ドワンゴは、2018年7月27日にニコファーレ(六本木)にて“VR事業展開 記者発表会”を開催した。本記事では、バーチャルキャストのアップデート情報や、VTuber制作を支援するアプリ、VR事業を行う新会社の設立などが発表された、同発表会の模様をお届けする。

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新たに“バーチャルキャスト”で配信者にアイテムを送る機能が追加

 まずは、ドワンゴの取締役の栗田穣崇氏と、“バーチャルキャスト”の開発に携わる松井健太郎氏(インフィニットループ 取締役社長)、岩城進之介氏(ドワンゴ)が登壇。4月からサービスが開始されている“バーチャルキャスト”の新要素を発表した。

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栗田穣崇氏
岩城進之介氏
松井健太郎氏
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紹介は登壇者がVR空間へ移動して紹介が行われた。

 “バーチャルキャスト”はVR空間内のスタジオを使い、ユーザーがバーチャルなキャラクターになりきりながら配信やユーザーどうしの交流が楽しめるサービスだ。同サービスの新機能として、配信者に対して送ることができる3Dアイテム“Vギフト”を実装することが明かされた。

 この“Vギフト”は、視聴者が配信者に対して送ることができるアイテムのようなもの。“Vギフト”を送ることで視聴者側からも生放送番組を盛り上げつつ、配信者を支援できるシステムとなる。

 配信者が受け取ったアイテムはVRスタジオに登場し、アイテムを持ったり、さまざまな遊びができるものとなっている。また送られた“Vギフト”は、クリエイター奨励プログラム(※)のスコアに加算され、配信者はスコアに応じた奨励金を受け取ることができる。

 そんな“Vギフト”は、8月1日の実験放送から提供が開始される予定となっている。

(※)niconicoの投稿作品の人気度に応じて、プレミアム会員収入および広告収入の一部を原資として奨励金を支払う制度。

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デモンストレーションでは送られたアイテムは持ったり投げたりできることが確認できた。“鮭”が送られると、画面上から激しく動く活きのいい鮭が落ちてきたりと、アイテムによってさまざまな動きがある。

誰でも簡単にVTuberになれる“カスタムキャスト”が登場

 新たなプロジェクトとしてドワンゴとS-courtが共同開発し、スマートフォンを使って誰でも簡単にVTuber配信を楽しめるアプリ“カスタムキャスト”を発表。

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左からS-courの川崎大和氏とねい氏
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 このアプリでは、キャラクターカスタマイズ機能を使って自分好みのVTuberを簡単に作成することができる。さらに、そのキャラクターで配信することも可能! また、制作した3Dモデルデータはドワンゴが開発したファイル形式“VRM”で出力も可能となっており、“バーチャルキャスト”などの対応アプリケーションでも同じアバターで配信を行える。

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キャラクターのパーツが細かく決められるのはもちろん、背丈を変えたり、胸の大きさを変えたり、目の大きさを変えたりと、細かいカスタムも可能。

 キャラクター表情の変化は、スマートフォンのカメラで配信者の表情を読み取り、それを反映される便利なフェイストラッキング機能が搭載されている。また、iPhone XのAR機能を使うことで、キャラクターを現実世界に表示させることも可能。

 “カスタムキャスト”は8月下旬に配信予定。ダウンロードは無料となっている(アプリ内課金あり)。

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無料かつ簡単にVTuberが作れる“Vカツ”が“バーチャルキャスト”と連携!

 続いて、VR専用ソフト開発ブランドのIVRが、Steamで8月1日より提供を開始予定のVTuber制作支援ツール“Vカツ”で制作したキャラクターが“バーチャルキャスト”で使用可能であることが発表された。

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左からIVRの大鶴尚之氏と徳永清詩氏
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 “Vカツ”は、3Dキャラクター制作を無料で行えるツール。300を超える設定項目から制作できるオリジナルキャラクターにアニメーションや表情を付けることも可能で、制作したキャラクターは商用利用も可能となっている。今後は男性キャラクターパーツの追加や、スマートフォンの対応なども予定されている。

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 今回“バーチャルキャスト”と連携が可能になったことで、“Vカツ”で制作したキャラクターを使って手軽に生放送配信することができる。さらに、niconicoの立体投稿共有サービス“ニコニ立体”でキャラクターデータを公開することも可能。

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せきぐちあいみ氏が登場し、“Vカツ”で作ったキャラクターを使って実際にキャラクター配信を実演。簡単に作ったキャラクターとは思えないほど動きもなめらかで、細かい服の挙動などかなりハイクオリティな3Dキャラクターが制作できる。
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200ものキャラクターパーツや衣装などのセットが無料配布されることも明かされた。この追加パーツを使えばメカのようなキャラクターを作ることも可能に。

VR事業を中心に行う“株式会社バーチャルキャスト”を設立

 会見の最後には、ドワンゴとインフェニットループの共同会社として、VR事業の拡大を目的とした新会社“株式会社バーチャルキャスト”の設立を発表。同社では、”VR総合プラットフォーム”を創出し、あらゆるユーザー、クリエイターが自由にVR空間で活躍できる場を提供していくとのこと。

 企業方針は、突如登場したVR(仮想現実)という存在を盛り上げていくことで、誰も予想していなかったユーモア溢れる“ちょっと間違った未来を作る”。さらに、事業戦略として日本のみならず、スピード感を持って中国などのアジア圏へ向けて規模の拡大を狙ってくことも明かされた。

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 仮想現実が一気に身近な存在へと近づいてきたような感覚になった今回の発表。より手軽に楽しめるようになるVTuberの世界がどの様な広がりをみせていくのか、いまから楽しみでしかたがない。