若手クリエイターが掴みとったチャンスとは?
現地時間2月29日~3月1日の2日間、アメリカ・サンフランシスコにてXbox 360などの最新作をお披露目する“Spring Showcase 2012”が開催。イベントでは、鬼才ピーター・モリニュー氏の最新作『Fable: The Journey』がお披露目され話題を集めたが、会場で初アナウンスされたもうひとつの『Fable』も、静かに、しかし確実に世界の取材陣から注目を浴びていた。Xbox LIVE アーケードタイトル『Fable: Heroes』だ。会場で出展されていた『Fable: Heroes』のプレゼンをしていたライオンヘッドスタジオのリードデザイナー、テッド・ティミンズ氏にお話うかがった。というわけで、まずはイベントに合わせて公開された最新動画をどうぞ!
そもそも、『Fable: Heroes』の成り立ちからしてがユニークだ。ライオンヘッドスタジオでは、“クリエイティブデー”というスタッフがアイデアを出し合う日を設けていて、70%のスタッフが参加。ゲームのみならず、テクノロジーやツールについていろいろなアイデアを持ち寄るらしい。今回発表された『Fable: Heroes』は、そんな“クリエイティブデー”で提案したアイデアがベースになっているというのだ。「ベースとなったゲームは4人で考えたのですが、珍しくピーターが気に入って、ゲームを作ることになったんです」とティミンズ氏。『Fable: Heroes』がプレゼンされた“クリエイティブデー”だけでも、30タイトル以上が揃ったらしいのだが、じつは本作が初めての“クリエイティブデー”から生まれた作品になるのだという。「ライオンヘッドスタジオとマイクロソフトは、未経験者の創造性を取り上げる機会を与えてくれる。“クリエイティブデー”から生まれたゲームはこれが初めてですが、今後もっと出てくるといいなと思っています。ほかの人にも機会が与えられるとうれしいなあ」とティミンズ氏は言う。
ちなみに、ティミンズ氏は、7年前にティーボーイ(テスターにもなれない未経験者らしい)としてライオンヘッドスタジオに入り、つぎに“ワークエクスペリエンス”という、無給で勉強する立場になった。その後しばらくスタジオからは離れていたが、ある日スタジオから連絡が入り、給料つきのテスターに就任することに。当初1ヵ月の予定がどんどん延びていき、『Fable III』ではクエストデザイナーを担当したのだという。真摯に語るその口調からは、ゲーム好きの雰囲気がひしひしと伝わってくる。「ゲーム好きの青年が掴んだサクセスストーリー」といったところだろう。
さて、“クリエイティブデー”でモリニュー氏に見初められた『Fable: Heroes』は怒涛の展開を見せる。モリニュー氏が本社の前のビルに専用のオフィスを作ってくれて、「すぐれたXbox LIVE アーケードゲームを作りなさい!」というミッションがくだされたのだ。参加スタッフは15名。「ほぼ自由にやらせてもらっているのですが、プレッシャーは相当なもので、この1年はローラーコースターに乗っているような気分でした」とティミンズ氏は心情を吐露する。いかにも好青年という感じのティミンズ氏の話を聞くと、「これは成功してほしいなあ」と思うのも人情というものだ。
では、肝心のゲーム内容を紹介しよう。本作は、最大4人までが参加できる横スクロールアクション。全体マップはボードゲーム形式で進めるようになっており、ひとつのステージに入るとアクションをプレイ。敵を攻撃しながらステージを進めていくことになる。攻撃方法は通常攻撃のほかに、強力な攻撃と、ライフをひとつ消費して駆使する必殺技の3つで、シチュエーションに応じて使い分けることが可能だ。さらに、ステージ上には随時宝箱が置いてあり、開けると体が2倍になったり、移動スピードがアップしたりといった特典がある。
そして、本作の大きな目的となるのが、道中で随時金貨を集めること。金貨は敵を倒すことのほかに、ステージ上にある建物などを破壊することでも入手可能だ。「遊ぶ人によってプレイスタイルが異なります。たとえば、ピーターはまったく戦わずに金貨だけを集めています(笑)。最終的に勝つには金貨が必要だと知っているんです」(ティミンズ)。金貨を集めると、集めた額に応じて“すごろくゲーム”でサイコロを振ることができ、止まったマスによって、武器のカスタマイズや敵に与えるダメージが多くなるなどの恩恵が受けられるようになるという。金貨を集めてサイコロを振れば振るだけ、ゲームの楽しさが倍増するというわけだ。
本作に用意されたキャラクターは全部で12人。いずれも『Fable』に登場するキャラクターで、「ファンへの究極の贈り物です」とティミンズ氏。デモプレイでは、『Fable: The Journey』に登場する主人公、ガブリエルが馬といっしょに出ているところも確認できた。なお、『Fable: Heroes』は『Fable: The Journey』と連携しており、ガブリエルは『Fable: The Journey』をプレイしないとアンロックできないとのこと。また、『Fable: Heroes』で集めた金貨を、『Fable: The Journey』でも活用できるのだとか。ティミンズ氏いわく「『Fable: Heroes』を先に遊んでおけば、それだけ得をするというわけです」のだとか。
かわいいキャラクターが印象的な本作だが、「『Fable』本作とはテイストは違いますが、独特なスタイルを打ち出しつつ、『Fable』の魅力は保持できるようにしました」(ティミンズ)とのこと。ちなみに、本作の音楽を手掛けているのはレア社。「本作のレトロっぽい印象にあわせて」(ティミンズ)依頼したのだという。
マップは数種類用意されており、ゲームをクリアーすると“ダークアルビオン”という裏面がアンロック。ステージのレイアウトは同じだが、見た目も出現クリーチャーが異なるステージが遊べるようになる。当然、難度もかなり上がる。
プレゼンでは、「せっかく日本からお越しになったので……」ということで、特別に秘密の“クラウドレベル”というのを見せてもらった。これは、リーダーボードで相当ハイスコアを出さないと遊べないステージで、ふたつのうちのどちらかを選びながら、雲の上を進んでいくのだという。
本作の配信時期は未定だが、『Fable: The Journe』より前を予定しているとのこと。複数人数でワイワイ楽しみながら遊ぶのが楽しい、爽快な横スクロールアクションの『Fable: Heroes』。ライオンヘッドスタジオの若い才能が作り上げた本作、何だか応援してみたくなってしまいません?
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