本日2022年6月24日に、コーエーテクモゲームスよりNintendo Switch向けに発売された『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』(以下、『FE無双 風花雪月』)。本作は任天堂のシミュレーションRPG『ファイアーエムブレム 風花雪月』(以下、『FE 風花雪月』)と、コーエーテクモゲームスのタクティカルアクションゲーム“無双”シリーズのコラボレーションタイトルだ。

 本作は任天堂、インテリジェントシステムズ、そしてコーエーテクモゲームスの3社共同と、『FE 風花雪月』と同じ体制で開発された。どのように本作を作り上げていったのか、4人のキーマンにお話しをうかがった。

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『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは

横田弦紀氏(よこた げんき)

任天堂所属。本作にはスーパーバイザーとして関わる。(文中は横田)

草木原俊行氏(くさきはら としゆき)

インテリジェントシステムズ所属。本作にはキャラクターデザイン/スーパーバイザーとして関わる。(文中は草木原)

早矢仕洋介氏(はやし ようすけ)

コーエーテクモゲームス所属。本作のプロデューサー。(文中は早矢仕)

岩田隼人氏(いわた はやと)

コーエーテクモゲームス所属。本作のディレクター。(文中は岩田)

この3社だからこそ実現したタイトル

――『FE無双』はコーエーテクモゲームスサイドから持ち込んで、実現したタイトルとお聞きしています。今回『FE 風花雪月』を“無双”にしようと、開発が決まった経緯を教えてください。

横田『FE無双』の続編として、コーエーテクモゲームスさん、インテリジェントシステムズさんといろいろ検討させていただいたところ、やはりいっしょにコーエーテクモゲームスさんとインテリジェントシステムズさんと直近で開発しました『FE 風花雪月』を題材にするのがよいのではと、3社で合意しました。『FE無双』のご縁から生まれた『FE 風花雪月』が、さらに『FE無双 風花雪月』として帰ってきた、という感じです。そこからはすごい早さで開発が動き始めたと思います。

早矢仕じつは最初は“FE無双2”として、いまとは違う企画内容をご提案していました。ただコーエーテクモゲームスは『FE無双』を開発し、その後、原作である『FE 風花雪月』も開発に参加させていただきました。その流れの中で、“そんな我々だからこそ実現できる『FE無双』の2作目”のふさわしい形を3社で模索した結果、この『FE無双 風花雪月』という方向性に決まりました。

――原作とは異なる“もうひとつの物語”というスタイルは、『ゼルダ無双 厄災の黙示録』と似ている描きかただと感じました。そこに手ごたえを感じているからこそ別の物語にした、という部分もあるのでしょうか?

早矢仕結果として似ているように感じるかもしれませんが、まったく意識していません。『FE 風花雪月』自体、ルート別の複数のストーリーがありましたよね。本作が『FE 風花雪月』をモチーフにするのであれば、“もうひとつの物語(IF)”を描こうというのは、必然でした。

――システムは全体的に『FE無双』を踏襲しつつも、変更・追加点などもあります。とくに進化させた、注力した部分はどのようなポイントでしょうか。

岩田もっともわかりやすく進化した点で言えば、“シミュレーション”と“RPG”要素の強化ではないでしょうか。『FE 風花雪月』の魅力を語り始めたらきりがありませんが、ゲームシステムで言えば従来シリーズと比較しても、各段に自由度の高いキャラクターの育成や、仲間とのさまざまな交流要素が上げられます。

 “無双”シリーズは一騎当千の爽快感でおなじみのタイトルで、遊びの中心は戦闘中のアクションです。もちろん、この面でのパワーアップにも取り組んでいますが、“戦闘の外での遊びを強化する”、それがきっと『FE無双 風花雪月』らしい遊びにつながるはずだと考えました。その結果、軍備パート、進軍パート、戦闘パートの3つが、相互に強く干渉し合う、遊びのサイクルが産まれました。

横田『FE無双』にはガルグ=マク大修道院のような拠点がありませんでしたが、今回は『FE 風花雪月』の“無双”ですから、拠点を作るというのは大事な点でした。ストーリーの展開上、ガルグ=マク大修道院が拠点ではないのですが、前哨基地という新しい拠点で、仲間との交流や育成強化を楽しんでいただければと思っています。

 もうひとつ大きい要素の進軍パートですが、これがあることによって、フォドラの大地のどこでどう戦っているのかイメージしやすくなります。また、進軍の仕方も自由ですから、少し寄り道して仲間を育てるもよし、アイテムをゲットするもよし、まっすぐに目的地を目指すもよし。ここにも新しい“選択”を作ることができました。

岩田『FE無双』にあった“行動指示”や“三すくみ”、“スタンゲージ”、“ダブル”などの戦闘要素は、キャラクターの育成や、交流結果がより感じやすくなるよう、仕様を変更・調整しています。新たに導入したシステムについても、同じように調整しました。戦闘内における要素が、戦闘外の遊びに強く結びつくことで生まれた新しい『FE無双』を、ぜひ体験していただければと思います。

『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは

――『FE 風花雪月』らしさを出すために、とくに気を付けた、こだわった部分を教えてください。

草木原自分の中での『FE 風花雪月』らしさみたいなもののイメージは、それぞれの背景をもったキャラクターが生き生きと動き、深く感情移入できること。彼らの青春を感じること。また、フォドラの大地、という場所が現実に存在しているかのように思えること。互いの譲れないもののために、机を並べた者たちとですら命のやり取りを行う非情さ、それらを含む、壮大な大河戦記物感……などでしょうか。

 結果として本作は全体的に、かなり『FE 風花雪月』らしいものになっていると思います。今回は、原作の開発に関わったスタッフも多く参加していただいていると当初から聞いていました。ですので、誰よりも『FE 風花雪月』の開発に関わったスタッフがそのあたりの空気感を、いちばんわかって作っていただいていたのかな、と思います。そういう意味では、非常に安心して見ていられました。

横田草木原さんのもつ『FE 風花雪月』のベースイメージが大事で、そのイメージをしっかり受け止めてくださったコーエーテクモゲームスさんが、“『FE 風花雪月』らしさとは何か”を、つねに考えてくださっていたのが大きいと思います。加えて『FE 風花雪月』のテーマでもあった“選択”。この何気なく行動を選んでいく“選択”の蓄積、遊びの自由度というのを各所にちりばめてくださいました。

岩田そこに生きているキャラクターに命を感じるからこそ、ストーリーにも深く感情移入できますし、迫られる“選択”に対してもジレンマが生まれます。『FE無双 風花雪月』にて新たに加わる“タクティカルアクション”という部分でも、キャラクターに唯一性を感じさせるという点には力を注ぎました。

 本作では『FE 風花雪月』を踏襲し、どのキャラクターも自由に兵種を選択できる仕様としているのですが、「アクション面での個性を弱めてしまうのでは?」という懸念がありました。もちろん、パラメータやスキルといった成長傾向の差ありますが、キャラクターを操作できるゲームで、数値だけがキャラクターの個性というのは、寂しいですからね。そこで、アクションに差を生む要素として“個人スキル”を導入しました。ぜひ、全キャラクターに触れていただいて、戦場での彼らの個性を感じていただければなと思います!

――個人スキルは、『FE 風花雪月』から着想を得た要素も多いかと思いますが、どのような発想で味付けしていったのでしょうか

岩田“無双”シリーズはアクションゲームですので、兵種やキャラクターの違いを、プレイ感にも明確に感じられるものにしたい、という考えがありました。そのために実装したのが、兵種の個性を象徴する“兵種アクション”、キャラクターを差別化する“個人スキル”です。

 どちらも大前提として、兵種やキャラクターのイメージに沿うものにしています。個人スキルについては議論が荒れることもしばしばありました。たとえば、「私の考えるヒューベルトはそんなことはしない」と、スタッフから声があがったり(笑)。また、ほかにも各級長は、意図的に強くしています。とはいえ、キャラクター感の強弱差は、極端に出さないようにしました。また、各キャラクターに設定されている得意兵種との相性はよくしています。これらのほかにも、さまざまな制約を課していたため、アイデア出しには非常に苦労しましたが、とても楽しい仕事でした。

『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは
『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは

――本作ではキャラクターたちに2年後の姿が新たに用意されています。原作では5年前、5年後のふたつの姿があるうえで、そのあいだの年代に生きるキャラクターたちのデザインを考えるのは苦労されたのではないでしょうか?

草木原基本的な方針として、年齢感的には学生と5年後の中間を意識していて、服装やカラーリングのイメージも、ある程度5年後デザインから引き継ぎつつ、今回改めてデザインを起こし直しています。本作は原作と異なるストーリーとなった結果、各キャラクターを取り巻く環境やそれぞれの立場などが原作と変わっている者も多かったので、髪型や服装などについても、そういった部分がデザインから感じられるように注力しています。

 あとは原作の主人公である、先生と出会わなかった世界の2年後、という根底の部分は強く意識しています。たとえばマリアンヌやベルナデッタなど見ていただくと、その傾向が強く感じられると思います。読者の皆さん、いかがでしょうか?

岩田本作のデザインについては倉花千夏さんと、草木原さんに担当いただけたので、キャラクターの設定の変化についても非常に深くご理解いただき、デザインに落とし込んでいただけました。単純にいちファンとして、デザインをご共有いただくときを、毎回楽しみにしていましたね。

 たとえば、ラファエルが鍋の蓋で自作した肩当をつけていたことがあって、制作過程の途中バージョンも見ごたえたっぷりで(笑)。また、ベルナデッタの髪型は、正直に申し上げますと最初に拝見した際に「これは……!?」という戸惑いもありました。ですが、いまとなっては必然性すら感じます。大好きです。

『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは
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――本作は原作とは異なり、新主人公のシェズが活躍する物語が描かれます。きっとベレト/ベレスの視点を通した新たな物語も、作れたことでしょう。あえて新主人公を立て、さらに原作の主人公をライバル格にした理由や狙いを教えてください。

早矢仕『FE 風花雪月』の根底に流れるテーマとして、草木原さんが大事にされていたのは、“立場によって世界の見えかたは違うというジレンマを実際に体験する”ことだと感じていました。各級長たちの描かれ方は、ルートによって大きく異なります。ただその中で唯一そのジレンマと無縁なのが、原作の主人公である、ベレト/ベレスでした。主人公ですから当然なのですが、どのルートでも常にニュートラルな存在でしたよね。

 本作はせっかくのIFストーリーですから、この『FE 風花雪月』のテーマをより深掘りして、プレイヤーの皆さんに体験いただきたかったのです。それがベレト/ベレスが第3者の“灰色の悪魔”として登場し、本作の主人公・シェズの討たなければならない敵として描くことでした。

 ベレト/ベレスに感情移入した人こそ、よりジレンマを感じることになるでしょうし、結果として『FE 風花雪月』の“立場の違いによるジレンマ”というテーマを『FE 風花雪月』、『FE無双 風花雪月』という2タイトルで、より立体的に体感いただけると思います。

横田IFのストーリーを描くとなった際に、“別主人公にした方が、私も違った側面から見られる、別の関係性が見られるのでは?”と予感しましたので、このご提案はおもしろいなと思っていました。とくにベレト/ベレスを客観的にみられるのが、ワクワクしますよね。原作でもかなり、謎めいた人物でしたし!

草木原個人的にですが、『FE 風花雪月』が“無双”として生まれ変わるのであれば、同じストーリーを描くよりも、すでに原作のほうをプレイしていただいたお客様にとっても、新鮮に感じられるものになるのがいい、と思っていました。

 あと原作では、ソティスの絶対的な力を持つ神としての怖い側面、たとえば嵐や災害を前にして人間が抱く根源的な畏怖のような描写が描けてなかったように思っていましたので、そういった部分を深く掘り下げてほしい、というお願いをしていました。

『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは

――主人公のシェズ、そして序盤から使えるシェズ専用兵種・フリューゲルはかなり強力な性能となっており、初心者にも扱いやすいと感じました。やはりシミュレーションゲームファンへ向けた遊びやすさも意識されていたのでしょうか。

岩田その通りです。原作がシミュレーションゲームですから、本作はアクションゲームがあまり得意ではないプレイヤーも多くプレイされることを想定していたため、そういった方々に向けたチューニングは随所にあります。

 たとえば、主人公専用兵種・フリューゲルもそのひとつです。主人公ですから、ゲーム中でいちばん長く操作するだろうと踏まえ、ほかの兵種と比較してもクセがなく、扱いやすい設計にしています。余談ですが、開発中はもっともっと強力な性能で、「強すぎて主人公しか操作する気がしない」といった意見が開発内部から多く出たため、これでもかなりおさえた調整になっています(笑)。

 そのほかにも、“行動指示”による味方の活躍は、『FE無双』やほかの“無双”シリーズと比べても、さらに活躍してくれるように強調しています。軍備パートでしっかりと仲間を育成していれば、戦闘中に適切に行動指示することで、シミュレーションゲームのようにステージを攻略することも可能です。また、アクションゲームが得意な方に向けては、難易度をハードにすることで、より歯ごたえのある戦闘を楽しむことができますので、ぜひチャレンジしてみてほしいです。

『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは

――任天堂、インテリジェントシステムズ側から、コーエーテクモゲームスへ「ここはとくにこうしてほしい」、「これはやらないでほしい」というような要望があったポイントがあれば教えてください。

横田『FE 風花雪月』をプレイしてくださったプレイヤーにとって、ベレト/ベレスと、仲間たちとの関係性や、仲間たちどうしの絆は、とても大事なものだと思っています。ですので、シェズが新たな主人公になることによって、築かれた関係性が否定されるようなことがないようにしよう、というのはインテリジェントシステムズさんコーエーテクモゲームスさんといちばん最初に決めたところです。

 つぎに、『FE 風花雪月』のようにカレンダー形式で物語が進むことや、キャラクターの育成・成長要素が『FE 風花雪月』とまったくおなじですと、『FE 風花雪月』を何周も遊んでくださったプレイヤーにとってたいへんではないかと思いましたので、この部分はよさを残しつつ、別のシステムに変えようと3社で相談していましたね。

草木原ストーリーの扱いは横田さんも言われている通り、もっとも気を遣わなければならない部分でした。「原作であんなに先生としてがんばったのに、自分がいなかったほうが生徒たちが幸せになれた……」なんて結果を迎えてしまうと、プレイヤーの体験として悲しすぎますから……。

 あと、今回の企画を聞いたとき、士官学校での生活の比率が高かった原作とは違い、戦乱が主体となるイメージが強かったです。ですので「国盗りゲームのように、たがいの領土を奪って塗りつぶしていくような、戦略的なイメージも合わせ持った遊びになると、『FE 風花雪月』の“無双”としておもしろい表現になるのでは?」とご提案させていただきました。

岩田ストーリー構成については、横田さんや草木原さんがお話しされている通り、『FE 風花雪月』の否定と受け取られてしまう展開や要素がないようかなり気を配りました。ストーリーやキャラクター設定は『FE 風花雪月』で担当していたシナリオライター陣が続投したため、方向性を決めた後の細部については全面的に任せていました。ですから、私の立場としてはいちファンのようなもので、上がってくる物語に都度ワクワクしていましたが(笑)。

 ゲームシステム面でいうと、進軍パートと呼ばれるフォドラマップ上で領地を拡大していく遊びは、任天堂さん、インテリジェントシステムズさんへの企画提案時には、じつは存在していませんでした。おっしゃられたように、草木原さんから「国盗り感が欲しい」というご意見を受けて実装したものとなります。正直、「これは難しいオーダーが来たぞ……」と思いましたが……(笑)。ちょうど『FE 風花雪月』のカレンダーにあたる、ゲームの進行を担う要素が欲しいと考えていましたので、そこにうまくはまった形となります。結果、ゲーム展開に対する没入感の向上にもつながり本当にいいご意見をいただけたな、と思っています。

 また、シミュレーション、RPG、アクションとさまざまなジャンルの遊びを詰め込んだ結果、とにかく説明することが多いゲームとなってしまったため、チュートリアル構成については多くご意見をいただきました。バージョンを共有するたびに、構成を見直していた記憶があります。その甲斐あって、プレイすると自然と理解していける、非常に入りやすい流れが作れています。配信中の体験版でも、そのチュートリアル構成を体験していただけますよ。

『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは

――グラフィックは『FE 風花雪月』の流用ではなく、おそらく本作用に作り直していると思いますが、コーエーテクモゲームス内ではどのような作業をおこなっているのでしょうか?

岩田『FE 風花雪月』では、コーエーテクモゲームスにてCGリソースの作成も担当させていただきました。そのため、グラフィック制作に必要な資料やリソースはいつでも参考にできる環境が整っていました。ただ、そのままリソースを流用しているわけではありません。

 本作はコーエーテクモゲームス内製のゲームエンジンである“Katana Engine”も最新バージョンを採用しており、描画表現を大きく引き上げるチャレンジをしています。『FE 風花雪月』のリリースから約3年後に発売するタイトルとして、見た目においてもパワーアップした形で世に出したい、という想いがあったからです。おかげでCGアーティストやプログラマーといったスタッフたちには大分負担をかけてしまい申し訳ないです(笑)。ですが、プレイいただければその成果を体感していただけると思います!

『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』開発者インタビュー。3社のキーマンたちが語る、新たなフォドラの歴史。原作プレイヤーの体験を無駄にしない配慮とは

――最後に、本作を楽しみにしているファンの方々へ、メッセージをお願いします。

横田フォドラの大地を舞台とするIFの物語ですが、あったかもしれない物語です。どの物語が正史なのかは、遊んでくださった皆様のものです。『FE 風花雪月』をプレイしてくださった方々が楽しんでくださるよう、3社で心掛けましたので、安心してぜひプレイしていただければと思います。

 また、もちろん『FE 風花雪月』をプレイしていなくてもぜひ遊んでいただきたいと思いますし、楽しんでいただける内容になっていると思います。『FE無双 風花雪月』をプレイした後に『FE 風花雪月』を遊んでみるのも新たな発見があるでしょう。『FE無双 風花雪月』を通じて、別の成長を遂げるキャラクターたちをぜひ見届けていただければと思います。ちなみに、“遠乗り”をコーエーテクモゲームスさんからご提案いただいたときは、“お茶会”の“無双”バージョンとしてとてもおもしろいなと思いました。“遠乗り”もぜひぜひ優雅に楽しんでいただければうれしいです!

草木原たくさんの人たちの熱い熱い想いが詰まった、もうひとつの『FE 風花雪月』に仕上がりました。原作をプレイしていない人にも楽しんでいただけるものになっていると思っています。原作のほうを遊んでいただいた方については、今回は異なる物語という位置付けですが、また違った人生を歩んだかつての教え子たちの行く末や、描ききれていなかった部分の補完など、新鮮な気持ちでこの世界に触れていただけると思いますので、ぜひプレイしていただいて、こちらのフォドラの行く末も見届けていただければ幸いです。

早矢仕FE』シリーズは“シミュレーションロールプレイング”、“無双”シリーズは“タクティカルアクション”と、それぞれふたつの遊びが合体したジャンル名で呼ばれます。そして本作のジャンルを改めて命名するとなると、“シミュレーションロールプレイングタクティカルアクション”となると思います。……長いですね(苦笑)。ただ、本当にこの4つの遊びが、すべて体験できる。そんなゲームに仕上げることができました。「そんな馬鹿な」と思われるかもしれませんが、体験いただければ「確かに!」と思っていただけるはずです。“無双”シリーズが好きな方、『FE』シリーズが好きな方、そして『FE 風花雪月』が大好きな方、どんな皆さんにも楽しんでいただけるゲームになっています。ぜひご体験ください。