”において正式発表されたが、いよいよその詳細が明らかになる機会が訪れた。世界中のファンはもちろん、プレス関係者も熱望する最新情報はノースカロライナ州にあるEpic Games(エピック・ゲームズ)本社において公開された。

【『Gears of War: Judgment』スタジオツアー その1】世界のゲームシーンを牽引するEpic Games_01
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 今回のスタジオツアーでは、『Gears of War: Judgment』のキャンペーンモードとマルチプレイモードを実際にプレイアブル体験することができた。その模様を全4回の記事にわたってお届けしているが、今回は『Gears of War』シリーズを生んだ偉大なデベロッパー、Epic Gamesについて紹介したいと思う。

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 Epic Gamesはアメリカ合衆国の南部地方、ノースカロライナ州カリーに本社を構えている。この地域は世界的に有名な観光地はないものの、高度な教育機関や研究機関、企業が集中しているリサーチ・トライアングル・パークと呼ばれる都市圏を形成している。牧歌的な雰囲気もあり、程よく都市的でもあり、クリエイティブに没頭できる環境が揃っているようだ。ちなみにEpic Gamesがこの地に移ってきたのは1999年のこと(移転と同時に現在の社名に変更している)。この前年にはPC用ソフト『Unreal』をリリースしている。熱心なPCゲーマーでないと、この作品にはあまり馴染みがないかもしれないが、『Gears of War』シリーズが誕生する以前にEpic Gamesの名を世界に広めるきっかけとなったのは間違いない。

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 PC用ソフト『Unreal』に採用されている開発エンジンは、その名もUnreal Engineと呼ばれている。そしてEpic Gamesは1995年から開発をスタートしたUnreal Engineを他社に対しても公開することで、ゲーム業界全体の開発技術レベルを引き上げる功績を果たしている。その後、バージョンアップするたびに同エンジンを採用するデベロッパーは増加しており、『Gears of War』シリーズに採用されている最新バージョンのUnreal Engine 3は、150本以上の作品に採用されている。日本でもバンダイナムコゲームスやカプコン、スクウェア・エニックス、グラスホッパー・マニファクチュアなどがすでに採用しており、ゲームを立ち上げたときに表示されるUnreal Engineのロゴに見覚えがあるのではないだろうか。

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▲リアルなグラフィックと高度な処理技術により、ゲーム表現をワンランク引き上げたUnreal Engine 3だが、Epic Gamesでは未来を見据えてつぎのバージョンであるUnreal Engine 4の開発がすでに進められている。

 『Gears of War』シリーズに話を戻そう。Epic Gamesが2006年11月(日本発売は2007年1月)に送り出したXbox 360専用ソフト『Gears of War』は、それまでの家庭用ゲーム機の常識をはるかに超えるリアルなグラフィック表現とド迫力の戦闘アクションが世界中のゲームシーンに衝撃を与えた。同作は初めてUnreal Engine 3を採用したゲーム作品でもあり、みずからの成果をもって同エンジンの高い技術力をアピールすることになった。以降のシリーズ展開についてはよく知られているとおりだが、2008年11月(日本発売は2009年7月)に『Gears of War 2』を発売。2011年9月にはトリロジーの完結編『Gears of War 3』をリリースしている。

 そして『Gears of War』シリーズの新たなスタートを切る作品が『Gears of War: Judgment』となる。本作はポーランドの開発会社、People Can Flyとの共同開発とされているが、“Gears of War”のエッセンスがわずかでも失われる心配は無用だろう。『BULLETSTORM(バレットストーム)』の開発元として知られる同社だが、その以前から『Gears of War』のPC版の制作を担当しており、2012年夏からEpic Gamesの子会社となっている。Epic Gamesのアラン・ヴァン・スライク氏(シニア プロデューサー)の言葉を借りるならば、「これまで『Gears of War』シリーズを開発してきたベテランもいるが新人もいる。彼らが皆同じテーブルにつき、ベテランたちが持っているすべての知識を共有しながら制作を進めている。People Can Flyのチームといっしょに仕事をすることができて、本当にすばらしい成果が生まれようとしている」。

 2012年10月には『Gears of War』シリーズを1作目から手掛け、精力的に同シリーズのスポークスマンとしてメディアの表舞台に立ってきたゲームデザイナー、クリフ・ブレジンスキー氏がEpic Gamesを退社するという衝撃的な出来事があった。多くのファンが最新作『Gears of War: Judgment』の完成に影響があるのか、大いに心配したことは言うまでもないだろう。だがその懸念について、同社のクリス・ウィン氏(シニア プロデューサー)に尋ねたところ、「彼(クリフ・ブレジンスキー氏)が辞めたタイミングは、プロジェクトを進めるなかで、大きな影響がある時期ではなかった。クリフのような人材は大きなアイデアを生み出すのでプロジェクトの初期から中期にかけて重要な役割を果たす。その後のプロセスは“Gears of War”をよく知る経験豊富なチームが担当しているので順調に進んでいるよ。彼がいなくてもゲームのクオリティーには問題ないと思っている」。

 記者の見解を述べるなら、このクリス氏の言葉は当たっていると思う。だが、それは実際に取材活動を通じて、たっぷりとプレイアブルを体験したからであって、ファンが心配するのはもっともだろう。しかし、案ずるよりもまず『Gears of War』シリーズの新たな一歩を見守ってほしい。2013年3月21日になれば、大きな期待に応える進化を実感できるはずだから。

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