『スター・ウォーズ』への注力ぶりも際立つ
2016年6月14日~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催される世界最大のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2016。今年、E3への不参加を表明したゲームパブリッシャーの巨人、エレクトロニック・アーツ(EA)は、E3 2016に先駆けて、6月12日~14日に単独イベントEA Playを、E3会場のほど近くにあるThe NOVOにて実施した。
一般のゲームユーザーが参加できることを大きな特徴とした、EA Playだが、開催初日にあたる6月12日には、EA Play Press Conferenceを開催。E3 2016にあわせて訪れた世界中の取材陣に向けて、自社の最新作をお披露目した。
ロサンゼルスとロンドンの会場を結んで、2元中継という形で行われたEA Play Press Conference。まず登壇したのが、EAのCEO アンドリュー・ウィルソン。「今日は短い時間の中で、多くのゲームのほんの一部をお見せしたい」と告げた。
最初にピックアップされたタイトルは、Respawn Entertainment開発による『Titanfall 2』。カンファレンスではRespawn EntertainmentのCEO ヴィンス・ザンペラー氏登壇し、トレーラーなどを交えながら、パイロットのアビリティやニュータイタンなどを紹介した。もっとも大きなトピックは、同作にはシングルプライヤーモードが搭載されること。前作『タイタンフォール』がマルチプレイに特化したタイトルであることはご存じのとおりだが、本作ではオフラインによるシングルプレイヤーモードが搭載されることになる。シングルプレイでは、じっくりとしたゲームプレイが楽しめるのかも。『Titanfall 2』は、海外では2016年10月28日に発売されることがアナウンスされた。
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ここでプレゼンは、ロンドンの会場にチェンジ。登壇したのはおなじみピーター・ムーア氏。ムーア氏は、同社のタイトルにおいて、“CHALLENGER”、“PREMIER”、“EA MAJOR”という3段階のゲーム大会を実施することを明らかにした。これは、昨今大きな人気を獲得しているeスポーツへのEAによる新たなアプローチかと思われる。大会を分けることによって、より多くのeスポーツユーザーに訴求するという戦略のようだ。ムーア氏は、EA Play会期中に『Madden NFL 16』の世界チャンピオンを決める8人トーナメントを実施するとともに、『Madden NFL 17』では賞金100万ドル(!)のチャンピオンシリーズを行う予定であることを明らかにした。
おつぎのタイトルは、バイオウェアの新作『Mass Effect Andromeda』。同社のゼネラル・マネージャー、Aaryn Flynn氏が、本作ではFrostbite使うことや、この秋にも最新情報を公開することなどを説明した。あわせて、会場では開発の様子などを盛り込んだ最新トレーラーが公開された。『Mass Effect Andromeda』では、人類の新しい住処を求めて、新しい惑星や種族、テクノロジーが待つ世界へ探検の旅に出ることになる。「『マスエフェクト』三部作は素晴らしいものでしたが、さらに規模の大きく自由度が高い、新たなキャストによる物語が始まるのです」とFlynn氏。
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アンドリュー・ウィルソン氏が、ゲーム内アイテムが獲得できるチャリティーイベント“Play to Give”を紹介したあとは、ロンドンの会場につないでの『FIFA 17』のプレゼン。画面にはアレックス・ハンターなるサッカー選手が登場して、何やら威勢のいいことを話しているが、「こんな選手いたっけ?」と思いきや、こちら『FIFA 17』でのキャリアモードの話。同作では、プレミアリーグを舞台にして、アレックス・ハンターという架空の選手のキャリアを追いかけていくストーリーモードにあたる“The Journey”が搭載されるのだ。そんなプレミアリーグの流れで……ということのようだが、本作ではプレミアリーグの監督が登場することが発表。会場で紹介されたのは、ペップことジョゼップ・グアルディオラと、ユルゲン・クロップ、そしてアーセン・ヴェンゲルという、世界に誇るそうそうたる名将たち。そういえば、今年は世界に名だたる名将、“スペシャル・ワン“こと、ジョゼ・モウリーニョが、マンチェスター・ユナイテッドの監督に就任したなあ……などと思っていたら、実際にそのモウリーニョ監督がロンドンのイベントにゲスト出演。ロンドンの会場は大きな歓声に包まれた(ロサンゼルスの会場は、実際にモウリーニョに会えるわけではなかったので、少し冷ややかw)。なお、『FIFA 17』では、AIの改善や新たなテクニックの追加など、さまざまな改良が施されているという。
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さて、カンファレンスではEAのさらなる興味深い取り組みも発表された。それはEA スタジオのEVP パトリック・ソダーランド氏より説明された“EA Originals”。同社が昨年『Unravel』をリリースして注目を集めたのは記憶に新しいが、“EA Originals”では、『Unravel』のような規模は小さいが、キラリと光るタイトルを開発する小さなデベロッパーをサポートするプログラムで、小さいデベロッパーのパートナーとして、開発やマーケティング、パブリッシングをサポートする取り組みだという。とはいえ、すべての利益はデベロッパーが得るというから、相当太っ腹と言えるだろう。“EA Originals”の第一弾タイトルは『Fe』でスウェーデンのデベロッパーが開発したゲームで、森林を舞台にインタラクティブなストーリーテリングが楽しめるという。
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おつぎに登壇したジェイド・レイモンド氏が明らかにしてくれたのは、『スター・ウォーズ』ブランドの今後の展開。「すべてのタイプのゲーマーが楽しめるまったく新しい『スター・ウォーズ』経験をこれから何年にも渡って提供していきます」(ジェイド)とのことなので、EAでは全方位で『スター・ウォーズ』ブランドを展開していく模様。ジェイドが明らかにした『スター・ウォーズ』関連のプロジェクトは3つで、DICEとMotiveによる『スター・ウォーズ バトルフロント』の新たな展開、『バトルフィールド ハードライン』でおなじみの開発会社Visceral Gamesのタイトル。さらに、Respawn Entertainmentでも『スター・ウォーズ』関連のタイトルを開発中だという。各タイトルの詳細は一切明かされなかったが、トレーラーには一部アートワークなどが垣間見られたり、DICEがプレイステーション VRに取り組んでいる様子などがうかがえて、極めて興味深い。いずれにせよ、EAが総力を結集して『スター・ウォーズ』ブランドに取り組んでいるとの印象だ。
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そして最後に登場したのが、EA今年のイチオシタイトル『バトルフィールド 1』。プレゼンでは、DICEのゼネラル・マネージャー、パトリック・バック氏が登壇し、破壊の魅力やダイナミックウェザーなど同作の魅力を紹介した。巨大飛行船(ベヒーモス)とのバトルは、壮観のひと言! EA Playでは64人対戦のデモが披露される予定の『バトルフィールド 1』だが、今夏にはベータテストを予定しているとのことだ。
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数を絞って期待作に特化した印象のあるEA Play Press Conference。“EA Originals”などの発表もあり、EAの新たな方向性がうかがえたカンファレンスといえるだろう。