Blizzard Entertainmentによる新作アクションシューティングゲーム『オーバーウォッチ2』。ヒーローと呼ばれる、多彩なアビリティを駆使するキャラクターを操り戦うFPS(一人称視点)だ。

 2016年に発売された『オーバーウォッチ』の続編となる本作は、新ヒーローや新マップの登場はもちろん、4人協力のPvEモードの新規実装や6対6から5対5に変更するなど、ゲームシステム面でも大きな変化で話題を呼んでいる。

 そしてこの度、メディア向けに行われたクローズドベータテストをプレイできる機会を得られたため、本作の進化を2本の記事にわたってリポート。

 第2回は6対6から5対5への変更や4つの新マップ、新モードなどについて解説していく。なお、2022年4月27日から開始されるクローズドベータテストは、本テストを一般向けに拡大したもので新ヒーローや新マップ、既存ヒーローの調整など内容は同じである。

※ヒーロー関係をまとめた第1回記事はこちら

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6対6から5対5へ。ひとりしかいない“タンク”をどのようにして守るのかが勝利への鍵に

 『オーバーウォッチ2』では、ゲームを遊ぶ上でのシステム面で大きな変更が行われた。それは6対6から5対5の対戦になったことだ。それに伴いチームの構成はタンク1名、ダメージ2名、サポート2名となる。

 敵と味方のプレイヤーが合計ふたり減ったことで、対戦中に得なければいけない情報量は少なくなったが、ひとつひとつの情報がさらに重要になる。特にチームの前線で戦う役割を担っていた“タンク”が1人になった分、これまでとは違った新しい『オーバーウォッチ』となっている。

 ロール名からしてもわかるよう各ロールの役割は“タンク”が前線に立って守り、“ダメージ”が敵を倒し、“サポート”が回復や支援を行う。そのため前作の各ロールふたりずつの計6人チームであれば、誰かひとりが倒されてしまっていても、同じロールのもうひとりが支えられた。

 特に、味方をかばい多くのダメージを引き受けるタンクにとって、前線を維持できるもうひとりのタンクの存在は大きかった。しかし本作からタンクがひとりになったことで、倒されてしまうと一気に前線が崩れ、連続キルが発生してしまい戦況が急に不利になってしまった場面が今回のテストで多々見られた。一度崩れると、マーシーによる味方を復活させるアビリティ“リザレクト”の使用も難しく立て直すことが厳しかった。

 前作よりも戦況が目まぐるしく変化していくため、例えタンクが倒されても味方が続けて倒されてしまわぬよう、各ヒーローがよりそれぞれの立ち回りやポジションを意識し、そして味方を守るタンクをどのようにして倒されないよう守るのかが勝負の分かれ目となる。

 ベータテストでは、ドゥームフィストを中心に高い機動力を持つトレーサー、ソジョーンで敵を常に掻き乱しやりたいことをさせないチームや逆にオリーサを主軸に味方が集まって守りを固めるチームなど、タンクのヒーローの特性によってチームの戦闘スタイルが変化するのも興味深かった。

さまざまな場所で戦いが起こる、ロボットを押して押されての新モード“プッシュ”が登場

 現在『オーバーウォッチ』には攻守に分かれてペイロードと呼ばれる車両を目的地まで護送する“エスコート”、攻守に分かれてふたつのエリアを制圧する“アサルト”、アサルトとエスコートを混ぜた“ハイブリット”、ひとつのエリアを巡って戦い2ポイント先取を目指す“コントロール”といった4つのモードがある。

 そして今回新しく追加される“プッシュ”は、ステージ中央にあるロボットをお互いどちらかの陣地に押し込めば勝利となるモードだ。ただしロボットの主導権を握った際、近くにいないと進行せず、人数が多ければその分進行スピードも上昇する“ペイロード”と同じ仕様になっている。

 なんといってもほかのモードとは異なり、マップすべての場所で交戦する可能性があるため、さらに激しい戦いを楽しめるのが特徴だ。

 さまざまな場所で戦いが起こる要因として、本モードの目玉であるロボットの進行ルートが“ペイロード”のように決まってはいるものの、蛇行したルートかつどちらのチームもロボットを進行させる必要がある。そして新たなマップとして登場するローマ、トロントのマップの造りが対照的で脇道が多いことが挙げられる。

 そのため“プッシュ”では、ただ正面から撃ち合うほかにも、いかにして相手の裏をかきロボットから敵を引き離すのかが勝利への大きなポイントになってくる。

4つの新マップと昼夜といった環境要素も追加。既存のマップの新たな一面も楽しめる

 『オーバーウォッチ』におけるマップの特徴は、実際の世界各地を舞台にしていることだ。現在オリジナルも含め30ものマップが実装されており、各地域のイメージや特徴を『オーバーウォッチ』の世界観として匠に落とし込んでいるところも魅力のひとつである。

 そして本作では新マップも多数追加されており、その中でもベータテストでは以下の4つの新マップを従来のマップとともに遊ぶことができる。

  • エスコート:モンテカルロ(CIRCUIT ROYAL)
  • ハイブリッド:ニューヨーク(MIDTOWN)
  • プッシュ:ローマ(COLOSSEO)
  • プッシュ:トロント(NEW QUEEN STREET)

 新たに実装されるローマとトロントは新モード・プッシュでの登場となり、モンテカルロとニューヨークは既存のモードでの登場となる。

 トロントは美しい冬景色と少し近未来的な街並みが特徴的なマップとなっており、カナダを代表するメープルの紅葉が雪化粧と対比して色鮮やかに表現されている。左右や中央など通れる道が多く、高所もあるため複数の箇所から攻撃を仕掛けやすい。

『オーバーウォッチ2』ベータテスト体験リポート2。5対5となった対戦は“タンク”が鍵を握る。新モード、新マップなどについても解説!

 ローマは歴史を感じさせる石造りの街が舞台となり、その隣には闘技場のコロッセオも。ロボットはコロッセオ付近の大きく開けた通路のような場所からスタートし、その後街側へと進行しスロープを上るため、ロボットの進行度によっては高低差が生まれた戦闘となる。

『オーバーウォッチ2』ベータテスト体験リポート2。5対5となった対戦は“タンク”が鍵を握る。新モード、新マップなどについても解説!

 モンテカルロは豪華なホテルが立ち並んでおり、いままでにないゴージャスな雰囲気を感じさせるマップだ。ペイロードの車両もF1マシンのような形になっている。攻撃側は低地、防衛側は高地からのスタートとなるため、常にアップダウンがある中での戦いとなる。

『オーバーウォッチ2』ベータテスト体験リポート2。5対5となった対戦は“タンク”が鍵を握る。新モード、新マップなどについても解説!

 ニューヨークはミッドタウンというマップ名の通り、さまざまなビルや店が集まる中心部が舞台だ。乗り捨てられた車など障害物も多く、マップの構造も複雑に入り組んでいる。またマップ外には警察車両も止まっていたりと何らかの事件性も感じさせる。

『オーバーウォッチ2』ベータテスト体験リポート2。5対5となった対戦は“タンク”が鍵を握る。新モード、新マップなどについても解説!

 さらに本作からマップの昼夜など環境要素も追加されたため、これまでプレイしてきたマップの新たな一面を体験することができる。

 ほかにも製品版にはヨーテボリやインドのマップも追加される。どんな戦いを繰り広げられるのか、これからが楽しみだ。

便利で嬉しい新機能も多数追加。ピン機能の追加でコミュニケーションをより楽に

 マップやモードだけではなく、便利な新機能も追加された。その中で筆者が特にうれしいと感じたのがピン機能の実装だ。

 昨今、さまざまな対人要素のあるFPSなどで当たり前のように実装されているピン機能だが、本作でもついに実装となった。

 これまでボイスチャットをあまりしないプレイヤーにとって、相手の情報を伝える手段はチャットしかなかったが、この機能のおかげで視覚的にもわかりやすく、かつマウスホイールのクリックひとつで簡単に情報を伝えられる。ベータテストの際には裏をかこうとする敵に対して、ピンを立てたりなど情報の共有のために何度もお世話になった。

 またマウスホイールを長押しすると“敵”、“突入する”、“攻撃中”、“退却しよう”など計8個のデフォルトメッセージを状況に応じて使い分けられる。

 ほかにもインスタントキャプチャーと呼ばれる、マッチ中にキャプチャーボタン(F9)を押すことで直前の場面を録画する機能も追加された。

 5対5のチーム人数の変更に加え、新モードと新マップの追加、そして今回のベータテストでは遊べなかったがストーリーを楽しめるPvEモードの実装も発表されている。そんな新要素満載の『オーバーウォッチ2』はまさに新たな戦いの幕開けといえるだろう。製品版のリリースが待ち遠しい。