カプコンから2012年10月25日に発売のPS Vita用ソフト『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』。今回の特集記事では、プロゲーマーのときど選手が本作を体験プレイ。そのプレイインプレッションを中心に、PS Vita版ならではの要素を紹介していくぞ。
カプコンから2012年10月25日に発売のPS Vita用ソフト『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』。今回の特集記事では、プロゲーマーのときど選手が本作を体験プレイ。そのプレイインプレッションを中心に、PS Vita版ならではの要素を紹介していくぞ。
――格闘ゲームの世界大会EVO2012で3位入賞を果たすほど『ストクロ』をやり込んでいらっしゃるときどさんですが、やり込むことにしたきっかけを教えていただけますか?
ときどEVO2012や2012年10月20日に開催された公式全国大会など、大規模な大会の開催が早い段階から決まっていたからです。
――ときどさんはプロゲーマーであるため、世界規模の大会の存在は欠かせないんですね。
ときどそうですね。そういった大きい大会に向けてやり込んでいくうえで、ぜんぜん知らない強いプレイヤーたちと出会うことができました。そういったプレイヤーとの対戦が高いモチベーションを保つ一因になりました。
――数多くの格闘ゲームをプレイされているときどさんでも知らないプレイヤーがいるんですか?
ときどはい。以前にどんなゲームをプレイしていた方なのか聞いてみたら、『ストリートファイターIV』シリーズをプレイしていたという人が多いのですが、なかには『鉄拳』をプレイしていたという人もいました。その人は『鉄拳』プレイヤーだけあって、『鉄拳』のキャラクターでタッグを組んでいましたよ。
――それだけ多くの人がプレイしていることが、『ストクロ』の魅力なんですね。
ときどはい。多くの対戦相手に恵まれているところが『ストクロ』のいちばんの魅力だと思います。
――なるほど。それでは、ゲーム内容で魅力に感じた部分はありますか?
ときどシンプルなゲーム性が魅力ですね。『ストクロ』はタッグ戦なので2キャラクターを使う必要がありますが、ゲーム性がシンプルなため、2キャラクターの戦いかたを覚えるということが難しくありません。ゲームによっては覚えることが難しくて、そこが敷居の高さにつながってしまいますが、『ストクロ』にはそれがないんです。
――具体的にはどういった部分がシンプルなのでしょうか?
ときどゲームシステムがシンプルなんです。タイミングよく“弱→中→強→強”の順番で攻撃ボタンを押すと発動する“クロスラッシュ”という全キャラクター共通のコンボシステムがあるため、どのキャラクターを使ってもとりあえずクロスラッシュを使えばダメージが奪えるようになっているんです。
――たしかに。複雑なコンボをイチから覚える必要がないのは楽ですね。
ときどもちろんキャラクターごとの差はありますが、基本的な流れは変わらないため、初心者にも覚えやすいと思います。さらにPS Vita版にはタップ操作もありますから、『ストクロ』は格闘ゲームの入門には最適のタイトルだと思います。
――キャラクターを強化できる“ジェムシステム”についてはいかがでしょうか?
ときど種類が豊富で研究し甲斐のあるシステムと言えますね。据え置き機版が発売されてからだいぶ時間が経っていますが、発掘されていない有効なジェムの組み合わせはまだまだありますよ。ジェムの有効な組み合わせをすべて知り尽くしている人は、世界を見回してみてもまだいないと思います。
『ストクロ』の根底となるジェムシステム。ジェムは、大きく分けてブーストジェムとアシストジェムの2種類に分類される。ブーストジェムは、対戦時に発動させることで攻撃が力アップするなど、使用キャラのステータスアップの効果を発揮する。アシストジェムは、コマンド入力が簡易化されるなど、プレイヤーの操作をサポートする効果があるのだ。キャラクターやプレイヤーに与える効果だけではなく、効果の発動条件もさまざまなものが用意されているので、自分のプレイスタイルに合わせた組み合わせを設定しよう。
――そんなに奥深いのですか!? それだけバリエーションがある中で、ときどさんが注目しているジェムはありますか?
ときど少しコアな話になってしまいますが、キャラクターのスピードをアップさせる効果のあるジェムが強いと思います。そのジェムを複数装備すると、とんでもなく早く動けるようになるので、かなり強力だと睨んでいます。しかし、まだ使いこなしている人は少ないようですね。ほかには、一定時間パワーアップする“パンドラ”を発動した際に攻撃力がアップするジェムも強いはずです。ただ、パンドラ自体の使いどころが難しいため、こちらも使っている人は少ないようです。
――もしも、ときどさんがそのジェムを使うとしたら、どういった状況で活用しますか?
ときど僕自身も使いこなしているわけではありませんが、使うとしたら相手のジャンプを迎撃する際に活用するといいんじゃないかと思います。たとえば、相手がジャンプした瞬間にパンドラを発動すれば、ジェムの効果も同時に発動するので、ものすごい攻撃力の技で相手のジャンプを迎撃できるはずです。
――ほほう。ジェムによって有効な状況が異なるから、相当研究する価値がありそうですね。ちなみに、初心者にオススメのジェムはありますか?
ときど“攻撃力アップ”や“防御力アップ”、“ダメージカット”の効果があるジェムがオススメです。さらに、ダメージカットであれば、“必殺技を当てられる”などの試合中に発生しやすい状況が発動条件になっているものを選ぶといいと思います。ゲームに慣れてきたら、自分の使っているキャラクターの特性に合わせたものを選ぶようにするといいんじゃないでしょうか。
――なるほど。ときどさんも使用キャラクターごとにジェムを変えているのでしょうか?
ときどはい。僕もキャラクターごとに変えています。ジェムシステムは本当に奥深くできていて、「このジェムを装備しておけばいい」というものがないんです。たしかに強いと言われているジェムはありますが、キャラクターの特性や自分のプレイスタイルによってつけ換えたほうが効果的だと思います。
――キャラクターの特性に合わせたほうがいいということですが、ときどさんはキャラクターの長所を伸ばす方向でジェムを選択しているのでしょうか? それとも短所を補う形でしょうか?
ときど僕は、動きの早いキャラクターにはスピードアップというように、長所を伸ばす方向ですね。あとは防御力アップのジェムはどのキャラクターでもつけています。受けるダメージが減るため、安定した立ち回りができるためです。
――ときどさんは守り主体のプレイスタイルなのでしょうか?
ときどはい。『ストクロ』は守り主体のゲームだと思っていますから、守りを伸ばすようにしています。とは言え、相手にダメージを与える役割のキャラクターの場合は、攻撃力アップのジェムをつけるようにしています。
――攻撃役と防御役など、タッグで役割を分担しているのでしょうか?
ときどそうですね。先鋒は安定した立ち回りが可能なキャラクター。そして、攻撃力の高いキャラクターを控えにおいています。なぜかというと、まず先鋒でじっくり立ち回りながら、パートナーと入れ替わりつつ空中コンボが狙える“ランチアタック”を決めて、控えのキャラクターでダメージを奪うという流れを想定しているためです。
――役割を考えてタッグを構成し、さらにそのタッグに合わせたジェムをつけるというわけですね。
ときどはい。僕の場合はダルシムとコーディーでタッグを組んでいます。タッグの方針は、守りの堅いダルシムを先鋒で使い、コンボダメージの高いコーディーでダメージを奪うという形です。でも、コーディーはコンボダメージだけではなく、全体的に性能が高いですけど(笑)。
――キャラクターの多さも『ストクロ』の魅力ですよね。
ときどそうですね。55キャラクターもいるので、僕が使っていないキャラクターの中にも「もしかしたら強いかも知れない」というキャラクターもいますからね。まだ、すべてのキャラクターが限界まで攻略されているわけではありませんから。
――まだ攻略できる要素はあるのですか?
ときどはい。ジェムと同じで、全キャラクターをやり込めている人はまだ誰もいないと思います。僕もかなりやり込んでいますが、まだやれるところはあると考えています。それに加えてジェムの組み合わせもありますから、本当に限界が見えませんね。
――少し話しが戻りますが、ときどさんがやり込む理由として大会を挙げていましたが、国内だけではなく、海外でも頻繁に大会が開催されているのでしょうか?
ときどそうですね。先日ブラジルの大会に参加したのですが、そこでも『ストクロ』は競技種目に選ばれていました。参加人数もかなり集まっていましたよ。
――世界でも人気が高いんですね。そんな『ストクロ』ですが、“Ver.2013”へのアップデートも発表されました。これについてはいかがでしょうか?
ときどそうですね。まだ現段階では、どのキャラクターが強い弱いというものが出揃っていないため、調整はかなり難しいと思います。ただ、これまでのアップデートの傾向はすごくよかったので、さらにいい方向に進むことを期待しています。
――PS Vita版を体験してみて、いちばん印象に残った新機能を教えていただけますか?
ときどいちばん気に入ったのは、ARモードですね。PS Vitaの機能を最大限に活かしているという印象を受けました。PS Vitaは持ち運べるので、いろいろな場所で“おもしろショット”が撮影できそう。それに、PS Vitaならすぐにインターネットにつなげられるから、撮影した写真をその場でフェイスブックにアップできますよね。キャラクター人気の高いゲームなので、そういったところからでも格闘ゲームに興味を持ってもらえるとうれしいです。
――ARモードでは、自分でカラーをカスタマイズしたキャラクターを使うこともできます。これについてはいかがでしょうか?
ときどノーマル、コラボ、アレンジと、どのコスチュームもカスタマイズできますし、カラー変更できる部位もかなり細かく設定されているので、個性的なキャラクターが作れそうですね。セーブデータもプレイステーション3版と共有できるから、移動中にPS Vita版でカスタマイズして、自宅でガッツリプレイステーション3版で遊ぶときにPS Vita版でカスタマイズしたキャラクターを使うということも考えられます。これまで僕はノーマルカラーを使うことが多かったのですが、これからはカスタマイズしたものを使うかもしれません。
――カスタマイズしたキャラクターはnear機能を使って配信もできますよ。
ときどnear機能はすごく便利だと思います。たとえば、イベント会場に僕のPS Vitaを置いておいて、キャラクターデータを配信したらおもしろそう。
nearはPS Vitaの基本的なアプリで、位置データを使って発見した周辺のプレイヤーやフレンドのあいだで、ゲーム情報やゲームのアイテムなどを共有できる。『ストクロ』では、この機能を使ってほかのプレイヤーへキャラクターのカスタマイズデータを配信可能。
――そのキャラクターとARモードで記念撮影したら、ファンにとってはうれしいでしょうね。
ときどぜひ活用したいですね。イベントのフォトセッションのときにARモードを使って、僕とゴウキとファンの方だとか、ウメハラとリュウとファンの方で記念撮影するのもありですね。
――それは絶対にうれしいと思いますので、ぜひ実現してください。ほかに注目した新機能はありますか?
ときどPS Vitaならではの機能ということで、タップ操作が気になりました。PS Vitaでプレイする場合、おもに親指を使って操作するので、アーケードスティックで遊ぶときと違ってほかの指が余っているんですよ。でも、背面タッチパッドにボタンを割り振っておけば、その余った指を活かせますよね。単純にボタンが増える形になるので、とても便利な機能だと思います。
――ときどさんは、どのボタンをタップ操作に割り当てますか?
ときど僕はボタン3つの同時押しを背面タッチパッドに割り当てます。ボタンを3つ同時に押すという操作は、PS Vitaのボタン配置だとかなり難しいと思うんですよ。それに、同時押しのミスで負けたとなると、すごく悔しいですからね。
――前面のタッチスクリーンはいかがでしょうか?
ときど前面の場合は、右手の親指から近いところにタップする場所を配置すれば、もうひとつボタンが増えたような感覚で使えると思います。タップする場所も自分なりにカスタマイズできるので、自分がタップしやすい位置に配置するのがポイントですね。
――さすがときどさんですね。もう最適な使い方を分析している。それでは、格闘ゲームとして初の試みになるクロスプレイはいかがでしょうか?
ときどあくまで開発環境でのプレイということが前提ですが、通常の対戦プレイと同じように遊べました。本当に違いはわからなかったですね。もしも環境によってラグ(遅延)が生じたとしても、『ストクロ』はラグの影響を受けにくいゲーム性なので、問題ないと思います。それよりも、対戦相手の幅が広がることのメリットのほうが大きいですよ。やっぱり格闘ゲームは対人戦がいちばんの魅力ですから。
――そうですね。ネットワーク環境がある場所なら、外出先でもどんどん通信対戦に挑戦してほしいですよね。それでは、最後にファンへのメッセージをお願いします。
ときどPS Vita版はプレイステーション3と変わらない感覚でプレイできたので、持ち運びも便利だし、僕は移動中の研究に使いたいと思います。僕と同じように自宅だけではなく、移動中もやり込みたい人にはオススメです。もちろん、ARモードやタップ操作など、格闘ゲームの入門に最適な要素もありますので、初心者の方にも手に取ってもらいたいですね。
――幅広いユーザーにオススメということですね。それでは、今後の『ストクロ』におけるときどさん個人の豊富をお聞かせいただけますか?
ときどまずは、2012年12月にカプコンUSAが主催する世界大会を目標にやり込んでいきたいと思います。格闘ゲームの世界大会EVO2012のときは、やり込む時間が少なかったうえに、どのキャラクターが多く使われているかなどの情報もなく、対策不足で韓国とアメリカのプレイヤーに負けてしまいました。でも今回はかなりの時間をかけてやり込んでいますので、絶対にリベンジしたいと思います。いまいちばんやり込んでいるゲームだけに、絶対負けたくないですね。
(インタビュー日時:2012年10月9日)
2012年10月20日、カプコンの人気対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズの生誕25周年を記念した公式全国大会“格闘秋祭り”が、東京六本木のニコファーレにて開催された。同イベントでは、『ストリートファイター X(クロス) 鉄拳』(プレイステーション3・Xbox 360)、『ストリートファイターIII サードストライク オンラインエディション』(プレイステーション3・Xbox 360)、『スーパーストリートファイターIV アーケードエディション』(プレイステーション3・Xbox 360)の全国大会決勝トーナメントが行われた。ここでは、『ストクロ』大会の模様をリポートする。
決勝トーナメントには、事前にオンライン上で開催された予選トーナメントを勝ち抜いた8名の選手が参加した。そのなかには、今回の特集記事の制作に快く協力していただいたときど選手や、おもに『スパIV』で活躍するももち選手といったプロゲーマーの姿もあった。8名の選手の使用キャラクターを見てみると、ダルシム、ルーファス、コーディーが3人ずつ使用しており、もっとも使用率の高いキャラクターとなった。逆にこの3キャラを使っていない選手は、“ゆきむら”選手(リュウ、一八)、“きょぬま”選手(アリサ、ジュリ)のふたりのみとなっていた。このことからも、現段階では上記3キャラクターの性能が頭ひとつ抜けているのかもしれない。
つぎにタッグの組みかたに注目すると、ほぼすべての選手が、先鋒にダルシム、コーディー、リュウといった安定した立ち回りが可能な万能型キャラクターを配置し、ルーファスや一八など、攻撃力の高いキャラクターを控えに配置していた。このタッグ構成が『ストクロ』におけるひとつの答えのようだ。
続いて、ジェムを使ったカスタマイズ。全選手がブーストジェムを使用していたものの、発動効果については、防御力アップ、攻撃力アップ、スピードアップなど、バラつきがあった。また、ジェムは3つまで装備できるのだが、3つすべてを攻撃力アップのジェムにして、一気にK.Oを狙う選手や、複数種類をバランスよく組み合わせる選手もいるなど、プレイヤーの個性が色濃く出ていた。さらに、2試合先取制(決勝のみ3試合先取)で行われたため、1試合終了してから、相手の戦略に応じてジェムをつけ換えている人もいた。上のインタビューの「これをつければオーケーというジェムはない」というときど選手の言葉通り、絶対的なジェムはなく、自分の使用キャラクターや戦術はもちろん、相手のキャラクターや戦術に応じて変える必要があり、ジェムの奥深さが垣間見られた。
そんな8人の選手たちが激闘をくり広げた決勝トーナメントを勝ち抜いたのは、“ときど”選手(ダルシム、コーディー)と“ゆきむら”選手(リュウ、一八)。ときど選手は、安定した強さを発揮できるダルシムを先鋒に、コンボダメージの高いコーディーを控えに配置。そして、ダルシムをメインに戦い、相手を寄せつけない作戦。対するゆきむら選手は、万能型のリュウを先鋒にして、最速風神拳を使ったコンボが強力な一八を控えに回し、ワンチャンスで相手を沈めるスタイル。ふたりは相反するスタイルのため、試合は距離を取りたいときど選手と、近づきたいゆきむら選手というわかりやすい構図に。
序盤の試合では、ときど選手が得意とするダルシムの“ジャンプダブルズームパンチ→キャンセルチェンジ→コーディーのコンボ”という“ときど式”とも言える連携がハマり2連勝。この連携は、ジャンプダブルズームパンチを低空で出すことにより、しゃがみガードできない“中段攻撃”として使い、そこからコンボを決めるというガードが困難なうえに大ダメージを奪える連携だ。大会を通じて猛威を振るったときど式だったが、10000試合を超えるやり込み量を誇るゆきむら選手は、中盤以降はきっちり立ちガードするようになる。これを見たときど選手は、立ちガードできない“下段攻撃”で対抗。
しかし、この下段攻撃を待ってましたとばかりにゆきむら選手はジャンプ攻撃からの大ダメージコンボでときど選手を沈める。これに動揺したのかときど選手は2連敗し、2勝2敗のイーブンに。流れはゆきむら選手にあるか? と思われたが、国内外の大舞台で活躍する経験を活かし、冷静さを取り戻したときど選手が、得意の“ときど式”を決めて優勝を収めた。
この大会で優勝したときど選手と、準優勝のゆきむら選手は、2012年12月にアメリカで開催されるカプコンUSA主催の世界大会に招待される。日本代表として活躍する選手たちに注目しよう。
優勝:ときど選手 「本当に大会のレベルが高く、そのなかで強敵を倒して優勝できたので、とてもうれしいです」準優勝:ゆきむら選手 「うれしいです」
――優勝おめでとうございます。
ときどありがとうございます。本当に優勝できてよかったです。
――大会前は“MOV”選手(ダルシム、ジャック)を警戒しているとおっしゃっていましたが、実際に1回戦で戦ってみていかがでしたか?
ときどダルシム対ダルシムはわからないところが多く、ジャックは対戦経験が少なくて不安な部分もありましたが、勝ててよかったです。
――大会を通じて、ダルシムの“ジャンプダブルズームパンチ”からの連携がかなりハマっていましたね。
ときど見てからどうこうできる連携ではありませんからね。相手としては、中段攻撃か下段攻撃のどちらかはガードすることを諦めるくらい割り切らないと、きびしいと思います。
――なるほど。両方の攻撃をガードしようとするのではなく、一方のガードに集中しなければならないわけですね。
ときどはい。MOV選手は、そういった割り切りが見られなかったので助かりました。決勝で当たったゆきむら選手は割り切っていた部分があり、苦戦しましたね。
――たしかに中段攻撃のガード成功率がとても高かったですね。
ときど中段攻撃のほうがダメージが大きいので、ゆきむら選手は下段攻撃を捨てていたんだと思います。
――中段攻撃をガードされ始めたところで、ゆきむら選手の意識をそらすために出した下段攻撃に、ピンポイントでジャンプ攻撃を合わせられた場面は、「これがゆきむら選手のやり込みか」という印象を受けました。あの場面を振り返ってみていかがでしょうか?
ときど僕もビックリしました。あの場面は、序盤で中段攻撃を使い過ぎたから「下段攻撃も見せておかないと後半の試合がきびしくなる」という判断から出した下段攻撃だったのですが、まさかピンポイントで飛ばれるとは思いませんでした。正直、イラついちゃいましたよ(笑)。
――(笑)。
ときどいままであれだけガードしていたのに「そこで飛ぶのかよ!」と(笑)。まぁ、オンラインで対戦しているときもガードされているイメージはあったので、僕の癖がバレているのかも知れないですね。
――でもそこで心が折れなかったのは、さすがですね。
ときどキャラクターの組み合わせとしては、こちらがしっかり対応すれば圧倒的に有利ですからね。それにここまでやり込んできた自信があったので、そこは冷静になれました。
――“心量”(精神力)が足りていたと?
ときどはい(笑)。
――ちなみに、ゆきむら選手とはふだんから対戦しているのでしょうか?
ときど最近は時間帯が合わなくて対戦していませんでしたが、ゆきむらさんとはオンラインでガッツリ対戦していた時期がありました。だから、ゆきむら選手はダルシム戦がすごくうまくて、僕の中段攻撃をガードできますし、同じくダルシムを使うMOV選手をルーザーズファイナル(準決勝)で倒せたんだと思います。逆にMOV選手はプレイヤーの能力がすごく高い反面、まだ対戦経験が浅いため、一八対策が万全ではなかったのかなと。その差がルーザーズファイナルで出てしまったのでしょう。
――上位プレイヤーで一八を使っている人は少ないのでしょうか?
ときどほとんどいません。しかもゆきむらさんが通常のコントローラでプレイしているのにはびっくりしました(笑)。あれで“最速風神拳”をガンガン出しているのだから、すごいですよ。『ストクロ』は基本的にオンラインでプレイしているので、今回初めて顔を合わせた人も多かったですし、ましてやアーケードスティックを使っていない人がいるなんて思いませんでした。こういった部分がオフのいいところかも知れませんね。
――それでは世界大会に向けた意気込みを教えていただけますでしょうか?
ときど多額の賞金とクルマがもらえるからね。ぜひ勝ちたいと思います。
――綾野さん(カプコンのプロデューサー)に聞いた話によれば、アメリカのプロゲーマーであるジャスティン選手が「あれは俺のクルマだ」と発言していたそうですよ。
ときどたぶんジャスティンのものにはならないですね(笑)。いちばん怖いのは韓国のプレイヤーだと思っています。彼らは日本のアカウントを作り、日本のオンライン対戦に参加して日本人プレイヤーの対策をしているそうですから、かなり強敵だと思います。個人的な相性はいいのですが、油断できません。
――ちなみに、免許はお持ちですか?
ときど持っています。ただ、クルマはアメリカに住んでいる姉にあげようかと思っています。
――賞品のクルマはコテコテの『ストリートファイター』デザインが施されているそうで、もらっても運転するのが恥ずかしそうですね(笑)。
ときどたしかに(笑)。でも僕は都内に住んでいるので、クルマに乗る機会がないんですよね。それだったら誰か乗ってくれるという人にあげようかと。
――世界大会には、『ストクロ』以外にも、『ストII』、『ストIII』、『ストIV』の参加権を持っており、全4タイトルに参加されるそうですが、今年はその4タイトルを中心にプレイすることになるのでしょうか?
ときどそうですね。世界大会まではその4タイトルに集中しようと思います。目標とする大きい大会が4タイトルもあるので、今年は充実した練習ができそうです。
――4タイトル同時にやり込むということは、たいへんではないのでしょか?
ときど僕にとって4タイトルというのは、かなり絞ったほうです。全部『ストリートファイター』ということで、基本が同じゲームですから大丈夫だと思います。
――では、4冠目指してがんばってください。
ときどありがとうございます。
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