F1ファン&ドライビングゲームファンがアツく語り合う
ユービーアイソフトが2016年9月8日に発売予定のプレイステーション4、Xbox One用ソフト『F1 2016』。F1の話題も取り上げつつ、本作の魅力をF1好き編集者のツツミ・デラックス、ばしを、ライターのポルノ鈴木が語る。
■世界最高峰のF1 を忠実に再現
ツツミ 前回の座談会(こちら)では、本作から復活した “キャリアモード”を中心に話したけど、今回は“キャリアモード”以外の新要素について語ってみたいなと。
鈴木 フォーメーションラップ(※)はアツいですよね。
※スタート前に全車がコースを1周する周回のこと。マシンのチェックを行ったり、マシンを蛇行させタイヤを温めたりする。
ツツミ フォーメーションラップはかっこいいよね。レンタルカートに乗りに行ったときに、フォーメーションラップのマネをしてカートを蛇行させたりするし。
鈴木 チュートリアルでもタイヤのミッションがありますし、タイヤに関しては前作よりシビアになっていますよね。
ツツミ 実際のF1でもタイヤマネージメントの能力が問われるからね。
鈴木 あとは、スタート時のクラッチ操作ですよ。最近のレースゲームは自動的にスタートしたらアクセル全開で走れたけど、『F1 2016』はゲームなのにフライングするっていう。
ばしを 今年のF1 のレギュレーションでも、スタートの操作はドライバー任せになっていますからね。
鈴木 それを反映しているってことですかね。
ばしを いままではピットがドライバーにクラッチのセッティングとかの指示を出せていたんですけど、今年からドライバー自身がやらないといけなくなったので、とくに前半戦はスタートの波乱が多くておもしろかったんですよ。
ツツミ けっこう失敗するんだよね。自分も『F1 2016』で失敗するけど(笑)。
鈴木 そういう意味で『F1 2016』は細かな演出が効いていますよね。タイヤを温めるために蛇行したり、クラッチをつないで発進する感覚があったりしますからね。
ツツミ 細かな演出が効いていると言えば、レース前のコックピット(運転席)に座っているときに左右を見られるけど、これは何のために入っているかね?(笑)
鈴木 それを言ったらラウンジですよ。誰か通りがかったりするのかなと思って左右をキョロキョロしてみたけど、とくにそういう演出があるわけでもなく(笑)。
ばしを コックピットやラウンジはこんな雰囲気ですよっていう(笑)。
ツツミ 我々は絶対に入れない領域だから、雰囲気を味わえるのはファンにとってうれしいけどね。あとは、前作にも入っていたけど、タブレットでマシンの設定を変えるシーンね。
ばしを 本物のF1では、テレメトリーシステム(※)でメカニックがマシンをセッティングするんですよ。だから、ドライバーがタブレットを手渡されて自分でマシンをセッティングするってことはないんですけど、そういうところの雰囲気もすごくよく出ていますよね。
※走行中のマシンデータをピットからモニタリングできるシステム。
鈴木 去年、『F1 2015』のニコ生番組に出演したときに片山右京さんが、バックでテレメトリー取るときにタイヤも各輪必要、サスペンションも各輪必要みたいな話をしていて、いまのF1はすごいことになっているなと驚きました。
ツツミ いまはタイヤの空気圧までわかるしね。全部モニタリングできるからF1マシンはセンサーだらけという。
ばしを ただ、今年は無線の規制が厳しくなって、セッティングに関する指示を出すのがNGになってしまったんですよ。
鈴木 チームは走行データを取っているけど、ドライバーに指示を出せないってこと?
ツツミ そうそう。だからその調整をドライバーが勘でやらなきゃいけないっていう。
ばしを そこまでリアルにしてしまうとゲームとして成り立たないので、ライバルの状況などが無線で入ってくるようになっていますけど。
ツツミ 無線だけではなく、コース外走行に関しても今年からレギュレーションが厳しくなったんだけど、それがちゃんと『F1 2016』にも反映されているんだよ。タイムアタックをやったときに、ちょっとコースをはみ出しただけで“計測できません”みたいな。そういうところもリアルに再現されているなと思ったしね。
鈴木 F1自体が毎年変わるから、『F1』シリーズも毎年出さないといけないってわけですね。
ばしを ドライバーもチーム体制も変わるし、レギュレーションも変わりますからね。
鈴木 F1のレギュレーションってなんでこんなに毎年変わるんですかね?
ツツミ ある程度マシンのスピードを揃えると言うか、それまで積み上げてきたテクノロジーを一度反故にするっていうのをずっとくり返しているんだよね。1980年代のマクラーレン・ホンダがとにかく早くて、ほぼすべてのレースでマクラーレン・ホンダが勝っちゃうみたいなことがあって、それをなくすようにしているんだけど、今年も去年もメルセデス・ベンツがその状態という。
ばしを 去年まではメルセデス・ベンツが独走状態で、別のカテゴリみたいな感じでしたけど、今年はだいぶ縮まってきましたよね。
鈴木 そこがF1のジレンマなんですよね。ショーでもあるしスポーツでもあるからイコールコンディションを目指したいんだけど、メーカーは勝利するために湯水のようにお金をつぎ込んでくるから、イコールコンディションは難しいという。
ばしを レギュレーションとテスト走行の制限でイコールにしているけど、なかなかうまくいかないんですよね。
鈴木 そういえば、本作から導入されているバーチャルセーフティーカーって何ですか?
ツツミ いま実際にあるルールなんだけど、セーフティーカーを入れずにスローダウンさせて隊列を整えるっていうのがあるんですよ。
ばしを セーフティーカーって一度出すと引っ込むまでに時間がかかりすぎるけど、バーチャルだと効率的にできるっていうメリットがあるんです。
鈴木 なるほど。
■高精細なグラフィックでサーキットを完全再現
ばしを 本作には新サーキットも収録されていますよね。
ツツミ そうそう。アゼルバイジャン共和国にある“バクー市街地サーキット”が収録されているんだけど、実際のF1でもこのサーキットはかなりヤバいんだよね。古い石造りの旧市街地の中を走っていると、奥にものすごい高層ビルが見えるから不思議な雰囲気なの。
鈴木 たしか、『F1 2016』で の難易度は“ベリーハード”でしたよね?
ツツミ 難しいけど、楽しいんですよ。ブラインドコーナーが3つぐらい続くところがあるんだけど、アクセル踏みっぱなしで「ここマジで行くの?行くの?」って思いながら行くと行けちゃうから、これは実際に走ったらすごいだろうなって感じ。だから、バクー市街地はオススメですよ。
鈴木 そういう意味では、ようやくゲームハードのグラフィック性能が極まったから、モナコの怖さがぜんぜん違いますよね。こんなところでレースやっているの? みたいな。
ツツミ “モナコサーキット”と“鈴鹿サーキット”って昔からあるサーキットだから、けっこうコースを覚えていたりするんだけど、グラフィックがリアルになったからこそモナコの走りづらさがよくわかるし、ここはアイルトン・セナが差されたところだとか、ここは佐藤琢磨がスピンしたところだとか、すごくリアルに感じられるんだよね。
鈴木 “モナコサーキット”は、対象物が近いからスピード感が増すんですよね。
ばしを 平均速度は遅いけど、いちばん早く感じるんですよ。
ツツミ あと、ベルギーの“スパ・フランコルシャンサーキット”もオススメ。すごい勾配を上りきったところで右に曲がる有名なコーナーがあるんだけど、実際にサーキットに行った人が「スキー場のゲレンデみたい」って言っていたぐらい勾配がすごいの。
■走りかたのロジックを知らなくても楽しめる間口の広さ
鈴木 2回にわたって『F1 2016』について話してきましたが、スーパーマニアックなゲームだけど、アシスト機能やAIの設定などによりレースゲーム初心者もふつうに遊べる懐の広い作品ですよね。
ツツミ アシスト機能を使えばアクセル踏みっぱなしでもけっこう行けちゃうしね。
鈴木 コースのライン取りができるようになったら、アクセルとブレーキ関係のアシストを減らして練習できますし。
ツツミ チュートリアルもしっかりしているし、走りかたのロジックがわかってなくてもけっこうふつうに走れるから、『F1 2016』で勉強するといいよね。昔はマンガでライン取りを覚えていたんだから、すごい時代だよ。
鈴木 マンガですか!? 多角形コーナリングとかは実際にはできないですけどね(笑)。
ツツミ できないけどね(笑)。僕が小さいころは基本的な情報を得るのがマンガだったけど、いまはゲームでできちゃうんだよね。『F1 2016』もそういう役目なのかもしれないね。
鈴木 昔ほどレースゲームって発売されなくなったじゃないですか。だから、F1に興味がなくてもレースゲームとして一度プレイしてほしいですよね。F1の知識がなくても走れるし、AIが賢いから20台ぐらいが入ってもちゃんとレースできるし。
ツツミ それにこのクルマ(F1マシン)は絶対に乗れないからね。F1ファンはもちろんだけど、F1に詳しくない人もレースゲーム好きな人はぜひ一度プレイしてほしいね。
【バックナンバー】
・『F1 2016』の魅力を語る【第1回:ばしを】――“キャリアモード”の復活でF1ドライバーのバトルをよりリアルに追体験
・『F1 2016』の魅力を語る【第2回:座談会】――レースゲームはここまで進化した
F1(TM) 2016
メーカー | ユービーアイソフト |
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対応機種 | PS4プレイステーション4 / XOneXbox One |
発売日 | 2016年9月8日発売予定 |
価格 | 各7980円[税抜](各8618円[税込]) |
ジャンル | レース |
備考 | プレイステーション4のダウンロード版は7100円[税抜](7668円[税込]) |