オリジナリティ爆発のアクションパズル! 『クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法』インプレッション

公開日時:2012-07-30 00:00:00

プレイステーション3版も配信され、Xbox 360版、PC版と予定されていた対応機種すべてでリリースされた『クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法』。本作は、『ポータル』などのゲームデザイナーで知られるキム・スウィフト女史による、一人称視点のアクションパズルゲーム。今回は、本作のプレイインプレッションをお届けしよう。

■次元をシフトして謎を解くパズル

プレイヤーはIDSデバイスと呼ばれる(何やらよくわからない)装置で、“ふわふわ”や“おもおも”、“のろのろ”、“さかさま”の4つの次元を切り替え、発明家のおじさん“プロフェッサーQ”のハチャメチャな研究所を探索することになる。つまり、簡単に説明すると、自身の発明したIDSデバイスで、どこかの次元の狭間に飛ばされてしまった、はた迷惑なおじさんを助けるために、次元切り替え装置のようなものを操作し、迷宮のような研究所(というか屋敷)の各部屋に仕掛けられたパズルを解きながら進んでいくという内容の作品となっている。

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▲プロフェッサーQ。このファンキーなイラストだけ見ても、ちょっとふつうの博士ではないことがうかがえる。うさぎの着ぐるみ(?)を着ても「それが何か?」的なたくましさ!

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▲超次元生命体、アイク(IKE)。博士が実験中に偶然出くわして、そのまま研究所までついてきてしまった。複数の次元を行き来し、それらを同時に見渡す能力がある。

▲研究所は、迷惑にも落ちたら助からない場所やレーザーが張り巡らせている場所も多数。

▲“こっくり鳥”という置物がくちばしで次元のスイッチを切り替えてくれる部屋も。

4つの次元は最初からすべてが使えるわけではなく、各次元に対応するIDSデバイス用バッテリーを入手すると使えるようになる、という設定。大きな流れとしては、“ふわふわ”→“おもおも”→“のろのろ”→“さかさま”の順に使えるようになる。

序盤にメインで使用するのは“ふわふわ”効果。“ふわふわ”次元に切り替えると、通常では持ち上げられない重い金庫や家具などが風に吹かれると飛んで行ってしまうほど軽くなる(しかも、ぬいぐるみように柔らかくなる)ので、物体を持ち上げて移動させたり、投げたりすることが可能になる。オーソドックスな使いかたとしては、軽くした物体を、重さで反応するスイッチの上まで持って行き、通常の状態、もしくは後述する“おもおも”に切り替えて、物体の重みでスイッチを入れる、といった感じ。また、投げた物体が風に吹き飛ばされてしまうことを利用して、ファンの風圧で物体を壁に貼り付け、それを足場に高所を進んだり、といった使いかたもできる。

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続いては“おもおも”。これは文字通り“ふわふわ”の逆で、ダンボールなどの軽いものを鉄の塊のように重く、そして硬くすることができる。これを利用すると、バネ仕掛けの台座の上に金庫を置く→“おもおも”に切り替えて台座を沈み込ませ、鉄の塊(元は金庫)の上に乗る→“ふわふわ”に切り替え、バネの反発力で高くジャンプ! なんてことが可能になる。また、研究所になぜか存在する、触れると死んでしまうことになる物騒なレーザーも、“おもおも”状態の物体なら遮断でき、その先へ進むことができる。

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“のろのろ”は、時間の流れを遅くする効果。高速回転するファンの回転スピードを緩めて、そのあいだを通過したり、落下してくるテーブルに乗って移動したり、といった使いかたが可能だ。

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最後に紹介する“さかさま”は、重力が逆転するので、物体に乗って(通常時は)高所にあるスイッチなどを押すときなどに利用する。また、“さかさま”をオン・オフと切り替えることで投げた物体の飛距離を伸ばす、なんていう使い道も。“さかさま”が使えるステージは、慣性をもっとも大きく感じられるステージで、その慣性を計算した操作などが求められる点がユニーク。

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■謎解きにアクションというふたつのハードルを超える楽しさ

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4つの次元は、組み合わせて使う局面が多々あり、ここがパズルとしてのアタマの使いドコロにもつながる。たとえば、ネタバレになるので個人的に悩んだポイントをひとつだけ紹介すると、ボールを高所にある装置に放り投げることが必要とされるステージがあり、そこには金庫がひとつと装置を挟むようにバネ台がふたつ設置。さて、どうしたものかと小一時間くらい悩まされたが、“おもおも”と“ふわふわ”を切り替えて、バネ台からボールを飛ばし、もう一方のバネ台から自分もジャンプし、バスケットボールのアリウープの要領で、空中でボールをキャッチして、向きを変えて装置に投げ込む、というのが正解。飛ばしたものを空中でキャッチできる、ということに気づいたときの「なるほど!」感(「なぜ気づかなかった」という自責の念もあり)と、そしてそれを実行(けっこうテクニカルなアクション)できたときの快感。パズルとアクションのカタルシスが同時に味わえることが本作の魅力なのだ。ちなみに、次元の狭間から主人公を見守っている“プロフェッサーQ”の軽妙な口調でアドバイスしてくれるので、謎解きに困ったら耳を傾けるといいだろう。  一人称視点のアクションは、距離感がわかりづらいところもあり、慣れは必要だが、基本的にはオーソドックス。場面によってはシビアな操作が必要とされるところもあり、「本当にこのやりかたで正解なのか!?」と不安に思いながらのアクション操作は、失敗するごとに「もう少し楽は方法があるのでは……」と疑心暗鬼が強まるだけに、クリアーしたときの達成感とホッとした感じは、ほかではなかなか味わえない。

■唯一無二のパズルアクションの秀作

次元の切り替えによる変化を謎解きに使ったユニークなパズルアクションである本作。オンライン配信タイトルながら、ボリュームもそれなりにあり、筆者はところどころで躓きつつ、クリアーまで10時間以上はたっぷりとプレイした。オートセーブ機能があり、ステージの仕掛けを解いたらまたつぎのステージへ、という流れなので少しの時間でも楽しめる。また、コレクション要素や、目標となる次元シフト(切り替え)回数などやり込み要素もあり、クリアー後も楽しめる作りになっている。これでプレイステーション3版は1200円[税込]、Xbox 360版は1200MSPなので、お買い得と言えると思う。

あと、オマケでお伝えしたいのが、本作の世界観のヘンテコさ。変な装置が満載の研究所、謎解きに必要な物体を口から吐き出す“ドリー”というデバイス、必要なのかどうかのかよくわからないマスコットキャラ(研究所に居付いた生命体)“アイク”、おもしろいんだかおもしろくないんだか、粋なアメリカンジョークらしきものを連発する“プロフェッサーQ”などなど。少し毒っ気のある濃い世界観が、何とも印象的なのだ。

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▲Dynamic Object Linear Ligation Interface、通称ドリー(DOLLI)。物体をコピーするデバイスだが、屋敷内には制御不能になり、無限に 複製を生産し続けているものも多い。スイッチを押すと、「ブォ~ベッ」と物体を吐き出す。

ポータル』も名作パズルだったが、この『クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法』も、本作でしか楽しめない独特なパズルアクションになっており、そのデキも秀逸。気になる人はぜひプレイしてほしい。

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タイトル:クウォンタム コナンドラム 超次元量子学の問題とその解法
対応機種:プレイステーション3、Xbox 360、PC
配信日:
プレイステーション3版:2012年7月24日
Xbox 360版:2012年7月11日
PC版:配信中
価格:
プレイステーション3版:1200円[税込]
Xbox 360版:1200MSP
PC版:$14.99
ジャンル:アクションパズル
プレイ人数: 1人
CERO:A (全年齢対象)
開発会社: Airtight Games
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