ドイツ艦が実装、イギリスの巡洋艦も秋ごろに導入予定
2016年8月17日~21日(現地時間)ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2016が開催。ここでは、会期中に行ったWargaming.net『World of Warships』のグローバルプロデューサーを務めるオーサー・プロチンク氏へのインタビューの模様をお届けしよう。
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――今回、gamescomに合わせて、『World of Warships』の新しい戦艦の実装が発表されましたね。
オーサー はい。gamescom 2016に合わせて、ドイツの戦艦を収録することを発表させていただきました。発表とほぼ同タイミングで、ゲーム内に実装されることになります。そして、これはこれから先に発表されるものなのですが、gamescomに合わせて先出しさせていただくと、イギリスの巡洋艦が追加されることになります。いま現在モデルなどは出来上がっておりまして、gamescomが終了したあとで、ゲーム内でテストが始まる予定となっています。秋ごろに導入を予定しています。
――ドイツの戦艦はどのようなものが?
オーサー だいたい1900年から1950年にかけての船を選んで、ゲーム内に登場させています。その期間のあいだに、第一次世界大戦と第二次世界大戦がありました。そのあいだに船というものは非常に大きな進化を遂げたわけですが、どのような進化があったかを見ていき、その時期にあった有名な艦船、代表する艦船たちを取り入れながら、ゲーム内でバランスと取りつつ実装しています。登場する今回のドイツの艦船なのですが、Tier IIIから始まりまして、いわゆるカイザーなどのドレッドノート級の艦船が入ります。これが第一次世界大戦ですね。そこからTier IV、V、VIくらいまでは第一次世界大戦の艦船が続くのですが、そのあとにビスマルクなどの第二次世界大戦などでの有名な戦艦が入ってきます。それらは沈めれてしまって回収されていないものもありますので、ゲーム内でバランスを取るためにも、“沈められていなければ、将来こういう改修が行われた”または情勢的にほかの船ではこういう改修が行われたので、“この船もこういう改修が行われたであろう”というのを考察しながら、改良なども入れています。
――ある程度、仮想してということですか?
オーサー はい。未来図のない艦船だったり、あとは試験艦だったりと、その後の資料のないものに関しては、そういったものを考察したりもしています。逆にあるものに関しては、現実のものをベースにして、ちゃんとゲームに取り入れています。
――ドイツの戦艦に関しては、世界中のファンからの要望が高かった?
オーサー 『World of Warships』の正式サービス開始後、最初は日本艦とアメリカ艦しかなかったのですが、そうなると世界中の方々から、「なぜドイツ艦はないんだ?」、「なんで、イギリス艦はないんだ?」、「イタリア艦は?」と多くの国の方々から言われました。基本的に私たちのゲームに興味を持ってくださっている方たちは、歴史的な艦船に興味を持たれている方や、博識な方がたくさんいらっしゃったんですね。ですので、そういった方々から、「この国のこの艦船は、『World of Warships』のこの用途にすごくぴったりだと思うけど、なぜゲームに出てこないのか?」という声がたくさん寄せられますので、それに合わせて私たちのほうも随時ゲーム内でバランスを調整しながら追加しています。
――やはり熱心な方が多いですね(笑)。
オーサー 日本とアメリカの海戦はとても有名なのですが、それ以外にもイギリスやドイツでも、歴史的に有名な海戦は数多くあります。歴史に詳しくない方でも映画や本などで、艦船の名前を聞いたことがある方がいらっしゃるので、そういった意味では、「この船がほしい」と求める声は非常に大きかったですね。サービスイン当初は日本艦とアメリカ艦だけだったのですが、なぜここにドイツ艦が入ってこなかったかというと、とても簡単な理由からです。ドイツ艦も、もちろん人気があるのですが、日本艦とドイツ艦を比較したときに、明らかに戦艦大和のほうが知名度が高く、人気も非常に高いので、日本の代わりにドイツ艦を入れて始めるということはできなかったんです。
――へえ! そんなに戦艦大和は世界的に有名なんですね。
オーサー 有名だし、人気が高いですよ。
――そして、秋ごろにイギリス艦が?
オーサー はい。巡洋艦が追加されます。こちらが10隻ほど入る予定です。
――4月にワルシャワで行われた『World of Tanks』の世界大会“The Grand Finals 2016”では、『World of Warships』のエキシビションマッチが開催されたのですが、eスポーツ化に向けての手応えはいかがですか?
オーサー エキシビションマッチを経て、『World of Warships』自体は、eスポーツとしてのポテンシャルを持っているタイトルだとの手応えを掴みました。とはいえ、eスポーツというのは、戦う選手だけではなくて、視聴者があってこそ、初めて成り立つものです。『World of Warships』をたくさん遊ぶ方がいらっしゃれば、そのうちの何割かはeスポーツの放送をご覧いただけるというわけです。そういう意味では、まだ『World of Warships』自体はリリースされて間もないので、まだまだコミュニティーが成長途中です。いま現在私たちがやろうとしていることは、よりゲームをおもしろくして、より多くのプレイヤーの方々にプレイしていただいて、コミュニティーを成長させて、選手だけではなく視聴者も増えるようにして、eスポーツとしてもっていけるようにしていきたいと考えてます。
――“見てもらうためのゲーム”として、この前のエキシビションマッチで課題などは見つかったのですか?
オーサー 第一にエキシビションマッチをしてわかったことは、カメラ配置が非常に重要になるということです。なぜかといいますと、『World of Tanks』の場合は、ある程度距離が離れても、交戦距離自体はそんなに遠くないので、引きのカメラであってもそれなりに迫力のある戦いになるのですが、『World of Warships』においては、高Tierになるほど交戦距離が長くなってしまうので、選手たちの視点から見た場合、相手は豆粒くらいの形で画面に映るだけになってしまうんですね。正直なところ、迫力のある映像を見せることが非常に難しくなってしまうんです。いかにしてそれを選手たちに見せるか、カメラの演出を改善するというのが、いちばん大きな課題のひとつですね。
――今後のプランとして、何年後かには世界大会を開きたいといった目標はあるのですか?
オーサー 現在は、“The Grand Finals”のような大きな大会を開く予定はありません。いまは、チームバトルやランクドバトルのような、対戦コンペティティブ的なものをよりよくする方向性で展開しています。ですので、今後それらのルールを変更したり、それらに対してより多くの方が参加しやすくしたりと、楽しめる形にしたいです。それができあがってから、“The Grand Finals”のような大きな高いを実施したいと思っています。
――けっこう長期的な視野で考えているのですね。
オーサー そのとおりです。
――『World of Warships』では、『World of Tanks』同様プロ選手の育成なども考えている?
オーサー プロは地盤が出来上がってからのものです。『World of Tanks』は5年以上サービスを続けていますので、しっかりとゲームも完成していて、そこからeスポーツとしてのステップアップがありました。『World of Warships』は正式にサービスインして間もないので、いま地盤を固めようとしているところです。
――『World of Tanks』は、ことに東欧での人気が高いようですが、『World of Warships』でとくに人気が高い地域はどこになるのですか?
オーサー なかなか明確にお答えするのが難しいですね。単純に数だけで言えば、ロシアですね。人口が多いですし、Wargaming.netという会社自体にファンがついていてくださっていますので、彼が『World of Tanks』同様に『World of Warships』も遊んでくださっています。逆にアジア地域においては、Wargaming.netだから……というわけではなくて、船にすごく興味があるからということで、『World of Warships』だけを遊ばれているプレイヤーさんが非常にたくさんいますので、そういった意味では、『World of Warships』というタイトルだけに興味を持ってプレイされている方が多い国でいうと、アジア地域は非常にアツいですね。
――今後の取り組みを聞かせてください。eスポーツ化はひとつのテーマだと思うのですが、そのほかには?
オーサー 開発的な視点で見た場合、夢は広がるのでどんどん出てくるのですが、将来的にはPvPの方式を変えてみたり、“ヒストリカルバトル”といった歴史的な戦闘を再現するといった要素は、いつかは入れてみたいと思っています。皆さんには潜水艦のことをよく聞かれますが、それもゲームのサービスイン時からリクエストをいただいていることで、考え自体はいくつかあるんです。ただ、どうやったらまくゲームに実装できるかという点で、正解を見つけられていないので、いま現在は導入する予定は一切ありません。とはいえ、そのうちいいアイデアが出てきて、2年後、3年後にはゲーム内に登場するかもしれません。ゲーム自体はどんどんこれからも変わっていくと思います。
――なるほど。海戦というにはそれだけの可能性を秘めた舞台ということなのですね。
オーサー そうですね。日本のファンの方が『World of Warships』により多く参加してくだされば、将来的には戦艦武蔵を作るしかないのかな……と思ってます。すでに戦艦大和は実装しているのですが、日本のユーザーの方からのご意見をうかがって、姉妹艦も導入しないといけなくなるのかなと(笑)。