スクウェア・エニックスのNintendo Switch向けソフト『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』が、2023年12月1日の発売日を迎えました。

本日(12/1)発売『ドラゴンクエストモンスターズ3』インタビュー。"より遊びやすく、よりモンスターズらしく"を追求した最新作を横田プロデューサーに直撃
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 本作の主人公は、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(以下、『DQIV』)に登場したピサロ。父である魔王に“魔物と戦えなくなる”という呪いをかけられたピサロは、魔族の頂点である魔王を目指し、多種多様なモンスターたちを仲間にしながら魔界を冒険することになります。

本日(12/1)発売『ドラゴンクエストモンスターズ3』インタビュー。"より遊びやすく、よりモンスターズらしく"を追求した最新作を横田プロデューサーに直撃

 2021年5月に配信された“「ドラゴンクエスト」35周年記念特番”で開発中であることが明かされました。そして、2023年5月27日(“ドラゴンクエストの日”)にオープンした「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズ25周年記念サイトでスペシャルムービーが公開され、そのタイトルと発売日が明らかに!

 1998年に発売された『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』から、対応機種を変えながら紡がれてきた「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズ。その最新作となる『ドラゴンクエストモンスターズ3』は体験版の配信も話題となり、多くのモンスターマスターたちが本編の発売を“いまかいまか”と待ち望んでいました。

 ファンの注目と期待を集めた本作でプロデューサーを務めたのは、スクウェア・エニックスの横田賢人(よこた・けんと)氏。2017年に発売された『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』のニンテンドー3DS版でプロデューサーを、2018年発売の『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドSP』(iOS/Android)でもプロデューサーを務めました。

本日(12/1)発売『ドラゴンクエストモンスターズ3』インタビュー。"より遊びやすく、よりモンスターズらしく"を追求した最新作を横田プロデューサーに直撃

 25周年という節目を飾る本作。主人公がピサロになった経緯や配合やバトルなど、新たに生まれ変わったポイントがふんだんに盛り込まれた『ドラゴンクエストモンスターズ3』について、気になることを横田氏に訊いてみました!

本日(12/1)発売『ドラゴンクエストモンスターズ3』インタビュー。"より遊びやすく、よりモンスターズらしく"を追求した最新作を横田プロデューサーに直撃
本日(12/1)発売『ドラゴンクエストモンスターズ3』インタビュー。"より遊びやすく、よりモンスターズらしく"を追求した最新作を横田プロデューサーに直撃

横田賢人(よこたけんと)

「DQ」シリーズの広報担当から『DQXI 過ぎ去りし時を求めて』ニンテンドー3DS版のプロデューサーに。『DQモンスターズ テリーのワンダーランドSP』などを経て、『DQモンスターズ3』のプロデューサーを担当。

「DQモンスターズ」最大の魅力はモンスターの配合

――本作は「DQモンスターズ」シリーズ25周年という節目での発売となりますが、『DQモンスターズ ジョーカー3 プロフェッショナル』(2017年2月9日発売)からは約7年振りの新作です。まずは、ここまで期間が空いた理由をお聞かせください。

横田「DQモンスターズ ジョーカー」シリーズは2006年に第1作が発売され、その後も続編や『プロフェッショナル』なども発売しましたが、プロデューサーの犬塚(犬塚太一氏。『DQモンスターズ2』、「DQモンスターズ ジョーカー」シリーズや『DQトレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』のプロデューサー)が「『ジョーカー』は『3』で終わりでいいのでは?」と話していました。

 その後、2018年に配信した「DQモンスターズ」シリーズの記念番組で、「DQモンスターズ」の最新作として幼少期のカミュとマヤのイラストを発表しましたが、このタイトルは開発する中でゲームシステムなどを鑑みて『DQトレジャーズ』となりました。では、「DQモンスターズ」の最新作はどうするのかという話になり、私が『DQトレジャーズ』の開発チームを抜けて、「DQモンスターズ」シリーズ新作の開発を担当することになったんです。

――なるほど。そもそも犬塚さんと「DQモンスターズ」チームで開発に携わっていたのですね。

横田はい。開発時期が重なってしまったので、『DQトレジャーズ』は犬塚、『DQモンスターズ3』は私という座組になりました。

――25周年を飾るシリーズ最新作で、しかもナンバリング作を担当することにプレッシャーは感じませんでしたか?

横田プレッシャーよりもワクワク感のほうが大きかったですね。『DQXI』のニンテンドー3DS版のときは初めてのプロデューサーということでプレッシャーはありましたが、そこで揉まれたおかげで(笑)、今回は楽しめました。

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――横田さんが考える「DQモンスターズ」のおもしろさとは、どこにありますか?

横田プレイヤーによって答えは違うとは思いますが、まずは、「DQ」シリーズのモンスターが主役であることですね。極端な話、モンスターが主役であれば、そのゲームは「DQモンスターズ」と言っていいくらいに思います。

 あとは、やはり配合です。じつは堀井さん(堀井雄二氏。「DQ」生みの親であるゲームデザイナー)と「『DQモンスターズ』の定義とは?」という話をしたのですが、堀井さんは開口一番に「配合があることだよね」と答えました。私は「配合は化学反応のようなもの」とよく言っていて、化学反応って因果が想像通りのものもあれば、組み合わせによってはまったく違うものになったり、すごい化合物ができたりすることがありますよね。

 配合がまさにそれで、自由にモンスターを組み合わせて、プレイヤーが好きなモンスターを生み出す。これが配合、そして「DQモンスターズ」のおもしろさだと思います。なので、堀井さんともそこは共通していました。

――位階配合や性別、“あくまの書”の撤廃、モンスターサイズがS・Lの2種類になるなど、配合システムがブラッシュアップされてシンプルになった印象を受けます。個人的には、シリーズを重ねるごとに配合が複雑化してきて新規プレイヤーが入りにくくなっているなと感じていたので、英断だと思いました。

横田「DQモンスターズ ジョーカー」シリーズが10年以上続いたことで、システムはユーザーに寄り添うように進化していった反面、複雑と感じる方がいたことは理解しています。

 実際、シリーズを未プレイの方に話を聞くと、「配合が難しそう」という声も多かった。なので、ここでシステムをシンプルにすることで、「DQモンスターズ」のシステムが持つワクワクを多くの人に感じてほしいと思っていました。

――本作の“検索配合”も、かなり見やすくなって便利になったと思います。

横田ありがとうございます。検索配合も、配合を「難しい」と感じずに楽しくできるようになれば、という思いで作りました。

 正直、まだ完璧ではなく、改良の余地は残っているかと思いますが、やはり「DQモンスターズ」の魅力は配合です。ここを取っかかりやすくして、これまでシリーズに触れていなかった方も楽しんでいただけたらうれしいですね。

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ピサロを主人公にする案は堀井氏も快諾

――1作目は幼少期のテリーが主人公で、いままでのシリーズ作品もあくまでナンバリング作の外伝的なストーリーが描かれていましたが、本作は『DQIV』のストーリーにかなり踏み込んでいるというか、より直接的なつながりのある物語ですよね。

横田そうですね。いちばんの理由は、「DQ」ファンの方に興味を持っていただきたいという思いがあったからです。プロジェクトを立ち上げて「誰を主人公にしようか?」となったとき、「もう一度テリーとミレーユをやってみる?」という話も出たのですが、私が「ピサロを主人公にしてみたい」と提案しました。

 正直、反対されると思っていたのですが、堀井さんが「いいんじゃないかな。認知度も高いし。魔族だからモンスターを連れていても違和感ない」とおっしゃってくれたんです。

――堀井さんと話し合って決まったんですね。

横田ピサロは人気のキャラクターですが、語られていない謎の部分が多い。そこを掘り下げて、物語性を強くしたらおもしろくなると思いました。

 そこで、ストーリーノートの藤澤さん(藤澤仁氏。ストーリーノート代表で、本作のシナリオを担当)にお願いして、けっこう踏み込んだシナリオを書いていただきました。『DQIV』をプレイしたことがある方なら、より驚く展開になっていると思うので、楽しみにしていただければ。

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――ちなみに、モンスター集めや配合などをあまり意識せず、純粋にストーリーだけを進めた場合、クリアーまでどのくらいの時間を想定しているのでしょうか?

横田「DQモンスターズ」の作品はプレイヤーによってプレイ時間の差異が大きいので、一概には言えないのですが、ひと言でいえば“けっこうなボリューム”です。まだくわしくは言えない部分もあるのですが、期待に応えられるボリュームになっていると思います。

――それは楽しみです! 続いてバトルに関してお聞きします。プレイフィールは大きく変わっていないのですが、かなり調整されていると感じました。

横田バトルに関しては全体的に見直しましたね。思い切ってなくしたものもありますし、追加したものもあります。

 「DQモンスターズ」の対戦といえば、斬撃よそくなど“相手の行動を読んでカウンターを用意する”という要素もあって、ほかにもカウンター系の特技があるので、お互いが警戒してなかなか動けない……なんて場面もありました。そこが魅力でもあったのですが、もっとシンプルに特技でダメージを与え合うバトルにしたいと考えました。なので、一部の特技は撤廃しています。

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――対戦が好きな方は、玄人的な“深い読み合い”というか、詰め将棋的なおもしろさを楽しんでいますよね。

横田そこもおもしろさにつながっているのですが、読み合いなどのシステムが重すぎると、新しいプレイヤーが入ってきにくくなります。

 本作はピサロが主人公で『DQIV』に踏み込んだ物語にしているので、「DQ」ナンバリング作のファンにも楽しんでいただきたい。なので、バトルはもっとシンプルなバランスにしています。だからといってバトルがつまらなくなったわけではなく、“バースト”という新要素を入れたりして、対戦のおもしろさの本質は変えずに調整を行いました。

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本作では、テンションシステムの代わりに“バースト”が導入されている。これはパーティがピンチに陥ったときに確率で発動するもので、与えるダメージが増えたり行動回数が増えるなどの恩恵を得られます。

――シリーズのファンを大事にしつつ新しいプレイヤーも増やしたいとなると、なかなか判断が難しいところですね。

横田体験版をプレイした方たちの声を聞くと、本作を「DQモンスターズ」の最新作として受け入れてくれている方が多かったですね。もちろんネガティブな反応もありますが、そこは真摯に受け止めて、今後に活かしていきたいと考えています。シリーズはこれで終わりではないので。

より遊びやすく、いろいろな意味で新鮮な最新作に

――フィールドには季節の概念が導入されました。

横田これまでのシリーズ作品では「DQ」らしいフィールドであることが基本だったのですが、一方でどうしても雰囲気や地形が似通ってしまう部分がありました。そこで、足を踏み入れるごとにプレイヤーには新鮮さを感じてほしいと思い、四季を導入しました。また天候という概念もあり、こちらもフィールドの印象を大きく変えます。

――魔界のフィールドも、魔界というイメージに近いものやファンシーなものまで、かなりバリエーションが豊かですよね。

横田最初は火山や平原など、自然の地形をベースにしていたのですが、開発チームで“こういう世界があったらおもしろいんじゃないか選手権”みたいなものを行いまして(笑)。そこで50個くらいのフィールド案が出たので、その中から実現可能だったりおもしろそうと思ったフィールドを選んで、開発を進めました。

 そこに季節を加えれば、同じフィールドでも季節ごとに異なる景色を見せられますし、季節や天候に合わせたモンスター……冬なら雪のモンスターだよね、と配置しやすくなるんです。

――特定の季節や天候だけにしか出現しない、レアなモンスターもいるのでしょうか?

横田レアなモンスターというと語弊があるかもしれませんが、もちろん特定の条件下でしか出会えないモンスターはいます。

――プレイヤー側で季節や天候を操れるようになったりするのでしょうか?

横田基本的にはできませんが、季節はゲーム内時間でもそれほど長くない間隔で変わっていくので、フィールドを探索していたら季節がいつの間にか変わっていると感じられるバランスになっています。

 天候に関しては法則性がないのですが、物語を進めれば探索できるフィールドも増えるので、別のフィールドを探索して、戻ってきたら天候が変化している……ということもあり、それほど不都合は感じないと思います。

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――前作から7年ということもあって、当時と比べていまはSNSや配信などユーザーどうしのコミュニケーションツールが進化しています。本作の情報を求めるプレイヤーも多いと思いますが、横田さんは配信などについて、どのようにお考えでしょうか?

横田SNS上の交流はもちろんですし、「DQモンスターズ」はゲームの性質上、配信を観るのもおもしろいと思います。ですが、プレイヤーには“そういう情報は見ずにプレイする”という考えの方もいると思います。昔で言うと攻略本は見ないでクリアーするみたいな。私もその気持ちはわかるので、情報を得なくてもゲーム内だけで楽しめるように検索配合を充実させています。

――ネットワークつながりで、オンライン要素についてお伺いします。個人的に、連戦クイックバトルはうれしいシステムです。

横田「DQモンスターズ」と言えば対人戦、いわゆるリアルタイム対戦が楽しいという方も多いのですが、必ずしも全員がリアルタイムの対人戦を求めているわけではありません。もっとライトに対戦を楽しみたい、単純に自分のパーティの実力を試してみたいという方のために、連戦クイックバトルを導入しました。

 別のプレイヤーのパーティデータと非同期で対戦できますし、すぐに30戦できるので、その勝率で自分がどのくらいの強さなのかわかります。堀井さんがよくおっしゃる「プレイヤーどうしのゆるいつながり」というキーワードは、昔からずっと大切にしています。その意味でも連戦クイックバトルは、リアルタイム対戦や直接的な会話をしなくとも、他プレイヤーとの関わりを感じる要素だと思います。

――30戦が終わる時間は気になるところですが……。

横田サクっと結果が見られるようになっているので、ものの数十秒だと思います。深く遊びたい方もライトに遊びたい方も、対戦の楽しさを味わえる受け皿となっていると思います。

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――「DQモンスターズ」といえば定期的に開催されていた全国大会も盛況でしたが、本作でもその構想はあるのでしょうか?

横田期待されている方も多いと思いますし、「やってみたい」と個人的には思うのですが、まずは皆さんにプレイしていただき、その反応を見て判断したい、というところです。

――では、最後に。「DQモンスターズ」ファンだけでなく「DQ」ファンも楽しみにしていた本作が、いよいよ遊べるようになりました。さまざまなファンに向けてメッセージをお願いします。

横田「DQモンスターズ」シリーズのファンの方には、「たいへんお待たせしました」とお伝えしたいです。我々としては、より遊びやすく、そしていろいろな意味で新鮮な「DQモンスターズ」最新作として作りました。配合の組み合わせも一新しているので、そこも含めてこれまでとはまた違う“モンスターズ”を楽しんでもらえたらうれしいです。

 「DQモンスターズ」を遊んだことのない方にとっても、遊びやすさを第一に考えて作りました。いちばんの醍醐味である配合の楽しさがダイレクトに伝わるようにしているので、気になる方は配信中の体験版を遊んでいただいて、2体のモンスターから新たなモンスターが生まれる楽しさを体験してほしいです。体験版は製品版が発売後も配信しているので、気に入っていただけたら、ぜひ本編も楽しんでみてください。きっと「DQモンスターズ」の魅力が伝わると思います。

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商品情報

  • タイトル:『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』
  • 対応ハード:Nintendo Switch
  • メーカー:スクウェア・エニックス
  • 発売日:2023年12月1日発売
  • 価格:7678円[税込]
  • ジャンル:RPG
  • 対象年齢:CERO 12才以上対象
  • 備考:『マスターズ版』は11198円[税込]、『超マスターズ版』(パッケージ版専売)は14003円[税込]、追加ダウンロードコンテンツ『追憶のモグダンジョン』、『エビ師範の修練迷宮』は各1320円[税込]、『時の無限ボックス』は880円[税込]
  • ゼネラルディレクター:堀井雄二、キャラクターデザイン:鳥山明、音楽:すぎやまこういち
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