じっくりと戦うその陰で、激しい攻防が展開!
2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ 2016(15日・16日はビジネスデー)。9月17日には、Wargaming Japanブースにて“『World of Warships』スペシャルエキシビションマッチ”が開催された。
『World of Tanks』を用いた世界的なeスポーツ大会はすでに有名だが、先の世界的なイベント会場で『World of Warships』(以下、WoWs)も初めてエキシビジョンマッチを開催。それに続いての開催となる本イベントは、アジア圏では記念すべき初の試みとなる。
エキシビジョンマッチ開始に先立ち、Wargaming.netにて国際的なeスポーツ大会やイベントなどの統括を務めるモハメド・ファダル氏が登壇。
氏いわく、「『WoWs』でより高いスキルを駆使した対戦が見たい」という要望が世界中から寄せられているとのこと。そこで、スキルの高いプレイヤーが必要と考え、ぜひ日本のプレイヤーにアジア圏で初めて開催するエキシビジョンマッチを任せたかったと、企画意図を熱弁してくれた。
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今回のエキシビジョンマッチで対戦するのは、日本のプレイヤーから選抜された14人の強豪たち。7人ずつのTeam RedとTeam Blueに分かれ、やや狭く両陣営の距離が近くなる“新たな夜明け”での1本勝負がセッティングされた。
『WoWs』と言えば、船速の変更や方向転換にやや時間がかかり、ゆっくり戦うイメージを持つ人も多いかと思う。だが、この試合は少し様子が異なった。まず両チームとも空母が放った爆撃機が爆弾を投下して身軽になり、高速で偵察に向かう。多くのイメージとは逆の、アグレッシブな動きから開幕となった。
このマップには3つの占領地点があり、各地点を占領している間に溜まっていくポイントが一定量に達することでも勝利となる。そこで、北西と南東にあるポイントAとCを占領するより、占領が難しくなる中央のB地点(終盤は劇セクトなるため)を優先的に占領してから、AかCの占領に向かうのがセオリーとなっている。
今回の対戦においては、Team REDがポイントCへ、Team BlueがポイントAへ真っ先に向かった。相手の動きを見て、争わずに取れそうな占領地点をそれぞれ確保したわけだ。
それぞれがA地点とC地点を確保したところで、いよいよB地点をめぐる艦隊戦が始まった。高火力を誇るYamatoなどの戦艦が後方から攻撃に集中できるように、煙幕と高機動力で身を守れる駆逐艦が前衛を張り、相手の位置を補足していく。
駆逐艦はスピードを活かした戦いかたが得意な艦種だが、魚雷の一斉射であらゆる敵艦に大打撃を与えられる存在でもある。隠ぺい率が高いため、お互いの距離が近くなるマップでも上でも相手の視界から逃れやすいのも強み。そんな駆逐艦の位置を空母が艦載機で把握し、奇襲ができないように見張りを効かせる、一進一退の攻防がしばらく続いた。
Team BlueがB地点を占領し、その勢いを保ったまま、試合は中盤戦へ。序盤は空母の艦載機が攻撃と偵察に活躍するが、敵側からの対空砲火で消耗するため、中盤からは活躍しにくい。こうなると、いよいよ双方ともに距離を詰め始め、砲打撃戦で勝負をつけることになる。
Team Redは駆逐艦GearingがB地点を占領し返そうと粘りを見せるも、集中攻撃を避け切れずに轟沈。その後もほかの艦がB地点に突出するも、Team Blueの駆逐艦がB地点で攻撃をかいくぐって粘り、占領を進めさせない。
こうしてB地点をTeam Blueが死守したまま、試合制限時間は残り1分を切った。やっと駆逐艦を沈めたTeam RedがB地点の占領を完了するも、残り時間はその時点で20秒。これではさすがにポイント差を覆すことはできず、Team Blueの勝利となった。
中盤まで轟沈する艦もほとんどなく、敵の撃沈ではなく占領ポイントで勝利するという結果となった今回のマッチ。全体的に堅実に戦った試合に見えたが、駆逐艦や巡洋艦が砲火を引きつけつつ回避し、高火力を誇る戦艦が最後の局面まで残れるようにするなど、見事な連携も多数。目まぐるしい状況の変化が随時起こっていた。
強豪プレイヤーたちのおかげで、『WoWs』における素早い判断や、要所でのプレイヤースキルの重要性が確認できたのはうれしい限り。「スローテンポなので競技には向いていないのでは?」という不安は払拭されたと言っていいだろう。
今後はさらにプレイヤーの皆さんには腕を磨いていただき、『WoWs』が『WoT』のように世界を股にかける一大eスポーツタイトルになる日に備えていただきたい。その日はそれほど遠くはないと、今回の大会で強く実感できた。