ゲーム開発会社ジーク ゲームズが、新作プロジェクト『Project MBR(仮称)』の資金調達のため、Kickstarter(キックスターター)を使ったクラウドファンディングを3月7日からスタートすることを発表した。

 この記事では、『Project MBR(仮称)』について、インタビューを中心に紹介していくのだが、その前にジーク ゲームズについて説明しておきたい。

 ジーク ゲームズは、ゲームクリエイター/プロデューサーとして約40年のキャリアを誇り、『テグザー』、『グランディア』、『LUNAR』、『ガンダムネットワークオペレーション』、『機動戦士ガンダム ギレンの野望』ほか、さまざまな名作を手掛けてきた宮路洋一氏が代表を務めるゲーム開発会社。『Project MBR(仮称)』は同社オリジナルの企画で、α版相当まで開発が進んだところで、今回のKickstarterによる資金調達を決断したとのこと。

 このあとのインタビューで詳しく紹介していくが、『Project MBR(仮称)』の実態は、いまや希少種となってしまった完全オリジナルのマルチプレイロボットアクションシューティングゲーム! 取材に先立って開発中のゲームを見せてもらったのだが、ロボットもステージも硬派かつ日本らしいデザインで、とにかくカッコよくてワクワクした(とくにロボットがスムーズに歩行形態から飛行形態に変更して、敵拠点を空中から攻撃するといった一連の流れはたまらなかった!)。

新作ロボゲー『Project MBR(仮称)』プレイ動画

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由

 それもそのはず。インタビューにもご登場いただく本作ディレクターの猪俣竜次氏は、ゲームアーツ時代に『ガングリフォンII』を始めとする同シリーズの開発に携わり、そもそもロボットものに目がないメカ・ロボット大好きクリエイター。本作を企画したのも猪俣氏で、機体デザインやステージ設計などもすべてご自身で手掛けているという。

 まさに夢とロマンに溢れた本プロジェクトは、どのような経緯で立ち上がり、Kickstarterによるクラウドファンディングへといたったのか、宮路氏と猪俣氏にお話を伺っていく。本記事でこのゲームに興味を持ち、遊びたい! と思ったなら、ぜひ3月7日にKickstarterのページにアクセスしてほしい(聞き手:ファミ通グループ代表・林 克彦)。

『Project MBR(仮称)』Kickstarterページはこちら(3月7日オープン)

宮路洋一

株式会社ジーク ゲームズ代表取締役社長。文中では宮路。

猪俣竜次

株式会社ジーク ゲームズ執行役員 CGO。文中では猪俣。

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由

Project MBR Production staff interview

『Project MBR(仮称)』立ち上げのきっかけはお昼休みの『戦場の絆』だった?

――ファミ通として宮路さんにお話をお伺いするのはすごく久しぶりになります。たいへん恐縮ではありますが、自己紹介からお願いしてもよろしいでしょうか?

宮路はい、もちろんです。アマチュア時代を含めると、もう40年くらいゲーム業界で仕事をしています。ゲームアーツを立ち上げたのが21歳のころで、最初に発売したゲームは1985年の『テグザー』でした。これもロボットが変形するアクションゲームで、ワールドワイドで300万本くらい売れたのかな?

 ゲームアーツでは『グランディア』、『LUNAR』などをプロデュースして、2005年に同社から離れました。そのあとは株式会社ヘッドロックさんのお手伝いなどをしたのち、2014年にジーク ゲームズを立ち上げました。最新作は6月にマーベラスさんから発売される『LOOP8(ループエイト)』で、企画立案からやらせてもらっています。

――ジーク ゲームズを立ち上げてからもう9年になるのですね。

宮路振り返ってみるとそうなりますね。ゲームアーツのころから、移植も含めると100タイトル以上は作ってきたんじゃないかな。ロボット・メカ系ゲームだと、古くはファミコンの『SDガンダム』シリーズから『機動戦士ガンダム ギレンの野望』、『ガンダムネットワークオペレーション』、『新世紀エヴァンゲリオン2』などを手掛けてきました。

――『ギレンの野望』はとても硬派で大人向けの戦略シミュレーションでした。当時としては異質なガンダムゲームでしたよね。どれも懐かしいです。さて、今回の『Project MBR(仮称)』ですが、これはどのような経緯で企画が立ち上がったのでしょう?

宮路そのあたりはディレクターの猪俣から説明してもらいます。

――猪俣さん、よろしくお願いします。まずはこれまでの経歴からお聞きしてもよいですか?

猪俣私も元々はゲームアーツです。いまも昔も本職はデザイナーで、最初は『グランディア』チームだったのですが、その裏では『ガングリフォン』の開発が走っていて、内心「いいな~」と思っていました(笑)。そのあと『ガングリフォンII』から手伝えることになって、すごく嬉しかったことを覚えています。

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由

猪俣ガングリフォン ブレイズ』ではロボットやエフェクト、背景、UIなどまでデザインさせてもらって、たいへんだけどとにかく楽しかったですね。ゲームアーツ最後のお仕事はWiiの『大乱闘スマッシュブラザーズX』でした。

――桜井さん(ソラの桜井政博氏)とお仕事をされていたんですね。

猪俣はい。『スマブラ』が終わったあとにゲームアーツを退社して、さてどうしようと思っていたのですが、ありがたいことにすぐに桜井さんからお声がけをいただいて、『パルテナ』(『新・光神話 パルテナの鏡』)の企画段階から手伝わせてもらいました。

――それこそ初期の段階から。

猪俣そうです。まだ数人しかいなくて、企画書を作るところからいっしょにやらせてもらいました。『パルテナ』のあとはヘッドロックを経て、いまのジーク ゲームズになります。

――そんな猪俣さんが今回のプロジェクトを立ち上げようと思われた経緯は?

猪俣前置きが長くなるのですが、あれは『パルテナ』のころからだったのかな。桜井さんも交えて、毎日必ずと言っていい頻度で、お昼休みになるとみんなでプレイステーション・ポータブルの『戦場の絆』(『機動戦士ガンダム 戦場の絆ポータブル』)で遊んでいたんです。

――それは研究のためとかではなく、お昼休みの息抜きとして?

猪俣完全に息抜きです。本当に来る日も来る日も遊んでました。もう途中からは謎の使命感に駆られていた気がします(笑)。そんな日々が1年くらいは続いたのかな? そのうち、「これはもうコックピットに乗り込んでみんなで遊びたいよね」となって、プロジェクトがちょっと落ち着いてからですけど、休日に集まってゲームセンターに行って、あのコックピット型のアーケード版で遊ぶまでになったんです。

 それが数年間にわたって続いて、最後のころは2ヵ月に1回くらいのペースになりましたけど、それでもコロナ禍のちょっと前まではみんなで集まって遊んでいました。

――もう完全にプライベートですよね。そこまでどっぷりハマっていた、と。

猪俣そうなんです。あのゲーム体験が本当に楽しくて、でもいま、あの種のゲームは減ってしまいました。少なくとも自分が遊びたいゲームはなかなか見つからない。それで、自分で企画してみようと思い立ったことがきっかけです。

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由
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コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由
特別にご提供いただいた本プロジェクトの企画書。企画からブレることなく開発が進んでいることがよくわかる。

――そういった経緯だったのですね。桜井さんには、このプロジェクトについて相談されたりしたのでしょうか?

猪俣いえ、今回のインタビューを受けるにあたって、桜井さんには初めてお知らせしました。「あなたの好きなことをしていますね、ぜひともがんばってください」と(笑)。

――とても桜井さんらしい応援メッセージですね。ちなみに企画を詰めていくにあたって、ゲーム内容はもちろんですが、開発費や売上のことも考慮されたのですか?

猪俣いや、まったくです。先ほどもお話したとおり、私の本職はデザイナーなので、そのあたりのことはさっぱりわからなくて。これまでディレクターの経験もないので、宮路に「オリジナルのロボットゲームを作りたい」とだけ相談しました。

――猪俣さんの提案に対して宮路さんは?

宮路「おもしろそうじゃん、やろうよ」と。お金の話はまったくしなかったですね。

新しいゲームの作りかたにチャレンジしたい!

――そんなやり取りからスタートしたんですね(笑)。

宮路現場から「作りたい」と挙がってきた企画は、基本的には実現させてあげたいと昔から思っているんです。もちろん内容が伴っていないとダメなのですが、今回はコンセプトも内容も明確で、何より熱意がすごかったので、それならチャレンジしようよ、と。

 当初は、α版まで制作して、パブリッシャーさんに相談をすれば、扱ってもらえるだろうと漠然と考えていました。ところが、いくつかご相談したところ「ゲームはおもしろいけど、オリジナルIPはきびしい」、「ロボットやメカもののゲームはセールスが見込みにくい」といった反応で、メジャーデビューはできないと判断されました。

 成功事例が少ないのは確かなので、そういった反応になることはしょうがないとは思うのですが、ただ、我々としては企画にも内容にも自信があるので最後までやり切りたい。それなら、ということで自分たちだけで進めることを決めて、今回のKickstarterの発表にいたった、という経緯になります。

――このインタビューに先立ってゲームを拝見させていただきましたが、「この雰囲気、久しぶりだ!」と感じてワクワクしました。開発もかなり進んでいますよね。

宮路ありがとうございます。まさにα版以上にはできています。ここまで制作するだけでも、けっこうな時間とお金がかかりました(笑)。

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由

――どのくらいになるのですか?

宮路プロジェクトを動かし始めたのは、3年くらい前だっけ?

猪俣そうですね。コロナ禍になる前くらいだったと思います。

宮路会社としてはほかの仕事もやっているので、ずっと作っているわけではないですけど、そのくらいはかかっています。資金的には5000万円以上でしょうか。このまま自分たちだけで進めるのは体力的にしんどいところもあるので、Kickstarterに踏み切りました。

 今回の経緯や決断を経て、これからはゲームの作りかたを根本的に変えたいと思っています。いまの日本のパブリッシャーは“売れるゲーム”を求めています。それは当然のことではあるのですが、ただ往々にして、パブリッシャーが求めているゲームと、クリエイターが作りたいゲームには乖離があり、結果的にクリエイターは作りたいゲームを作りにくくなっています。

 私は40年にわたってゲームを作り続けてきましたが、根底にあるのは“おもしろいゲームを作りたい”の一点です。“売れるゲームを作りたい”なんてところから企画を着想したことはありません。もちろんいい大人なので、それだけでは成立しないことはわかっているのですが、ただ一方で、いまはまたクリエイターの個性や熱情が光る、尖ったゲームが受け入れられる時代が戻ってきたとも感じています。

――インディーゲームはまさにそうですね。

宮路そうです。大きな流れとしては、AAAタイトルとインディーゲームの2極化が進んでいる。ただ、インディーは開発や宣伝マーケティングに必要な資金が大きなハードルになりやすい。それは我々のような開発会社にしてもそうです。日本国内にもたくさんのゲーム開発会社がありますが、おそらく皆さん、同じようなジレンマを感じていると思います。

 そこで私たちは、最初からゲーム内容や目標設定をオープンにして、ファンの皆さんに賛同してもらい、協力もしてもらいながら、いっしょにゲームを作っていくことにトライしてみたい。これまでもそういった事例はありますが、大きな流れにまではいたっていないので、ぜひ成功例にしたいと思っています。

オリジナルのマルチプレイロボットアクション! ゲームバランスを重視して開発する

――ゲームファンの皆さんの反響が楽しみです。それでは、肝心のゲーム内容について教えてください。

猪俣オリジナルのロボットによる最大5対5のマルチプレイアクションゲームになります。約30年後の地球を世界設定のベースにしています。

宮路ひとりで敵陣に突っ込んでも勝てないようなゲームバランスで設計しています。チーム戦ならではのチームワークや編成バランスを重視していて、チームメンバーで戦術を考え、リアルタイムで声を掛け合いながら連携して戦うことがとても大事になります。

――ロボットは完全オリジナルで、当然ですがそれぞれに特徴があって。

宮路もちろんです。たとえば歩行形態から飛行形態に変形できるようなロボットや、敵に見つかりにくい形状で索敵や不意打ちが得意なロボット、装甲が厚くて盾役を担うようなロボットなど、個性と特徴はさまざまです。また、機体の強化や兵装のカスタマイズなどもできるようになります。

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由
コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由
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――それぞれのロボットから、なんというか日本らしさを感じました。ただ武骨なだけではなく、やっぱりどれもフォルムが個性的で、とても魅力的です。

宮路ありがとうございます。それは猪俣のデザインの力です。

――ゲームルールとしてはどのようになるのでしょう?

猪俣チーム戦をベースに、最終的にはステージ奥に配置されている敵本拠地を攻め落とすことで勝利になります。その過程として、複数の中間拠点の攻略と防衛も重要になるので、その奪い合いも発生します。

 あとリモートで行動指示できる、ドローンのような無人機を複数帯同させられることも特徴です。基本は5対5なのですが、無人機も飛び交うので、画面はかなり戦場感があると思います。

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由
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宮路いわゆるMOBA系のゲームルールですが、コックピット視点で戦うこと、ロボットものならではのアクションや戦術が必要になることから、このゲームならはでのプレイ感覚で楽しんでもらえると思います。

――ゲームはマルチプレイに特化しているのでしょうか?

宮路現時点ではその予定です。シングルのキャンペーンモードも考えたいですが、それはもっと未来の話になるかなと思います。

――宮路さんがプロデューサー、猪俣さんがディレクターとのことですが、そのほかの参加クリエイターや開発チームについては?

宮路ここまではジーク ゲームズ中心に開発を進めています。およそ10名くらいです。

――元ゲームアーツの皆さんがやはり多いのでしょうか?

宮路もちろんいますが、それだけではなく、若いスタッフも加わっています。

猪俣ゲーム開発においても若い感性は当然大事で、いろいろな意見をもらえることはとてもありがたいです。おじさんだけで作るのはもう限界がありますから(笑)。

宮路そのほかに、外部のクリエイターとして世界設定は井上さん(※1)、音楽は岩垂さん(※2)にお願いする予定です。

※1 井上さん:井上幸一氏。アニメ『太陽の牙 ダグラム』や『装甲騎兵ボトムズ』などの設定制作、『機動戦士ガンダム MS IGLOO ‐1年戦争秘録₋』のプロデューサーなどを務めてきた。

※2 岩垂さん:岩垂徳行氏。コンポーザー。『グランディア』、『LUNAR』、『逆転裁判』各シリーズなど、多数のゲーム作品の楽曲を手掛けている。

――錚々たる皆さんが集結している、ということですね。対応プラットフォームはプレイステーション5(PS5)とPCになるのでしょうか?

宮路そうですね。SteamとPS5で考えています。じつはここまではUnreal Engine4で開発してきたのですが、リリースまで時間を要することや、この先のユーザーニーズに応えるためにも、Unreal Engine5での開発に変更することにしました。それに伴ってPS5もターゲットにしようと。

 今回、ご提供している素材の“イメージボード”はUnreal Engine5で制作し、実機からキャプチャーしているものです。“開発中スクリーンショット”はUnreal Engine4で制作しているので、比較していただくと、描画クオリティーの違いを実感してもらえるのではと思います。

◆イメージボード(Unreal Engine5)

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◆スクリーンショット(Unreal Engine4)

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由
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――たしかに、こうやって見比べると違いを実感しますし、Unreal Engine5で開発を進めてほしいと強く思ってしまいます(笑)。

宮路我々作り手としてもそう思っています(笑)。ちなみに、ゲームはF2Pではなく有料でダウンロード販売します。それからガチャのような課金要素は一切ありません。我々はゲームバランスを重視しながら、ユーザーの皆さんといっしょに運営していきます。

 そのために、たとえばDiscordによるファンコミュニティの形成や、Twitterによる情報発信にも取り組んでいきます。βテストも予定していて、その段階から皆さんの意見やリクエストをしっかりと聞きながら開発を進めていきたいと思っています。この点はいまの時代、とても重要だと認識しています。もちろん厳しいご意見にもちゃんと耳を傾けます(笑)。

――いまβテストのお話がありましたが、今後の開発スケジュールについてもお聞かせください。

宮路(2023年の)夏までにはβテストを行ってユーザーの皆さんの声を募り、そのあと1年はかけたくないので……2024年春くらいにはリリースしたいと思っています。

――猪俣さん、いかがですか?

猪俣…………がんばります、やります、としか言えないです(笑)。

宮路ゲームとしてはリリースしたあともアップデートをしていきますし、くり返しにはなりますが、つねにユーザーの皆さんの声を聞きながら、よりよいゲームにしていきます。

まずは1億円が目標。ユーザーの皆さんにおもしろいと思ってもらえるゲームを作る

――さて、3月7日からKickstarterによるクラウドファンディングがスタートするとのことですが、どのような内容になるのか教えていただけますでしょうか。

宮路初期ゴールは3000万円に設定していて、これを達成するとクローズドβテストが実施できます。ストレッチゴールは6000万から段階的に設定していますが、そうですね、1億ほど集まるとここまでお話した内容でゲームを開発、リリースできるかなと思っています。初めてのチャレンジなので、そのハードルの高さは実感できないのですが、まずはここを目標にしたいと思っています。

――バッカ―(プロジェクト支援者)に用意しているリワードについては?

宮路これも段階に応じてさまざま用意しています。SteamアーリーアクセスDLキーやデジタルサウンドトラック、βテスト参加権、サンクスクレジット追加権などのほかに、バッカ―専用機体や専用ドローン、NPCパイロット登場権といったリワードもあります。

――どれも嬉しいリワードですね。専用機体は能力的にも特殊だったりするのですか?

宮路特別に強い、といったことはないです。とにかくゲームバランスを大事に開発したいので、そこに影響を与えるようなリワードはありません。デザインを中心にしっかり特徴があって、ちょっと自慢できるというか、目立てるような差別化で考えています。

 このほかに、コックピット型の筐体のようなリワードもやりたかったのですが、運搬トラブルなどの懸念があるので今回は断念しました。一方で、やっぱりこういうゲームって没入感が欲しいので、将来的にPS VR2に対応できないかなとちょっと考えています。決定事項ではなく、あくまで私が“やりたいこと”なのですが、これができたら楽しいだろうなーと思ってます。

コックピット視点で戦うロボアクション『Project MBR』インタビュー。「オリジナルのロボゲーは売れない」は本当か。宮路洋一氏がKickstarterでファンと一緒に作る理由

――それはとてもワクワクします。……ここまでのお話で、今回はとにかくクリエイターが作りたいゲーム、そしてユーザーの皆さんがおもしろがってプレイするゲームを作るのだ、という強い意思を感じました。

宮路そう感じてもらえると嬉しいです。いまのところ、いわゆる売上目標やリクープライン(損益分岐点)などはまったく考えていません。行き当たりばったりです(笑)。でも、ゲームってもともとそんなものですから。

 突き詰めると、ユーザーの皆さんが望むゲームを作れるかどうか、そしてそれを手に取ってもらえるかどうか、だけだと思っています。そういった意味で、このようなインタビューの機会をいただけたこともありがたいです。

――とんでもないです。『Project MBR(仮称)』への反響が楽しみですね。

猪俣とにかく最後まで作り切りたいと思っています。応援よろしくお願いします。

宮路ユーザーの皆さんといっしょに、おもしろいゲームを作ります。ぜひ、いろいろな意見を寄せてもらえればと思います。すべてに目を通します。応援のほどよろしくお願いします。

『Project MBR(仮称)』Kickstarterページはこちら(3月7日オープン)
『Project MBR(仮称)』ティザーサイト
Project MBR Production staff interview(YouTube)