任侠の道、海賊の道、その先の道には……打倒Zynga! gumi国光宏尚代表取締役社長インタビュー【ソーシャルゲームの成功者に訊くVol.4】
ソーシャルアプリ●個性的かつヒット作を世に送リ出すgumi
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【国光氏の経歴】1995年から4年間、中国の大学に留学。その後、チベットやインド、中南米、ロスと世界を渡り歩き、30歳のときに帰国。そのとき、縁あってドラマ『天体観測』(フジテレビ)のプロデューサーだった人物と出会い、その人物が独立して立ち上げたアットムービー(テレビや映画などの映像コンテンツをプロデュースする会社)に取締役として在籍。その後、gumiを立ち上げる。 |
mixiやMobage、そして最近ではGREEを軸にソーシャルゲーム事業を展開しているgumi。『任侠道』や『海賊道』など、男心をくすぐるタイトルから、女性ユーザーを意識した『デュエルインワンダーランド』まで、つぎつぎとヒット作を生み出している同社は、どのような経緯で現在に至り、そしてどのような未来を描いているのか? ソーシャルゲーム業界という道のど真ん中を突き進むgumiを率いる、国光尚宏代表取締役社長に話を聞いた。
●モバイル版SNSの礎を築いたgumi
――もともとはアットムービーという映像事業がメインの会社に勤めていらっしゃったそうですが、どのような経緯で現在のgumiを立ち上げたのでしょうか?
国光 立ち上げは2007年のときで、当初は「モバイル版のFacebookをやろう!」という意気込みから、”gumi”という名称のモバイル版SNSサイトを作っていました。ちょうどそのころ海外でFacebookが出てきて、オープンプラットフォーム化するかどうかが話題になっており、「つぎに狙うのはSNSをプラットフォームにする形だ」と思ったのが、gumiのSNSサイトを立ち上げた理由でした。実際、gumiのオープンプラットフォーム化は、mixiより1年、GREEよりも2年、モバイル版Facebookよりも3年早く動いていたんです。
――モバイル版SNSにいち早く目をつけ、取り組んだわけですね。
国光 昨今、「流行っているから」、「儲かりそうだから」という感じでソーシャルゲームに参入してくるメーカーもあるじゃないですか。だが我々は、いち早くモバイルSNSサイトのプラットフォームに取り組んできた。僕らが立ち上げたSNSサイトの仕様が、mixiになり、MobageやGREEに参考にされて、そしていまではモバイル版Facebookが始まった、という流れになっています。多少の自負を込めて言うと、日本のSNS、とくにモバイル版SNSに関しては、僕らが牽引してきたと思っているんです。……まぁ、半分以上は自負ですけど(笑)。
――いまのSNSの礎を築いてきたというわけですね。自負だとしてもすごいです(笑)。当時、モバイル版SNSのサービスを開始されて、実際に手応えはいかがでしたか?
国光 SNSのプラットフォームって、モバイル版だとgumiが当時では世界初だったので、僕らとしても「これはすごいことだろう!」という感じでオープン化しましたが、ユーザー数があまりにも少なくて。「オープン化しました!」と言っても、誰も僕らのSNS向けにゲームを作ってくれませんでした(笑)。だから仕方なく、自分たちでgumi向けのゲームやアプリを作っていました。当初の目標では、gumiをいまで言うモバイル版Facebookのような位置づけにして、mixiをぶち抜く予定だったんですが……野望まったく叶わじでした。そんな矢先、mixiがオープンプラットフォーム化することになりまして。SNSの仕様が我々とまったく同じだったので、gumi向けに作っていたゲームやアプリをmixiに導入してみたんです。そうしたら、他社よりも先行してアプリを作っていたメリットもあってか、いきなり100万人規模のユーザーが集まったんです。もちろん当時はまだアプリが少なかったこともありますが、「今度こそキタな!」と思いました(笑)。ある意味、gumiがプラットフォーム事業からアプリ開発に移行したひとつのキッカケでしたね。
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●ソーシャルゲーム業界で成功するための秘訣
――今年のgumiは『さんごくっ!』に始まり『任侠道』、『デュエルサマナー』、『海賊道』、『デュエルインワンダーランド』と、スマッシュヒットを飛ばし続けていますね。
国光 そうですね。ある意味、gumiにとって2011年はとても順調な年だと言えます。僕らもそうですけど、やっぱりソーシャルゲーム市場で生き残るためには、ひとつのタイトルがヒットしたからと言って安心してはダメなんです。いつかはユーザーに飽きられるときがくるわけですから、ひとつのヒット作だけで勝負するのではなく、ヒットタイトルを複数本しっかりと出し続けていける体制を整えられるかどうかが、重要になってきます。
――ソーシャルゲーム業界の成功の秘訣はコンスタントに作品を生み出し続けるべきというわけですね。
国光 そう思います。1本、2本まぐれでヒットした作品で収益を得るのではなく、2~3年後、さらにその先を見据えて、コンテンツやサービスの質を上げられるかどうかが、決定的に重要なポイントですね。でも、ただ出し続けるだけじゃダメで、ソーシャルゲームはコンテンツビジネスではなく、サービスビジネスという意識を持つことも大切。ユーザーというよりも、お客様ひとりひとりに合った形のコンテンツを作り、その人たちが何を求めているのを踏まえてカスタマイズ、ブラッシュアップしていく。ゲームをそのレベルまで徹底的に落とし込んでいくことが大事であり、結果的に会社としての本質的な強さになると思います。
●お約束を意識したブランド力
――gumiならではのゲームの魅力、ゲーム作りに対する信念はどんなところにありますか?
国光 よく、あのゲームをパクったとかパクられたとか、ソーシャルゲームは似たようなゲームばっかりと言われることがありますよね。でも、昔映像の仕事をしていた立場から見ると、映画でもドラマでも、似たものってたくさんあります。もっと言えば昔からある音楽や戯曲、舞台だってそう。けっきょく、起承転結、序破急しかないわけで、プロットの法則というところも「まずこういう展開から始まり、つぎの展開があって、最後の展開がある」という感じのフレームワークが、映画でも音楽でもある程度決まっています。それを踏まえると、最終的にゲームにとって大切なのはシステムや仕組みよりも、テーマ性やストーリーの奥深さにこだわり、そして何よりも“お約束”を意識することだと思います。そうすれば、似たような作品の中でひとつの差別化できるポイントになるわけです。
――お約束と言いますと?
国光 要するに、お客様に対して、「うちの商品はこういうものです」というテーマやカラーを守り、提示し続けるということです。高級ブランドは、そのブランド自体がポリシーを守り続けた商品を提供するからまた買いたいと思うし、吉本新喜劇や『水戸黄門』も同じことをやり続けるからまた観に行きたいと思える。それがユーザーに向けた“お約束”であり、エンターテインメントにおいてファンを作るために重要なことなんです。わかりやすい例が、ディズニーとジブリ。ディズニー映画、ジブリ映画は、ただそれだけで観に行こうと思えますし、固定ファンが確実にいます。それは、ユーザーに対する“お約束”を守り続けているからだと思うんです。ディズニーなら、大人たちの心の中にある子どものころのピュアな気持ちを表現しているし、ジブリなら、小さな少女の成長物語を通じて自然と人間との関係を描いていますよね。
――たしかに、どちらも作品ごとに、雰囲気は違えど1本筋が通っている感じがします。
国光 お約束がはっきりしているから、ファンも安心して観に行きたくなるわけです。そのお約束を意識して作ったのが『任侠道』や『海賊道』で、これらは“中二病”をテーマに、男性が若いころに持っていたワクワクするような気持ちをゲーム化しています。若いころって任侠の世界とか海賊とか、ちょっとアウトローな世界に憧れるじゃないですか? 極女や賊女といったお姉ちゃんたちとのストーリーを入れているのも、中二くらいの時期が女性にいちばん興味があるから。セクシー&バイオレンスというカラーを全面に出して、おっさんになってしまった我々のような大人たちの、中二のころの熱い夢をくすぐるという“お約束”が『任侠道』や『海賊道』にはあります。また、gumiのほかのタイトルに関しても、ユーザーを裏切らないテーマというものがハッキリするように開発や運営に取り組んでいるんです。
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●ソーシャルゲーム世界大戦が始まる
――いまソーシャルゲームは大きなブームになっていますが、今後このブームを持続させ、さらに大きくするために、gumiとしてどのようなことに取り組んでいこうとお考えでしょうか?
国光 やはりいま急速に普及しているスマートフォンへの対応ですね。当面は、フィーチャーフォンの作品をスマートフォンでも、という形になります。そうなると、スマートフォンもHTML5でより早く動かして、よりユーザビリティをよくして、より見せかたも向上させていく努力が必要です。……正直、今後やらなければいけないことは絶望的に多いので(笑)、コンスタントにヒット作を出さなければいけないとは言いつつも、いまはまだ、将来を見据えて会社としての実力をつけたり、ノウハウを蓄積していく準備期間かなと思っています。
――スマートフォン版のみのオリジナルタイトルも考えられているのでしょうか?
国光 当面はスマートフォンのみ対応したタイトルは考えていません。逆にフィーチャーフォンのみのタイトルもなくして、どちらでも遊べることを徹底していきたいですね。その理由はすごく簡単で、ユーザーの獲得って、知り合いの招待から入ってくる人数がすごく多いんです。現状、すべての人がフィーチャーフォンを使っているわけじゃないし、スマートフォンを使っているわけじゃない。どちらかでしか遊べないゲームだと、ユーザーどうしの招待で「自分のケータイじゃできないじゃん!」となる可能性もある。それを避けていきたいんです。
――たしかに、どちらかにしか対応していないがために、ユーザー獲得のチャンスを逸してしまうことになりますね。
国光 とはいえ、やはり“スマートフォン”は今後のキーワードだと思います。世界中に普及する端末になりますから、僕らが作ったアプリも当然世界中の人たちに触れられる機会が増えるのではないかと。だから今後のことを考えると、いまこの時期に我々や国内のほかのメーカーががんばらないと、海外のメーカーに負けてしまうかもしれない。最近、Facebookがスパルタンという、ウェブベースのゲームをモバイルで動かすプロジェクトを始めています。いずれそのフィールドに、もともとPCゲームがメインのZyngaやエレクトロニック・アーツなどの海外勢が参戦してくるでしょうし、日本のメーカーも参戦することになります。これからソーシャルゲームの世界大戦が始まるのではないでしょうか。
――そのソーシャルゲーム世界大戦に向けて、gumiが掲げる今後の目標をお聞かせください。
国光 世界展開を考えたときに、やはり会社の成長をすごく意識しています。だから今後、100人でも500人でも1000人でも仲間を増やして、どんどんgumiを大きくしていきたいですね。やはりエンターテインメントの開発は将来の収益見込みから制作費が決まるので、当然その収益見込みが大きければ大きいほど、いま作っているゲームにお金をかけることができます。もちろん、お金をかければいいものを作れるというわけではないですが、あるにこしたことはありません。いまは開発費がそこまでかからくてもそれなりの収益が見込めていますが、この状態が続いてしまうと、海外メーカーに太刀打ちできなくなっていくと思うんです。映画業界がまさにそうで、ハリウッド規模の映画を日本で作れと言われても絶対無理だし、第一パクろうとしたって『パイレーツオブカリビアン』や『アバター』とか、どうやって作ればいいかわからない(笑)。そういう次元まで、日本映画とハリウッド映画の差は広がってしまいました。ハリウッド映画は全世界の人が観てくれて、収益が見込めるという前提があるから、膨大な制作費がかけられるワケです。結果、優秀な人材も増えるし、いい技術も使えてあのレベルに到達しました。でも日本の映画は国内でしか売れないから、結局海外に勝てなくなってしまいました。ソーシャルゲームも同じで、どこかのタイミングで世界展開が遅れるとまったく勝負にならなくなると考えています。ですから、今後海外メーカーと戦ううえで、資金面でも負けないために会社を大きくしていくつもりです。最終的な目標は……打倒、Zyngaです!
【バックナンバー】
※ソーシャルゲーム企業初の上場・KLab森田英克取締役インタビュー【ソーシャルゲームの成功者に訊くVol.3】
※“神運営”とも称されるソーシャルゲームドリームの体現者たちに直撃【ソーシャルゲームの成功者に訊くVol.2】
※世界市場を狙う業界の風雲児・gloops梶原吉広社長インタビュー【ソーシャルゲームの成功者に訊くVol.1】
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