ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、アクションRPG『イースVIII -Lacrimosa of DANA-(ラクリモサ・オブ・ダーナ)』です。
【こういう人におすすめ】
- 脇役たちにも感動のストーリーが欲しい
- シリーズに興味はあるが、アクションが苦手だから心配
- オウムやハシビロコウ(?)とも交流したい
※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。
おーいしんぼのおすすめゲーム
『イースVIII -Lacrimosa of DANA(ラクリモサ・オブ・ダーナ)』
- プラットフォーム:PSVita、Switch、PS4、PC
- 発売日:2017年5月25日
- 発売元:日本ファルコム
- 価格:5280円[税込]
- パッケージ版:あり
- ダウンロード版:あり
- 『イースVIII -Lacrimosa of DANA-(ラクリモサ・オブ・ダーナ)』公式サイト
※データはPS4版のものです。
「イースⅧ -Lacrimosa of DANA-」 プロモーションムービー
アクションゲームが下手で、難易度を下げてもクリアーまでたどり着けない私が、唯一自力でクリアーできるゲーム、それがアクションRPGの金字塔『イース』シリーズだ。『イースI・II』から、最新作の『イースIX -Monstrum NOX-』まで、音楽もストーリーもキャラクターも好きすぎるし、“EASY”にしておけば私でもラスボスまで戦える絶妙なバランス調整のおかげで、何周でも遊ぶほど虜になっている。そのシリーズの中でも、とくに好きな『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』を紹介しよう。
この『イースVIII』は、過去と現在がクロスするストーリーはもちろん、アイテム収集、世界地図埋め、村を発展させていく楽しみなど、戦闘以外の要素もとにかくおもしろい1本なのだ。
主人公は世界中を旅する冒険家アドル・クリスティン。相棒のドギとともに、つぎの冒険の地を目指し、臨時雇いの船員として客船ロンバルディア号に乗船していた。しかし海上で巨大な魔物に遭遇、船は難破し、無人島に漂着してしまう。ここで同じ船の乗客だった貴族の娘ラクシャ、漁師のサハドとパーティーを組み、島を探索しながらほかの乗客を探すことになる。この島こそ、アドルが船の船長バルバロスから“呪われた島”と聞かされたセイレン島だったのだ。島のあちらこちらに流れ着いている乗客たちを見つけつつ拠点となる漂流村を作り、セイレン島から脱出するための方法を模索する、アドルの新たな冒険がここに始まる。
このゲームの最大の特徴は、舞台が無人島だということ。プレイヤーは、基本的に最大6人のプレイアブルキャラクターから3人を選び、広大な島を探索していく。島には、獣のほかに、絶滅したはずの古代種と呼ばれるモンスターが生息しており、古代都市の遺跡も存在する。ほかに街や村はないため、登場人物はほぼ漂流村に住まうことになるのだ。
漂流村では、救出した乗客たちがそれぞれの特技を活かして店の営業などを始める。ゲーム中にお金の概念はなく、必要な素材を調達して渡すことで、武器や防具の強化、新調、アクセサリーや衣装の制作、薬の調合などを行える。村人が増えるほど村でできることが増え、人数が一定数を超えると先に進める場所も出てくる。
漂流村の住人たちは、子どもから老人まで総勢20名前後で、それぞれに乗船した事情やストーリーがある。何人か見つけないままクリアーすることもあるので注意が必要だ。最初こそ他人行儀だったものの、クエストやプレゼントを通して絆が深まると、その本心が聞けたり、成長ぶりがうかがえるようになる。すると、住人たちへの思い入れがより深まっていくのだ。
彼らは、決して善人だけでなく、そのためにとんでもない事件が発生することも。苦楽をともにするうちに、エンディングが近くなると、この決してモブではない住人たちと別れるのが、たまらなく辛くなってしまう。
また、住人とは、力を合わせて戦う場面もある。アドルたちが島を探索している途中で、漂流村が突然獣たちに襲撃される“迎撃戦”と、探索中に獣の本拠地を発見してこちらから仕掛ける“制圧戦”だ。これは、つぎつぎに沸いて出てくる獣たちをどんどん倒していく戦闘イベントだが、村人たちもそれぞれのスキルを使って戦闘をサポートしてくれる。思わぬ人物がすごい力を発揮したり、村に住む人間以外の生物が力を貸してくれることも。いつ起こるかわからない“迎撃戦”に備えて、敵の侵入を防ぐ柵や疑似餌などの整備をふだんから怠らないのも、アドルの重要な仕事のひとつだ。
さて、このゲームには、アドルのほかにもうひとりの主人公ダーナが登場する。アドルの夢の中に現れていた天真爛漫な少女で、その後古代の遺跡を探索中に出会うことになる。中盤までは、アドルが眠るとダーナのパートが始まり、そこでの出来事がアドルパートの重要な役割を果たすのだ。物語が進むにつれ、彼女とこの島にかつて起こった悲しい出来事と、ダーナがひとり遺跡にいた理由が明らかになる。そして迎えるクライマックス。ちなみに、クリアー後の話だが、本作の物語の数年後にアドルたちが訪れる場所が、『イースVII』の舞台となるアルタゴ公国。PSP版とPC版のみの発売だが、興味があれば遊んでほしい。いやこの際だ、最新作の『イースIX』(Switch、PS4)まで、シリーズ全作遊んでみるのはどうか。
それにしても、ダンジョンを除くフィールド上なら、じっとしていればHPが回復でき、ダンジョンだろうがどこだろうがセーブができる。これだけでもなんというステキシステムだろうか。もう、『イース』シリーズに一生ついて行くだろう。
最後にこれだけは伝えたい。最初にアドルの仲間になり、最後まで行動をともにするラクシャ嬢。彼女はアドルを警戒して「アドル・クリスティン」とフルネームで呼び続けるのだが、途中、さまざまな誤解が解けて「アドル」と呼ぶようになる。ツンだったのがデレる、その瞬間が最高なので、せひ皆さんの目で耳で確認してほしい。