PLAYISMは、Nintendo Switch、PC(Steam)用ソフト『ドラゴノーカ』を2023年1月12日に発売した。

 本作は、巨大な竜の背中で村を作り、生活をするという独特な世界観の牧場系スローライフシミュレーションだ。村では農業や釣り、料理に畜産とさまざまな要素に触れることができ、個性豊かな住民たちとよりよい暮らしを目指して発展を目指していくことになる。

 本記事では、そんな『ドラゴノーカ』のNintendo Switch版のプレイレビューをお届けしていこう。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
※本記事はPLAYISMの提供でお届けしています。
『ドラゴノーカ』ニンテンドーeショップサイト 『ドラゴノーカ』Steamサイト

移動する竜の背で村を発展させていくスローライフ

 ゲームを始めると、まずは性別を決めることになる。本作では村人と仲を深める要素があるが、同性でもイベントは同じように進行するので好きなほうを選んで問題ないだろう。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 キャラ選択が終わると、「竜殲滅プログラムをインストールします」という何やら物騒なメッセージが表示され、主人公は目を覚ます。記憶を失った状態で目覚めた主人公は、竜の巫女ノナと出会い、無気力な彼女に代わって村を発展させるために尽力するというのが冒頭のストーリーだ。

 初期時点では村は荒れ果てた状態で、父を失ったノナ以外の住民はひとりもいない。その状態から家を建て、住民を招き、発展を目指していくというわけだ。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 牧場系としてはわかりやすい導入のストーリーだが、独特なのはその世界観。『ドラゴノーカ』の世界では地上を巨大な竜や害獣と呼ばれる生物が闊歩しており、人が生息するのは難しい環境となっている。そこで人々は竜の背に村を作って暮らしており、プレイヤーもグラントータス、通称ぐらちゃんと呼ばれる竜の背で暮らしていく。

 地上に住めず巨大な竜の背で生活をするファンタジーな設定だが、冒頭にも“プログラムをインストール”という現代的な用語が登場する通り、単なるファンタジーというわけでもないのがポイント。ストーリーを進めていくことで真実が明らかになっていくので、入手できる情報を元に考察をするのもおもしろいタイトルとなっている。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
ぐらちゃん以外にも、世界には危険な巨大生物が生息している。

 設定だけ見れば過酷な世界にも思えるのだが、実際の操作パートのほとんどはのどかな牧場運営そのもの。自然と生えてくる木を斬って家を建て、土を耕して種をまき、動物を育てて皮などを得たりと、基本はスローライフだ。

 操作面も快適で、アイテム収集はスムーズに進められる。その場に立ち止まっての方向転換、アイテムやキャラクターを引っ張って動かすなど、あると便利な機能は一通り導入されていた。素材集めは頻繁に行うため、必要な操作が快適なのは非常に助かる。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
頻繁に使うアイテムはカスタムパレットにセットできるため、装備の切り換えもサクサク。

 プレイ序盤は住民を迎えるためにとにかく木を斬って木材を集め、家や家具作りをすることになった。家も自分で好きなように作れる仕組みで、素材さえ集めれば壁や床、屋根まで好きなように調整できる。

 大豪邸を作ってもいいし、機能性重視の小さな家にするもよし。どこに家を建てるかも自由なので、村の中はほぼすべて自分が思うままにカスタマイズできるのも魅力のひとつと言える。家は後から建て直しや引っ越しも可能なため、扱える素材が増えたらよりクオリティーの高い家に切り換えるのが基本的な流れになるだろう。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
メニュー画面の建築から、自由に建物を作り出せる。

 家を設置できたら、つぎは住民を増やすフェイズに移行。ぐらちゃんには飛竜に乗ってユニという配達人が来てくれるので、ユニに頼むと移住を考えている人を紹介してくれる。ちなみにユニはアイテム販売もしてくれる、いわゆる商人のような存在だ。

 移住希望者はそれぞれ農業や鍛冶といった生活スキルを持っており、住民が増えるごとにプレイヤーができることも増えていくシステム。農業が得意な人物が住民になれば、畑を作るための知識を教えてもらえるといった流れだ。また、アイテム制作や料理など一部の作業を依頼することでプレイヤーの代わりに働いてくれることもある。

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 ちなみに移住希望者は保有する生活スキルごとにふたり登場するため、どちらかを選ばなくてはならない。たとえば農業であればイサヤという女性か、トトという男性どちらかを選べるので、女性しかいない村や、その逆にもできてしまう。

 どちらを選んでも基本的な性能は変わらないので、好みで選んでしまって問題ナシ。個性的なキャラが登場するので、性格や好みの見た目で選ぼう。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 家を建てる、住民を招いて新たな道具や知識を得てできることを増やし、またつぎの住民を招くというのがプレイ序盤のサイクルとなる。家と同様、村の中は自由に使えるので畑や牧場を作る位置もすべて自分で調整可能だ。

 最初は手探りで進めることになるが、ある程度慣れてくると機能的な配置に変えたり、作業の自動化といって工夫も凝らせるようになるので、自分で工夫して村を作りたい人はとくに楽しめるだろう。要素の多さに加え、畜産などは育てた動物を縄で絞めて毛皮に変えたりと、リアルな部分まで体験できる作りなのも印象的だった。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 また、村だけでなく道具を作ると地下まで探索できるようになり、ひたすら壁を掘り進めて鉄鉱石なども集められるようになっていく。地下ってぐらちゃんの体内を掘り進んでいるということでは……と心配になったりもするのだが、地下探索もかなり重要な要素となっている。村をある程度整地した後も、今度は地下探索と際限なくやれることは増えるので、長時間やり込むことができた。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 ここまで紹介してきた牧場要素は比較的定番のものだが、本作ならではの要素として竜の移動が関わってくるのがおもしろいところ。ぐらちゃんを始め、世界に生息している竜はつねに移動を続けており、ときにはほかの竜と近づくこともある。

 ほかの竜と一定の範囲まで近づくと、竜域の効果を受けることになるのだが、これがさらなるやり込みと牧場運営の工夫につながっていた。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 たとえば、水竜の竜域に入ると村にはつねに雨が降り続けて作物に水を与える必要がなくなるし、氷竜の付近では木が枯れ水が凍るなど、環境に大きな変化が現れる。ザックリと言うなら竜域が天候のシステムなのだが、ほかにも特定の竜域でしか育たない作物があるなど、いくつかの要素に関わっているのがポイント。

 ぐらちゃんの進行方向は自分で設定できるため、大量の作物を育てたいなら水竜を追尾するといった風に、自分で天候をある程度調整することも可能だ。ランダムで天候が変わるのではなく、近づいた竜によって変動するシステムはユニークでやり応えも感じられる。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
マップを見て特定の竜を指定すれば追尾もしてくれるので、特定の竜域に留まり続けるのも簡単。

 そのほか、個人的に好印象だったのが牧場運営に拘束感がないこと。食料さえ入れておけば村人の好感度は下がらず、病気になっても放置していれば自然と治癒してくれるので、絶対にやらなければいけないルーティーンが少ないのが気楽でありがたかった。

 また、プレイヤー自身の作業についても制限がほぼなく、24時間働き続けることもできてしまう。やる気というゲージはあるのだが、これは0になると経験値が入らないというだけで、作業自体は続行可能。もちろん効率を重視するならやる気が0になり次第、家に戻って休息するか、ほかの作業をしたほうがいいのだが……。

 夜になったら家に戻らないといけないといったルールがないため、自分の中でキリがいいところまで採掘作業などを続けられるのが予想以上に快適だった。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
行動を起こすごとにやる気が減っていくが、経験値が溜まりスキルレベルが上がっていく。

地下に潜って武器作り!戦闘は主人公ではなく竜が担当

 ふだんはのんびり牧場運営をする本作だが、ストーリーが進行していくと戦いは避けられなくなる。といっても戦うのはプレイヤーではなくぐらちゃんで、巨大生物どうしの激突がくり広げられていく。世界には背に村がある竜のほかにも、災害をもたらす巨獣などが存在しており、これらの敵は接近すると戦闘が発生するのだ。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
近くに竜や巨獣がいると村からもシルエットが確認できる。こういった細かな演出もグッド。
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進行方向がかち合うと巨獣と戦うことになるので、ふだんは定期的に進む先を変更したい。

 本作は戦闘頻度はそこまで多くないため、レベル上げの代わりにぐらちゃんにエサをあげたり、装備を付けることでパワーアップを図っていく。村で育った作物や料理などをエサにすることでHP上限がアップするため、中盤以降はぐらちゃんへのエサ上げも重要な要素になってくる。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 エサと合わせて、装備を作るのもプレイヤーの役割だ。地下に潜って鉄鉱石を集め、それを使って大砲などを作りぐらちゃんに装備させないと巨獣に勝つのは難しい。最初は大砲と爪など簡単な装備から始まるが、後半はとんでもない火力の兵器も登場するので、終盤に近付くにつれ派手な戦闘が楽しめるようになる。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 装備が整ったら、いよいよ戦うべき相手に突撃して戦闘をするパートに突入。戦闘前には大きな文字で“ぐらちゃん”、“巨獣”と名前が表示されるのがなんだかシュールでかわいらしい。ぐらちゃんの背中では住民たちが小さな文字で「頑張れー!!」と叫ぶなど、人と竜のサイズの違いが細かな表現で感じられるのもおもしろかった。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション
『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 いざ戦闘が始まると、各種コマンドで攻撃や装備を使いつつ、左右に移動して敵との距離を詰めていくアクションテイストなバトルが展開されていく。射角も調整でき、これで大砲を飛ばしてダメージを与えることも可能だ。

 シビアな操作が求められるわけではなく、基本的にはぐらちゃんのHPや装備の性能が重視されるが、攻撃を使うタイミングなどを考えながら戦っていくと多少戦力が劣っていても勝ちは狙えるだろう。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 無事勝利すると村の中に戦利品が落ちているので、それらを回収してさらなる装備を開発してぐらちゃんの装備をアップグレードしていくというのが、バトルパートのサイクルとなる。戦闘後には家がダメージを負って修復が必要になったりと被害も出るのだが、最終的に戦闘は避けられないので覚悟を決めてぐらちゃんの強化をしていこう。

『ドラゴノーカ』プレイレビュー。竜の背中に村を作ってスローライフ! 一風変わった世界観に魅了される牧場系シミュレーション

 メインは農業や地下採掘といったスローライフシミュレーションながら、巨大生物どうしの対決など一風変わったテイストも混じっているのが『ドラゴノーカ』の魅力。とくに世界観については好きな人はドマハリするであろうタイプの内容なので、竜の真実を追ってストーリーを進めてみてほしい。

 ちなみに今回プレイしたのがNintendo Switch版なので体験はできなかったが、本作には自分でカスタマイズキャラクターを作り、ゲームに登場させるキャラクリエーションのシステムも存在している。自分の作ったキャラを共有したり、ほかの人が作成したキャラをダウンロードして村に登場させられるので、PCでプレイする人はこちらの要素も試してみよう!

ドラゴノーカ

  • 対応機種:Nintendo Switch、PC
  • 配信日:2023年1月12日配信
  • 発売元:PLAYISM
  • 開発元:GeSEI unkan (ゲ製うんかん)
  • 価格:各1980円[税込]
  • ジャンル:シミュレーション
  • IARC:16歳以上対象
  • 備考:ダウンロード専売
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