トイロジックが、ヨーロッパの大手パブリッシャーであるPLAIONとコラボし、オンラインゲーム『Warlander』をリリース予定であることを明らかにした。

 『Warlander』は、中世ファンタジーの世界観をモチーフにした、基本プレイ無料の三人称視点のオンラインマルチプレイヤーゲーム。最大100人のプレイヤーが、20人ごとのチームに分かれ、城の攻防戦を展開することになる(※)。同作は、プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC向けに配信予定で、この2022年9月12日からSteamにてオープンベータも開始される。

※サービス開始時は、最大40人までの2チームモードと、最大100人までの5チームモードを搭載予定とのこと。

 ここでは、8月末に開催されたgamescom 2022にて行われた、トイロジック代表取締役にしてディレクターである岳洋一氏と、プロデューサー・西井良哉氏によるプレゼンから、『Warlander』の魅力を紐解いていこう。

『Warlander』最大100人による攻城戦が楽しい対戦オンラインアクションの詳細をトイロジックの開発陣に直撃。ゲームの楽しみかたは人それぞれ、さまざま人たちの受け皿となるゲームを目指して
トイロジック 代表取締役/ディレクター・岳洋一氏(中央)、プロデューサー・西井良哉氏(左)。
『Warlander』Steamサイト

 最近では、スクウェア・エニックス『NieR Replicant ver.1.2247448713』の開発元として名を馳せるトイロジックは、オンラインゲームに注力していることでも知られる開発会社。初の自社タイトルとなるオンラインアクション『Happy Wars』が、ワールドワイドで累計1500万ダウンロードを記録しているのは記憶に新しいところ。今年に入っても、最大4人による協力プレイ対応のオンラインとの親和性も高い『グリッチバスターズ:スタックオンユー』を発表したばかり。

 そんなオンラインゲームに豊富なノウハウを持つトイロジックが、まさに満を持して放つタイトルが『Warlander』となる。プレゼンの冒頭で、岳氏が「本作のジャンルの説明が難しいのですが……」と口にするくらい、『Warlander』にはさまざまな楽しみかたがあるようだ。

 冒頭でも紹介した通り、『Warlander』は最大100人のプレイヤーが20人ごとの5チームに分かれて、生き残りをかけて戦うオンラインゲーム。お互いの城に攻め込んで、相手の城の中にある“コア”を破壊したチームの勝ちとなる。

 岳氏いわく「RPGで言うところの、仲間とパーティーを組んで協力しながら戦うのがテーマ」という『Warlander』では、20人がさらに4人単位の“スクワッド”に分かれて戦うことになる。スクワッドは、それぞれ“攻撃”や“守備”、”特殊任務“といった異なる任務が与えられ、それぞれ協力しあいながら任務を遂行していくことになるのだ。

 ちなみに、各スクワッドには、“コマンダー”といういわばリーダー役がいる。コマンダーは立候補制で、誰も立候補しないとボットがその役割を演じることになるようだ。

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 また、RPGを思わせる要素として、本作では、“戦士”、”僧侶”、“魔法使い”という3種類から職業を選ぶことができる。「戦士は剣と盾を駆使して近接攻撃が得意。仲間のタンクになる役回りですね。魔法使いは遠距離から魔法攻撃を仕掛けます。シューター向きと言えるかもしれません。僧侶は傷ついた仲間をサポートするという役回りです。僧侶は、比較的アクションゲームが苦手なプレイヤーでも活躍できるようにするというのがコンセプトなんです」という。

 さらに、本作には成長要素とカスタマイズ要素、アイテム収集要素もある。たとえば本作では、ひとりひとりのキャラクターに経験値を積ませると、“称号”が手に入る。最初は称号なしから始まって、より上位の称号を入手すると、より強力な装備や魔法などが使えるようになる。

 キャラクターはそれぞれカスタマイズが可能。各キャラクターは複数のスキルを付与でき、「投げ技が上手な戦士だったり、守るのが得意な戦士だったりと、戦士でも全員が同じ能力というわけではなくて、それぞれ異なるんです」という。ちなみに、1キャラクターを育てきるまでに、30~40時間を想定しているとのこと。

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 『Warlander』でさらに興味深いのが、ひとりひとりのプレイヤーはそれぞれ5人までキャラクターを用意できる点(バトルで使用できるのは1回に1キャラクターのみ)。カードゲームを連想させるこの仕組みは、その名もずばり“デッキ”と呼ばれていて、本作のアクセントになっている。“強いキャラクターばかりを揃えればいいわけではない”のだ。

 「本作では、キャラクターは出撃するときにコストがかかります。強いキャラクターを出撃させようと思うと、それだけゲーム中のポイントをたくさん稼がないといけません。また、そんな強いキャラクターが1回倒されてしまうと、長いクールタイムが発生します。プレイヤーは、どんなデッキを構築するかで頭を悩ませるわけです」

 記者が、「自分のプレイスタイルに合ったキャラクターをカスタマイズしていくのが楽しいのですね?」と聞いてみると、岳氏は、「すごく大事にしたいコンセプトとして」と前置きしたうえで、以下の通り答えてくれた。

 「いまバトルロイヤルやMOBAがオンラインゲームでは世界中で大人気です。とはいえ、オンラインゲームの楽しみかたは人それぞれです。シューターでのプレイを楽しみたい人もいれば、近接で楽しみたい人もいます。アクションは苦手だけど、みんなといっしょに遊びたい人もいます。さらには、戦略的に遊びたい人もいます。『Warlander』では、いろいろなプレイスタイルの受け皿になるように……というのは、すごく意識して作っています。お互いが補い合って協力し合いながら戦うというのを体験してもらいたいのです」

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 以下、記事に盛り込みそびれてしまったが、プレゼンで気になった『Warlander』の気になるポイントを箇条書きでご紹介しよう。

・中世ファンタジーの世界観だが、4人乗りのロボットも登場する
・5チームはそれぞれ同盟を結ぶことができる。また、“戦略カード”が存在。たとえば、“裏切りカード”では、同盟を結んでいるチームどうしを勝手に反故にできるらしい。
・課金要素はバトルパスや装備の見た目をよりゴージャスに変えられる変更権。キャラクターが早く経験値を得たり、成長を早めるためのブーストも。

『Warlander』最大100人による攻城戦が楽しい対戦オンラインアクションの詳細をトイロジックの開発陣に直撃。ゲームの楽しみかたは人それぞれ、さまざま人たちの受け皿となるゲームを目指して

開発期間のいちばん多くの時間が、テストプレイに使われている

 プレゼンを終えたあとの質疑応答で、岳氏と西井氏に気になることを聞いてみた。

――どのようなきっかけで『Warlander』は生まれたのですか?

もともと『Happy Wars』のようなみんなでわいわい楽しめるゲームが作りたかったんです。競争して相手をただ倒して終わりというよりは、楽しく協力しながらできるオンラインゲームを作りたいと思っていました。

 さらに言えば、2年後、3年後を見越した、“これから来るゲームデザイン”を考えたときに、ワンアイデアのシンプルなゲームというものが、だいぶ埋まってしまっているとの実感もありました。であれば、いろいろなゲームのハイブリッド型を作りたいと思ったんです。

 一方で、トイロジック自身の今後の方針として、日本はもちろんですが、ワールドワイドで活躍できる会社になっていきたいという強い気持ちがありました。となると、ハイエンドグラフィックというところも避けては通れません。

 そんな理由から『Warlander』は生まれました。

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――ビジュアルも、ワールドワイドで受け入れてもらえるためのテイストに?

そうですね。とは言っても、日本人が作っているので、どうしても日本人っぽくなってしまうのですが、(ドイツの方には)すごく受けていてホッとしています。「日本のアニメっぽくて、子どもっぽすぎませんか?」と欧米のメディアの方に聞くのですが、総じて好評です。まあ、おもしろい顔をたくさん準備して、どの地域でも受け入れられるようなものを1個は入れられるようにがんばっています。

――本作はやることが多そうですが、ゲームの敷居は少し高くなってしまうかもしれないけれど、一度覚えたら楽しくなるというゲームになっているのですか?

ぜひ一度体験していただきたいのですが、けっこうみんなルールをすぐに覚えてくれるんです。当社のゲームが苦手なデザイナーも、だいたい1試合か2試合遊べば、何をすればいいかわかるようになりました。システムとしてはてんこ盛りなのですが、何となく想像がつくような作りかたはしています。

西井本作には、戦士や魔法使い、僧侶の職業がありますが、役割を全部こなす必要はないんです。アクションが得意な人はアクションだけでいいし、サポートに徹したい人はサポートをしていればいいんです。自分が楽しめるところで、自由に楽しめるゲームです。

 ちなみに、マッチングにも気を使っています。いわゆるグレードを分けたマッチングというよりは、一方的に強いチームが生まれないように、なるべく均等にチーム分けするようにしています。

対戦要素として、腕を磨いて作戦をきちんと立てたほうがちゃんと勝てるようにしないといけないと思っているので、“なんとなくわいわい楽しんで終わり”というよりは、競技性が出るくらいのしっかりとしたゲームデザインにはしています。開発期間のいちばん多くの時間がテストプレイに使われているというくらい、バランス調整にすごく時間をかけています。

――ちなみに、フレンドといっしょにチームを組めるのですか?

お互いにインバイトしてフレンドを組めば、いっしょにスクワッドを組めます。当初のリリース段階では実装されていないのですが、将来的にはコミュニティーどうしで軍団を形成して、コミュニティー対コミュニティーで戦えるというモードを入れたいと思っています。

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――今回パブリッシャーがPLAIONになった理由は?

いろいろな方から紹介されて……というのがあるのですが、PLAIONさんと話していて、世界観やゲームプレイに魅力を感じていただけたのと、そもそも『Warlander』がヨーロッパ風なので、ヨーロッパのパブリッシャーさんと組んだらおもしろいのではないかと判断しました。そもそも海外の会社さんと仕事をしたいという思いがありまして、北米の会社とは仕事はしているので、当社の成長戦略の経験としても、ヨーロッパ圏の会社とごいっしょしてみたいなと。

――最後に、日本のゲームファンに向けてのメッセージをお願いします。

シューター好きの方でも、アクション好きの方でも、シューターやアクションが苦手な方でも楽しめるゲームを……ということで開発しています。世界はもちろんですが、日本のゲームファンの方にもこういうゲームを遊んでいただきたいと思っています。魂を込めて、魂を削って作っていますので、『Warlander』をぜひお願いします。

西井いま人気のオンラインゲームは海外発信のものが多いですが、つぎはトイロジックが日本から世界にアピールできるゲームを出せればと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

『Warlander』最大100人による攻城戦が楽しい対戦オンラインアクションの詳細をトイロジックの開発陣に直撃。ゲームの楽しみかたは人それぞれ、さまざま人たちの受け皿となるゲームを目指して
トイロジック 代表取締役/ディレクター・岳洋一氏(中央)、プロデューサー・西井良哉氏(左)。
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