いまから21年前の2000年(平成12年)2月10日は、プレイステーション用ソフト『ベイグラントストーリー』が発売された日。

 『ベイグラントストーリー』は、スクウェア(当時)から発売されたRPG・アドベンチャーゲーム。単発のオリジナル作品だったが、ゲームデザイナーの松野泰己氏をはじめ、『ファイナルファンタジータクティクス』のスタッフが数多く関わっているとあってゲームファンからの注目度はかなり高かったと筆者は記憶している。

『ベイグラントストーリー』が発売された日。『FFT』のスタッフが手掛けたPS後期の作品で、緻密なグラフィックに息を呑んだ【今日は何の日?】

 プレイヤーは主人公のエージェント“アシュレイ”となり、魔都レアモンデを探索しながら襲撃事件の首謀者である“シドニー・ロスタロット”を追うこととなる。

 なお本作は、劇中に『ファイナルファンタジータクティクス』や『ファイナルファンタジーXII』などとの関連性を想起させる名称が登場することなどから、それらの舞台となった“イヴァリース“関連作品とみなされることがあり、イヴァリース関連作のファンがさまざまな考察をくり広げた。

 だが、発売から12年後となる2012年にプロデューサー・ディレクション・ゲームデザイン・脚本を務めた松野泰己氏は、Twitterでファンの疑問に答える形で『ベイグラントストーリー』とイヴァリースの直接的な関係性を否定している。

※松野泰己氏のツイートはこちら

 そんな同作で何と言っても驚かされたのは、圧倒的なまでに美しいグラフィック。プレイステーション2本体が発売される約3週間前という時期に登場した作品だったこともあり、初代PSのマシンパワーを極限まで活用できる技術を手に入れていた側面もあるだろう。しかし、それらを差し引いても頭一つ抜きん出た精緻な描写を実現していた。

『ベイグラントストーリー』が発売された日。『FFT』のスタッフが手掛けたPS後期の作品で、緻密なグラフィックに息を呑んだ【今日は何の日?】
『ベイグラントストーリー』が発売された日。『FFT』のスタッフが手掛けたPS後期の作品で、緻密なグラフィックに息を呑んだ【今日は何の日?】
『ベイグラントストーリー』が発売された日。『FFT』のスタッフが手掛けたPS後期の作品で、緻密なグラフィックに息を呑んだ【今日は何の日?】

 テクスチャーマッピングの効果的な使い方が顕著で、遠目に見たときの美しさは初代プレイステーションの中でもトップクラス。筆者などは間違いなくナンバーワンという認識だ。何より吉田明彦氏の描いたイラストの再現度は素晴らしいのひと言。カットシーンの映画的な演出には大いに魅せられ、当時は本当に一瞬も目が離せなくなるほどだった。とくにオープニングの出来栄えは凄まじく、いま見ても思わず息を呑むくらいだ。メーカー公式のジャンルがRPGだけでなく、“アドベンチャー”と併記されているのも得心が行く。

 当時はキャラクターをポリゴンで描き、背景はより美しく見えるCGイラストを用いる手法が流行っていたのだが、本作はキャラクターだけでなく背景もフルポリゴンで描画。そのため、ダンジョン内でカメラを動かして見ることもできたし、何より移動から戦闘に画面切り替えなくシームレスに移行することができた。おかけでバトルの臨場感はかなりのもので、探索中はつねにドキドキさせられた覚えがある。

 相手の弱点を探りつつ有効な武器に切り替えて戦うシステムは『ベイグラントストーリー』ならでの要素だったが、これがなかなか複雑で思うようにダメージが出ずバトルの難度を高めていた。ゆえに、苦渋を味わったプレイヤーも多かったことだろう。筆者もつぎからつぎへ武器を持ち替えていたら、1や2しかダメージが出ず困惑した覚えがある。しかし、理解が進むとなかなかに味のあるシステムで、ハマる人はとことんハマるという魅力があった。ボウガンがほかの作品とは比較にならないくらい強く便利だったのも風変わりで、大いに助けられたプレイヤーも多かったはず。

『ベイグラントストーリー』が発売された日。『FFT』のスタッフが手掛けたPS後期の作品で、緻密なグラフィックに息を呑んだ【今日は何の日?】
『ベイグラントストーリー』が発売された日。『FFT』のスタッフが手掛けたPS後期の作品で、緻密なグラフィックに息を呑んだ【今日は何の日?】