2021年11月19日に神奈川県・KT Zepp Yokohamaにて、声優・今井麻美さんのライブ“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”が開催された。本記事では、その模様をお届けする。

 ライブは、キーボードの“もっちー”こと持山翔子さんの演奏からスタート。演奏の途中で今井さんがステージに姿を現し、そのままキーボードのみの特別アレンジで『ガーベラ~今年の花』を歌い上げた。続いての楽曲も“花”がキーワードになっている『Words of GRACE~冬のダリア~』。1番のサビからはバイオリンのAiさんも加わり、ときにやさしく、ときに力強い歌声と演奏が響き渡った。

 MCに入ると、歌唱中とは打って変わって「皆さんこんばんは~。元気ですか~?」とゆるい雰囲気で観客に問いかけた今井さん。その後も今井さんのライブにひさしぶりの参加となった持山さんを紹介しようとするも ステージにいなかったり(つぎの曲に持山さんは参加しないため、ステージを一旦降りていた)、今回のライブのタイトルについて、今井さんが「サッカーみたいなタイトルですね?」とプロデューサーに質問したところ「サッカー見ているときに決めた」と言われたことを明かしたり、つぎの曲は靴を脱いで歌うか、脱がないで歌うかを観客のアンケートで決めたり、マイペースなトークで会場を温めた。

“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”リポート。多彩な楽曲と表現でファンを圧倒!

 気合いを入れなおして、ギターの“天ちゃん”こと中村天佑さんが作曲をした『君の声の数だけ~Can be strong~』をバイオリンのAiさんとともに3人でパフォーマンス。つぎに披露された『Astral World』では、序盤はボサノバ、中盤はワルツ、終盤はジャズというような構成になっており、多彩な表現で観客を魅力した。なお、『君の声の数だけ~Can be strong~』と『Astral World』のライブ用アレンジは中村さんが行ったとのこと。

 その後のMCではバンドメンバーを紹介。今井さんのライブに初参加となるベースの“にかちゃん”こと二家本亮介さんは自己紹介を兼ねて“素敵なワンフレーズ”を演奏した。その際、ワンフレーズを弾いてもらっている間に脱いだ靴を履こうとした今井さんだったが、間に合わなかったため、「もうちょっとやってもらっていい?」と二家本さんに無茶振り。さらに「そこに玄ちゃん(※ドラムの白川玄大さん)も入っていって」と促し、最終的にはほかのメンバーも加わり全員で演奏するという、バンドメンバーとの仲のよさが伺えるやり取りも。なお、今回のバンドは以下の編成となっていた。

  • バイオリン:Aiさん(Aiちゃん)
  • ギター:中村天佑さん(天ちゃん)
  • キーボード:持山翔子さん(もっちー)
  • ベース:二家本亮介さん(にかちゃん)
  • ドラム:白川玄大さん(玄ちゃん)
  • マニュピュレータ:能登健太郎さん(のってぃー)
  • サウンドディレクター:大山徹也さん(てっちゃん)

 続いて、「それぞれがんばったときことを思い出しながら聞いてほしい」と語り、五輪を見て感動した今井さんがその想いを歌詞に込めた『Precious Sounds~風が残していった~』を披露。そして、アコースティックコーナーの締めくくりとして、こちらも今井さんが作詞を行った『Blue Feather』を歌詞に込めたメッセージを伝えるように、ワンフレーズ、ワンフレーズを大切に歌い上げた。

“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”リポート。多彩な楽曲と表現でファンを圧倒!

 バンドメンバーによるインストに続いて、ピーターパンをイメージしたという衣装に着替えて登場した今井さんが『ANTHEM of +A members』を熱唱すると、会場のボルテージは一気に上昇。その流れのまま、12月22日発売のニューアルバム『Balancing Journey』より、明るいメロディーと前向きな歌詞が印象的な『タンジェリンの海』を満面の笑顔で、4つ打ちビートが特徴の疾走感溢れる『Heart Fragment』をクールにというような感じで、さまざまな表情を見せながら歌唱した。

 MCに入るとピーターパン風の衣装について、最近はロングドレスを着ることが多かったため、ミニスカートの衣装を着ることに少し迷いがあったそうだが、あまりのかわいさにテンションが上がっていることを告白していた。そして、「もっとテンションが上がることがある」という振りとともにゲストの安月名莉子さんが登場。ふたりは、さいたま市宇宙劇場で2021年12月13日まで上映中のプラネタリウム朗読劇『Over The Galaxy2-Trilogy-』の中で共演しており、声優の小笠原仁さんとともにテーマソングも歌唱している。

 今回のライブへの出演も『Over The Galaxy2 -Trilogy-』のトークイベントをふたりで行った際、楽し過ぎてイベント終了後に今井さんからオファーしたそう。ちなみにふたりは、2019年5月1日に東京・Zepp Tokyoで行われた“今井麻美アジアツアー2019「Anniversary」”東京公演のオープニングアクトを安月名さんが務めたという繋がりもある。安月名さんは、そのことに触れながら、その後の3年間でアニメの主題歌をたくさん歌ったり、自分でも信じられないほど大きな変化があったことを語っていた。

 また、衣装について今井さんがピーターパンということで、安月名さんはウェンディ(※『ピーターパン』に登場するキャラクター)を意識したことを報告。そんな息ピッタリなふたりは、『Over The Galaxy 2 -Trilogy-』のテーマ曲『Over The Galaxy2 Union Song ver.Al Di La 』で美しいハーモニーを響かせた。その後、今井さんが「莉子ちゃんの歌の中ですごく好きなぶち上がる楽曲」と語る『Glow at the Velocity of Light』(テレビアニメ『彼方のアストラ』エンディングテーマ)を安月名さんがパワフルに歌い上げ、会場をアツく盛り上げる。

“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”リポート。多彩な楽曲と表現でファンを圧倒!

 ライブは終演に向けてラストスパート。ここで今井さんは12月22日発売のニューアルバム『Balancing Journey』が完成したことを明かしつつ、つぎに歌う楽曲は本邦初公開の『ハレオンナ』であることを報告。同曲は作曲を声優の小岩井ことりさん、作詞を今井さんの楽曲を数多く手掛けている森由里子さんが担当。ちなみにミックスは某アイドルゲームのライブを担当していたメンバーが行っているそうで、今井さんは「人との繋がりが生み出してくれた楽曲になります」と同曲への想いを語った。なお、歌詞については、「森さんはうちに盗聴器を仕掛けているの?」と思ってしまうほど、今井さんのことを描いている内容になっているとのこと。

 そんな同曲を声からうれしさが伝わるほど楽しそうに歌い上げる。続いての『かまってよファム・ファタール』は、今井さんの愛猫である“グレミー”をテーマにした楽曲ということで、猫のようなポーズを振り付けに取り入れたり、曲の最後で「ニャーン」と鳴き声を真似してみたり、キュートにパフォーマンス。つぎの楽曲は壮大なバラード『永遠の歌』。直前に歌唱した『ハレオンナ』や『かまってよファム・ファタール』とは、曲調が大きく異なる楽曲だが、今井さんのやさしくも力強い歌声が会場を包み込み、空気を一変させた。

 MCでは、『かまってよファム・ファタール』から『永遠の歌』の流れについて、曲の方向性がまったく違うことから、今井さんも歌えるかどうか不安だったことが明かされた。そして、いよいよニューアルバムの表題曲『Balancing Journey』の初披露へ。同曲の作詞は今井さん自身が行っており、表向きは“バランスよく毎日を過ごそう”というような楽曲になっているそうだが、じつは裏テーマが存在するとのことで、わかった人は『今井麻美のニコニコSSG』までメールを送ってほしいとお願いしていた。(※)

[2021年12月7日20時30分追記]
※2021年12月7日配信の『今井麻美のニコニコSSG』第148回にて、裏テーマが発表されました。詳細は以下の動画をチェック。

※『Balancing Journey』のMVはこちら

 『Balancing Journey』で伸びやかな歌声を響かせた後は換気タイムを挟み、ライブTシャツに着替えた今井さんが『Gene of the earth』を歌唱。MCに入ると、最近あったうれしかった出来事として、応援していた人のデビューが決まったというエピソードを披露。その流れから、自身ががんばっている人を見ると刺激を受けやすい性格であることに触れ、いい影響が出ていることを語っていた。また、2017年にコンプリートアルバム『rinascita』を発売した際、「これで(アーティスト活動を終了しても)いいか」という気持ちがなくはなかったことを打ち明けつつ、応援してくれる人がいるからこそステージに立ち続けていると、改めてファンに感謝を伝えた。

“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”リポート。多彩な楽曲と表現でファンを圧倒!

 笑顔で『朝焼けのスターマイン』を歌唱すると、つぎの『砂漠の雨』では残りのエネルギーをすべて注ぎ込むかのごとく絶唱。バンドメンバーの演奏もさらに力強くなり、会場のボルテージは最高潮に。歌唱後、今井さんは「今日のテーマは“行き過ぎず、いい感じに終わろう。明後日はプラネタリウムのイベントがあるよ(※)”、だった……」と少し反省しながらも、「でも、楽しかった!」とうれしそうな表情を見せた。

※ライブの翌々日に前述の『Over The Galaxy 2 -Trilogy-』のイベントが予定されていた。

 そして、またいつか、みんなで声を出しながら楽しめるライブをやりたいと今後の目標を語った後、最後の曲『宇宙の申し子』へ。ステージ上に配置された小さなライトとステージ背面にひとつだけ光が煌めく神秘的な空間で歌い上げたところで、“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”は幕を閉じた。

“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”リポート。多彩な楽曲と表現でファンを圧倒!
“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”リポート。多彩な楽曲と表現でファンを圧倒!

 今回のライブでは新曲はもちろんのこと、これまでの楽曲も新しいアレンジが行われており、まさにライブのタイトルである“前に進む”という想いを体現する内容になっていたように感じた。12月22日には今回のライブでも披露された楽曲を含む全12曲すべてが新曲のフルアルバム『Balancing Journey』が発売される。まだ公開されていない楽曲がどのようなものになっているのかも楽しみだし、歌手活動13年目に突入しても新しいことに挑戦し続ける今井さんが今後どんな活動を行っていくのかにも注目したい。

“今井麻美 Winter Live2021 「Go Forward」”セットリスト

  1. ガーベラ~今年の花(AC2021)
  2. Words of GRACE~冬のダリア~(AC2021)
  3. 君の声の数だけ~Can be strong~(AC2021)
  4. Astral World(AC2021)
  5. Precious Sounds~風が残していった~(AC2021)
  6. Blue Feather(AC2021)
  7. ANTHEM of +A members
  8. タンジェリンの海
  9. Heart Fragment
  10. Over The Galaxy2 Union Song ver.Al Di La(※安月名莉子さんとふたりで歌唱)
  11. Glow at the Velocity of Light(※安月名莉子さんひとりでの歌唱)
  12. ハレオンナ
  13. かまってよファム・ファタール
  14. 永遠の歌
  15. Balancing Journey
  16. Gene of the earth
  17. 朝焼けのスターマイン
  18. 砂漠の雨
  19. 宇宙の申し子

※AC=アコースティック

『Balancing Journey』(通常盤)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『Balancing Journey』(DVD付盤)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『Balancing Journey』(Blu-ray付盤)の購入はこちら (Amazon.co.jp)