早矢仕プロデューサーが本作の魅力をアツく語る
映画のような演出が楽しめるダイナミックアクションなど、さまざまな新要素が搭載されている本作。今回は、本作のプロデューサーを勤める早矢仕洋介氏に見どころについて伺ったぞ。
早矢仕 洋介 はやし ようすけ
『デッド オア アライブ3』からシリーズに携わる。現在は、開発チーム“Team NINJA”のリーダーとして、『DOA』シリーズや『NINJA GAIDEN(ニンジャガイデン)』シリーズのプロデュースを担当。
格闘エンターテインメントとは?
- ――本作は、“格闘エンターテインメント”というコンセプトを掲げていますが、そこにいたるまでの経緯を教えていただけますか?
- 早矢仕洋介氏(以下、早矢仕) 『4』の後、つぎの格闘ゲームの形がなかなか見つからなかったんです。『5』はナンバリングタイトルとして7年ぶりの作品となるため、初めてプレイされる人も多いと思いますので、そういった初心者が楽しめる側面に加え、続編ということで従来シリーズのファンの期待にも応えなくてはいけません。さらに、プロゲーマーにもしっかりとプレイしていただける奥深い要素。それらを兼ね備えた形を見つけるまでに時間がかかりました。
- ――やはり、その結論が出るまでには紆余曲折があったのでしょうか?
- 早矢仕 はい。オンライン対戦は、すでに『4』のときに標準装備していましたし、「格闘ゲームとしてこれ以上何を加えればいいのか?」と悩んだ時期もありました。そうして時間が経つ中で、映画のような演出が体験できるゲームが増えてきたんです。そういったエンターテインメント性の高いものは、「格闘ゲームと相性がいいのでは?」と考えました。自分がくり出すパンチやキックによって、ビルが豪快にぶっ壊れる格闘ゲームがあったらおもしろいと思ったんです。
- ――絶対おもしろいですよ。
- 早矢仕 ですよね。そこで格闘ゲームとしての奥深さと、ド派手なステージ演出などのエンターテインメント性を合致させるという方向性が決まったんです。
- ――なるほど。危険地帯“デンジャーゾーン”を進化させた“ダイナミックアトラクション”に代表されるステージ演出は、物が壊れてステージの形状が変わったり、傾斜がついたりすごい迫力ですよね。ただ、3D格闘ゲームにおいて、ステージの傾斜が対戦に影響を与える要素については賛否があると思うのですが、それについてはどのようにお考えですか?
- 早矢仕 ステージが変化すること自体が受け入れられなかったのではなく、格闘ゲームとしての“不確定要素”がよくなかったのだと考えています。本作ではビルが崩れるなど、ステージがダイナミックに変化しますが、ゲームをやり込めばステージの変化を計算しながら戦うことができるようにしてあります。
- ――ステージ変化の形がつねに一定であれば、それを利用することもできますね。
- 早矢仕 はい。格闘ゲームとしての駆け引きの中に、ステージ変化などのエンターテインメント性を落とし込んでいますから。
- ――それでは、相手を障害物などにぶち当てる新システム“パワーブロー”は、ダイナミックアトラクションなどのステージギミックを効果的に使わせるために用意されたのでしょうか?
- 早矢仕 理由はふたつあります。まずは対戦の駆け引きにより深みを持たせるためです。パワーブローはダメージが大きく設定されていますので、コンボに組み込んで大ダメージを奪うことができます。また、敵を吹き飛ばしてぶつけるギミックを選択できるので、自分がより有利になる方向に吹き飛ばすなど、戦略の幅が広がると思います。
- ――なるほど。もうひとつの理由は?
- 早矢仕 見た目のわかりやすさやエンターテインメント性の高い演出を意識したんです。実際の格闘技もそうですけど、ルールがわかっている人が見ないとわからないという競技は決して流行らない。だから見た目のわかりやすさも意識して、トドメの必殺技というイメージでパワーブローを入れました。
- ――見た目にかっこいいと、それを見て自分もやってみようと思う人もいるかも知れませんからね。
- 早矢仕 はい。ただ、見た目が派手なだけでゲーム内容が大味になっていると、すぐに飽きられてしまいますので、エンターテインメント性とゲームとしての奥深さの両立には注意しました。つぎの『6』が出るまでの、つぎの7年間は遊び続けられるように調整したつもりです。
- ――『6』は7年後!?
- 早矢仕 たとえ話です(笑)。ちなみに、『デッド オア アライブ5』はアーケード版がないので、開発中に対戦データが取れないんです。だから『デッド オア アライブ』シリーズの達人プレイヤーを社内に呼んで、クローズドでロケテストを行いました。じつは半年以上もかけて納得のいくまでバランスを調整したので、末永く遊べるようになっているはずです。
- ――バランス調整で意識したところはありますか?
- 早矢仕 強い人がしっかりと勝つようにして、そこにどこまで“運”の要素を絡めていくかですね。強さが“10の人”と“11の人”が対戦して“11の人”が勝ち続けるのはどうかと思いますし、10の人と100の人が対戦したら100の人がほぼ勝たないといけない。そういった勝負のバランスがゲーム上で反映されるようにしました。
- ――格闘ゲームでそれを表現するのは、すごく難しいのでは?
- 早矢仕 そうですね。とはいえ、格闘ゲームはテクニックがある人が絶対に勝てるようになっていてはつまらないんですよ。相手との読み合いで負けてしまったら負けるようにできていないと。
- ――対戦相手との心理戦も格闘ゲームの醍醐味のひとつですからね。
- 早矢仕 『デッド オア アライブ』シリーズには、“打撃”、“ホールド”、“投げ”の3すくみの要素があるので、対戦相手との読み合いが発生する状況は、ほかの格闘ゲームよりも多いと思います。ぜひ対戦相手との駆け引きを楽しんでほしいですね。
キャラクターへのこだわり
- ――それでは、キャラクターの話題に移らせていただきます。『5』では、ミラとリグという新キャラクターが加わった一方で、今回登場しないキャラクターもいるようですが?
- 早矢仕 今回は『5』で絶対に必要というキャラクターから優先度をつけさせていただき、その中から可能な限り登場してもらうという形で開発を進めていきました。
- ――なるほど、それでは新キャラクターそれぞれの特徴を教えていただけますか?
- 早矢仕 キャラクターを作るときは、国籍、デザイン、格闘スタイルの3要素から詰めていくのですが、今回はまだシリーズに登場していない格闘技ということで、“テコンドー”と“総合格闘技”を選びました。国籍もこれまでに出ていないところからですね。
衣装が透ける!?
本作では、最新のCG技術を駆使して、コスチュームが砂で汚れたり、キャラクターが汗をかくといったリアルな表現がなされている。女性キャラクターの衣装が水に濡れて透けてしまうこともあるのだ。また、かわいいコスチュームも本作の魅力のひとつ。あらかじめディスクに収録されているコスチュームのほか、初回生産版には特典として、かすみ、あやね、ヒトミのセクシーコスチュームがダウンロードできるコードが同封されている。また、プレミアムエディションには、別デザインのセクシーコスチュームがついてくるぞ。
- ――ミラはスポーティーな女性のイメージですね。
- 早矢仕 そうですね。デザインもシリーズの女性キャラクターとかぶらないようにということに注意しながら、汗が似合うキャラクターに仕上げました。
- ――なるほど。では、男性キャラクターのリグは?
- 早矢仕 リグは、男が惚れる男ですね。ダンディーな男性キャラクターはこれまでのシリーズにも登場しましたが、リグはかっこいいだけではなく、アウトローなイメージも欲しかったので、それを狙っています。
- ――今回は、既存キャラクターのモデリングも一新されていますね。
- 早矢仕 ファンの人に納得してもらえるものにするため、ものすごく時間をかけました。開発スタッフどうしでいちばんケンカしたのはキャラクターモデルかもしれません(笑)。
- ――(笑)。いちばん揉めたのはどのキャラクターですか?
- 早矢仕 主人公のかすみですね。彼女は感情を秘めて、あまり表に出さないキャラクターなので、“秘めた表情”を表現するのが難しかったですね。でも、どのゲームのキャラクターよりも、ものすごくかわいい女の子に仕上がったと思います。
- ――今回のキャラクターモデルは、アニメチックに作られていると思うのですが、海外プレイヤーの反響はいかがですか?
- 早矢仕 ファンのみなさんにはすごく受け入れられています。最初、外国籍のキャラクターは外人好みのキャラクターモデルにしようという考えもありましたが、我々日本人がかわいいと思うものを「どうだ!」と見せないとダメだろうと。最終的に海外のファンの評判もよかったので、その点はやりきってよかったと思っています。
- ――開発チームで人気の高いのはどのキャラクターですか?
- 早矢仕 着物を着た“こころ”というキャラクターが開発チーム内で評判がいいです。ファンのかたにも「かわいい」と気に入ってもらえるのではと思っています。
- ――コスチュームもかわいいものが揃っていますね。
- 早矢仕 ありがとうございます。女の子をかわいくする方向に全力を入れているゲームは意外と少ないなと感じています。
- ――それもエンターテインメントのひとつですよね。
- 早矢仕 ええ、もちろんです。「あのクラスにかわいい女の子がいる」というだけで話題になりますよね。「体育の後、女の子が汗をかいて下着が透けて見えるかも」とか、男ならみんな好きでしょう(笑)。実生活の中でも汗をかいている女性に目が行くことってあると思うんですよ。そういう日ごろ生きていく中で、女性の魅力を感じる部分を表現してみました。
充実のオンラインモード
対戦に勝利することでグレードが上がる“ランクマッチ”や、最大16人が参加できる“トーナメント”など、オンライン対戦が楽しめるモードを多数収録。また、対戦だけではなく、オンラインを介してほかのプレイヤーといっしょにトレーニングモードがプレイできる“オンライン道場”もあるぞ。
- ――そうですね。キャラクターがイキイキとしているように感じます。それでは話を少し変えて、オンラインモードですが、そちらもすごく力を入れているのでしょうか?
- 早矢仕 はい。対戦格闘ゲームなので、対戦する相手がいなければ始まりません。気軽に対戦できるという意味でオンラインモードには力を入れました。発売前にファンの方に触れていただく場を用意できなかったので、まだプレイされていない人もいるかと思いますが、問題なく対戦できると思います。ただ、海外など、距離が相当離れている場合はラグが発生します。そういった相手と対戦することを想定して、トレーニングモードには回線状況を再現した状態で練習できる機能も用意しています。また、機能改善のパッチも後日配信予定です。
- ――オンラインモードでよく対戦する相手との通信環境を再現できるのはうれしいですね。
- 早矢仕 はい。トレーニングモードでは、オンラインを通じてふたりで練習することもできます。ディレクターが格闘ゲーマーなので、自分が欲しいと思う機能を詰め込んでいます。
- ――対戦以外のオススメは?
- 早矢仕 ストーリーモードですね。今回は壮大なチュートリアルのようになっています。ストーリーモードを通じて、キャラクターのエピソードを知ることもできますし、格闘ゲームの駆け引きを学ぶこともできますので、ぜひ一度プレイしてください。
- ――発売後にダウンロードコンテンツを配信する予定はありますか?
- 早矢仕 ディスクに入れられるだけ入れましたので、まずはそちらのコスチュームを堪能していただきたいです。もちろん、開発終了後もコスチュームは作り続けていますので、完成し次第配信できるようにしたいと考えています。
- ――それでは最後にメッセージをお願いします。
- 早矢仕 本作は久しぶりのナンバリングタイトルで、ファンが待ち望んでくれているのかもわからない状態でスタートしました。その後に、期待度が上がっていくのを感じて、ここまでお待たせて申し訳なかったという思いがあります。その人たちに応えられる作品に仕上がっていますので、ぜひ一度手に取っていただけるとうれしいです。また、スタッフもオンライン対戦をプレイさせていただきますので、マッチングされた方はお手柔らかにお願いします。
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※画面は開発中のものです。