こんにちは。富山県出身のファミ通編集者堅田ヒカルです。

 2018年9月5日、東京のミツオカ麻布ショールームにて、“Devilman Orochi(デビルマン オロチ)”の発表会が行われました。

 “Devilman Orochi(デビルマン オロチ)”とは、マンガ家・永井豪氏の画業50周年と、光岡自動車の創業50周年を記念して制作された特別企画車で、世界限定1台のプレミアムカー。そのお披露目となった発表会には、永井氏本人も登場しました。では、その模様をリポートしましょう。

デビルマンが個性派自動車“オロチ”と悪魔的コラボ! 世界限定1台(1968万円[税込])“デビルマン オロチ”に永井豪もビックリ_19
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地下鉄神谷町駅から徒歩5分ほどにあるミツオカ麻布ショールーム。布をかぶったクルマが静かに待ち受けていました。

 光岡自動車といえば、富山県にある小さな自動車メーカー。市販車をベースにして、レトロ調や独自のデザインに作り変え販売するという一風変わった会社です。

 そしてオロチと言えば、その光岡自動車の代表作とも言える自動車で、曲線を活かした生物的なボディーラインや4つの目をイメージさせるヘッドライトなど、そのユニーク極まるフォルムで、世界のカーマニアからも一目置かれているクルマなのです。

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ノーマルのOrochi(オロチ)。2001年の東京モーターショーにコンセプトカーとして出展したところ、国内外より大きな反響があり市販化を決定。市販向け基準をクリアーするための設計開発に5年を費やしつつ、2006年に市販モデルが誕生。2014年まで生産されていました。

 また、2018年1月、湯浅政明監督が現代版リメイクを施し、Netflixで配信されるや世界中で評判を呼んだ『DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)』では、主人公・不動明の親友である飛鳥了が乗るクルマとしても登場しています。

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『DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)』に登場したOrochi。衝撃的な原作を、現代的にアレンジしつつリメイクした本作。おもしろいです。 (C)Go Nagai-Devilman Crybaby Project

 そんな縁もある“デビルマン”と“オロチ”がコラボして、特別な実車を制作・販売するというのだから、これはカーマニアならずとも心が躍ろうというもの。
 
 今回の“デビルマン オロチ”の制作では、カラーリングを『DEVILMAN crybaby(デビルマン クライベイビー)』でアートディレクションを手掛けた阿閉高尚氏と、Orochiのデザイナー青木孝憲氏が共同で行ったそう。

 果たしてどのような車体に仕上がっているのか、期待に胸を高鳴らせていると、いよいよ除幕!

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ジャーン!

街なかで走っているところを見かけたらマジでビビる

 赤と黒を大胆に配色しつつ、ところどころにグラデーションが施されており、なんとも言えない艶美さ……。オロチの持つ唯一無二の妖しい曲線美と、デビルマンの“怖くてかっこいい”世界が融合を果たしています。どうですかこのケレン味! うおー、めっちゃカッチョイイ!!

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 デザイナーの青木孝憲氏によると、デビルマンとOrochiの“ダークヒーロー”的なコンセプトが合致し、「デビルマンだとひと目で分かるようなものにしよう」と方向性が決定されたそう。

 ただし、その際“痛車”的なものにはならないよう気を配ったのだとか。ボンネットの黒い部分やルーフは“デビルウイング”をイメージし、顔やテイストを表現。横から見ると、キャビンが目になっていたりするのも注目ポイント。

 本体の赤色は“ブラッディレッド”とし、作中で不動明がデビルマンに変身してしまうゾワゾワ感を、車体のグラデーションで表現したとのことで、青木氏は「まさにワンオフ。魔力を存分に味わってほしい」と語っていました。

 こちらのデビルマン オロチは2018年9月8日午前10時から、2018年11月15日午後12時まで光岡自動車専用ウェブサイト(https://www.mitsuoka-motor.com/devilman-orochi/)から注文申し込みが可能になります。

 気になるそのお値段は、1968万円[税込]!(消費税抜き価格は1822万2223円)。おおう……まさに悪魔的価格……。購入希望者多数の場合は、抽選ののち販売されるとのこと。

 ちなみにOrochiは、2014生産を終了しているため、このデビルマン オロチに使用されているのは光岡自動車が保有していた極上中古車をベースに製作されているのだそう。

 細かなスペックは以下の通り。

型式:ABA-MSP1
寸法:全長4560ミリ×全幅2035ミリ×全高2600ミリ
車両重量:1580キロ
エンジン:水冷V形6気筒DOHC
総排気量:3310cc
最高出力:172kW(233ps)/5600rpm
最大トルク:328N・m(33.4kg)/4400rpm
駆動方式:MR
トランスミッション:電子制御5速AT

全国ミツオカのショールーム&“永井Go展”にて展示予定

 このデビルマン オロチは、以下のスケジュールで実写が展示されるということなので、お近くの方はぜひ実写の美しさを直に目にしていただきたいところです。

9/7~9/10 MITSUOKA麻布ショールーム/GALLERY 麻布 10:00~19:00
9/15~9/17 永井Go展(大阪文化会館・天保山) 10:00~17:00 ※荒天時中止
9/19~9/24 MITSUOKA尼崎ショールーム 10:00~19:00
9/28~10/1 MITSUOKA福岡ショールーム 10:00~19:00
10/5~10/8 MITSUOKA名古屋ショールーム 10:00~19:00
10/12~10/22 MITSUOKA東京ショールーム 10:00~19:00
10/26~10/29 BUBU MITSUOKAつくばショールーム 10:00~19:00
11/2~11/5 BUBU MITSUOKA宇都宮ショールーム 10:00~19:00
11/9~11/12 MITSUOKA仙台ショールーム 10:00 ~ 19:00

永井豪も欲しがる“デビルカー”

 発表会には、『デビルマン』原作者の永井豪氏と、光岡自動車の会長光岡進氏も登場しました。

永井 豪(ながい ごう)

マンガ家。石川県輪島市出身。代表作に『デビルマン』や『マジンガーZ』、『ハレンチ学園』など多数。現在、ビックコミック誌上で『デビルマンサーガ』連載中。

光岡 進(みつおか すすむ)

光岡自動車 代表取締役会長

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永井 今回、私のデビルマンというキャラクターをデザインするというコラボを実現していただいて非常に感激しております。

 いろいろなキャラクターグッズというのはあるのですが、クルマというのはまったく初めてですし、これだけかっこいいOrochiにデビルマン仕立てのデザインがされたというのは、本当にうれしいなあという感じです。いま初めて見たのですが、色といい何といいまさに「世界にひとつしかないすごいクルマが誕生した!」というのが正直な感想です。

 本当は作者である私が買うべきかなとも思ったのですが、あいにく私免許を持っていません(笑)。ぜひOrochiが好きで、『デビルマン』が好きという方に買ってもらって、街なかを走っていただきたい。

 オロチというのは、神話時代に中央政権からはじき出された人たちの象徴でもあるかと思いますが、ヘビ信仰というのはあるんですね。たとえば鏡餅はヘビがとぐろを巻いた形になっているとか。

 そして“デビル”というのも、キリスト教において迫害されていった存在だと思います。そんな“オロチ”と“デビルマン”がこうして一緒になったというのは、縁のあることなのかもしれないなと感じました。

創業者・光岡進氏が語るオロチ誕生秘話

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 光岡自動車創業者にして現在は同社の会長を務める光岡進氏の挨拶では、Orochiの開発秘話や50年にわたる営業の思い出などを披露。氏のスピーチは、会社のある富山の方言の響きも相まって、聴衆の心をグッと掴んでいた様子でした(朴訥な語りで記者もじーんと来ました)。せっかくなので、現場の臨場感を感じていただくべく、できる限り発言に忠実な富山弁丸出しバージョンでお届けします。

光岡 50年を振り返り、いろんなことがあったなあと、Orochiを作ったきっかけなど、思い出しました。もう十数年前になると思いますが、家内と国道41号線を見ておりましたら、フェラーリか、何かスーパーカーが通って、家内が

「いやあ私やっぱりああいうクルマが好きだわ、お父さんの作っとる古臭ぁいクルマなんか、わたしキライ」

 と言うてですね、私が

「なにぃ、あんなスーパーカーみたいな格好のもんなら簡単に作れん(作れる)がいぞ、むつかしいがはのぅ、1930年代のラインを出すほうがなお大変ながいぞ」

 と返すと、

「はーん、そしたらあんながみたいなが作ってよ」

 ということを言われましてですね。引くに引けずに、「えぁ~ん……なら作るか」ということになったのです(笑)。当時、3名いたデザイナーに「シャッとしたデザイン作ってくれま!」と言ったところ、第1回の会議では、フェラーリとかランボルギーニに毛が生えたようなデザインしか出てこんかったがです。

 で、「こんなものではダメやぞ」と。たとえばフェラーリとランボルギーニがいて、うちのOrochiが並んでいたら、小さな子どもやじいちゃんばあちゃんでも「このクルマすごいのぅ」と言わせるような、子どもさんとか女の方や、じいちゃんでも「すごいのぅ」と言うようなデザインをしてくれと伝えました。

 そうして、青木(孝憲)君が描いてきたのは、そのときはオロチというよりヘビだったんですよ、彼はヘビが好きで、いまもヘビ革バンドを通しとると思うんですが、“ヘビの頭”をモチーフにデザインしてきました。それを見たときは私ら役員はみんな「あーっ」と驚き、これならばいいと、すぐに決定しました。

 当時はオロチではなく“大蛇(だいじゃ)”という名前だったんですが、「オロチのほうがいいと思う、語呂もいい」と、一度は決定ししました。でも、また後から「いや、オロチは悪者の親玉みたいで、すごいけども……(イメージが)悪いのぉ~」と、名前についても悩みながら、クルマを作るのに5年も7年もかかってしまいました。

 そのあいだに、どうしてもヤマタノオロチについて確認したいと、島根県と鳥取県をまわってきました。そのときにわかったことなのですが、“ヤマタノオロチは毎年コシの国から来る”という話だと。“越の国”というのは、上越、越中など、新潟から富山、石川、福井までですね。そして、集落の人たちがヘビを嫌っているかというと、そうではなくヘビを祀っている集落もありました。

 そこで、ヘビは悪い意味だけでなく、いい意味にもなっているがではないかと自分なりに考えて、じゃあどこから来るがかと。我々富山県には3000メートルの立山連峰があって、そこには落差400メートルの称名滝があります。

「その称名滝の下で、長い長い眠りから覚めて、現代のオロチが出てきた……というがにしたらどうかのぅ」

 と、青木くんに言うたら

「仕方ない、そういうがにしましょう……」

 となって、現代のOrochiになりました。最初の発表会は、雄山神社という立山の神社があるんですが、そこで火を焚いててもらって、巫女様に神楽を踊ってもらってやったということを思い出しました。これからもみんながドキッとするような、ドキドキッとするようなクルマを作っていきたいと思います。

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光岡会長は、このほか安全基準テストにまつわる話や、ドライバーが希望ナンバーを取得できるようになった経緯など自動車業界の歴史にまつわる興味深い話をつぎつぎと披露していました。ここでは割愛……。
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