“センス・オブ・ワンダー”に満ちた四季の移り変わり

 2018年9月7日(現地時間)、オーストラリア・シドニーにて、“Forza Horizon 4 Sydney Drive-In Preview Event”が行われた。アジア・オセアニアの取材陣を招いての本イベントの眼目はひとつ。2018年10月2日発売予定の日本マイクロソフトのレースゲーム『Forza Horizon 4』(Xbox One/PC)のほぼ完成版を、(体験できない要素もいくつかあったが)ひと足早く触れることだ。

『Forza Horizon 4』プレビューイベントにてゲームを先行体験、レースゲームの枠を超えた世界観に浸る楽しさ_06
シドニーの市街地からクルマで45分ほどのところにあるドライブインでイベントは行われた。当日はすっかり『Forza Horizon 4』仕様。マスコミ向けの試遊のあとは、ゲームファンを招いてのプレビューイベントが行われた

 いまさら必要もないような気もするが、せっかくだから前振りとして説明させていただくと、『Forza Horizon 4』は、プレイグラウンドゲームス開発による、オープンワールドのレースゲーム『Forza Horizon』シリーズの4作目。もともとは、Turn 10 スタジオ開発の『Forza Motorsport』シリーズに端を発したタイトルで、『Forza Motorsport』がシミュレーション寄りなのに対して、『Forza Horizon』はアクション色が強くなっている。とはいえ、基本はリアル重視の『Forza』シリーズに連なるタイトルなので、“きちんとした基礎のうえに遊び心がある”といった感じだろうか。2012年に『Forza Horizon』のシリーズ1作目が発表されたときは、「ああ、こんなアプローチもあるんだ」と感心したのを覚えている。以降、『Forza Motorsport』と『Forza Horizon』は、毎年交互にリリースされ、Xboxというプラットフォームを支える、“健康優良ファーストパーティータイトル”となっている。

 そんな、兄貴(『Forza Motorsport』シリーズ)に負けない人気フランチャイズに育った『Forza Horizon』シリーズも本作で4作目。『Forza Horizon』といえば、舞台がどこになるのかが毎作楽しみのひとつになるのだが、1作目がアメリカ合衆国コロラド州、2作目が南ヨーロッパの海岸、3作目がオーストラリアときて、注目の4作目はイギリス。イギリスといえば、開発元であるプレイグラウンドゲームスのホームグラウンドで、E3 2018でこのアナウンスを聞いたときは、正直「へえ、地元を選んだんだ」と意外の感に打たれたものだが、その選択にはしっかりとした理由があった。『Forza Horizon 4』では季節の移り変わりを表現したかったのだ。そのためには、「四季の移り変わりが目に見えてわかりやすく、なおかつロケーションしやすい」ということでイギリスが選ばれたようだ。

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 E3では、“四季”を全面に押し出したタイトルプレゼンが行われたが、実際のところこの四季の移り変わりはとても心地がよく、試遊をしていると、あたかも『Forza Horizon 4』の世界の中に身を浸しているかのような印象を受ける(それは、私たち日本人が四季の移り変わりに敏感な国民だからかもしれないが……)。E3 2018に出展されていたバージョンも秀逸で、秋から始めて冬、春、夏と、季節の移りかわりが満喫できるようになっていた。

 で、今回ゲームの冒頭からプレイして、思わず唸らされたのが、E3での体験版は、ゲーム本編のチュートリアルにあたる冒頭部分の構成をほぼ忠実になぞったものであること。ムービーが始まってそのままゲームプレイに移行し、秋から冬、春、夏へと移りゆく季節に合わせてドライブ。そしてフィニッシュするとタイトルバックへと至るのだ。まさに「俺はこれから『Forza Horizon 4』の世界に入っていくんだ」という気分にさせてくれる。

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 この流れがとても心地よく、せっかくプレイ動画を撮らせてもらったので、四季の移り変わりのサンプル例という意味も込めて、ここではそんな冒頭シーンを紹介させていただこう(途中で適宜映像をカットしているのは、記者のお恥ずかしいプレイを隠すため)。少し気になったのであらかじめお伝えしておくと、『Forza Horizon 4』を新鮮な気持ちでプレイしたいという方は、もしかして映像はご覧にならないほうがいいかもしれない。ネタバレというと、何かレースゲームにはそぐわない表現かもしれないが、『Forza Horizon 4』は新しい世界に身を浸すことであり、まさに新鮮な驚きに満ちたゲームプレイであるからだ。そういう意味では、まさに“センス・オブ・ワンダー”に満ち溢れた体験と言えるだろう。

『Horizon』ライフを生きる

 『Forza Horizon 4』のプレイの進めかたは、基本これまでのシリーズを踏襲したもので、ハブとも言える“ホライゾン・フェスティバル”に参加して、優勝を目指すことになる。まずは冒頭でプレイヤーキャラの性別と見た目、そして最初に乗ることになるクルマを、フォードフォーカスRS、アウディTTS クーペ、ダッジ・チャージャーR/Tの3種類から選ぶことになる。そこからは、適宜イベントに参加し、ポイントを稼いでいく。以下、一連の流れを動画でご紹介しよう。

 フェスティバルに参加してゲームを進めていくというだけでも、レースゲームの枠を超えて、その世界に浸っているかのような気分になれる『Forza Horizon 4』。その延長線上にあるのが、家を持つこと。リワードとして家を持つことができるようになると、「ああ、僕もついにこの世界の住人か!」との感慨に浸ることしきり。家ではキャラクターの衣装をチェンジすることができるようになる。まさに“一国一城の主”といったところ。ちなみに、『Forza Horizon 4』では前作同様“ドローンモード”で周囲を飛行できる。“わが街を散策できる楽しさ”といったところであろうか。

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 安心印のレースパートだが、“四季の移り変わり”という点にフォーカスして言及すると、ゲームプレイにさらなる広がりができたのは、うれしいところ。今回の取材にあわせてインタビューさせていただいた、プレイグラウンドゲームスのアートディレクター、ベンジャミン・ペンローズ氏も語っていた通り、「たとえ同じコースでも、四季が変わるごとに環境が変わり、プレイも変化する」というのだ。たとえば、夏は乾いたコースだったものが、秋になると水溜りができるといった具合。同じコースでも季節によって4通りの楽しみ方があるわけで、攻略という見地から見ても、歯応えが増したと言えるだろう。

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 また、速さを競うだけではなく、“STUNT DRIVER”といった、スタント的などアクロバティックなドライブを楽しむイベントも用意されており、その幅広さもうれしい。以下、その動画をご覧いただこう。

 “Living the Horizon Life(Horizonライフを生きる)”が開発者の共通言語だったという『Forza Horizon 4』。その見地に照らし合わせて考えるのならば、レース中よりも、のんびりイギリスの街中をドライブしているほうが、“ライフ”を満喫できる。競争という緊張感から解き放たれて、のんびり田園を走るのは、まさに生きている実感。こうして浸っているだけで楽しいのは、『Forza Horizon 4』の世界観の構築がしっかりしているからだろう。まあ、ここはゲームの世界だし、人間は目標を追いかけるのが好きな生き物なので、のんびり走っているだけで十分というわけにもいかなくなるのだろうけれど。以下に、記者がふらりと楽しんだフリー走行の数々をピックアップしてご紹介する。

 ちなみに、ペンローズ氏によると“Living the Horizon Life”は、じつは多くは“オンライン体験”によりもたらされるものだという。オンラインプレイに関しては、残念ながら今回の試遊では体験できなかったが、ここで参考になるのがgamescom 2018で行われた、クリエイティブディレクター、ラルフ・フルトン氏のプレゼン。その内容をおさらいすると、プレイヤーどうしのコミュニティーである“クラブ”は、本作では2000人までメンバーを組むことが可能で、プレイタイムスケジュールの共有やチャット、ストリーミングの機能もあるとのこと。また、新たに6人のプレイヤーが参加してのPvPモードの“チームアドベンチャー”も搭載されるという。いずれにせよ、仲間と交流しての“ライフ”の満喫ということなのだろう。

 まあ、しばしのプレイを終えて思うのは、世界観に浸ろうと思ったら、やっぱり自宅でじっくり遊びたいよね……ということ。『Forza Horizon 4』の真髄を味わうには、限られた試遊時間ではやっぱり短すぎる。この秋は、『Forza Horizon 4』の世界をじっくり楽しみたい。ここでは、締めのベンジャミン・ペンローズ氏へのインタビューの前に、“Forza Horizon 4 Sydney Drive-In Preview Event”に合わせて提供された、プレイ映像をお届けする。