クロスレビュー

平均

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『弟切草』に続くサウンドノベルシリーズ第2弾。雪に閉ざされたペンションを舞台に恐怖の物語が展開する。実写撮り込みの映像と登場人物の影絵が特徴的。
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かまいたちの夜(SFC)のレビュー・評価・感想情報

ハイルナー
SFC 2012-11-30 15:17:14投稿
9

吹雪により外界から閉ざされたペンションで起こった殺人事件を描いたミステリー・サウンドノベルゲーム。

全体の流れは極めて単純で、主人公・透と、その恋人と近しい間柄にある真理が訪れたペンションに奇怪な脅迫文が送られたことから始まり、第一の殺人、第二の殺人と段階を踏み、それらを踏まえた上で推理を展開させ犯人を見つけるというもの。
ゲームシステムは基本的なアドベンチャーゲームのそれと同様に、文章によって幾らかのストーリーを進めると、行動分岐が登場し、選択した行動によって別の展開を見せるようになっている。が、普通のアドベンチャーゲームと違い、非常に分岐が多く、ストーリーの大筋は変わらないが、ちょっとした選択によって得られる情報が大きく変わってくる。また、従来のアドベンチャーゲームと違い、ただ正解の選択肢をなぞるだけではクリアできず、プレイヤー自身が深く事件を推理し、能動的に解決に導こうとしなければ、事件は解決されない。テキストを追うだけの紙芝居とは一線を画した高いゲーム性を持っているのが特徴。

「サウンドノベル」というジャンル名の通り、プレイしている感覚はほとんど小説を読んでいる感覚に近い。脚本が我孫子武丸氏ということもあり、内容は混じりっ気の無い純粋なミステリ小説そのもの。

メインシナリオを解決しての感想としては、先ず一番魅力に感じたのは、小説的な面白さを主題として位置づけ、そこから更にゲームでしかできないドラマチックな演出によってよりそれを強く際立たせているところ。
プレイ環境を邪魔しないながらも、雰囲気のあるBGMや効果音、具体的に登場人物のグラフィックを描かず、小説と同様に、頭の中の想像を邪魔しないキャラクタの描写、他にも、死体を発見した際に、一瞬だけカラーで映る演出なんかにはグッときてしまった。
テキストも最小限に抑えながら、全く小説らしさと言うのを損なっていない。30章前後ある物語も非常にテンポよく展開するほか、バッドエンディングから再度リセットしやり直す際も、選択分岐を少し変えるだけで全く違う視点で展開されるため、繰り返しプレイしても全く飽きが来ない。これは、ゲームとしても非常に完成度が高いと言える。

強いて悪い点を挙げるとすれば、システムの悪さ。
ある特定の部分からやり直すためには、一度エンディングを迎えるか、初めからやり直さなければならないことや、選択分岐を事前にメモ或いは自分の頭で把握しておかなければ、エンディングを迎え改めて特定の章からやり直す際にも色々手間取る事になる。それらはちょっと面倒だったかな、という印象。

小説を読んだ時の没入感と、自らの選択によってさまざまな視点から事件を推理していくゲーム性の高さは非常に魅力的。サウンドノベルの代名詞となっただけの理由のある、素晴らしいゲーム内容と言える。

テキストメインで展開するほか、演出も最小限にしながらこだわっているため、システム以外での不満は全くない。今からでもやる価値は十二分にある。
スーパーファミコン版も未だ中古であれば入手可能。システムまわりはプレイステーション版移植で改善されているため、初作重視でない方はプレイステーションアーカイブスなどで気軽に購入してみるのがよい。

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