権利問題や資金調達についてアドバイスも
2016年7月9日~10日、京都市勧業館みやこめっせにてインディーゲームの祭典BitSummit 4thが開催。会期2日目となる10日、PS VRローンチタイトル『Rez Infinite』を手掛ける水口哲也氏と、『moon』、『ちびロボ!』などで知られる西健一氏によるトークセッションが行われた。話題は、VRやライセンス問題、資金調達についてだ。
まず『Rez Infinite』について。3月にサンフランシスコで開催されたGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)にてお披露目された新ステージ“Area X”は、東京ゲームショウで披露できるように準備しているとのこと。新ステージを作っているうえで水口氏は、「こういうことを表現したかったんだなあ」と再認識させられるという。いままでは、思い描いていたイメージをモニター内で表現しなければいけなかったが、ヴァーチャルリアリティ空間では、制限されることなく、イメージしたものを思い通りに描けるそうだ。
一方西氏は、『moon』のリメイクを出して欲しいという意見をいただくそうだが、権利問題や資金の関係があり、簡単には復活させることはできないと述べる。水口氏も『Rez Infinite』を例に挙げ、ライセンスアウトしてもらえるよう交渉するのは大変だったと振り返る。「セガゲームスはとても懐が深かったので、結果、問題なく進んだ」(水口氏)そうだが、権利問題で苦労しているクリエイターは多数いるのではとコメントした。
またライセンス料や権利管理については、インディーゲームを制作している若いクリエイターも、後々は勉強しなくてはいけないときが来るとのこと。「ライセンス料や資金調達の交渉で我々が苦労した経験を、若いクリエイターに教えていきたい」と両者は語った。さらに水口氏は、「米国はVRに対する注目度が高く、資金を集めやすかった」ため、米国で会社(Enhance Games)を立ち上げたと明かす。日本でコンテンツや最新技術が受け入れてもらうことができなかったとしても、米国といった国外では資金を提供してもらえるチャンスもあるそうだ。
また、VRの市場はまだ小さく、大手メーカーがVR市場に本格参入できていないいまこそ、小さい規模で頑張っているインディーゲームのクリエイターたちは柔軟に対応していけるのではと水口氏は語る。「VRの先駆け的存在」となるタイトルはまだ登場していないと述べ、誰もがパイオニアとして名を轟かせるチャンスであると、インディーデベロッパーたちを鼓舞した。
最後に観覧者から、「VRは革新的で素晴らしいが、一方でその流れについていけない人もいる。技術が進歩しすぎていて怖い印象を持つこともあるが、そういった恐ろしい気持ちになったことはないのか?」という質問も。水口氏は「クリエイターとして何事にも挑戦し続けたい。VR酔いなどの問題も率先して、いち早くデバックしていこうという気持ちである」と述べ、セッションを締めくくった。
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