セガとColorful Paletteが贈るiOS/Android向けリズム&アドベンチャーゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(プロセカ)が、2023年9月30日をもってサービス開始から3周年を迎えようとしている。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 音楽ゲームとしても、そして練りに練られた物語を堪能するノベルゲームとしても評価が高い『プロセカ』は、この3年の間に膨大な数のシナリオを各ユニットごとに配信してきた。

 “Leo/need”、“MORE MORE JUMP!”、“Vivid BAD SQUAD”、“ワンダーランズ×ショウタイム”、“25時、ナイトコードで。”。

 個性豊かなキャラクターたちの人となりと、その歩みを掘り下げるシナリオは、メインストーリー以外にも“キーストーリー”という形で各ユニットそれぞれ20本(!)も実装。それが、3周年を目前に控えた2023年夏の提供を持ってひと区切りとなり、いよいよ10月からは各キャラが“進級”となって“キーストーリー・第二幕”が始まるのである。

 そんなタイミングだからこそ、このとてつもない量の『プロセカ』のシナリオをここで一度収束し、歴史を整理しようと思った。

 全メインストーリーと、全キーストーリーのあらすじをまとめ、それぞれについての筆者の考察と感想を交えて、ずっと『プロセカ』を追いかけてきた熱い読者にも、進級を機に改めてこのセカイに入ってこようと思っているルーキーにも刺さる永久保存版の記事をここに刻もう。

 この、“【プロセカ3周年記念特集】ユニットごとの全シナリオまとめ!”を読めば、『プロセカ』が歩んできた道筋がすべてわかる。

 Vivid BAD SQUAD(ビビバス)編に続く4回目の今回は……ワンダーランズ×ショウタイム(前編)だ!

※この記事はセガ/Colorful Paletteの提供でお送りいたします。

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ワンダーランズ×ショウタイム(ワンダショ)のメインストーリー

 祖父が残したフェニックスワンダーランド(フェニラン)に笑顔を取り戻すために、ひとりで奮闘していた鳳えむ。病弱な妹に笑顔を届けたい一心で、キラキラのスターになることを夢見た天馬司。

 このふたりの想いを中心に巻き起こる、笑いと、感動と、涙のロードムービー――。それが、ワンダーランズ×ショウタイムのメインストーリーだ。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 その始まりは、古くて小さなフェニランのイベント用舞台、“ワンダーステージ”から始まる。イベントキャストのアルバイト面接に合格した司は、「これがスターへの第一歩!」と意気込んでフェニランにやってくる。

 そこに現れたのが、「ワンダーステージで、いっしょにショーをやってほしい!」と強引に主張するえむ。じつは司はアルバイトの面接に落ちていたものの、いっしょにショーをやってくれる人を探していたえむに見初められ、ワンダーステージ専用キャストとして採用されていたのだ。

 半ば脅迫的に、えむへの協力を約束させられた司。しかし持ち前の前向きさですぐに切り替え、「やるからには本気だぞ!」と自らに発破をかけて仲間集めを始めるのである。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 そこに集ったのが、怪しい演出家の神代類と、歌姫を夢見る無口な少女、草薙寧々。この、際立つ個性の参戦により、ワンダショの物語は他に類を見ないくらいバラエティーに富んだ展開を見せていくのだ。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 意外なことだが、この4人は他のユニットと違って、目指している夢がバラバラである。司は、世界最高のスターになること。類は、多くの人を驚かせるショーを演出すること。寧々は、得意な歌を活かしたミュージカル俳優になること。

 そんな彼らをひとつの方向に向けている、ワンダショにとってもっとも大切な光……。それこそが、えむが幼いころから抱いているたったひとつのささやかな夢。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

「ワンダーステージのショーを見に来てくれた人たちが、みんなニコニコ笑顔になってくれること」

  世界を目指す3人から見たら、おそらくちっぽけな目標であろう。しかし、このかすかな光に導かれたからこそワンダショのメンバーは集うことができ、さまざまな出会いと葛藤を経たのちに成長して、着実に夢への一歩を踏み出すのである。

 とはいえ、踏み出すまでの過程であるメインストーリーは、明るく楽しいイメージのワンダショとは少々かけ離れているかもしれない。

 なんとか4人(+ネネロボ)でスタートを切ったものの、序盤の寧々は人見知りを全開にして表に出てこず、ネネロボの陰に隠れてしゃべったり、ステージで演じていたりした。しかし、肝心の本番でネネロボの充電が切れ、舞台は台無しに。

 これに激怒した司は明らかに言い過ぎなほど寧々を叱責し、その態度に落胆した類はワンダショから離れてしまうのである。イベントストーリーを読んだだけだと、最初から鉄の結束で結ばれていたかのように見えるワンダショだが、じつは走り出すまでにはさまざまな紆余曲折があったのだ。

 それでも、やはりこの4人は、心のもっとも深いところで繋がっているんだと思う。

 彼らを導いてくれた『Untitled』は想いを帯び、いつしかひとつの曲となって心を満たしてゆく。

 生まれた曲は、『セカイはまだ始まってすらいない』。

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 メインストーリーをなぞらえたかのような……!

 いや、あまたの苦難を乗り越えてたどり着く3年後のワンダショすら見据えたかのようなその曲は、すべてのプロセカファンの心を鷲掴みにする。

 そんなワンダショの世界観の根底にあるのは、紛れもなく“若者たちの成長物語”である。冒頭で書いた通り、それは笑いと感動、そして涙で彩られていることを胸のどこかに抱いたまま、ぜひメインストーリーとイベントストーリーのすべてを読んでみてほしい。

キーストーリー:“全力!ワンダーハロウィン!”

あらすじ

 ワンダショの活動が動き出し、個性豊かなメンバーに好きなように演出を付けられる類の日々は非常に充実していた。そんなある日、フェニラン内でショーコンテストが開催されることになり、それまで以上に気合が入るワンダショの面々。

 コンテスト用の演目はハロウィンをイメージしたものになることが決まった。類は、奈落とゾンビロボットを使った派手な演出を考案し、メンバーも乗り気だったが、練習時に誤作動を起こしたロボットが原因で司が頭を強打してしまう。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 これに責任を感じた類は、無意識のうちに演出に手加減を加えてしまうようになる。

 思い出す、少年時代の出来事。無茶な演出を付けようとして、仲間が離れていってしまったあのころのことを。そう、類は心の奥底で思っていたのだ。「全力でショーを作れるワンダショという場所を、失いたくない」と。

 そんなとき、KAITOの言った「司君は、そんな君の想いも全力で受け止めてくれると思う」という言葉にはっとして、類は自分にかかっていたリミッターを解除する。

 そして、迷いから解き放たれた類はさらに斬新な演出を提案し、ハロウィンショーを大成功に導くのであった。

キーストーリー:“全力!ワンダーハロウィン!”を読んで

 ワンダショのイベントストーリーは、じつに“らしい”ドタバタ劇でスタートする。感情豊かな4人が見せる場面転換の激しいスラップスティックは、以降のイベントストーリーでもブレることなく続くことになる。

 さすが世界を目指すショーユニットだけあり、物語全体が演劇仕立てになっている趣があるのだ。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 とはいえ、ひたすら元気で賑やかな構成に終始しないのはさすがと言ったところ。他のユニットのストーリーと同様、ワンダショの面々も「これでもか!」ってくらいの勢いで人物描写され、その深い心情が掘り下げられていく。

 その先鞭をつけるのが類であり、彼のクレバーさと優しさ、そして仲間との絆が、しょっぱなのイベントストーリーから全開になる。

 この“全力!ワンダーハロウィン!”を読了したときに込み上げてきた想いは、「ワンダショの物語も……一筋縄じゃいかなそうだな!!」というものでしたw

全力!ワンダーハロウィン!【プロセカ公式】

キーストーリー:“聖なる夜に、この歌声を”

あらすじ

 ハロウィンをモチーフにした演目をぶつけたショーコンテストは、中間発表で3位だった。ここからの巻き返しを図るため、ワンダショはクリスマスミュージカルショーを企画する。一方、断トツ1位をキープするフェニックスステージも、クリスマスミュージカルを計画しているとの情報が入る。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 フェニランで随一の規模を誇るフェニックスステージのショーはすばらしかった。いまのワンダショでは足元にも及ばないほどに。とくにエースの青龍院櫻子のパフォーマンスは抜きん出ており、その歌声は圧倒的以外の何物でもなかった。そんな青龍院に、ワンダショの歌姫である寧々は引け目を感じてしまう。

 寧々は、かつての所属劇団で犯したミスを心の奥底でいまだに引きずり、感情のすべてを解放できずにいた。

 そんなとき、寧々は、親が撮影してくれていた子どものころの自分の映像を視聴する。下手ながら、心から楽しそうに歌う小さな自分。その姿を見て、寧々は気づくのだ。「昔のわたしは……ショーを、思いっきり楽しんでたのかな」と。

 迷いの晴れた寧々は、「もっと精一杯楽しもう」と吹っ切れ、本番当日に見事な歌声を披露する。そんな寧々を祝福するかのように、クリスマスのワンダーステージに雪が舞う。用意していた演出ではなく、本物の雪が降る奇跡を見て、観客も、そしてこっそりと見学に来ていた青龍院櫻子も感動の涙を流すのであった。

キーストーリー:“聖なる夜に、この歌声を”を読んで

 プロセカが誇るツンデレ姫、青龍院櫻子の記念すべき初登場回。この青龍院の個性を見るにつけ、本当にこのゲームはサブキャラクターも手を抜かずに作り込んでいるんだよなぁ~~~……と感心させられるのである。

 そんな青龍院を対比役に、ワンダショの歌姫である寧々の過去と、そのトラウマを掘り下げるイベントストーリーが展開する。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 基本的に引っ込み思案で、感情を表に出すことが苦手な寧々の、深層心理に絡まっている深刻な要因。安っぽい作りのドラマだと一足飛びに解決案に手が届いてしまったりするけど、『プロセカ』の場合はもちろん、そんな構成にはなっていない。

 ステージのセカイの初音ミクたちを巧みに使いながら、少しずつ心の奥底まで描写しようとしているのが、本当に“好感”なのである。

 しかも、寧々が殻を破るトリガー役として先の青龍院がたびたび登場(後半のイベントストーリーも必見)するのだが、それがまた……いいんだよなあ!

聖なる夜に、この歌声を【プロセカ公式】

キーストーリー:“スマイルオブドリーマー”

あらすじ

 クリスマスミュージカルが大成功に終わり、いよいよ劇団としての潜在能力が開花してきたワンダショ。総合1位までもう少しということで、最後のショーの計画に勢いがつくのだった。

 そこに、フェニランの経営トップであるえむの父兄が早めに帰宅するとの連絡が入る。ひさしぶりとなる鳳家そろっての夕食の席で、兄ふたりからフェニランの古くなったアトラクションを取り壊し、集客力の高い新アトラクションに切り替える方針が告げられる。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 寝耳に水の話に、強く反発するえむ。しかし、経営判断ということで、兄たちは聴く耳を持ってくれないのであった。

 ひとり思い悩むえむを救うのは、やはりワンダショの仲間たちだった。「僕たちにできること……つまり――今以上のショーをしよう」という類の言葉を受けて、えむにも笑顔が戻る。しかも、類にはしっかりと秘策があり、“すべてがショーになる”をキーワードに動き出すのであった。

キーストーリー:“スマイルオブドリーマー”を読んで

 ワンダショの物語の鍵を握る、もう1組の“イカしたサブキャラ”、えむ兄たちが登場する記念すべき(?)イベントストーリー。

 これがもう、絵に描いたようなイヤな奴で(※便宜上こう書いているだけで、筆者はえむ兄は大好きです。念のため)、その会話シーンを見て「ぐぬぬぬ……!」と爪の跡が残るほど拳を握りしめてしまった人は少なくないに違いない。

 でも、上で「筆者はえむ兄たちは大好き」と書いている通り、こういった物語を構築していく上で読者の気持ちを“キチンと逆撫でできる”存在は本ッッッ当に重要なのである。

 性格のいい善人ばかりで、争いのない平坦な話が一生続くストーリーなんて……盛り上がりどころがひとつもなくて、ニコニコと読んでいられるのは最初だけであろう。どんなに平和主義な人でも必ずや、「このへんで、ちょっとは波風が起きたらいいのに……」と思うのは当たり前。

 でも、そういったポジションのキャラを作るのって、情が乗ってしまうのでなかなか骨が折れるのだ。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 そんな中にあって、えむ兄ふたりは見事なまでに悪役を演じきっている。しかも、後半ではその毒も裏返って……と、続きはそっちのほうで書こうと思う。

スマイルオブドリーマー【プロセカ公式】

キーストーリー:“ワンダーマジカルショウタイム!”

あらすじ

 世界的エンターテインメント企業、ライリー社との業務提携を結ぶ直前まできたフェニラン経営陣。しかし、提携を推し進めるえむ兄たちもじつは、「もっとほかに方法があったのでは……」と思い悩んでいたのである。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 そのさなか、ワンダショの面々は“老若男女すべての人が笑顔になれる場所”というフェニランのコンセプトを経営陣に思い出させるために、“あるショー”を実行する計画を立てていた。

 それは、すべてのキャスト、すべてのスタッフを巻き込んだ一世一代のナイトショー。類の言う「フェニックスワンダーランドに『笑顔の魔法』をかける」という、前代未聞の企画が動き出す。

 このサプライズイベントは、空前の大成功となる。ライリー社長の心に響き、現状を維持したままの提携が決まるのもさることながら、クライマックスシーンがSNSに投稿されたことで大いにバズり、入場チケットが完売になる勢いに……!

 これに、えむの兄たちも心を動かされ、ワンダショの面々を宣伝大使に任命するのであった。

キーストーリー:“ワンダーマジカルショウタイム!”を読んで

 ワンダショ物語“シーズン1”の区切りとなる話が展開する。大掛かり且つ、華やかで目まぐるしい場面転換はまさにワンダショの真骨頂で、この“ワンダーマジカルショウタイム!”というイベントストーリー全体がひとつのステージのように思えてきてしまう。それくらい豪華絢爛なドラマがくり広げられるのだ。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 そしてここでも、えむ兄たち、青龍院櫻子、そしてライリー社長という、ワンダショの世界を彩るサブキャラクターたちが躍動する。悪役として奮闘する(?)えむ兄と、かわいいツンデレキャラを全開にして、憎まれ口を叩きながらも“強力な味方”として動く青龍院櫻子。

 さらにワンダショ物語の中盤から後半に掛けて重要な役を演じるライリー社長の初登場……! 類演出のナイトショーのすばらしさもさることながら、この世界観の中でそれぞれの役を演じ切るキャストたちが生き生きとしていて、何度でも読み返したくなる。第一部のエンディングを飾るにふさわしいストーリーなのだ。

ワンダーマジカルショウタイム!【プロセカ公式】

キーストーリー:“マーメイドにあこがれて”

あらすじ

 園をあげたナイトショーを評価され、フェニランの宣伝大使に任命されたワンダショの面々。その最初の仕事として選ばれたのは、家族連れの観光客をターゲットにした海辺のステージでのショーだった。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 海辺のロケーションを活かし、『人魚姫』を題材にした演目を提案する寧々。それは彼女が、ミュージカル俳優を目指すきっかけとなったプログラムだった。

 その準備のさなか、海辺ステージのすぐ近くで、寧々が憧れるミュージカル俳優が主演するショーが開催されていること知る。その熱い憧れの想いが届いたのか、なんと寧々は浜辺で風祭夕夏との邂逅を果たし、さらに宣伝公演の最終日に観覧に来てもらうという約束まで取り付けたのである。

 そして、約束通り風祭が見に来てくれた最終公演で事件は起こる。クライマックスシーンの直前、出演予定だったネネロボが子どもたちにいたずらをされて故障してしまったのだ。修理が終わるまで、寧々がひとりで場を繋がなければいけない。

 意を決した寧々はアドリブの台詞をはさみつつ、即興で歌を歌い始めた。これで場は繋がり、宣伝公演は大成功のうちに幕を下ろすのだった。

キーストーリー:“マーメイドにあこがれて”を読んで

 ミュージカル俳優としての才能を、徐々に開花させていく寧々のイベントストーリー。そのきっかけとなった演目で、憧れの女優が演じていた人魚姫(だいぶ自由にアレンジされているが)を演じることになり、意気上がる寧々の姿が描かれている。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 このストーリーの中で寧々は、ミュージカル俳優という夢を与えてくれた目標の人、風祭夕夏との邂逅を果たす。これ、ふつうに読んでしまうと、「そんな偶然、あるわけがない。都合がよすぎる」なんて、ちょっと天邪鬼に思うプレイヤーが出てくるかもしれない。

 実際、憧れの人に遭遇して話をしたり、ましてや相談に乗ってもらえる機会なんてそうそうないと思うから。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 しかし長く生きていれば、そういった奇跡的な出来事も稀に起こったりする。寧々がここで目標とする人物に出会えたのは、それまでの彼女の努力と、ずっと憧れ続けた熱い想いがあったればこそであろう。

 そして何より素敵なのは、こうやってできた絆は切れることなく、その後の人生でもしっかりと存在感を発揮してくれることだ。実際、風祭夕夏はその引力に引き寄せられるように現れてくれ、寧々が大きく飛躍するためのきっかけになってくれるのである。

マーメイドにあこがれて【プロセカ公式】

キーストーリー:“Revival my dream”

あらすじ

 宣伝大使として行った海辺での公演が大成功し、ますます盛り上がるワンダショ。つぎなる舞台として選ばれたのは、まもなく重要文化財に認定される予定の由緒ある庭園。その敷地内には大きな洋館があり、ここを使って好きなように演出していい……と聞き、類は気合が入る。

 そんなとき、洋館の真横に大きなケヤキの木があることを知った類は、子どものころに作ろうとしたあるショーを思い出す。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 おもしろいショーを求めるあまり、まわりの仲間に無茶を要求して拒否された苦い記憶が紐解かれる。

キーストーリー:“Revival my dream”を読んで

 ワンダショの演出家にして、天才トリックスターである類の苦い思い出が綴られる印象的なイベントストーリーだ。勉強も運動もなんでもこなせる類が、どうしてショーの演出に魅せられるようになったのか? なぜ、規模も人数も小さなワンダショに惹きつけられているのか?

 そのいくつものクエスチョンマークに対する“答え”のいくつかが、この物語で垣間見える気がする。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 知識も才能も、人がうらやむものはなんでも持っていた幼いころの類が、唯一手に入れられなかったもの。それは、彼のすべてをぶつけてもへこたれることがない、鉄の信念を持った頼れる仲間だった。

 リミッターをかけることなく、持てる才能を惜しげもなく放つことを許された恍惚と喜び……。そんな環境を得られたとわかったときに見せる類の放心したかのような姿は、なんだかすごくリアルな気がした。 

Revival my dream【プロセカ公式】

キーストーリー:“POP IN MY HEART!!”

あらすじ

 宣伝大使を務めるワンダショの活躍もあり、フェニランのナイトショーの人気は確実に上がっていた。それをさらに強固なものにしようと、えむはたくさんのアイデアを経営トップの兄たちに見せ、「どれもいいアイデアだ」と一定の評価を得る。

 ただし、それらを実現するためには人員や経費など、考えなければならないことがたくさんあると兄たちに言われてしまい、えむは「夢を語るだけじゃなく、実現するための方法を勉強しなくては」と心に決める。

 そんなとき、ワンダショの面々はライリー社長に招かれてアメリカの地を踏んだ。初めて目にする本場のテーマパークの様子に、心躍らせる4人。しかしえむははやる心をグッとこらえて、経営のノウハウをライリー社長から聞き出すことを計画していたのであった。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

キーストーリー:“POP IN MY HEART!!”を読んで

 ワンダショというユニットのスケールの大きさが、もっともわかりやすい形で提示されているイベントストーリーかもしれない。彼らの潜在能力は小さなワンダーステージだけでは収まらず、いつか世界に向けて翼を広げていくのでは……という“予感”を読む者に与えてくれるのである。

【プロセカ3周年記念シナリオまとめ】笑顔と感動を届けるワンダショの物語を振り返る。小さな舞台から始まった物語はいくつものカーテンコールを経てハッピーエンドへ向かう【前編】

 この“POP IN MY HEART!!”というイベントストーリーは、ここでしか見られないライリードリームパークの豪華な背景が多数使われていることもあってか、ずば抜けてキラキラで楽し気な雰囲気に満ちている。

 実際、えむがキーキャラクターの物語らしいドタバタ劇が展開するんだけど……その根底にあるテーマは決して軽いものじゃないってことも見逃してはならない。天真爛漫なえむの中に芽生え始める、かすかな変化――。

 言ってみれば大人になりつつある……ということなんだろうけど、この変わりつつあるえむを中心に、ワンダショの物語は一気に加速していくのである。

POP IN MY HEART!!【プロセカ公式】

後編では“まばゆい光のステージで”から“あたしたちのハッピーエンド”までの感想をお届け

 ワンダショのキーストーリーを辿っていく後編の記事では、“まばゆい光のステージで”から“あたしたちのハッピーエンド”までの感想をお届けしていく。

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