アイドル殺しと現代病理をテーマにした、次代の学園ジュブナイルRPG『Caligula -カリギュラ-』(以下、『カリギュラ』)。独創的な世界観や衝撃的なストーリー、人気コンポーザーが手掛ける楽曲などが人気を博し、のちにテレビアニメ化されたほか、追加要素を加えた『Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-』(以下、『OD』)もリリースされた。

 2021年6月24日にプレイステーション4とNintendo Switchで発売予定の本作は、『2』の名を冠したシリーズ最新作。前作から舞台や登場人物を一新しており、仮想世界“リドゥ”に閉じ込められた“二代目帰宅部”が、現実世界へ帰還するために奔走する。

 突然の発表で、ファンを驚かせた『2』は、どのような経緯で誕生したのか。『カリギュラ』シリーズのキーマンである山中拓也氏と、イラストを手掛けるおぐち氏のインタビューを、開発秘話満載でお届けする。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
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山中拓也氏(やまなか たくや)

プロデューサー/企画/シナリオ
『カリギュラ』や『OD』の生みの親。現在はフリューを独立し、フリーランスとして活躍しており、『ダンスマカブル』、『SDガンダム三国創傑伝』などの脚本も手掛ける。(文中は山中)

おぐち氏

キャラクターデザイン
前作に引き続き、キャラクターデザインを担当したイラストレーター。おもな代表作は、『艦隊これくしょん-艦これ-』や『禍つヴァールハイト』など。(文中はおぐち)

続編の『2』を開発することは『OD』のときから考えていた

――突然の発表に驚いたファンも多いと思います。『2』の企画がスタートした経緯や、実際に開発が動き出した時期を教えてください。

山中『カリギュラ』、テレビアニメ、『OD』と続く中で、会社としても、僕らとしても、『2』を作るぞという強い意志でスタートさせました。実際に『2』の開発が始まったのは、『OD』の作業が落ち着いてからでしたが、構想自体は作りながら考えていました。

おぐち以前から『2』ができたらいいよねと盛り上がっていましたよね。僕自身も、『2』がやれるならこういうキャラクターを登場させたいとイメージを膨らませていたので、フリューさんから正式な依頼が来たときは、ついにきたか、がんばるぞという感じでした。

――驚きよりも、ついに動き出すんだという喜びのほうが大きかったのですね。前作と同じメンバーが揃っていますが、皆さんが続投するのは最初から決まっていたのですか?

山中じつは、正式な続編として『2』を作るのは、フリューにとって『カリギュラ』が初めての試みでした。手探りで作業を進める中で、何があったら『カリギュラ』で、何がなくなったら『カリギュラ』ではなくなるのか、精査するところから始めました。これは精査するまでもないことなのですが、開発スタッフは、誰しもが『カリギュラ』を象徴するメンバーです。誰かを交代させるという考えは、そもそも頭の中になかったですね。

――座組は以前と同じですが、山中さんは2018年7月1日にフリューを退社し、現在フリーランスで活動されています。本作の開発は、どのような体制で進められているのですか?

山中『カリギュラ』や『OD』を作っていたときと大きく変わっていません。フリューのディレクターと協力して、スタッフと密にコミュニケーションを取りながら開発を進めています。むしろ会社員ではなくなり、すべての時間を開発につぎ込めるようになったので、『2』を作るうえではベストな環境になったと手応えを感じています。新型コロナウイルスが流行する前は、おぐちくんを自宅に招いて打ち合わせをしていましたし(笑)。

おぐち以前よりも距離感が近くなりましたよね(笑)。たとえば、作品のイメージカラーに関しても、山中さんの家で深くお話しができたので、すんなり決まったと思います。

―― 作品のイメージカラーと言いますと?

山中作品を象徴する色になるのですが、おぐちくんと相談して、『2』は“ネオンピンク”に決めました。そもそも『カリギュラ』と『OD』では、理想の世界の象徴として、ピンクをイメージカラーに選んでいました。本作も理想の世界と現実の世界の対比が、作品の一本筋を通すテーマになっているものの、前作までとは理想の世界の出自や表現が異なります。その違いをイメージカラーでどうやって表現すればいいのか……。単純にピンクから別の色に変えることではないよねと、おぐちくんとも意見が一致していて。

おぐちそれに、イメージカラーのピンクはなるべく変えたくないという山中さんの希望もあったので、『2』の構想やストーリーの全容をうかがったあと、ネオンとして光らせるのはどうですか、と提案してみました。

山中なぜネオンなのか、ネタバレになってしまうので詳しくは言えないのですが、本作をクリアーしていただければ、ネオンを用いた意味が伝わるような形にはなっています。

前作から一新され、パワーアップした『カリギュラ2』の世界

――本作の舞台やバトルシステムについて詳しく教えてください。

山中『2』は、前作から5年後の世界“リドゥ”が舞台になります。主人公たちが閉じ込められる仮想世界はもちろん、キャラクターも一新していますので、前作を遊んでいない方でも楽しめる内容になっています。そこに前作を遊んでいると、より深く楽しんでもらえるようなネタも、ふんだんに盛り込んでいます。

――帰宅部の天吹茉莉絵も、ファンが喜ぶネタのひとつですか? 前作に名前や容姿がよく似た水口茉莉絵というキャラクターがいて、しかも演じているのがどちらも渕上舞さんです。何かしら関係があると思いますが……。

山中どうなんですかね?

おぐちどうなんでしょう(苦笑)。

――せめてもう少しヒントを!

山中ふたりの関係性は言えないのですが、せっかくの機会なので代わりの情報を。『カリギュラ』4周年のイラスト(下参照)に登場したのは、天吹茉莉絵になります。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
2020年6月23日に公式Twitterで公開された、『カリギュラ』4周年の記念イラスト。
『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
天吹茉莉絵(声:渕上舞)は、2代目帰宅部のメンバーのひとり。主人公のクラスメイトで、成績優秀・品行方正な優等生。2年生にして生徒会長に抜擢された。

――(イラストを見比べて)本当だ。4周年イラストに、そんなヒミツがあったとは。

おぐち4周年イラストを見たファンの方たちが、いろいろ考察をしてくれていたのはうれしかったですね。リボンは(水口)茉莉絵と同じだけど、髪の毛が伸びているから時間が経過しているのかもしれない。前作のお祝いイラストではなさそうだぞって。

――鋭いファンの方もいらっしゃいますね。仮想世界のリドゥについて、前作の舞台であるメビウスとの違いを教えてください。

山中リドゥは、リグレットが創造した仮想世界です。歌を聞いた人間を閉じ込めるのは、前作でμ(ミュウ)が創りだしたメビウスと同じで、閉じ込められた人間は理想の姿になるところも変わらないのですが、過去の後悔をやり直せるというルールが新たに追加されています。本作には、過去のしがらみに囚われたキャラクターが数多く登場しますよ。

――なるほど。後悔をテーマに選ぶことは初期の段階から決まっていたのですか?

山中そうですね。里見さん(里見直氏。『カリギュラ』シリーズのシナリオ担当)とは、前作を手掛けていただいていたころから『2』をやるならテーマは“後悔”にしましょうと決めていました。前作は現実世界に不満を抱えている人を描いたので、同じことをやっては楽しんでもらえませんから。

――前作はNPCとの交流も魅力でしたが、リドゥでも同じような要素はありますか?

山中少し形は変わっていますが、基本的なシステムは踏襲しています。本作でもNPCごとにプロフィールと何らかの“後悔”を用意していて、因果系譜という相関図でつながっていて。ただ、前作のメビウスは高校生活の3年間をループする世界だったので、NPCも高校生の表現に終止していましたが、本作は大人から子どもまで存在する世界ということで、前作ではできなかった悩みの表現なども取り入れています。あと、追加の要素としては、グループクエストを実装しました。NPCたちの中にコミュニティがあって、グループの名の通り、複数人が絡むクエストになります。前作のお悩み解決クエストを維持したまま、『2』だからできることにもいろいろ挑戦してみました。

――では、バトルシステムも前作をベースにしながら、『2』ならではの要素を加えていると?

山中そうですね。前作のイマジナリィチェインをより遊びやすく、より楽しくするのが『2』のミッションだと考えています。イマジナリィチェインに関しては、『カリギュラ』や『OD』を遊んでくれたファンの方たちの意見を聴き、調整できる時間がシナリオや音楽と比べてかなりありました。前作から引き続き開発をお願いしているヒストリアさんと意見交換を行いながら、開発を進めています。また、新要素ですが、このキャラクターならこう動く、このキャラクターだからこういう技を使うといった具合に、仲間のAI(人工知能)の個性化を進めています。ザコ戦は主人公以外をAIが動かして、仲間が作ってくれた状況に対してプレイヤーがどうやってかっこよく決めるのか。強敵やボスに挑むときは、プレイヤーがパーティーメンバーを4人全員操作して、どうやって戦うか、といった感じに調整しています。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!

リドゥを象徴するふたりの歌姫とクセモノ揃いの登場人物

――『カリギュラ』は、登場人物たちがそれぞれ現代病理の悩みを抱えているのも印象的でした。『2』の登場人物たちも、やはり何かしらの現代病理に悩まされているのですか?

山中もちろん、何らかの現代病理を抱えています。しかも“現代”病理なので、時代が進めば進むほど、新しいものがでてきます。それをキャッチアップするのが僕の仕事だと思っているので、現代病理もアップデートしていて、いましかできない表現をしています。

――ふたりの歌姫が活躍する点も、前作からパワーアップしている重要なポイントだと思いますが、歌姫をふたり登場させた理由は?

山中『OD』を開発しているときから、歌姫がふたりのギミックは考えていましたが、実現するためには新しい世界の構築が必要になります。やるなら『2』だよねと準備をして、思惑通り実装することができました。リドゥを創造し、楽士の味方をするリグレットに対して、もうひとりの歌姫・キィは帰宅部の味方をしてくれます。楽士が作曲した歌を歌うのは、前作のμと同じですが、本作ではリグレットとキィが、それぞれ独自の解釈のもと、同じ楽士の曲を歌い上げます。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!

――プレイヤーにとってはうれしい要素ですが、作るのはたいへんだったと思います。

山中たいへんでしたね(苦笑)。たとえば同じ悲しみの表現でも、リグレットが表現する悲しみと、キィが表現する悲しみは違うものになるはずです。リグレットは、μと同じアプローチで歌うと決めることができましたが、キィは人間を知らない歌姫という設定なので、μとは異なるまったくアプローチが必要でした。苦労の甲斐もあって、同じ曲でも違った雰囲気で楽しんでもらえると思いますし、楽士を倒すとキィがその楽士の曲を歌えるようになるので、プレイヤーとしてはリグレット、キィの順番で歌を聴くことになります。完璧に歌い上げるリグレットに対して、発展途上のキィがどのように表現するのか。その楽しみを、楽士を倒すたびに体験できます。

――まだ発表されていませんが、どのようなコンポ-ザーが登場するのかも楽しみです。

山中作中で前作から5年の歳月が経っていることもあって、本作のコンポーザーには、YouTubeを中心に活躍している新世代のボーカロイドコンポーザーを中心に起用しています。すでに公開された情報ではsasakure.UKさんが参加されていますが、ほかにも皆さんがビックリするような方たちが参加していますし、本作に収録された曲も、前作同様、すべてヤバい仕上がりになっていますよ。3月以降は、ひとりひとりにスポットを当てて発表していきたいと考えていますので、今後の発表をお楽しみに(※2021年3月4日現在、ミュージックトレーラーが、毎週月曜日と金曜日に公開、同時にコンポーザーが発表されている)。

――楽しみにしておきます! 最後にキャラクターデザインについてお聴きしたいです。歌姫のリグレットとキィは、それぞれどのようにしてデザインを考えられたのですか?

おぐちμがアイドルらしい存在だったのに対して、リグレットは偶像的な、信仰的な要素を掻き立てるようなデザインにしてほしいと山中さんから要望がありました。また、新たな仮想世界の創造主でもあるので、リグレットのデザインは新しいイメージで考えています。一方で、キィはとある理由から、μやアリアに寄せたデザインになりました。

山中リグレットは、ふたりの頭の中にあったイメージを如実に再現してくれたと思います。細部のここはこういう風に表現するんだと、リグレットのデザインでも驚かされました。キィは、おでこをだすかどうか、おぐちくんと悩んだのもいい思い出です(笑)。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!

――確かに、キィはおでこが印象的です。

山中キィの髪型の案を20パターン以上も出してくれた中で、僕とおぐちくんの意見が一致したのがこの髪型になります。おでこを出したキャラクターが皆に受け入れられるのか、迷いもありましたが、攻めてみました。

おぐちキィの性格や設定を考慮すると、おでこが出ているほうがイメージ通りなのですが、売れ線ではないので不安もあって……。

山中いまとなってはこのデザインでよかったですよ。

――おでこ、かわいいと思います! 帰宅部のデザインは、どのように考えましたか?

おぐち帰宅部は前作の考えかたを踏襲しています。表と裏の姿があって、キャラクターの記号を表す要素をそれぞれ取り入れつつ、裏の姿では内面的な、いわゆるカタルシスに関係しているものをデザインに取り入れました。あと、変化させる場所によって彼らの人間性や後悔が感じられるようにしています。明言はしていませんが、胸に咲いた花も、花言葉などから性格や人間性を表しています。

――花を調べていろいろ考察するのも、楽しめそうですね。せっかくなので、帰宅部はひとりずつデザインのポイントをうかがいたいです。

おぐちでは、主人公から。帰宅部は制服のベースとなるデザインを考える必要があったので、ふたりの歌姫を描いた後、主人公から描き始めました。主人公はプレイヤーの分身となるキャラクターなので、デザインで特別な人間性を付与しないようにしています。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
主人公/男(声:橘龍丸)、主人公/女(声:大地葉)

――主人公のクラスメイトの能登吟は?

山中吟は、最初に仲間になるキャラクターで、前作の佐竹笙悟のような主人公の右腕的な存在です。本作では相棒の表現をどうしようかと、おぐちくんと悩みましたね。

おぐちそうでしたね。設定に少し複雑なところがあって、キャラクターに落とし込んでいくときにどう表現すればいいのか、帰宅部のメンバーの中では難しいキャラクターでした。

山中彼の内面は、二面性が強いキャラクターなんです。陰陽どちらの要素もあるのですが、ある部分では陰を表現し、またある部分では陽を表現しなければいけません。デザインを考えるうえで、ものすごくバランスを取るのが難しいキャラクターだったと思います。ただ、おぐちくんは二面性の表現をファッションで提示できるので、吟は彼らいしいデザインになったと思います。

おぐちそう言っていだけるとうれしいです。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
登能吟(声:市川蒼)

――宮迫切子はいかがでしょうか?

おぐち切子は、設定が設定だったので、見た目はできるだけかわいらしくデザインしようと意識しました。ただ、かわいいだけじゃないのが『カリギュラ』の難しいところで……。かわいさに、何かありそうだなと感じてもらえる要素をいかに生み出すかが、けっこうたいへんだったのを覚えています。

山中おぐちくんが悩んでくれただけあって、切子は前作にはいなかったキャラクターとして生み出せたと思います。前作の登場人物は、キャラクターの内面とは異なる表現はしないというルールによって、黒髪や茶髪が多かったんです。それで全体的にトーンが暗めだったのですが、切子は人間性からも明るい髪型にする必然性を持つキャラクターだったので、切子がいてくれたおかげでパッと明るくなりました。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!
宮迫切子(声:宮本侑芽)

――切子は、ピンクの服装も目立ちますよね。つぎは編木ささらです。

おぐちささらは、外見の凛としたイメージと、内面の柔らかさに少しギャップがあるキャラクターですね。

山中デザイン的な面で言うと、ここまでツヤっとした黒髪ロングの味方キャラクターは『カリギュラ』では珍しいので、帰宅部側にいると逆に新鮮味がありますね。

おぐち設定やストーリーを読み込んだ結果、自然といまの髪型や服装にたどり着いたので、スムーズにデザインできたと思います。

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編木ささら(声:諸星すみれ)

――ささらと同じく、3年生の釣巻鐘太はどうでしたか?

おぐち風紀委員で皆をまとめなければならない立場という意味では、笙悟に近く見えるのですが、いろいろなしがらみと、強い後悔を抱えていてそれができていません。そういった要素を、表情や体格などから感じてもらえるといいなと考えてデザインしました。

山中鐘太は、見た目からでは内面が想像できないキャラクターだと思います。彼はすごくきっちりしていて理想が高い人物なので、とくに見せたい理想の姿が、デザインにも出ていますね。

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釣巻鐘太(声:伊東健人)

――帰宅部で唯一の中等部の生徒である月島劉都も、年齢の幅が広がったことで生まれたキャラクターだと思います。

山中そうですね。前作は仲間になるキャラクターが高校生だけでしたが、本作では中等部の劉都が仲間になります。高校生じゃないということで、僕は作っていて楽しかったですね。いまどきの中学生なら、劉都のような派手な頭の子がいてもおかしくないよね、こういう響きの名前の子も出てくるよねって。

おぐち僕もデザインを考えるのが楽しかったです。ひとりだけ中等部ということで、ほかの帰宅部のメンバーをひと通り作り終えたあとに着手したのですが、高等部の制服をベースに、中等部ならこうだよねと考えるのはとても新鮮でした。

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月島劉都(声:内山昂輝)

――高校生の中に、ひとりだけ中学生がいるのは目立ちますよね。目立つという意味では、駒村二胡はカタルシスエフェクトがとくに印象的でした。

山中二胡のカタルシスエフェクトは、インパクトがバツグンですよね。二胡でやりたいことに関してはかなり熱く語ったんですが、その結果このデザインが一発で出てきたので、改めておぐちくんのセンスにビビりました(笑)。

おぐち僕自身、二胡のカタルシスエフェクトは思い入れが強いので、そう言ってもらえるとうれいいですね。二胡は裏表がとくに激しいキャラクターだったので、カタルシスエフェクトも特徴的なデザインにしています。なぜこのような形になっているかは、ストーリーを進めると理解してもらえるのではないでしょうか。

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村駒二胡(声:河野ひより)

――カタルシスエフェクトのインパクトで言えば、風祭小鳩も負けていないと思います。

おぐち小鳩のカタルシスエフェクトは、とくに攻撃的なフォルムをしていますからね。服装もアウトローだったので、小鳩もデザインを考えるのがとくに楽しいキャラクターでした。

山中小鳩は女の子が好きな、いわゆるチャラ男です。いまのチャラ男は黒髪なんだと、おぐちくんに力説したのが印象に残っています(笑)。

おぐちそうでしたね(笑)。

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祭風小鳩(声:上村祐翔)

――時代に合わせて、細部までデザインを考えられているのですね。最後は、天吹茉莉絵ですが……。

山中せっかくなので、もう少しだけ。茉莉絵のカタルシスエフェクトは、2丁拳銃です。前作をプレイしてくれたファンの方は、すぐにピンときたと思いますが、前作の主人公の武器も2丁拳銃でした。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!

――確かに! 茉莉絵は、水口茉莉絵だけではなくて、前作の主人公とも関係があると……?

山中何かあるんですかね?(笑)。

――めちゃくちゃ気になりますが、深堀しても公開できないと思うので(苦笑)、つぎの話題に。帰宅部の前に立ちはだかる、楽士もデザインのポイントをお願いします。

おぐち楽士のデザインも、ベースの考えかたは前作と同じです。周囲から注目される存在なので、スターというか、アーティストにしようというのがありました。そのうえで、楽士は帰宅部よりも振り切ったデザインにできるので、作業をしていて楽しかったです。

山中とくに#QPは、イキイキとデザインしていましたよね(笑)。

おぐち#QPは、楽士の中で最初にデザインしたキャラクターで、いわゆるオタサーの姫的な女の子になります。これまでかわいげのあるキャラクターを振り切って描いたことがなかったので、異性にモテるためには髪型や服装をどうやって決めているのか、突き詰めて考えていきました。その結果、デザイン的にも腑に落ちるといいますか、学べたことがすごく多いキャラクターになりました。

山中カリギュラ2』は、おぐちくんはもちろん、ほかの製作陣もこだわり抜いて開発を進めています。『カリギュラ』というタイトルやテーマは前作と同じですが、新しい体験や苦しみ、カタルシス、驚きを生み出せるタイトルに仕上げますので、ぜひご期待ください。

『カリギュラ2』開発者インタビュー。前作をベースに創造された新たな世界やふたりの歌姫の秘密を山中拓也氏とおぐち氏に直撃!