“What a lovely day!” 『マッドマックス』ファンのためのイベントがついに開催!
世界中に熱狂的なファンを生み、フォロワーを排出し続ける大傑作バイオレンス・ムービー『マッドマックス』! その公開40周年を迎える2019年に、『マッドマックス』のファンイベント“マッドマックス・コンベンション2019(以下、MMcon2019)”が、これまでにない規模で開催された!
MMconは、『マッドマックス』フリークとして知られるマクラウド代表白石知聖を中心とするチームが開催してきた『マッドマックス』のファンイベント。今回のMMcon2019は、ゲストに超大物俳優ヒュー・キース・バーンを迎えるにあたり、長期にわたる出演交渉やクラウドファンディングでの資金集めなど、数々の困難を乗り越えて開催にいたったという経緯がある。その多大な苦労の甲斐もあってか、協賛する企業も現れ、当初の予定よりゲスト数や日程が増加した。まずはイベントスケジュールとゲストの確認をしておこう。なお、本記事では、イベントの2日目から4日目までの模様を詳しくリポートしていく。
<MMcon2019スケジュール>
2019年11月14日 ジョン・アイルズ スペシャル・ワークショップ(神奈川県横浜市・新横浜グレイスホテル)
2019年11月15日 立川シネマシティ(東京都立川市)『マッドマックス 怒りのデス・ロード』上映イベント
2019年11月16日 MMcon2019東京(東京都町田市・町田パリオ)
2019年11月17日 MMcon2019新富士(静岡県富士市・ふじさんめっせ)
<MMcon2019 参加ゲスト>
ヒュー・キース・バーン(『マッドマックス』トーカッター、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』イモータン・ジョー役)
ジョン・アイルズ(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』エース役、ミリタリーアドバイザー)
スティーヴ・ビズレイ(『マッドマックス』ジム・グース役)
シェル・ニルソン(『マッドマックス2』ヒューマンガス役)
ポール・ジョンストーン(『マッドマックス』カンダリーニ役)
デイル・ベンチ(『マッドマックス』スタントライダー)
ティム・バーンズ(『マッドマックス』ジョニー・ザ・ボーイ役)
MMcon2019初日のワークショップでは、ミリタリーアドバイザーであるジョン・アイルズが銃の扱いかたを手ほどきしてくれたり、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を含めて彼が関わった数々の映画の話をしてくれたりと、充実の内容が展開。そのまま行われたパーティーにはMMcon2019のゲスト陣7名が勢揃いし、『マッドマックス』好きタレントの関根勤もサプライズで駆けつけるなど、大いに盛り上がったという。
MMcon2019 DAY-2
立川に『マッドマックス』ゆかりのゲストが降臨! シネマシティがシネマ“シタデル”に!
立川シネマシティと言えば、ハイクオリティーかつ大音響で映画を楽しめる“極上爆音”上映などで知られる劇場。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公開時は長期間にわたっての極上爆音上映やイベント上映を行い、聖地としてその名を轟かせた。この立川シネマシティにて、11月14日から11月21日までの期間『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の上映が決定! その初日に、MMcon2019の一環として映画上映前にゲストが登壇するスペシャルイベントが開催されたのだ!
詰めかけた満員の観客がイベントの開始を待ちわびる中、満を持して6名のゲストが登場。割れるような拍手や「V8!」コールとともにイベントはスタートした。ここで、「あれ、ゲストは全部で7名では?」という疑問を抱いたアナタは正しい。じつはグースことスティーヴ・ビズレイは観光の後にイベントに合流するはずが、迷子になって参加できなくなってしまったのだという。彼と会うのを楽しみにしていた観客には申し訳ないが、こういったアクシデントも一興だ。きっとまた彼に会える機会は訪れるはずなので、気落ちせずにそのときを心待ちにしていてほしい。
そう、これは新作映画のプロモーションなどではなく、ファンイベントだ。ガチガチの規制は存在せず、最低限のマナーと互いを敬う気持ちがあればそれでいい。本イベントでも観客によるゲストの写真や動画の撮影ができる撮影タイムが設けられ、ゲストたちも自前のスマホでバンバン写真を撮りまくっていた。「我々を撮るふりして、自撮りしてるんでしょ? 自撮りはやめてね(笑)」と言い放ったティム・バーンズが率先して自撮りを始め、さらにはゲストと観客が互いに延々と写真を撮り合うメディア・ループを提案したりと、やりたい放題。しかし、この和やかな雰囲気とゲストとの距離感の近さこそがファンイベントの醍醐味だろう。
撮影タイムに続いて始まった舞台挨拶は、ティム・バーンズの「『マッドマックス』が成功したのは日本の皆さんのおかげなので、本当に感謝しています」という感謝の言葉で口火が切られた。続くヒュー・キース・バーンは威厳たっぷりに「何も言うことはない」とだけコメントしたが、その後『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でマックス一行を見失ったイモータン・ジョーが口ずさんでいた歌を披露し、観客を沸かせていた。
シェル・ニルソンは「世界中あらゆるところを回ってきたが、日本は本当にすばらしく照明も完璧!」と、感謝を述べつつも強すぎる照明に対しての嫌味も忘れないなど、ユーモア溢れるコメントを披露。ポール・ジョンストーンは「日本に来て『マッドマックス』の深さを実感している。日本のファンの皆さん、大好き!」と話しつつ自撮りをパシャリ。ジョン・アイルズはマイクを使わずに地声を張り上げ「皆さんと同じように『マッドマックス』を観て育ってきた私が、感動を与えてくれた仲間たちの一員として受け入れられたことに感謝している」と、偶然映画に出演することになった自身の境遇を噛みしめるようにコメントした。MMcon常連のデイル・ベンチは「また日本に戻ってこられてうれしい。日本のファンはみんなクレイジーで、すごくステキな方ばかり」と述べ「いまから何の映画が上映されるかわからないけど、楽しんでね」と、キレキレのジョークで締めた。
『マッドマックス』公開40周年に対するコメントを求められると、デイル・ベンチが「『マッドマックス』は42年前に撮影が始まった。ここまで応援してくれてありがとう」とファンに感謝の気持ちを伝えた。ポール・ジョンストーンは「撮影が始まったときには『マッドマックス』は特別なものになるだろうとは思ったが、これほどまでに影響力を持つとは思わなかった。そして、こうして日本に何度も呼んでもらって話ができるとは、夢にも思わなかったので感激している」と、40年間も支持され続ける『マッドマックス』に対する想いを語る。ティム・バーンズは「最初に脚本を読んだときは2ページほどですばらしい作品になると感じた。こうやって撮影から42年経っても楽しまれるというのは、まるで魔法のようだと思うし、皆さんのほうが自分たちよりも作品に詳しいだろうから、むしろいろいろと話を聞いてみたいくらい」と、撮影当時の想いを交えつつ語った。
『マッドマックス』に関するゲスト陣の興味深いコメントやファンへの感謝の言葉が語られ、劇場内の空気が最高に温まったところで名残惜しくも舞台挨拶は終了。観客たちはきっといままでにない気持ちで『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を鑑賞できたことだろう。
MMcon2019 DAY-3
町田に集うマッドな集団! 休日の静かな街並みが『マッドマックス』に染まる!
MMcon2019、3日目の舞台は、東京都・町田市にあるイベントスペース・町田パリオ。開場を前に列を作る参加者たちを見わたすと、革ジャンやミリタリー用品の着用率がなかなかに高く、濃密なマッド感がムンムンだ。このように書くとイカつくトゲトゲしい雰囲気をイメージするかもしれないが、場に漂うのは和やかなムード。家族連れや若い年齢層の参加者も見られ、『マッドマックス』の懐の深さを改めて思い知らされる。
ゲスト勢揃いでの挨拶で幕を開けたイベントは、前日とは違い、1日のほとんどをゲストの身近で過ごせるというファン垂涎の内容。ゲストのトークも驚くほど間近で聞くことができた。そして、ゲスト陣も場内に設けられた各自の物販スペースでグッズを販売したり、参加者と交流したり、途中で抜け出してコンビニにおやつの買い出しに行ったりと、のびのびとイベントを楽しんでいた。
ステージでのトーク後は、ゲストと参加者のフォトセッションやサイン会などが開催された。ゲストと参加者がいっしょに映り込む撮影は有料となるが、会場内を歩き回るゲストや物販ブースにいるゲストを撮影するのはOKという太っ腹采配がなされている。そのため、ゲストの周囲にはつねにシャッター音が鳴り響いていた。
会場内では、メルヴィン・ゼッドが監督を務めた、オーストラリアにある“マッドマックス・ミュージアム”の館長エイドリアン・ベネットにスポットを当てたドキュメンタリー『荒野のマッドミュージアム』(邦題命名者:白石知聖)も特別にプロジェクター上映された。
劇中では、バイクと酒にしか興味がなかったイギリスの悪ガキが、『マッドマックス』と出会ったことで人生を180度方向転換させる様子が本人や周囲の人間の口から語られていく。彼女(のちの妻)には出会ってすぐに『マッドマックス』のビデオを見せる。インターネットも普及しておらず情報収集もままならない時代にインターセプターのベースとなるボロボロのフォード・ファルコンを手に入れ、18ヵ月もかけてレプリカを作り上げる。ふたりの息子の名前は、もちろん『マッドマックス』にちなんで命名……。そして、オーストラリアへと渡り、数々のコレクションや提供されたグッズを展示する博物館を営む! まさに狂気だ。傍から見ればドン引きだろうが、この日の観客は大なり小なり“そちら側”に足を突っ込んでいる人間たち。一歩間違えれば映画『ベルフラワー』のような状態になっていたかもしれないのに、見事偉業を成し遂げて突っ走り続ける彼に、共感や羨望の念を抱いた者も少なくないだろう。
そして迎えるクライマックスは、『マッドマックス2』の精油所跡掘削シーン。当時の撮影班が撮影に使った道具やクルマを埋めて帰ったという情報をもとに、アボリジニの聖地を重機でガンガン掘り返していく! 伝説のゲーム『E.T.』を発掘したドキュメンタリー『アタリ ゲームオーバー』でもそうだが、どうして狂人は穴を掘りたがるのだろうか? 重ね重ね狂気を感じさせられる内容だが、すさまじくおもしろかった。
『荒野のマッドミュージアム』は、日本での配給はまだ決まっていないが、劇場上映やソフト化も考えているという。ぜひ実現させて、エイドリアンの狂気を日本中に伝染させてほしいところだ。
翌日の静岡会場ではコスプレコンテストが開催されたが、この町田会場ではとくにそのような催しはなかった。それにもかかわらず、気合の入った格好をした参加者やスタッフが多数見られたので、ここで紹介しよう。ちなみに、フュリオサには左腕をよく見せてもらうために、キャラに合わないことを承知のうえで控えめのV8ポーズをしてもらった。ありがとうございました!
MMcon2019 DAY-4
クルマにバイクにサンダードーム! 静岡に『マッドマックス』ファン600人が大集結!!
MMcon2019最終日の4日目は、静岡県・新富士ふじさんめっせが舞台。『マッドマックス』の顔でもあるマシンの展示を行うには広大なスペースが必要不可欠ということで、都心から離れたこの地が会場となっている。幸いにも当日は快晴に恵まれ、くっきりと見える富士山を背景にイベントが開催された。ちなみに、この日、会場に集まった参加者の数は600人にも達したという。
イベントは恒例のゲストによるステージ挨拶からスタート。各自から『マッドマックス』への想いや、集まったファンへの感謝の言葉が語られる。言い残したことはないかと聞かれたMMcon常連のポール・ジョンストーンは「なぜ片腕になったカンダリーニと、片脚になったジョニー・ザ・ボーイが『マッドマックス』の続編に出ていないんだ? 皆さんにはカンダリーニやジョニーが『マッドマックス』の新作に出られるよう、ワーナー・ブラザースあてに嘆願書を書いてほしい」と語り、会場の笑いを誘っていた。
また、このステージで印象的だったのは、主催の白石知聖からゲストに投げられた、『マッドマックス』初期3作でマックス役を務めたメル・ギブソンの人物像についての質問。MMconは2014年から開催されてきたが、メル・ギブソンを話題にしたことはほぼなかったという。刺激的な話題に事欠かない人物だからか、多くのゲストが沈黙する中、映画『ハクソー・リッジ』でともに仕事をしたばかりだというジョン・アイルズは「『ハクソー・リッジ』では彼は私のボスで、指示は完璧だった。まあ、彼の言うことに共感はしなかったんだけどね(笑)」とコメント。メル・ギブソンは噂に違わぬ人物のようだ。
会場の内外に展示された数々のマシンや造形物も、イベントの注目ポイント。インターセプター・レプリカやグース・レプリカを始め、夢のマシンたちが勢揃い。会場の外にはカスタムマシンもズラリと並び、来場者の注目を集めていた。
会場でひときわ目を引いたのが、 “ふたり入って、出るのはひとり!”でおなじみ『マッドマックス サンダードーム』のサンダードーム! これは世紀末テイスト溢れるサバイバルゲーム“ネオ世紀末”などの運営を行うWWJPNによる展示で、来場者はこの中に入って記念撮影ができる。『マッドマックス サンダードーム』はシリーズの他作品と比べて毛色が少し違うためイロモノとして見られがちだが、これもまた大切な作品だ。そのことを改めて思い起こさせてくれるシビれる展示に、来場者もこぞって足を運んでいた。
ステージではコスプレコンテストも開催。マックス、グース、イモータン・ジョー、武器将軍、ウォー・ボーイズ、鉄馬の女、暴徒、モヒカン、MAN WITH A MISSION……驚くほど多様でユニークなコスプレイヤーたちが壇上に集結する。
誰が優勝してもおかしくないが、白石審査委員長によってトロフィーを贈呈されたのはハイクオリティなマスター・ブラスター(『マッドマックス サンダードーム』)と、発想の勝利(なのか?)ジョージ・ミラー監督!
続いては、カスタムマシンコンテスト。バイク部門は『マッドマックス2』でマックスが食べていた缶詰仕様にカスタムされたホンダNSR50と、ナイトライダーの棺桶とともに会場入りしたカワサキZ1000がダブル優勝!
クルマ部門では、『マッドマックス』愛の詰まったインターセプターにトロフィーが贈られた。オーナーは、ヒューマンガスの銃セットなどの小道具もしっかりと用意しており、それらを眺めるのもじつに楽しかった。
4日間にわたって開催されてきたMMcon2019は、ポール・ジョンストーンの「ファンの皆さんには、本当に感謝しています!」という感謝の言葉と、一本締めによって幕を閉じた。
MMcon2019は、最初から最後まで異常な熱量を発して盛り上がった最高のイベントとなった。イベントに参加した『マッドマックス』ファンの誰もがそう思っていることだろう。開催してくれたMMconチーム、日本に来てくれたゲスト、集まってくれたファン、すべての関係者に感謝の言葉を贈りたい。
最後に、主催の白石知聖にMMcon2019を終えての感想を語ってもらった。
MMcon2019は、今年の2月にオーストラリアでヒュー・キース・バーンさんに出演交渉をしたところから始まって、1年近くかかってやっと形になったイベントなんです。MMconは今回で5回目ですが、静岡会場では過去やってきたことの集大成をひとつの会場の中でやってみたという感じですね。広い空間の中に『マッドマックス』のファンしかいないというという状況ができあがったのは、なかなかユニークなことなんじゃないかなと思います。
『マッドマックス』は実際のクルマやバイクが絡んでくるというところでファン層も広いですし、初期作品のファンは高齢層が多く、『怒りのデス・ロード』のファンは若い層が多い。そういった多様なファンたちが一心同体になりつつ、海外から来たゲストもいるという。僕も今日1日あちこち駆け回って、駐車場で何が起きているのかとか把握しきれていないんですが、そういう咀嚼しきれていない部分があるのがいいなと、バラエティに富んだイベントになったなと思っています。
進行上いたらないところもありましたが、皆さんにはそこそこ楽しんでいただけたのかなと思います。過去最大の規模で開催できたのは、本当に皆さんのおかげです!