ムックや映像といった関連商品 or コンテンツを作っている際の出来事や裏話などの悲喜こもごもを語るコーナー。基本的には役に立たないコンテンツだとは思うが、すごい情報が明らかになることもあるかもしれない。そうなったらうれしい。
 
2010/06/03 日常生活で稲荷【烏帽子】を生産する 前編
 イベントが実施されるたびに、新シーズンに移行するたびに、『MHF』には新しい武具が追加される。新しい武具を身に着けて狩りに挑むと、新鮮な気持ちを味わえる。そのわくわく感を実生活に取り入れたら、充実した毎日を送れるのではないだろうか。

 もしかしたらすでに実装されているのかもしれない。僕が生産していないだけで。自己紹介が遅れました。フロ通.comスタッフのミス・ユースケです。こんにちは。

 決めた。生産しよう。

(本稿は『フロンティア通信 シーズン8.0』90ページに掲載されている”稲荷【烏帽子】のすばらしさを体験する”という記事を、よりメンタルな方面から書き直したものです)


【材料探し in 新宿】
こいつが僕の心に火を着けた。
 生産する武具はすぐに決まった。シーズン8.0と同時に登場した頭防具、稲荷【烏帽子】を自分の手で作るのだ。

 稲荷【烏帽子】をひと目見たときに「あ、作ろう」と思ってしまったのだから仕方ない。これを衝動という。

 幸い、僕はコスプレイヤーだ。完全に再現するのは無理でも、なんとなく作るくらいの技術は持っていると思う。

 材料は森羅万象が売られているお店としてお馴染みの東急ハンズに買いに行った。東急ハンズにはだいたいのクラフト素材がそろっているので、困ったらとりあえず行くようにしている。

 さまざまな道具や材料が並んでいるのを見ていると「これ何かに使えるかな」、「あれを買っておいたら便利かも」と余計なものまで手に取ってしまう。これは何かに似ていると思ったら、あれだ。旅行中のテンションだ。僕がほとんど旅行に行ったことがないのは、東急ハンズで満足しているからなのかもしれない。

 普段は買う材料の目星をつけてから行くのだが、この日は完全にノープラン。だって、こんな被りもの作ったことないもん。店員さんに画像を見せてアイデアをもらうという手もあったが、それはやめておいた。百戦錬磨の東急ハンズスタッフも、デュラガウアの素材感について質問されたら「めんどくさい客が来たな」と思う可能性がある。

 被りものをイチから作るのは非常に難しいので、ベースとして使える素体があるかどうかが勝負の分水嶺だ。はやる気持ちを抑えきれず、やや急ぎ足でバラエティーグッズ売り場に向かった。どきどきしながら陳列棚を物色していると、端のほうに稲荷【烏帽子】と似た形状のアイテムを発見。小走りで駆け寄って手に取り、思わず感嘆の声を上げてしまった。

 ……これ、サザエの被りものだ。店内は撮影禁止だと思うのでこのときの様子は写真に残していないが、写真にアフレコすると「これが伝説の賢者の石……」みたいな感じだったと思う。

 サザエの被りものを見たら頭のなかで制作手順がまとまった。必要な素材や道具をつぎつぎと買いものカゴに入れていく。買ったのは、

・サザエの被りもの
・ウレタンボード
・突起物用の発泡スチロール
・発泡スチロール用ヒートカッター
・塗料各種
・ハケ

 などなど。つぎに特殊な布を多数取り扱う手芸店、オカダヤで

・革系の生地×2種

 を購入した。

買った材料。作り始める前に、それぞれ単体で写真を撮っておけばよかった。

 ハンターたちは大自然のなかで武具の素材を集めるが、僕だってコンクリートジャングルを駆けずり回って材料を探している。そろそろ僕もハンターを名乗ってもいい頃なのではないか。

 異なる点があるとすれば、彼らが4人で力を合わせるのに対して、僕は完全なロンリーウルフということだ。しかも素材を集めたら武具工房の親方に任せるというわけにもいかないので、よりいっそう孤独を感じてしまう。被りもの制作は自分との戦いでもある。

 ここまで書いたところで、すごく長くなりそうな気がしてきた。だってまだ材料をそろえたところだ。マラソンで言ったらスタート地点に立ったところ。これから42.195kmも走らなければならない。

 金メダルを獲得するのは誰か。新記録は生まれるのか。そんなドラマ性もないまま、稲荷【烏帽子】作りは後編に続きます。